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勝利の遠い横浜FC、須藤マジックは通用しないのか?

勝利の遠い横浜FC、須藤マジックは通用しないのか?

結論から言えば、須藤大輔監督のサッカーが完全に通用していないわけではありません。横浜FCはシュート数やセットプレーの回数を作れている試合がある一方で、勝点に変えるための守備の集中、決定力、試合終盤の管理が追いついていません。

4月12日のモンテディオ山形戦は、そのズレが最も分かりやすく出た一戦でした。横浜FCはシュート15本、CK5本を記録しながら無得点。後半20分に土居聖真のゴールを許し、0-1で敗れました。

  • 横浜FCは直近3試合で3連敗
  • 第10節終了時点で、成績は3勝、PK勝1、6敗相当まで後退
  • 10試合で16得点17失点。攻撃だけでも守備だけでも説明できない苦戦
  • 須藤監督の狙いは見えるが、勝敗を分ける局面で相手に上回られている

ここがポイント: 「須藤マジックが通用しない」のではなく、藤枝MYFC時代のようにチーム全体へ浸透する前に、横浜FCでは結果を求められる時間軸がかなり短い。

目次

何が起きているのか。直近3試合で勝点が止まった

横浜FCは3月21日のSC相模原戦で4-2と勝利したあと、3試合続けて90分で敗れています。

直近の流れを並べると、問題は「攻められない」だけではありません。得点は取れる日がある。シュートも打てる。それでも勝てない試合が続いています。

  • 3月28日 湘南ベルマーレ戦: 1-3で敗戦。ホームで上位候補に差を見せられた。
  • 4月4日 ブラウブリッツ秋田戦: 1-2で敗戦。岩武克弥の退場後に失点し、伊藤槙人の同点弾後も終盤に勝ち越された。
  • 4月12日 モンテディオ山形戦: 0-1で敗戦。シュート15本を放ちながら、土居聖真の一撃を返せなかった。

Jリーグ公式の順位表では、4月8日時点で横浜FCは9試合を終えて勝点11、3勝、PK勝1、5敗、16得点16失点のEAST-A 5位でした。そこから山形戦を落としたため、10試合消化で失点が得点を上回る状態になっています。

この数字は重い。J1から降格したクラブとしては、内容の変化を待つだけではなく、早い段階で上位との差を詰める必要があるからです。

須藤監督の狙いはどこまで出ているか

須藤監督は2025年12月に横浜FCの新監督へ就任しました。クラブ公式発表では、藤枝MYFCを率いてきた指揮官として紹介され、本人は「内容と結果の両極」をつかむサッカーを掲げています。

その言葉通り、横浜FCはボールを持つ時間、サイドからの前進、前線の個の迫力を組み合わせようとしています。ただし、今の問題は「形がまったくない」ことではなく、形が勝利に直結する頻度が低いことです。

攻撃は作れているが、最後が細い

山形戦の横浜FCはシュート15本。山形の9本を上回りました。CKも5本で、相手陣内に入る回数自体は作れています。

それでも0点に終わった理由は、数字だけでは見えにくい部分にあります。

  • クロスやCKから相手を押し込んでも、決定機の質を上げ切れない
  • ルキアン、ジョアン・パウロ、アダイウトンら前線の組み合わせが固定し切れていない
  • 山田康太や髙江麗央が関わる前進はあるが、相手のゴール前でテンポが落ちる場面が出る
  • 途中投入の選手で流れを変えても、得点まで持ち込めない試合がある

第3節の栃木シティ戦では、駒沢直哉が新保海鈴のクロスやCKからヘディングで4得点を決め、5-1で大勝しました。つまり、横浜FCには「相手を押し込んで仕留める」成功例があります。

ただ、その再現性が足りない。栃木シティ戦のように高さ、クロス、セットプレーがかみ合う日と、山形戦のように15本打っても無得点に終わる日の差が大きすぎます。

守備は一発と終盤に弱さが出る

4月4日の秋田戦は、横浜FCの現在地をかなり正直に映しました。

公式記録では、横浜FCはシュート13本、CK11本。攻める回数はありました。しかし後半14分に岩武克弥が2枚目の警告で退場し、後半24分に土井紅貴、後半42分に吉岡雅和に決められて1-2で敗れています。

伊藤槙人が後半38分に同点ゴールを決めた直後、勝点1を拾う方向へ試合を閉じるのか、もう一度勝ちに行くのか。その整理が曖昧になった時間帯で、秋田に勝ち越しを許しました。

これは戦術の理想以前の問題でもあります。

  • 退場後の守備ブロックの作り方
  • 同点直後のリスク管理
  • セットプレー後のこぼれ球対応
  • 試合終盤に相手の交代選手へどう対応するか

こうした細部で勝点が削られています。

「須藤マジック」はなぜ時間がかかるのか

須藤監督の評価を考えるうえで、藤枝MYFC時代の実績は外せません。2021年途中から藤枝を率い、2022年にはJ3で2位に入り、クラブ史上初のJ2昇格へ導きました。その後もJ2で12位、13位と残留ラインより上にチームを置いています。

ただし、藤枝での成功と横浜FCでの挑戦は条件が違います。

藤枝型の成功は、積み上げの時間があった

藤枝では、クラブ規模や選手構成に合わせて、須藤監督の攻撃的な方向性を少しずつチームへ入れていく時間がありました。昇格を勝ち取った2022年も、いきなり完成品が出てきたわけではありません。

