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浦和レッズの連勝は復活の証明か 監督交代後に見えた変化と、まだ早い結論

浦和レッズの連勝は復活の証明か 監督交代後に見えた変化と、まだ早い結論

浦和レッズは、マチェイ・スコルジャ監督の契約解除を発表した翌日の4月29日に川崎フロンターレを2-0で下し、続く5月2日にはジェフユナイテッド市原・千葉にも2-0で勝った。結果だけ見れば、名門が息を吹き返したように映る。

ただ、現時点で「復活」と言い切るのはまだ早い。田中達也暫定監督のもとで、前進の仕方、前線の圧力、交代選手の使い方にははっきりした変化が出た。一方で、サンプルはまだ2試合。順位も5月3日時点でJ1 EASTの6位、勝点18にとどまっている。

  • 4月28日、浦和はスコルジャ監督との契約解除を発表
  • 4月29日、川崎戦は2-0。シュート数は18対6で内容面も優勢
  • 5月2日、千葉戦も2-0。セットプレーと交代策がそのまま得点に結びついた
  • 田中達也暫定監督は「ビルドアップの安定」と「勇気あるプレス」を明確に整理
  • 結論としては、復活の入口には立ったが、復活を証明した段階ではない

ここがポイント: 浦和は監督交代だけで別チームになったわけではない。既存の土台を残しながら、攻撃の運び方と選手起用の優先順位を少し動かし、その効果がまず2試合に表れた。

目次

まず何が起きたのか

4月28日、浦和はスコルジャ監督との契約解除を発表した。Jリーグ公式の案内では、今季ここまでの成績は3勝9敗(3PK負け)。クラブの堀之内聖スポーツダイレクターも、勝てていない現状のなかで「大きな変化」が必要だったと説明している。

ここで重要なのは、クラブが前体制のすべてを否定したわけではない点だ。堀之内SDは、ハイプレスの指標や得点面には改善があったと認めつつ、それが勝利に直結しなかったことを問題視した。つまり浦和は、土台がゼロだったから監督を替えたのではない。改善の兆しはあったが、順位と勝点が伴わなかったから動いた。

その直後に指揮を執ることになったのが、今季からU-21監督兼トップチームアシスタントコーチを務めていた田中達也だ。準備期間はほぼなかった。それでも初戦の川崎戦で、浦和は停滞感をかなり薄めてみせた。

連勝で見えた変化

この2試合で一番大きかったのは、単なる勝利数よりも、勝ち方に共通点があったことだ。

前進の形が整理された

川崎戦後、田中監督は「ポジションのローテーションは継続しながら、ポジショニングをしっかり取ること」を伝えたと説明している。加えて、狙いはボール保持そのものではなく、安定してミドルレンジまで運ぶことだったとも話した。

この整理は、試合の見え方を変えた。川崎戦では浦和が18本のシュートを放ち、川崎を6本に抑えた。前半から押し込み切れたわけではないが、後半に入ってセットプレーから先制し、その後の展開も慌てなかった。

千葉戦でも同じ流れが続く。田中監督は「狙った通りのビルドアップ」ができたと振り返っており、前半を安定して終えられた点を評価した。派手な超速攻というより、前に進むための足場を整えてから相手陣に入る意識が強まっている。

守備は「一歩前に出る」ことを優先した

もう一つの変化は守備だ。田中監督は川崎戦後、前線の選手に「味方に勇気を持たせるようなプレッシング」を求めたと明かしている。要するに、誰かが待つのではなく、最初の一歩をはっきりさせることだ。

これは浦和の守備を急激に別物にした、という話ではない。だが、連敗中に見えがちだった受け身の空気を和らげる効果はあった。川崎戦のクリーンシートに加え、西川周作が試合後に「息を吹き返した感覚」と語ったのも、結果だけではなく、チーム全体が前に出る感触を取り戻したからだろう。

「チェンジャー」が機能し始めた

この2連勝を象徴したのが小森飛絢だ。川崎戦、千葉戦でともにゴール。しかも千葉戦では、田中監督がベンチ要員を単なる控えではなく「チェンジャー」と呼び、その役割を明確にしていたことが本人のコメントからも分かる。

ここは大きい。浦和は先発11人だけで押し切るのではなく、

  • 試合の圧力を上げる役目
  • 相手が間延びした時間を突く役目
  • ゴール前で結果を出す役目

を交代選手に与え始めた。

千葉戦の2点目は、その設計がきれいに当たった場面だった。交代後の小森が追加点を奪い、試合を締めた意味は重い。連戦では、先発の固定よりも、誰が流れを変えるかのほうが順位争いに効くことがあるからだ。

名門は本当に復活したのか

ここで本題に戻る。

答えは、まだ「はい」とは言えないが、「ノー」でもなくなった、が最も正確だ。

復活と呼ぶには、次の条件がまだ足りない。

  • 2試合だけでなく、連戦のなかで再現できるか
  • 先制後に押し込まれた時間を、どこまで安定して耐えられるか
  • 渡邊凌磨を外し、安部裕葵を先発させたような競争原理を継続できるか
  • ホームだけでなく、アウェイでも同じ前進と圧力を出せるか

特に千葉戦で見えたのは、田中監督が肩書や序列よりも、その週の状態を優先していることだ。安部を初先発で使った理由についても、アイデアを出せる選手を11人の中に置きたいと明言している。さらにメンバー選考は、この4カ月の日常のトレーニングを見て決めたとも話した。

これは短期的なカンフル剤としてだけでなく、チームの空気を変える可能性がある。逆に言えば、ここが続かなければ、監督交代直後の反動で終わる。

立場ごとに見ると、評価はどう分かれるか

クラブの見方

クラブは前体制の積み上げを一定程度認めつつ、結果責任を取った。だから今後も、単なる精神論ではなく、勝点を積めるかが最優先になる。

監督の見方

田中監督の言葉から見えるのは、複雑な新戦術の導入よりも、整理と役割の明確化だ。短期では理にかなっている。今の浦和に必要だったのは、全部を変えることではなく、迷いを減らすことだった。

選手の見方

小森の連続ゴール、西川の前向きな発言は、チーム内の反応として分かりやすい。ただし、それを本物にするには、次は別の選手も結果を出す必要がある。数人だけが上向いても、連戦は乗り切れない。

サポーター目線

2連勝、無失点、監督交代直後。高揚感が出る条件はそろっている。それでも、浦和ほど期待値の高いクラブでは、評価の基準は「少し良くなった」では済まない。上位戦線に戻れるかまで示して、初めて空気は本格的に変わる。

次に見るべきポイント

5月6日はアウェイで柏レイソル戦、5月9日もアウェイで水戸ホーリーホック戦が続く。ここで見たいのは、勝敗だけではない。

  • ビルドアップの安定が敵地でも保てるか
  • 前線のプレスが90分で分断されないか
  • 小森のような「チェンジャー」が再び流れを変えられるか
  • 田中監督の起用基準が、名前ではなく状態でぶれずに続くか

浦和は確かに連勝した。しかも、ただ耐えて拾った勝ちではなく、変化の中身が見える勝ちだった。

ただ、復活かどうかを決めるのは4月29日や5月2日ではない。次のアウェイ連戦で、同じ輪郭の試合をもう一度出せるか。そこが、名門が本当に戻ってきたかを測る最初の分岐点になる。

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