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東京Vは中盤再編で川崎の連係を止められるか――開幕節を分ける「奪った後」の精度

味の素スタジアムの照明下で中盤のボールを競り合う両チームの選手。

東京Vは中盤再編で川崎の連係を止められるか――開幕節を分ける「奪った後」の精度

東京ヴェルディが川崎フロンターレを迎える開幕節で、最大の焦点は明確だ。東京Vが再編を迫られた中盤でボールを奪い、その直後に川崎の守備が整う前まで攻め切れるかである。

直前の明治安田J1百年構想リーグでは、川崎が東京Vとの2試合を2-0、1-0で制した。東京Vが川崎のパスワークを止めるだけでは足りない。奪ったボールを前進へつなげ、川崎を自陣へ走らせる時間を作れるかが、開幕戦の流れを左右しそうだ。

  • 開催日時:2026年8月9日(日)18:00
  • 会場:味の素スタジアム
  • 大会:2026/27明治安田J1リーグ 第1節
  • 監督:東京V・城福浩監督/川崎・長谷部茂利監督
  • 注目点:東京Vの中盤再編と、川崎の中央からの前進
目次

対戦の前提:同勝点だった両者が新シーズンで再出発

開幕前の順位はまだなく、比較材料になるのは直前に行われた百年構想リーグと夏の編成変更だ。

Jリーグ公式順位表によると、百年構想リーグのEAST地域リーグラウンドでは、川崎と東京Vがともに18試合で勝点28を獲得。得失点差により川崎が4位、東京Vが5位だった。

両クラブの数字には違いもある。

  • 川崎:23得点、27失点、得失点差マイナス4
  • 東京V:19得点、25失点、得失点差マイナス6

川崎は東京Vより4点多く奪った一方、失点も2点多かった。大差ではないが、川崎には試合を動かす攻撃力があり、東京Vはロースコアへ持ち込むことで勝機を探る構図が見える。

その東京Vは地域リーグラウンド終盤、水戸ホーリーホックに1-0で勝利した後、横浜F・マリノスに0-6で敗戦。続くプレーオフラウンドではガンバ大阪と1-1で引き分け、第2戦を2-4で落とした。最後の3試合で計11失点を喫したため、城福監督にとって守備の再整備は開幕前の重要課題となる。

川崎は地域リーグラウンド最終節で水戸に3-1で勝利した。後半から出場した持山匡佑が58分、78分、85分に得点。交代選手が試合の速度を変え、1人で3点を奪った事実は、長谷部監督が持つ攻撃の選択肢を示している。

東京Vは森田晃樹不在の中央をどう組み直すか

東京Vにとって最大の問題は、川崎の攻撃を受ける中盤で主将・森田晃樹を欠くことだ。

東京Vは7月23日、森田が左鎖骨骨折、田邉秀斗が左膝内側側副靱帯損傷と診断され、両選手とも全治6~10週間の見込みだと発表した。8月9日の開幕節は、その発表から約2週間後に行われる。

森田は単にパスをつなぐ選手ではない。相手の中盤と最終ラインの間でボールを受け、味方が前を向ける角度を作る役割を担う。2026年5月6日の川崎戦でも、後半に齋藤功佑の縦パスを受け、ターンからシュートまで持ち込んだ。

この森田が不在となれば、東京Vには二つの課題が生じる。

  • 川崎のプレスを受けながら、中央で前向きの選手を作ること
  • ボールを失った瞬間、脇坂泰斗らが使う中央のスペースを閉じること

登録選手には齋藤功佑、平川怜、食野壮磨らがいる。ただし、2026年8月6日時点で、東京V対川崎の先発メンバーとベンチ入り選手について公式発表を確認できていない。城福監督が組み合わせを変えるのか、周囲の配置によって森田の仕事を分担するのかが最初の見どころになる。

田邉の離脱も軽くない。DF登録の選手を欠くため、東京Vは守備の強度を維持しながら、ボール保持時の出口も作らなければならない。

川崎の狙いは、東京Vの守備を横へ動かして中央を開けること

川崎はボールを保持するだけでなく、東京Vの守備位置をずらした後に中央へ入り直せるかが鍵になる。

百年構想リーグでの直接対決は、川崎が2試合とも無失点で勝利した。

  • 3月18日:東京V 0-2 川崎
  • 5月6日:川崎 1-0 東京V

5月の対戦では、川崎が前半からテンポよくボールを動かし、左右のサイドを使って東京Vを揺さぶった。決勝点は73分。三浦颯太が東京Vのスローインをカットし、ラザル・ロマニッチとの連係から脇坂泰斗が中央へ運んで右足で決めた。

この得点で重要なのは、長いパス交換だけではなく、相手ボールを奪った直後に脇坂が前向きになったことだ。東京Vが攻撃へ移ろうと選手間を広げた瞬間、川崎が逆にその空間を使った。

