3本の枠内シュートでは足りなかった――大宮が今治の主導権を3得点に変えた理由
開始6分、FC今治の森晃太が直接FKを決めた。それでもRB大宮アルディージャは6分後に追いつき、27分には逆転。後半に2-2とされても、90+1分の小島幹敏の得点で3-2の勝利をつかんだ。
勝敗を分けたのは、ボールを長く持った時間ではない。大宮が限られた枠内シュートを得点へ変え、失点後にも攻撃の形を崩さなかったことだった。
- 最終スコア:FC今治 2-3 RB大宮アルディージャ
- シュート数:今治18本、大宮12本
- 枠内シュート数:今治3本、大宮4本
- ボール支配率:今治60%、大宮40%
- 決勝点:小島幹敏(90+1分)
公式記録で押さえる試合結果
今治が支配率とシュート数で上回り、大宮が枠内シュートと得点数で上回った試合だった。
2026年8月15日、2026/27明治安田J2リーグ第2節がアシックス里山スタジアムで行われた。19時03分にキックオフし、入場者数は8,349人。試合はRB大宮アルディージャがFC今治を3-2で破った。
得点経過
- 6分:森晃太(FC今治)
- 12分:カプリーニ(RB大宮アルディージャ、アシスト:泉柊椰)
- 27分:カルリーニョス ジュニオ(RB大宮アルディージャ、アシスト:加藤聖)
- 68分:持井響太(FC今治)
- 90+1分:小島幹敏(RB大宮アルディージャ)
今治は森が左サイドのFKから直接ゴール右下へ決め、早い時間に先制した。大宮は豊川雄太のスルーパスを受けた泉がクロスを送り、カプリーニが左足で同点弾。27分には加藤聖のパスからカルリーニョス ジュニオがヘディングで逆転した。
今治は後半、CKのクリアボールを持井がペナルティーエリア手前から右足で決めて追いついた。しかし終了間際、こぼれ球に反応した小島が左足でゴール右下へ流し込み、大宮が再び勝ち越した。
先発メンバー
FC今治はアベル モウレロ監督の下、GK立川小太郎、DF梅木怜、孫大河、菊地健太、櫛引一紀、MF新井光、森晃太、持井響太、中井卓大ピピ、FWエジガル ジュニオ、駒井善成が先発した。
RB大宮アルディージャはナルシス ペラッチ ナダル監督の下、GKトム グローバー、DF加藤聖、尾崎優成、関口凱心、西尾隆矢、MF豊川雄太、中山昂大、加藤玄、FWカルリーニョス ジュニオ、カプリーニ、泉柊椰が先発した。
交代と警告・退場
今治は60分に安部裕葵、68分にガブリエル ゴメス、74分に古山兼悟、77分に山田貴文、80分に杉本健勇を投入した。大宮は69分にスファナット ムエアンタ、小島幹敏、マギー ジェラニー 蓮を同時投入。90+1分に丸山大和、90+3分にイヨハ理ヘンリーを送り出した。
公式記録では、今治の新井光、森晃太、ガブリエル ゴメス、大宮の加藤玄に警告が記録された。今治のアベル モウレロ監督にも警告が出ている。退場者はいなかった。
数字が示す「今治優勢」と「大宮勝利」のずれ
今治は攻撃回数を増やしたが、大宮はゴールに直結する精度で上回った。
| 主要スタッツ | FC今治 | RB大宮 |
|---|---|---|
| シュート | 18 | 12 |
| 枠内シュート | 3 | 4 |
| ボール支配率 | 60% | 40% |
| パス成功率 | 81% | 69% |
| コーナーキック | 6 | 3 |
| オフサイド | 1 | 3 |
今治はシュート数で6本、支配率で20ポイント、パス成功率で12ポイント上回った。数字だけを横に並べれば、今治がボールを動かしながら攻撃機会を積み上げたことが分かる。
ただし、18本のうち枠内は3本だった。枠内率は約16.7%にとどまる。一方、大宮は12本中4本が枠内で、そのうち3本を得点にした。
ここに結果とのずれがある。今治は「打てるところまで運ぶ回数」を増やしたが、大宮は「ゴールを脅かす一打」の比率で上回った。支配率60%だけでは、ペナルティーエリア内での優位やシュートの質まで保証されない。
ここがポイント: 今治はシュート総数で勝ち、大宮は枠内シュート数と得点効率で勝った。
勝敗を分けた3つの対抗関係
大宮は今治の先制、ボール保持、同点という三つの圧力に、それぞれ得点で応じた。
今治の早い先制に、大宮は左サイドの連係で回答
今治は6分、森の直接FKで理想的なスタートを切った。先制した側がボールを保持し、試合の速度を管理できれば、大宮を前へ引き出す展開も選べた。
