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J2屈指のクラブ力・コンサドーレ札幌はなぜその実力を発揮できてないのか?

J2屈指のクラブ力・コンサドーレ札幌はなぜその実力を発揮できてないのか?

北海道コンサドーレ札幌の停滞は、選手の名前やクラブ規模だけでは説明できない。直近の甲府戦では札幌がシュート16本、CK8本を記録しながら1-2で逆転負け。福島戦でもシュート14本を放って0-2で敗れた。

つまり問題の中心は、ボールを前へ運べないことではない。押し込んだ時間を得点と試合管理に変え切れていないことにある。

  • 2026年4月11日の甲府戦は、アマドゥ・バカヨコのPKで先制しながら1-2で逆転負け
  • 4月4日の福島戦は、シュート数で上回りながら0-2で完封負け
  • Jリーグ公式のEAST-B順位表では、4月5日更新時点で9試合2勝5敗、PK2勝、勝点10、得点7・失点13
  • 川井健太監督の新体制は、狙いの輪郭を作る段階から、勝点を取り切る段階へ移らなければならない
目次

何が起きているのか:数字は「押しているのに勝てない」を示している

札幌の直近2試合を見ると、内容がまったく作れていないわけではない。

4月11日のヴァンフォーレ甲府戦は、札幌が前半26分にバカヨコのPKで先制した。ところが前半アディショナルタイムに武井成豪に同点弾を許し、85分には安田虎士朗に決勝点を奪われた。Jリーグ公式記録では、シュート数は甲府7本に対して札幌16本、CKも甲府2本に対して札幌8本だった。

それでも勝ったのは甲府だった。

その1週間前、4月4日の福島ユナイテッドFC戦も似た構図がある。札幌はシュート14本、CK5本。福島はシュート12本、CK2本。それでもスコアは0-2。清水一雅、岡田優希に得点を許し、札幌は無得点で終えた。

試合 スコア 札幌のシュート 相手のシュート 見える課題
4月4日 札幌 0-2 福島 敗戦 14本 12本 攻撃量を得点にできず、先に失点
4月11日 甲府 2-1 札幌 敗戦 16本 7本 先制後に追いつかれ、終盤に逆転を許す

この2試合だけでも、札幌の苦しさははっきりしている。シュート数やCK数では試合に関われている。しかし、相手が決める時間帯で耐えられず、札幌が決めるべき時間帯で突き放せない。

ここがポイント: 札幌は「弱いから何もできない」のではなく、「できている部分を勝利に変える最後の工程」で詰まっている。

なぜクラブ力が結果に直結していないのか

札幌には、J2・J3百年構想リーグの中でも目を引く材料がある。大和ハウス プレミストドームを本拠地とし、Jリーグ公式のクラブページでは入場可能数38,794人のホームスタジアムを持つ。スパチョーク、福森晃斗、荒野拓馬、宮澤裕樹、青木亮太、大﨑玲央、バカヨコら、経験や個性のある選手もそろう。

それでも、ピッチ上では名前の強さがそのまま勝点になっていない。

1. 決定機の量と質がそろっていない

甲府戦の16本、福島戦の14本というシュート数は、攻撃の入口が完全に塞がれている数字ではない。だが、得点は甲府戦のPKによる1点だけ。福島戦は無得点だった。

ここで見るべきなのは、単純なシュート本数よりも「誰が、どの位置で、どの状態で打てているか」だ。

札幌はバカヨコのような高さと強さを持つFW、スパチョークのように狭い局面で違いを作れるMF、福森の左足という明確な武器を抱えている。ただ、直近の結果を見る限り、その武器を相手ゴール前で連続して使う形が安定していない。

  • クロスやセットプレーに人数をかけても、二次攻撃で再加速できない
  • 先制後に追加点を狙う時間帯で、相手に流れを渡してしまう
  • 交代カードを切った後、攻撃の狙いが太くなる試合と薄くなる試合がある

甲府戦では75分に原康介からスパチョーク、86分に川原颯斗から大﨑玲央という交代があった。攻めるカード、守備の安定を意識したカードの両方を使える陣容はある。問題は、それが試合終盤の主導権に直結しなかった点だ。

2. 失点の時間帯が悪い

甲府戦の同点弾は前半45+3分。決勝点は85分。どちらも、試合の印象を大きく変える時間帯だった。

前半終了間際に追いつかれると、先制した優位はハーフタイムで消える。終盤に逆転を許すと、反撃の時間はほとんど残らない。これは偶然の失点以上に重い。

福島戦でも、37分に先制され、71分に2点目を許した。追う展開で攻撃枚数を増やしたい札幌にとって、2点目は試合の難度を一気に上げる失点だった。

札幌が今必要としているのは、きれいな攻撃の完成度だけではない。試合の節目で失点しない守備の集中と、流れが悪い時間を短くする整理力だ。

3. 川井健太新体制の浸透が、まだ勝点の形になっていない

札幌は2025年12月、川井健太氏の監督就任を発表した。川井監督は愛媛FC、サガン鳥栖で指揮を執ってきた指導者で、札幌では新しいサイクルを任されている。

Jリーグ公式の就任発表で、川井監督は「スタジアムで何を示せるか」を重視する趣旨のコメントを出している。言葉通り、札幌はボールを持って相手を動かす方向へ進もうとしている。

