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なぜ去年躍進した柏レイソルは2026シーズンで低迷しているのか?

なぜ去年躍進した柏レイソルは2026シーズンで低迷しているのか?

柏レイソルは2025年に明治安田J1リーグ2位まで駆け上がった一方、2026年の明治安田J1百年構想リーグでは第5節終了時点でEAST9位、1勝4敗と苦しんでいる。結論を先に言えば、今の柏は「内容まで完全に崩れた」のではなく、攻撃の土台は残しながら、守備の強度低下と失点効率の悪化、そして新シーズン序盤特有の役割再編が同時に出ている状態だ。

特に目立つのは、シュート数やゴール期待値ではリーグ上位なのに、結果だけがついてこない点だ。言い換えると、昨季の躍進を支えた「主導権を握って押し切る強さ」はまだ一部残っているが、勝敗を分ける局面の精度と守備の安定感が、今季はまだ噛み合っていない。

目次

まず事実整理 2025年と2026年序盤の落差

2025年の柏は、Jリーグ公式の年間順位表で2位。勝点75、21勝12分5敗、60得点34失点だった。最終節まで優勝争いを続けたこと自体が、昨季の躍進を端的に示している。

一方で2026年は、第5節終了時点でEAST9位。勝点3、1勝4敗、7得点11失点。得点数だけ見れば壊滅的ではないが、失点が重く、接戦を拾えずに順位を落としている。

項目2025シーズン2026シーズン第5節終了時点
順位J1 2位J1百年構想リーグ EAST 9位
勝点753
戦績21勝12分5敗1勝4敗
得点607
失点3411
得失点差+26-4

直近5試合の公式結果を並べると、苦しさの中身が見えやすい。

対戦相手結果補足
第1節川崎フロンターレ3-5敗戦27本シュートを放ちながら5失点
第2節東京ヴェルディ1-2敗戦主導権を握る時間はあったが競り負け
第3節鹿島アントラーズ0-2敗戦上位相手に無得点
第4節FC東京2-0勝利垣田裕暉、瀬川祐輔の得点で初勝利
第5節ジェフユナイテッド千葉1-2敗戦シュート23本も1得点

この並びだけでも、単純な「攻撃不全」ではなく、「試合を支配しながら取り切れず、守り切れない」試合が多いことが分かる。

低迷の主因1 攻撃は作れているのに、勝点に変わっていない

2026年の柏は、チームスタッツでシュート総数78本がリーグ2位タイ、ゴール期待値9.9はリーグ1位だ。得点総数7も極端に少ないわけではない。さらに平均ボール支配率58.0%はリーグ2位で、リカルド・ロドリゲス監督の志向する保持型の土台は残っている。

つまり、前進できていないわけでも、相手陣内に入れていないわけでもない。久保藤次郎は選手スタッツで1試合平均チャンスクリエイト数リーグ1位、1試合平均敵陣パス数リーグ2位、1試合平均クロス数リーグ2位となっており、チャンスメーク役は機能している。

それでも勝てないのは、期待値ほどゴールが増えていないからだ。チームのゴール期待値9.9に対して実際の得点は7。千葉戦でも柏は23本シュートを放ちながら1得点にとどまった。内容と結果のズレが、今の柏の一番大きな特徴と言っていい。

低迷の主因2 守備は崩壊というより「失点の重さ」が大きい

守備面はもっと深刻だ。第5節終了時点で11失点はEAST下位水準だが、被シュート総数52本はリーグ11位タイで、極端に打たれまくっているわけではない。さらに被ゴール期待値は5.3でリーグ12位。少なくとも数字上は、11失点するほど決定機を大量に浴びたチームには見えない。

ここから見えてくるのは、守備組織が毎試合完全崩壊しているというより、ミスや局面の対応、GKを含めた失点効率の悪さで実失点が膨らんでいる可能性だ。被ゴール期待値5.3に対して実失点11という差はかなり大きい。

開幕戦の川崎フロンターレ戦で5失点を喫したのは象徴的だった。柏は27本もシュートを打ち、攻撃面では手応えを残しながら、試合の入りと失点管理で崩れた。今季の低迷は「何もできない」からではなく、「失点したときのダメージが大きすぎる」ことが順位に直結している。

低迷の主因3 昨季の強みだった強度が落ちている

スポーツ報知は3月5日時点で、柏の平均スプリント回数が昨季リーグ3位の137回から、今季開幕3試合時点では121回でリーグ17位まで落ちていると報じた。昨季リーグ1位だった走行距離でも、東京ヴェルディ戦と鹿島アントラーズ戦では相手を下回ったという。

