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FC今治はなぜ監督交代に踏み切ったのか?

FC今治はなぜ監督交代に踏み切ったのか?

FC今治が2026年4月8日に倉石圭二監督の退任と、塚田雄二新監督の就任を発表した。結論から言えば、理由は単純な1試合の敗戦ではなく、短期決戦の大会方式の中で成績不振と得点力不足が重なったからだ。

公式発表は交代理由を明記していない。それでも、ここまでの結果、直前の伊予決戦の内容、そして今季のチーム編成を並べると、クラブが「まだ巻き返せるうちに手を打った」と見るのが自然だ。

  • 4月8日時点でFC今治はWEST-Aの9位
  • 9試合で勝点9、5得点9失点
  • 直前の4月5日、ホームで愛媛FCに0-1敗戦
  • 2026年大会は地域リーグラウンドの順位が、その後の順位決定戦の組み合わせに直結する

ここがポイント: 公式は理由を明言していないが、成績低迷、得点力の停滞、伊予決戦の敗戦が同じタイミングで重なり、クラブはベンチの変更で流れを変えようとしたとみられる。

目次

まず何が起きていたのか

FC今治は2025年11月30日、J2初年度を11位で終えた倉石圭二監督の続投を発表していた。クラブはその時点で、2026年の百年構想リーグと2026/27シーズンも任せる方針を示していた。

それが4カ月あまりで一転する。4月8日、クラブは倉石監督の退任と、ホームグロウングループ・レディースグループ執行役員だった塚田雄二氏の新監督就任を発表した。塚田監督は4月12日のツエーゲン金沢戦からベンチ入りする。

この急転換を重くしたのは、今季ここまでの戦績だ。

  • 第1節 金沢と0-0、PK勝ち
  • 第2節 奈良クラブに0-1敗戦
  • 第3節 FC大阪に2-0勝利
  • 第4節 アルビレックス新潟に0-2敗戦
  • 第5節 カマタマーレ讃岐に0-1敗戦
  • 第6節 高知ユナイテッドSCに0-2敗戦
  • 第7節 徳島ヴォルティスに2-1勝利
  • 第8節 カターレ富山と1-1、PK負け
  • 第9節 愛媛FCに0-1敗戦

9試合で通常勝ち2、PK勝ち1、PK負け1、通常負け5。勝点は9にとどまった。

なぜ今、このタイミングだったのか

1. 一番大きいのは、得点が伸びなかったこと

数字ではっきりしているのは、攻撃の停滞だ。9試合で5得点。複数得点を挙げたのはFC大阪戦と徳島戦だけだった。

0点に終わった試合は6つある。しかも、4節の新潟戦から6節の高知戦にかけて3連敗。勢いを取り戻したかに見えた第7節の徳島戦勝利のあとも、富山戦は90分で引き分け、愛媛戦は17本のシュートを打ちながら無得点で落とした。

この流れでは、守備が完全に崩壊したというより、押し込みながら決め切れない試合が積み重なっていたと見るべきだろう。

2. エース流出後の再設計が、まだ形になっていなかった

今季の今治は、2025シーズンにJ2で17得点を挙げたマルクス・ヴィニシウスを名古屋グランパスへ送り出した。開幕時点から、地元メディアはその穴をどう埋めるかを大きなテーマとして扱っていた。

昨季の今治は、J2初年度ながら上位をうかがう時間帯もあり、前線の決定力が順位を押し上げる原動力だった。その中心が抜けたあと、今季は複数の選手で点を分け合う形を目指したはずだが、4月上旬の段階では再現性のある形まで届かなかった。

言い換えれば、監督交代は単なる感情的な反応ではなく、得点源を失ったチームの再構築が想定より遅れたことへの修正でもあった。

3. 百年構想リーグは、待ってくれる大会ではない

2026年の明治安田J2・J3百年構想リーグは、通常シーズンとは違う。地域リーグラウンドで各グループ10クラブが戦い、その順位がそのままプレーオフラウンドの組み合わせに結びつく。

