4バックの「狩り」を熊本は外せるか SC相模原対ロアッソ熊本開幕戦プレビュー
約2カ月前、SC相模原は同じ相模原ギオンスタジアムでロアッソ熊本を3-0で退けた。中山陸が2得点、杉本蓮が1得点。1点目はショートコーナーから生まれ、3点目は高い位置からのプレスで棚橋尭士がボールを奪い、杉本が決めた。
8月8日の開幕戦で問われるのは、熊本が相模原のマンツーマン気味の守備を外し、前進できるかだ。前回対戦の結果は明確だが、片野坂知宏監督が準備期間を経てどんな修正を施すかによって、試合の構図は変わり得る。
この記事で分かること
- 試合は8月8日(土)18時、相模原ギオンスタジアムで開催
- 相模原は前回対戦で得点につながったセットプレーと高い位置からのプレスを再現できるかが焦点
- 熊本はボール保持の出口と、失った直後の守備を整えられるかが重要
- 新シーズン第1節のため、順位とリーグ直近成績はまだ存在しない
対戦の前提:2カ月ぶりに同じ会場で再戦
両クラブは、新シーズン最初の90分を直前の直接対決と同じ会場で迎える。
- 大会:2026/27明治安田J3リーグ 第1節
- 対戦:SC相模原 vs ロアッソ熊本
- 日時:2026年8月8日(土)18:00キックオフ
- 会場:相模原ギオンスタジアム
- 中継:DAZN
- 相模原監督:シュタルフ悠紀リヒャルト
- 熊本監督:片野坂知宏
第1節の試合前であるため、両クラブのリーグ順位はまだ確定していない。2026/27シーズンのリーグ戦に限った直近成績もなく、開幕前の比較材料になるのは、主に6月まで行われた明治安田J2・J3百年構想リーグと、その後のチーム編成だ。
百年構想リーグでは相模原がEAST-Aグループ5位、熊本がWEST-Bグループ5位。プレーオフラウンド第1戦では、相模原が藤枝MYFCに4-3、熊本が愛媛FCに1-0で勝利した。そして6月6日の17-18位決定戦では、相模原が熊本に3-0で勝っている。
先発メンバーと選手の出場可否は、試合当日の公式発表で確定する。
最大の焦点は、相模原の守備を熊本がどう外すか
前回対戦の再現を狙う相模原に対し、熊本は最初の前進方法を変える必要がある。
相模原は4-4-2から人を捕まえ、攻撃を短くする
6月6日の試合後、片野坂監督は相模原について、4-4-2を基準に相手へ人を当てる守備だったと説明した。シュタルフ監督も、前線から奪いに出る守備を自分たちのサッカーの代名詞に挙げている。
この守備の価値は、ボールを奪うことだけではない。熊本が後方で横パスを重ねる間に相模原の前線と中盤が距離を詰めれば、奪った地点からゴールまでが近くなる。中山陸、杉本蓮、棚橋尭士らが前を向く回数も増やせる。
前回は、その連鎖が得点に結びついた。中山が44分と55分、杉本が58分に決め、後半開始から13分間で相模原が試合を大きく動かした。
相模原が再び狙いたい流れは明快だ。
- 熊本の最終ラインと中盤へ前向きに圧力をかける
- 縦パスの受け手を自由にさせない
- 奪った直後にサイドまたは前線へ運ぶ
- セットプレーも含め、押し込んだ時間をシュートで終える
ただし、マンツーマン色の強い守備は、一人が外されると背後に空間が生まれる。夏の開幕戦で90分間同じ強度を保てるかも、相模原にとって見逃せない条件になる。
熊本は「保持すること」より、最初の一線を越えたい
前回の相模原戦ではマンツーマンを外して好機へ進む場面はあったが、片野坂監督は最後の精度と崩しのアイデアを課題に挙げている。
今回の熊本に必要なのは、後方の選手だけで圧力を受け続けないことだろう。前線の選手が足元で受けるだけでなく、相模原の最終ラインを押し下げる動きを混ぜれば、中盤にパスの出口を作りやすくなる。
