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10人で先制した清水は、なぜ長崎に押し返されたのか 第13節をデータで読む

10人で先制した清水は、なぜ長崎に押し返されたのか 第13節をデータで読む

清水エスパルスは第13節でV・ファーレン長崎に1-2で敗れた。前半8分に住吉ジェラニレショーンが退場し、80分以上を10人で戦う展開。それでも21分に嶋本悠大が先制しただけに、ただの「数的不利だから仕方ない」では片づけにくい敗戦でもある。

結論から言えば、この試合の清水は粘りは見せたが、試合を自分たちの形に組み直すところまでは届かなかった。Jリーグ公式記録でシュート数は清水6本、長崎19本。先制点は奪えたが、その後は押し返す時間より、耐える時間の方が長かった。

ここがポイント: 清水は10人になっても一度は試合を取りにいける位置まで持ち込んだ。ただ、退場後の守備再編と、同点後に攻撃の出口を作り直す工程で長崎に上回られた。

  • 前半8分、住吉ジェラニレショーンが退場し清水は数的不利に
  • それでも前半21分、嶋本悠大が先制して主導権を一度引き寄せた
  • しかし最終スコアは1-2。Jリーグ公式記録のシュート数は清水6本、長崎19本
  • 分岐点は33分の同点弾と、後半開始直後46分の失点だった
目次

何が起きたのか

まずは流れを短く整理したい。試合の輪郭はかなりはっきりしている。

  • 8分、住吉ジェラニレショーンが退場
  • 21分、オ・セフンのシュートのこぼれ球を嶋本悠大が押し込み、清水が先制
  • 33分、長崎が翁長聖のロングスローからチアゴ・サンタナのヘディングで同点
  • 46分、長谷川元希が決めて長崎が逆転

この並びだけでも、清水の苦しさは見える。退場後に先制できたのは大きかったが、その優位を長く保てなかった。特に痛かったのは、同点に追いつかれたあとに試合を落ち着かせる時間を作れず、後半立ち上がりですぐ2失点目を受けたことだ。

データが示す清水の苦戦

数字を見ると、清水は「少ない手数で点を取ったが、その後の継続性を失った」試合だった。

  • スコア: 清水 1-2 長崎
  • シュート数: 清水 6、長崎 19
  • CK: 清水 3、長崎 4
  • FK: 清水 8、長崎 10

6本対19本が意味するもの

シュート数の13本差は、単に長崎がボールを持ったというだけではない。清水は退場後、守備の人数を補いながら前に出る必要があり、攻撃を完結まで持っていく回数そのものが細くなった。

それでも前半21分に先制できたのは、少ない前進機会をゴール前までつなげたからだ。オ・セフンのシュートに嶋本が詰めた場面は、10人になったあとでも前線の人数を完全には捨てていなかったことを示している。

ただ、その後に同じ形を何度も作れたわけではない。1点を取る力は残っていたが、2点目に届く攻撃量は残らなかった。この差が、シュート数の開きにそのまま出ている。

前回対戦との違い

4月5日の前回対戦は、清水がアウェーで長崎に3-0で勝っている。Jリーグ公式記録では、その試合のシュート数は清水10本、長崎8本だった。

今回は同じカードでも、シュート数が6対19まで反転した。もちろん最大の要因は8分の退場だが、それだけではない。前回は清水が先に押し込み、試合を自分たちのテンポで進められた。今回は先制後も主導権を固め切れず、長崎に押し返され続けた。

守備で露出した2つの課題

この敗戦を「10人でよく戦った」で終わらせると、次につながる論点がぼやける。実際には、数的不利の中でも清水が改善すべき点ははっきりあった。

1. 背後対応の一発目で退場を招いた

住吉の退場は、最終ラインの背後を取られたところから生まれた。ここで一人失ったことで、清水は試合プランを早い時間に壊された。

退場そのものを個人のミスだけで切るより、背後を使われた時のカバー関係をどう整えていたかを見るべきだろう。3バック気味の並びでスタートした清水にとって、外と内の距離感が狂うと、一発で最終局面まで運ばれやすい。この試合はそこを長崎に突かれた。

2. リスタートと再開直後の失点が重かった

同点弾は翁長のロングスローから生まれた。流れの中の崩しだけでなく、投げ込みとセカンド対応で押し込まれた形だ。

さらに決定的だったのが46分の失点。前半を1-1で終えながら、後半開始直後に長谷川元希に決められた。10人で戦う側にとって、後半の入りは最も整理が必要な時間帯だ。そこを守れなかったことで、清水は追う側に回り、試合の消耗が一気に大きくなった。

交代策と形の変更はどう機能したか

清水は46分に小塚和季を下げ、蓮川壮大を投入した。報道では、その後に3バックと4バックを併用しながら反撃を試みたとされる。

この対応自体は自然だ。10人で1失点後、最終ラインの安定を優先する判断に無理はない。ただ、形を整えることと、前進ルートを確保することは別の話になる。

  • 守備の枚数を整えることはできた
  • だが前線で時間を作る回数は増えなかった
  • その結果、押し返すより押し込まれる時間が続いた

つまり、交代で守備の穴埋めは進んでも、攻撃の出口までは太くならなかった。ここが清水にとって一番厳しかったところだ。

監督と相手側のコメントから見えること

試合後、吉田孝行監督は「ホームで勝たなければいけなかった。退場が響き、後半開始早々の失点も痛かった。防げる失点だったと思うし甘さが出た」と振り返ったと報じられている。

このコメントは、敗因をかなり端的に示している。退場だけでなく、防げる失点を防げなかったことを問題にしている点が重要だ。

一方で長崎の高木琢也監督は、状況に合わせたプレーや時間の使い方がうまくできたと評価した。こちらも試合の本質に近い。数的優位を得たチームが慌てず、どこで押し込み、どこで落ち着かせるかを整理できたのが長崎だった。

清水は気持ちの面で折れたわけではない。先制点がその証拠だ。ただ、試合運びの設計では長崎の方が上だった。

次に見るべきポイント

この試合を受けて、清水の次の注目点は絞りやすい。

  • 住吉の退場後、最終ラインの組み替えをどう進めるか
  • 10人になった時でも前線の基準点をどう残すか
  • ロングスローやセカンドボール対応をどう修正するか
  • 先制後、あるいは同点後に試合を落ち着かせる手順を持てるか

長崎戦の清水は、数字だけを見れば押し込まれた敗戦だ。ただ、その中でも嶋本の先制にたどり着いたことは、完全に崩れた試合ではなかったことも示している。

問題はそこから先だ。10人でも戦えることと、10人でも勝点を守れることは同じではない。清水に必要なのは根性論ではなく、数的不利になった試合をどう再設計するかという具体策だ。次戦でまず問われるのは、その整理がどこまで進むかになる。

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