しかし大宮は12分、豊川から泉、そしてカプリーニへとつないで同点にした。公式記録に残るプレーの流れからは、中央から左へボールを運び、泉のクロスにカプリーニが合わせた形が確認できる。
この同点弾の意味は大きい。大宮は失点後も急いで単純なボールを放り込まず、複数の選手を経由してゴール前へ入った。今治が先制によって得られるはずだった時間的な余裕を、わずか6分で消した。
今治の保持に、大宮はゴール前の具体性で対抗
今治は最終的に支配率60%、パス成功率81%を記録した。大宮を上回る数字であり、ボールを失わずに前進する土台は作れていた。
それでも前半の次の得点を奪ったのは大宮だった。27分、豊川のシュートがブロックされた流れから攻撃を終わらせず、加藤聖のパスにカルリーニョス ジュニオが頭で合わせた。
本記事では、この場面に両チームの差が凝縮されていたとみる。今治は試合全体で多くのシュートを放った一方、大宮は最初の攻撃が止められても二次攻撃へ移り、中央でフィニッシュした。一度の守備成功で局面を終わらせない大宮の継続性が、逆転につながった可能性がある。
今治の同点に、大宮は交代選手で再回答
68分、持井がCKのクリアボールを拾って2-2とした。今治にとっては、6本あったCKの一つを二次攻撃につなげた得点だった。
大宮はその直後の69分、スファナット、小島、マギーの3人を同時に投入した。先発した泉、豊川、カルリーニョス ジュニオが退き、前線と中盤の構成をまとめて変更している。
決勝点を挙げたのは、その交代で入った小島だった。90+1分、ペナルティーエリア中央のこぼれ球を左足で仕留めた。交代策だけを勝因と断定することはできないが、同点直後に投入した選手が最後の局面で得点した事実は、大宮が攻撃の強度を保つために切ったカードが結果へ結び付いたことを示す。
今治に残った課題、大宮が継続したい強み
今治の課題は枠内へ飛ばす質、大宮の強みは試合状況が変わっても得点経路を失わなかったことにある。
今治は「18本」をどう得点期待へ変えるか
今治は開幕から2試合で3得点を挙げた一方、2試合とも1点差で敗れ、0勝2敗の19位となった。大宮戦ではボール保持、パス成功率、シュート数で優位を作っている。
だからこそ、課題は攻撃回数そのものではない。18本のシュートを、GKのセーブや得点を迫る枠内シュートへどう変えるかだ。それでも3本という枠内数は、保持の優位をスコアへ結び付け切れなかったことを端的に示している。
守備では、先制から6分後、同点から23分後、そして試合終了間際に失点した。得点直後に試合を落ち着かせることと、相手の二次攻撃やこぼれ球に最後まで対応することが、次戦へ持ち越された具体的な論点になる。
大宮は異なる3得点を再現できるか
大宮は開幕戦のアルビレックス新潟戦を1-0で制し、第2節も勝利。2勝0分0敗で2位となった。
今治戦の3得点は同じ形ではない。
- 左サイドの連係からクロスを合わせた同点弾
- 最初のシュートを止められた後の二次攻撃による逆転弾
- 交代選手がこぼれ球を仕留めた終了間際の決勝弾
複数の得点経路を持てた点は、大宮にとって明確な収穫だ。ただし、今治に18本のシュートと60%の支配率を許した事実も残る。4本の枠内シュートから3点を奪う高い決定力は毎試合保証されないため、相手の攻撃回数を減らせるかが次の確認点になる。
結論――支配率ではなく、局面を終わらせる力が差になった
この試合を分けたのは、大宮が攻撃を枠内シュートと得点で終え、失点しても短時間で次の回答を出したことだった。
今治はボールを持ち、18本のシュートを放ち、二度スコアを動かした。内容のすべてが大宮優位だったわけではない。それでも枠内シュートは3本にとどまり、守備では大宮の4本の枠内シュートから3失点した。
大宮は支配率40%でも、カプリーニ、カルリーニョス ジュニオ、小島という異なる選手が得点した。先発の連係、二次攻撃、交代選手の反応という別々の形でネットを揺らしたことが、3-2という結果を支えている。
次に見るべき点は明確だ。
- 今治は保持とシュート数の優位を、枠内シュートの増加へつなげられるか
- 大宮は高い決定力を前提にせず、相手のシュート機会を抑えられるか
- 両チームは得点直後の時間帯を、より安定して管理できるか
第2節の数字が突き付けたのは、ボールを持つだけでは勝ち点にならないという現実だった。今治は18本の中身を変える必要があり、大宮は4本の枠内シュートに頼り過ぎない試合運びを磨く必要がある。