予想される選択肢は複数ある。
- 前線への長いボールで最初の圧力を越え、セカンドボールを回収する
- 中盤の選手が最終ライン付近まで下がり、数的な出口を増やす
- サイドで幅を取り、相模原の2列を横へ広げる
- 相手を引きつけた後、逆サイドへ速く展開する
熊本がボールを保持できても、失った直後に相模原の2列目を自由にすれば前回と同じ危険が生まれる。攻撃の改善と同時に、ボールの後方へ何人を残すかが重要になる。
前回の3-0を、そのまま力関係にはできない
相模原が心理面と再現性で先行する一方、熊本には前回の失点原因が具体的に残されている。
相模原にとって前回対戦は、新シーズンでも使える設計図だ。中山は現在も背番号10、杉本は24、棚橋は7としてJリーグの選手名鑑に登録されている。誰が先発するかは未確定だが、前回機能した役割を継続できる選択肢はある。
熊本では、片野坂監督の下で新たな競争が始まる。2026/27シーズンの登録メンバーには、背番号22の松田詠太郎、背番号37の小澤秀充、背番号41の大本祐槻らが名を連ねる。松田や大本のようにサイドで前進に関われる選手をどう組み合わせるかは、相模原の圧力を横方向へ動かすうえで注目点になる。ただし、起用法と出場は試合当日に決まる。
前回のスコアだけなら相模原優位に見える。しかし、シュタルフ監督自身が試合後に「結果ほどの差は感じていない」という趣旨を語り、片野坂監督もマンツーマンを外して機会を作れた点に触れた。3-0は重要な事実だが、90分のすべてを一方が支配した証明ではない。
違いを生みそうなのは、次の3点だ。
- 熊本が相模原の最初の守備線を何回越えられるか
- 相模原が奪った直後、前向きの選手へ素早く届けられるか
- 夏の試合で両チームが守備強度と選手間の距離を保てるか
注目選手:前回の得点源と、熊本の前進役
名前ではなく、相手の狙いを壊せる役割に注目したい。
SC相模原:中山陸
Jリーグ公式選手名鑑で背番号10のMFとして登録される中山は、6月の熊本戦で2得点を記録した。
先発は確定していない。それでも出場した場合は、熊本の中盤背後で前を向けるか、そして守備から攻撃へ切り替わった瞬間に相手ゴールへ近づけるかが見どころになる。
ロアッソ熊本:松田詠太郎
熊本の2026/27シーズン登録メンバーで背番号22を着ける松田は、横浜F・マリノスから加入したMFだ。相模原の守備が中央で人を捕まえるなら、サイドでボールを運べる選手の存在は圧力をずらす助けになる。
松田の出場や配置は未確定だが、起用された場合は、単独で縦へ進むだけでなく、相手を引きつけて味方のパスコースを作れるかを見たい。
試合の見立て:相模原がわずかに先行、熊本の修正力が分岐点
現時点では相模原が一歩先行すると予想するが、大差を前提にできるカードではない。
根拠は、同じ会場で行われた直近の直接対決で、相模原がセットプレーで先制し、高い位置からのプレスで3点目を奪ったことだ。戦い方の核と得点に関わった選手が登録メンバーに残っている点も、再現を期待できる材料になる。
一方、熊本には約2カ月の準備期間があった。片野坂監督が前回対戦後に挙げたセットプレー、一瞬の球際、カウンター対応、ボールロスト後の管理を修正できていれば、スコアが再び一方的に開く可能性は下がる。
勝敗を予想するなら、相模原の僅差勝利を本線とする。ただし、先発も選手の状態も確定前であり、引き分けを含む接戦の幅を残したい。
開幕戦の問いへの答えは、熊本が相模原の守備を外せるかに集約される。最初の15分で熊本が自陣から前進し、相模原の背後までボールを運べるなら、前回とは違う試合になる。逆に自陣で奪われる場面が続けば、相模原の「狩り」が再び開幕戦を動かす。