ただ、新体制のチームは「狙いが見える」だけでは足りない。勝てない時期が続くと、選手は判断を急ぎ、守備では半歩遅れ、攻撃では安全な選択が増える。そうなると、ボールを持つ時間があっても、相手の嫌がる場所へ入る回数が減る。

川井体制の難しさは、ここにある。

  • 前任体制からの継続選手が多く、既存の強みを消せない
  • 一方で、新監督の原則を入れないと中長期の上積みがない
  • 百年構想リーグは結果だけでなく準備期間の意味もあるが、札幌の規模では勝点も求められる

「育てながら勝つ」。言葉にすると簡単だが、札幌の現在地はその難しい作業の真ん中にある。

立場ごとの見え方:批判と期待が同時にある

札幌を見る視線は一枚岩ではない。結果を見れば厳しい評価になるが、内容の一部には改善の材料もある。

監督・チーム側の見方

日刊スポーツの報道では、川井監督は3月時点で結果の悪さを認めつつ、チーム内に成長している部分があるという趣旨の受け止めを示していた。開幕からの苦戦を単なる不運とは見ていないが、全否定もしていない。

この見方は、直近の試合データとも合う。シュート数やCK数だけを見れば、札幌は相手陣でプレーする時間を作れている。だが、勝敗を分ける場面では相手に上回られている。

メディア・外部評価の見方

シーズン前には、川井新体制に対して「新しいサッカー」の輪郭を評価する論調もあった。プレシーズン段階では、主導権を握る時間やボールの動かし方に期待が向けられていた。

しかし公式戦では、内容の前進だけでは順位表は動かない。4月5日更新のJリーグ公式順位表で、札幌はEAST-Bの7位。得点7、失点13、得失点差-6という数字は、攻守のバランスがまだ整っていないことを示している。

サポーター目線での焦点

サポーターが見たいのは、単なる「惜しかった」ではないはずだ。甲府戦のように先制し、シュート数でも上回った試合を落とすと、内容への評価よりも勝点を失った痛みが残る。

一方で、今の札幌をすぐに見限る段階でもない。攻撃の入口が完全に壊れているわけではなく、選手層もある。だからこそ、次に問われるのは改善の速度だ。

鍵になる選手と起用法

札幌が浮上するには、個の名前を「強そうな名簿」で終わらせず、役割として噛み合わせる必要がある。

バカヨコ:先制点の先に何を足せるか

甲府戦でPKを決めたバカヨコは、札幌が前線に置ける明確な基準点だ。高さ、身体の強さ、相手CBを背負う役割は分かりやすい。

ただ、バカヨコが孤立すると攻撃は単発になる。彼に当てた後、スパチョークや青木亮太、長谷川竜也、大森真吾がどの距離で関われるか。ここが整えば、シュート数だけでなく決定機の質も上がる。

福森晃斗:左足をどこで使わせるか

福森の左足は、J2・J3百年構想リーグの中でも試合を動かせる武器だ。セットプレー、斜めの配球、クロスで違いを出せる。

ただし、福森を使うなら守備時のカバー設計もセットで必要になる。攻撃で左足を最大化する配置と、奪われた後のリスク管理。この両方が合わないと、札幌は押し込んだ後のカウンターで苦しくなる。

スパチョーク:途中投入で終わらせない設計

甲府戦では75分からスパチョークが入った。相手が疲れた時間に違いを出せる選手ではあるが、札幌が本当に流れを変えたいなら、彼が受ける位置と周囲の走り出しをもっと明確にしたい。

スパチョークが前を向く場面を作れれば、バカヨコへのラストパス、サイドへの展開、ミドルシュートの選択肢が増える。終盤の切り札にするのか、最初から攻撃の中心に置くのか。川井監督の判断が注目される。

次に見るべきポイント

札幌の次戦は、Jリーグ公式日程で4月18日の松本山雅FC戦。会場は札幌厚別、キックオフは13時予定となっている。

ここで問われるのは、単に勝つか負けるかだけではない。直近2試合で出た課題に対して、どの修正が見えるかだ。

  • 先制した場合、追加点を取りに行くのか、保持で相手を消耗させるのか
  • 福森、スパチョーク、バカヨコを同時にどう生かすのか
  • 終盤の失点リスクを、交代と配置で減らせるか
  • シュート数ではなく、ゴール前の決定機を何本作れるか
  • セットプレーとクロスの二次攻撃で、相手を押し込み直せるか

クラブ力があるチームほど、勝てない時期には説明が難しくなる。だが札幌の場合、原因はぼんやりしていない。攻撃量を得点へ、先制を勝点へ、選手層を試合終盤の優位へ変えること。

松本戦で見るべきなのは、華やかな新機軸よりもそこだ。札幌が本当に上向くなら、まずは「押していたのに負けた」を終わらせる必要がある。

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