MENU

松本山雅の新たな接続役へ 金子翔太は前線を動かす「最後のパス」の前に立てるか

松本山雅の攻撃をつなぐ中盤のプレーをイメージしたサッカー写真。

松本山雅の新たな接続役へ 金子翔太は前線を動かす「最後のパス」の前に立てるか

松本山雅FCが2026年6月20日に発表した金子翔太の完全移籍加入は、単にMFを一枚加える補強ではない。2列目で受け、前線へ渡す前の局面を落ち着かせる経験を、2026/27シーズンのチームに持ち込む補強だ。

金子は藤枝MYFCから加入し、背番号は11。石﨑信弘監督の下で、松本が攻撃の人数を増やすだけでなく、相手の最終ライン前で「誰が次のプレーを選ぶか」を明確にできるかが焦点になる。

  • 金子はJ1通算172試合24得点、J2通算100試合13得点
  • 2018年には清水エスパルスでJ1リーグ34試合10得点
  • 松本は百年構想リーグで18試合31得点。得点力を、次のシーズンで再現性ある攻撃へつなげられるかが問われる
目次

まず確認したい加入の事実

金子は「昇格したい」と明言して松本に加わる。 クラブ発表によると、31歳のMFは2026/27シーズンから完全移籍で加入する。

金子はJFAアカデミー福島から清水エスパルスへ進み、栃木SC、ジュビロ磐田、藤枝MYFCでもプレーしてきた。J1とJ2の両方で長く出場してきた経歴は、試合の局面ごとに要求が変わる昇格争いで価値を持つ。

とりわけ2018年のJ1で残した34試合10得点は、金子を得点だけで測れない理由でもある。2列目の選手が相手の背後へ入る、あるいはゴール前まで走り切ることで、前線の選手だけに得点の責任を集中させない形を経験してきた。

藤枝では2026年の百年構想リーグで4試合に出場し、得点はなかった。直近の数字だけで即戦力性を断定するより、松本で任される位置と周囲との関係を見た方が、この補強の成否は見えやすい。

ここがポイント: 金子に求められるのは、個人の得点数だけではない。ボールを前線へ急がせすぎず、味方がゴールへ入る時間をつくることだ。

経験値はどこで攻撃に変わるのか

最も期待されるのは、2列目とFWの間に生まれる空白を埋める役割だ。 松本の攻撃が前へ急ぐ局面で、金子が中間ポジションに立てれば、縦パスの受け手と次の出し手を同時に増やせる。

受けて終わらず、攻撃の向きを変える

2列目の選手が相手の中盤と最終ラインの間で前を向けると、攻撃には三つの選択肢が生まれる。

  • FWへの縦パスで、相手DFを下がらせる
  • 外へ展開して、サイドの前進を助ける
  • 自らペナルティーエリアへ入り、フィニッシュに加わる

重要なのは、どれか一つを固定することではない。相手が中央を閉じれば外へ、サイドを警戒して横幅を広げれば中央へ入る。金子の経験が生きるのは、この選択を一手遅らせずに行えるかどうかだ。

松本の2026年百年構想リーグは18試合で31得点を記録した。一方で、得点数の多さが次のシーズンの攻撃完成を保証するわけではない。相手の守備が整った時間帯でも前進できるか、リード時にボールを失わず試合を運べるか。金子のような2列目の接続役は、その二つの局面で評価される。

前線の選択肢を増やす補強

2026/27シーズンの松本には、FW田口裕也、佐藤亮、田中想来、松岡瑠夢らが登録されている。タイプの異なる前線に対し、金子が同じ場所から同じパスだけを出す必要はない。

例えば、背後へ走るFWがいる時間帯には、金子自身が少し下がって前向きに受ける位置をつくる。ゴール前で競り合えるFWを置くなら、サイドへ展開した後に中央へ入り直し、こぼれ球や折り返しに反応する役目もある。

この補強はFWの序列を決めるものではなく、前線の組み合わせごとに攻撃の出口を変えられるようにするものだ。連戦では、同じ得点パターンに依存しないことが選手層の価値を高める。

石﨑信弘監督の下で問われる適応

金子の起用は、中央で自由を与えるだけでは機能しない。 守備時にどこまで戻るか、誰が金子の背後を埋めるかまで整理されて初めて、攻撃での立ち位置が生きる。

松本は石﨑信弘監督の続投を発表しており、金子も同監督の2026/27シーズンのチームでプレーする。新加入選手にとっては、個人の得意なプレーを出す前に、チームがボールを失った瞬間の約束事を共有できるかが出場機会を左右する。

期待できる点

  • J1・J2で積み重ねたリーグ戦経験を、拮抗した試合の判断に生かせる
  • 2列目から得点に入る選択肢があるため、FWへのマーク集中を和らげられる
  • 前線の顔ぶれに応じ、中央・サイド・ペナルティーエリア手前で役割を変えられる可能性がある

適応に必要な点

  • 中央で受ける回数を増やすなら、ボランチやSBとの距離を保つ必要がある
  • 攻撃参加後の切り替えで穴を残さないため、周囲との守備分担を固めなければならない
  • 31歳という年齢を「経験」で終わらせず、連戦を通じてプレー強度を維持できる起用設計が必要になる

ここで見るべきなのは、金子が何得点するかだけではない。相手が中央を消した試合でボールを受けられるか、劣勢の終盤に攻撃を急がせず一度組み立て直せるか。そのプレーが増えれば、松本の攻撃は得点者を替えるだけでなく、攻め方そのものを替えられる。

補強の評価は「数字の前」に表れる

金子翔太の加入がもたらす経験値は、ゴールの直前ではなく、その一つ前の判断に現れる。 松本が31得点を挙げた攻撃力を次のシーズンにつなげるには、前線へ届けるルートを増やし、試合の流れを自分たちで選べる時間を長くする必要がある。

今後の注目点は次の三つだ。

  • 金子が2列目の中央、サイド、あるいは前線に近い位置のどこで最も多く起用されるか
  • 田口、佐藤、田中、松岡らとの組み合わせで、ゴール前へ入る人数がどう変わるか
  • 先行時と追う展開で、金子が攻撃を落ち着かせる役を担えるか

背番号11が担うのは、目立つラストパスだけではない。松本が苦しい時間にも前へ出る道筋を失わないための、次の一手を選ぶ役割である。

参照リンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次