リカルド体制の柏は、単なる保持ではなく、ボールを失った直後の回収や前向きな圧力がセットになってこそ強かった。昨季の躍進は、この「保持の質」と「回収の速さ」が両立していたからこそ成り立っていた。

今季はそこが少し鈍い。ボールは持てるが、奪い返し切れず、戻り切れず、ひとつの失点がそのまま試合を壊してしまう。FC東京戦で2-0勝利を挙げた際に強度改善が勝因のひとつとして挙げられたのは、裏を返せば、そこが今季序盤の課題だったことを示している。

低迷の主因4 役割変更と陣容再編のコストが出ている

昨季2位チームの翌年が難しいのは、相手の警戒が強まるだけではない。自分たちのサッカーを一段進めようとして、役割や配置を少し動かしたときに、完成度が一時的に落ちやすい。

footballistaは、柏の現状を「内容と結果のズレ」と整理しつつ、離脱者や序盤の苦戦を踏まえながらも、苦境を脱する糸口は明確だと論じている。Goal.comでもリカルド・ロドリゲス監督は、5戦4敗を受けていわゆる「2年目の難しさ」を否定し、チームとサポーターに前を向くメッセージを送っていた。

この2つの見方に共通するのは、柏の問題を「コンセプト破綻」とは見ていない点だ。むしろ、昨季のベースを保ちながら新たな上積みを狙う過程で、序盤の再現性が落ちているという見立てに近い。

立場別の見解を整理するとどう見えるか

1. 公式データから見えること

公式スタッツだけを見れば、柏は本来もっと勝点を積めていてもおかしくない。シュート数2位、ゴール期待値1位、ボール支配率2位で、攻撃生成力はむしろ上位級だ。一方で実失点は被ゴール期待値を大きく上回る。データ上の第一結論は、「内容の割に勝点を落としすぎている」だ。

2. 監督・クラブ周辺の見方

Goal.comで伝えられたリカルド監督のメッセージは、チーム全体を下向きにさせないものだった。これは精神論ではなく、数字的にも一定の根拠がある。攻撃の生成力まで失われているならもっと危険だが、現状はそこまでは崩れていないからだ。

3. 専門メディアの見方

footballistaは「内容と結果のズレ」を主題にしており、スポーツ報知はスプリント回数や走行距離の低下を切り口にしている。両者を合わせると、柏の不振は「運が悪いだけ」でも「内容が悪いだけ」でもない。生成力はあるが、強度低下と守備局面の不安定さが結果を悪化させている、という整理が最も自然だ。

4. サポーター・ブロガーの見方

サポーターの試合雑感やnoteの分析では、千葉戦に象徴されるように「シュート数の割に最後の質が低い」「セットプレーを含む失点の再現性が気になる」という指摘が目立つ。これは感情的な悲観というより、公式スタッツともつながる見方だ。チャンスは作れているが、仕留め切れず、失点は重い。現場感覚としても同じ論点が浮かび上がっている。

では、柏レイソルは本当に弱くなったのか

ここは慎重に分けて考えたい。昨季の柏は勝点75を積んだ2位チームで、2026年序盤は確かに低迷している。ただし、第5節終了時点の5試合だけで「別の弱いチームになった」と断定するのは早い。

理由は3つある。1つ目は、攻撃生成の数字がまだ強いこと。2つ目は、実失点が被ゴール期待値よりかなり悪く出ており、今後はある程度の揺り戻しが起こる可能性があること。3つ目は、FC東京戦のように強度が戻れば、内容をそのまま勝点に変えられる試合もすでに出ていることだ。

ただし、序盤だから大丈夫とも言い切れない。強度不足と失点管理の甘さが続けば、保持率やシュート数が高くても、上位復帰は難しい。柏に必要なのは大改造ではなく、昨季の土台だった「奪い返す速さ」と「試合を締める守備」の回復だろう。

今後の注目点

次に見るべきポイントは明確だ。

  1. シュート数の多さが、複数得点と勝点3に結びつくか。
  2. 被ゴール期待値と実失点の大きなズレが縮まるか。
  3. スプリント回数や走行距離など、昨季の強みだった強度が戻るか。
  4. 久保藤次郎、細谷真大、垣田裕暉ら前線の役割分担が整理されるか。

柏レイソルの2026年序盤は、確かに低迷だ。ただ、その中身は「全部ダメ」ではない。むしろ昨季の躍進で得た土台が残っているからこそ、今の不振は修正可能にも見える。問題は、修正が早いか遅いかだ。昨季の2位チームが再び上位戦線に戻れるかどうかは、ここ数試合で守備の失点効率と強度をどこまで戻せるかにかかっている。

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