横浜FCでは事情が違います。

J1から降格した直後のクラブであり、サポーターの目線は「面白いサッカー」だけでは止まりません。昇格、少なくとも上位争いへの復帰が求められます。開幕からホームで山形、仙台に連敗した時点で、理想より先に結果への圧力が強くなりました。

選手の個性はあるが、役割の噛み合わせがまだ粗い

横浜FCの前線には、ルキアン、ジョアン・パウロ、アダイウトン、駒沢直哉らタイプの違う選手がいます。サイドでは新保海鈴のクロス、中央では山田康太や髙江麗央の配球が攻撃の起点になります。

名前だけを見れば、J2・J3百年構想リーグのEAST-Aで十分に戦える陣容です。

しかし、強いチームは「誰を出すか」だけでなく、「どの時間帯に、どの形で、誰へ届けるか」が決まっています。横浜FCはそこがまだ日によって揺れます。

栃木シティ戦では新保から駒沢へのラインが爆発しました。相模原戦ではアダイウトンの得点力も出ました。一方で、山形戦では15本打っても最後の一押しが足りませんでした。

立場ごとの見方。批判と擁護はどこで分かれるか

横浜FCの現状を見る視点は、立場によってかなり違います。どれか一つだけを総意として扱うと、今の難しさを見誤ります。

監督・クラブ側: ブレずに積み上げたい

須藤監督は就任時から、内容と結果を両立するサッカーを掲げています。報道では、開幕連敗後にも自分たちの方向性を簡単には曲げない姿勢が伝えられました。

この見方に立てば、今は新しいサッカーを入れている途中です。ボールを握る、前から奪う、ショートカウンターを狙う。そこに時間をかける価値はあります。

ただし、勝点が伸びないままでは、積み上げの時間そのものが短くなります。ここが一番難しいところです。

データ側: 攻撃回数より効率が課題

山形戦の15本、秋田戦の13本から分かるのは、横浜FCが相手ゴールへ迫る機会をまったく作れていないわけではないということです。

問題は効率です。

  • 山形戦: 15本で0得点
  • 秋田戦: 13本で1得点、ただし2失点
  • 栃木シティ戦: 5得点したが、その後の再現性が低い

シュート数があるのに勝てないチームは、相手から見ると「打たせてもよい位置」へ誘導されている場合があります。横浜FCは、ボックス内で相手の守備を完全にずらすプレーを増やす必要があります。

サポーター側: 問われているのは我慢の根拠

サポーターが厳しくなるのは自然です。J1から降格したクラブが、EAST-Aの中位で勝点を落としているからです。

ただ「監督を替えればすぐ解決」とも言い切れません。むしろ今問われているのは、我慢するかどうかではなく、何を根拠に我慢できるのかです。

例えば、次のような変化が見えれば、結果が出る前でも納得感は増します。

  • 決定機の形が毎試合増えている
  • 失点パターンが減っている
  • 交代後にチームの構造が崩れない
  • セットプレーの守備と攻撃で明確な改善がある

反対に、同じ失点、同じ無得点、同じ終盤の崩れが続けば、内容の説明は力を失います。

次に見るべきポイントは秋田、群馬、八戸の3連戦

Jリーグ公式日程では、横浜FCの次戦は4月19日のブラウブリッツ秋田戦、続いて4月25日のザスパ群馬戦、4月29日のヴァンラーレ八戸戦です。

この3試合は、須藤体制の評価をかなり左右します。

1. 秋田戦で同じ負け方を避けられるか

4月4日の秋田戦では、退場、セットプレー、終盤失点が重なりました。再戦で見るべきは勝敗だけではありません。

  • セカンドボールをどこで拾うか
  • 土井紅貴、吉岡雅和ら途中から効いてくる選手への対応
  • 先制された場合に慌てず前進できるか
  • 逆に先制した場合、試合を閉じられるか

同じ相手に同じ形でやられるなら、修正力への疑問は強まります。

2. 群馬戦は取りこぼせない

群馬は直近記事でも苦戦が目立つチームです。横浜FCにとっては、内容より先に勝点3を取りに行く試合になります。

ここで勝てないと、上位追走ではなく下位との差を気にする展開になります。攻撃の理想を語るより、相手の弱点を突いて勝ち切る現実的な采配が必要です。

3. 八戸戦はホームで空気を戻す機会

4月29日の八戸戦はニッパツ三ツ沢球技場で行われます。ホームで勝てば、連戦の流れを変えられる。逆にここでも停滞すれば、須藤体制への疑問はさらに大きくなります。

ホームでは、開始15分の入りと先制点が重要です。横浜FCはボールを握るだけでなく、早い時間に相手の守備ラインを下げるプレーを見せたいところです。

結論。通用しないのではなく、勝つ形への翻訳が足りない

須藤マジックは、今の横浜FCでまだ魔法のようには効いていません。けれど、まったく通用していないという評価も早い。シュート数、クロス、セットプレー、個の得点力を見ると、勝利につながる材料はあります。

問題は、それを90分の勝ち筋へ翻訳できていないことです。

今後の注目点は明確です。

  • 15本打って0点の試合を、どう1点に変えるか
  • 同点直後、終盤、退場時の判断をどう整理するか
  • 駒沢直哉、新保海鈴、山田康太、髙江麗央らの強みを毎試合の再現性へつなげられるか
  • 秋田、群馬、八戸との連戦で勝点をどれだけ積めるか

須藤監督の理想は、結果が出て初めて支持を広げます。次の3試合で必要なのは、きれいな説明ではなく、同じ失点を減らし、先に1点を取り、勝点を持ち帰ることです。

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