長谷部監督の登録メンバーには、脇坂、山本悠樹、橘田健人、河原創、大島僚太ら中央でプレーできる選手がそろう。さらに前線にはロマニッチ、マルシーニョ、伊藤達哉、持山がいる。先発予想を断定することはできないが、中央で相手を引きつけてから外へ出る形と、外から中央へ戻る動きの両方を使える構成だ。

新加入のDFペドロ・ホマーノとFWカイキ・ケイロスも登録された。開幕節での起用は未確定だが、ホマーノが最終ラインの前進を支え、ケイロスがゴール前の基準点になれば、川崎は従来とは異なる攻め方も選びやすくなる。

勝敗を分ける3つの局面

90分を通した支配率より、攻守が切り替わる数秒間の質が勝敗に直結しそうだ。

1. 東京Vが奪った最初のパス

東京Vが自陣で奪った後、横や後方への安全なパスだけを選べば、川崎はすぐに守備陣形を整えられる。逆に染野唯月や山見大登ら前線の選手へ早く届けられれば、川崎のセンターバックを後退させ、全体を押し上げる時間を得られる可能性がある。

重要なのは無理に縦へ蹴ることではない。受け手の近くへ二人目が寄り、落としたボールを前向きに回収できるかだ。東京Vがここで孤立すれば、再び川崎の攻撃を受ける展開になりやすい。

2. 川崎の脇坂を誰が見るか

脇坂は5月の対戦で、左から中央へ運んで決勝点を記録した。東京Vが最終ラインを下げすぎると、その手前で脇坂が前を向ける。一方、中盤が強く出れば、背後を川崎の前線に使われる危険が増す。

東京Vは一人を脇坂へ固定するより、パスの出し手へ圧力をかけながら受ける角度を消す形が現実的だろう。森田不在で連係を組み直すだけに、誰が前へ出て、誰が中央を埋めるかを早い時間帯にそろえる必要がある。

3. 交代後に試合の強度を保てるか

8月の18時開催とはいえ、暑さの影響は無視できない。先発だけでなく、後半に投入される選手が守備の距離と攻撃の速度を維持できるかが重要になる。

川崎には水戸戦で途中出場から3得点した持山という具体的な成功例がある。東京Vも前線やサイドの選択肢を使い、川崎の守備を最後まで走らせたい。先制点が入らないまま後半へ進めば、ベンチワークの比重はさらに大きくなる。

注目選手:脇坂泰斗と染野唯月

川崎は攻撃を完結させる脇坂、東京Vは前線で時間を作る染野の働きが重要になる。

川崎の注目選手は背番号14の脇坂泰斗だ。5月の直接対決で決勝点を挙げただけでなく、中盤と前線をつなぎ、自らゴール前へ入れる。東京Vが中央を固めたとき、脇坂がどちらのサイドへ移って数的優位を作るかにも注目したい。

東京Vでは背番号9の染野唯月が攻撃の基準点になる可能性がある。川崎に押し込まれる時間が長くなれば、前線でボールを収め、味方の押し上げを待つ仕事が必要だ。シュート数だけでなく、競り合った後のボールを東京Vが回収できるかまで見たい。

なお、先発メンバーとベンチ入り選手は試合前の公式発表まで確定しない。両選手の起用を含め、最終的なメンバー情報を確認してから試合の構図を見直す必要がある。

試合の見立て:川崎優位を東京Vがどう崩すか

過去2度の直接対決と中盤の離脱状況を踏まえると、川崎がボールを持つ時間は長くなる可能性がある。

川崎には、東京Vを相手に2試合連続で無失点勝利した経験がある。中央の選択肢も多く、攻撃が停滞した際には前線の交代で変化を加えられる。

それでも開幕節は、直前大会の単純な続きではない。両クラブとも夏の準備期間を経て登録メンバーを変更し、新しいシーズンへ入る。東京Vがホームの立ち上がりから強く圧力をかけ、川崎のパスを外側へ追い込めれば、前回対戦とは異なる試合にできるだろう。

導入で立てた問いへの答えは、東京Vが中盤で奪うこと自体より、奪った後の二手目まで共有できるかにある。そこで前進できれば接戦へ持ち込める。すぐに失えば、脇坂を中心とする川崎の二次攻撃を繰り返し受けることになる。

観戦時に確認したいポイントは三つだ。

  • 東京Vの中盤で誰が森田の配球と守備範囲を補うか
  • 川崎がサイドへ動かした後、脇坂をどの位置で前向きにするか
  • 60分以降、両監督がどの選手で攻撃の速度を変えるか

最初の注目場面は、東京Vが自陣でボールを奪った直後だ。その一度目の縦パスが通るかどうかに、開幕戦の力関係が早くも表れる。

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