つまり、序盤の停滞を「長いシーズンの中で取り返す」と考えにくい。4月上旬の9位は、そのまま進めば下位順位決定戦に回る位置だ。昇降格こそないが、クラブの見栄え、賞金・助成金、そして次のシーズンへの空気に影響する。

この大会設計では、5月下旬まで待って判断するより、4月のうちにベンチを変えるほうが合理的だった。

伊予決戦の敗戦が決断を早めた可能性

4月5日の愛媛FC戦は、ただの1敗ではない。ホームのアシックス里山スタジアムには5079人が入り、満員の空気の中で行われた伊予決戦だった。

試合は今治が立ち上がりから攻め込みながら、36分に昨季まで今治でプレーしていた阿部稜汰に決められて0-1敗戦。Jリーグ公式の試合データでは、今治は17本のシュートを放ちながら無得点に終わっている。

地元テレビ愛媛は、倉石監督の試合後コメントとして「決定機を作ったが追いつくことができなかった」という趣旨を伝えた。ここに今季の問題が凝縮されている。

  • ボールを前に運べないわけではない
  • チャンスが全く作れないわけでもない
  • それでも勝点3に変えられない

しかも相手は同じ愛媛のライバルクラブだった。カテゴリーの違いを超えて注目を集めた試合で敗れ、順位は9位へ後退した。クラブが「流れを変えるにはここしかない」と判断したとしても不思議ではない。

各立場の見方をどう整理するか

公式発表から見えること

公式は、倉石監督の退任と塚田監督の就任を淡々と伝えている。理由の説明はない。ただ、2025年11月には続投を決めていた以上、4月8日の交代はクラブ内で相当重い判断だった。

倉石監督自身も、退任コメントで結果責任を受け止める姿勢を示した。クラブと監督の対立というより、成績を受けた決断と読むのが妥当だ。

地元メディアの見方

地元メディアの流れを追うと、論点は一貫している。開幕前はマルクス・ヴィニシウス移籍後の得点源づくり。愛媛戦後は、押し込みながら仕留め切れない攻撃の課題。監督交代報道でも「低迷脱却」が見出しになった。

ここから見えるのは、評価の中心が守備ではなく、勝点に結びつく攻撃の質に置かれていたことだ。

サポーターの受け止め

サポーターの声も、試合の重みをよく表していた。テレビ愛媛は愛媛戦前、今治サポーターの「絶対に勝ってほしい」という声を伝えている。ホーム満員の伊予決戦で敗れたインパクトは大きい。

一方で、倉石監督は退任コメントで、今治のサポーターはブーイングではなく「共に戦ってくれた」という趣旨を述べた。つまり、監督交代はサポーターの反発が爆発したからというより、クラブ側が成績を見て先に動いたと考えるほうが筋が通る。

塚田雄二新監督に求められること

新監督の塚田雄二氏は、ヴァンフォーレ甲府やセレッソ大阪での指揮経験があり、JFA指導者養成にも長く関わってきたベテランだ。短期間で求められる仕事ははっきりしている。

  • 前線の役割整理
  • 得点の形を増やすこと
  • 先に失点しない試合運びを立て直すこと
  • 愛媛戦で見えた「押し込んでも決まらない」停滞を断ち切ること

塚田監督はクラブの歴史を継承しつつ、選手一人ひとりが力を発揮できるチームづくりを掲げた。きれいな言葉より先に見られるのは、4月12日の金沢戦で何を変えるかだ。

結局、監督交代の本質は何だったのか

FC今治が監督交代に踏み切った最大の理由は、短期大会で9位に沈んだ現状を、現体制のままでは立て直し切れないとクラブが判断したことにある。

その背景には、次の3点が重なっていた。

  • 9試合で5得点という攻撃面の停滞
  • マルクス・ヴィニシウス移籍後の得点源再編の遅れ
  • 満員の伊予決戦で敗れたことによる空気の悪化

公式は理由を細かく語っていない。だが、数字とタイミングを見れば、今回の交代は十分に説明できる。

次に見るべきなのは、監督が代わったことで勝点が増えるかどうかではない。今治がどんな形で点を取り、どの選手を軸に攻撃を作り直すのか。そこが本当の勝負になる。

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