愛媛FC、北九州に4-2勝利 枠内シュート9対3と藤本佳希の勝ち越し弾を読む
2-2で迎えた86分、81分から出場していた愛媛FCの藤本佳希が勝ち越し点を挙げた。90+6分には阿部稜汰も得点。2026年9月5日、ニンジニアスタジアムで行われた2026/27明治安田J3リーグ 第5節は、愛媛がギラヴァンツ北九州を4-2で下した。
一度は2点差を追いつかれた愛媛は、どこで勝敗を分けたのか。枠内シュート9対3という攻撃機会の差と、交代出場した藤本の勝ち越し点が、この試合を読み解く軸になる。もっとも、得点効率まで愛媛が上回ったわけではない。
- 愛媛は13分までに2点を先行。北九州は54分に同点へ戻した。
- シュートは愛媛17本、北九州7本。枠内シュートは9本と3本だった。
- 藤本は出場から記録上5分後に得点。愛媛が終盤に再びリードを奪った。
試合の事実――2点差の決着でも、86分までは同点だった
最終スコアは4-2だが、愛媛が序盤のリードをそのまま守った試合ではない。
- 大会:2026/27明治安田J3リーグ 第5節
- 開催日:2026年9月5日
- 会場:ニンジニアスタジアム
- 結果:愛媛FC 4-2 ギラヴァンツ北九州
得点の推移は次のとおり。スコアは愛媛側を先に記す。
- 7分、1-0:田村翔太が愛媛の先制点。
- 13分、2-0:愛媛の上村周平が追加点。
- 21分、2-1:北九州の奈良坂巧が1点を返す。
- 54分、2-2:髙橋大悟が北九州の同点点。
- 86分、3-2:藤本佳希が愛媛の勝ち越し点。
- 90+6分、4-2:愛媛の阿部稜汰が追加点。
Jリーグ公式の試合速報では、藤本の得点はPK。阿部の得点は、林誠道のシュートをGKが防いだ後のこぼれ球を決めたものと記されている。Jリーグ公式・愛媛対北九州の試合記録
この経過を踏まえると、評価の中心は「愛媛の4得点」だけではなく、同点に戻された後の攻撃に置くべきだろう。北九州にも2点差を解消した時間帯があり、最終的な点差だけでは競り合いの長さが伝わらない。
先発と交代
先発は以下の11人ずつだった。ここでは配置を推定せず、出場者を記す。
- 愛媛:辻周吾、黒石貴哉、谷岡昌、杉山耕二、上村周平、斉藤涼優、竹本雄飛、宮本航汰、日野翔太、阿部稜汰、田村翔太。
- 北九州:大谷幸輝、長谷川光基、奈良坂巧、星広太、横窪皇太、河辺駿太郎、平松昇、坪郷来紀、坂下湧太郎、永井龍、髙橋大悟。
交代では、北九州が後半開始時に2人を入れ替えた。愛媛の最初の交代は、同点となった後の58分だった。
| 時刻 | チーム | 退いた選手 | 入った選手 |
|---|---|---|---|
| ハーフタイム | ギラヴァンツ北九州 | 河辺駿太郎 | 吉原楓人 |
| ハーフタイム | ギラヴァンツ北九州 | 坪郷来紀 | 吉長真優 |
| 58分 | 愛媛FC | 竹本雄飛 | 山下雄大 |
| 61分 | ギラヴァンツ北九州 | 永井龍 | 高昇辰 |
| 68分 | 愛媛FC | 田村翔太 | 林誠道 |
| 81分 | 愛媛FC | 宮本航汰 | 藤本佳希 |
| 81分 | ギラヴァンツ北九州 | 坂下湧太郎 | 岡野凜平 |
| 86分 | ギラヴァンツ北九州 | 奈良坂巧 | 吉田晃盛 |
68分:愛媛FCの日野翔太に警告。
83分:ギラヴァンツ北九州の奈良坂巧に警告。
85分:ギラヴァンツ北九州の髙橋大悟に警告。
90+3分:ギラヴァンツ北九州の岡野凜平に警告。退場者は両チームともいなかった。得点・交代・警告の詳細は公式試合記録に掲載されている。
シュート17対7――愛媛の優位は「決定力」より機会の量に表れた
愛媛の数値上の強みは、北九州より多くシュートを放ち、枠内にも多く届けたことにある。
| 指標 | 愛媛FC / ギラヴァンツ北九州 |
|---|---|
| シュート数 | 17 / 7 |
| 枠内シュート数 | 9 / 3 |
| ボール支配率 | 58% / 42% |
| パス成功率 | 81% / 75% |
| コーナーキック | 8 / 4 |
愛媛はシュートで10本、枠内シュートで6本上回った。支配率の差は16ポイント、パス成功率の差は6ポイント。ボール保持だけでなく、攻撃の終わりにシュートを打つ回数にも差があった。
これらを合わせると、愛媛は保持をシュートにつなげる面で優位だったと考えられる。ただし、保持した場所やシュート位置まではこの集計から分からない。支配率58%を、そのまま「危険な場所を支配した割合」と読むことはできない。
得点効率では北九州が上回る
得点数をシュート数で単純に割ると、愛媛は4÷17で約23.5%、北九州は2÷7で約28.6%。枠内に飛んだ割合は、愛媛が9÷17で約52.9%、北九州が3÷7で約42.9%となる。
愛媛は枠内へ届ける割合で上回り、北九州はシュート1本当たりの得点割合で上回った。 この違いを分けると、4得点と2得点を「決定力の差」だけで説明する無理が見えてくる。
北九州には、限られた本数を得点につなげた良さがあったと評価できる。一方、愛媛はシュートの母数を増やすことで、それ以上の得点を得たという読み方ができる。
ただし、この割合にはPKも含まれる。シュートの距離、角度、相手の寄せ方も同一ではない。1試合の割り算から、個々の選手の技術や両クラブの恒常的な決定力を順位付けすることは避けたい。
枠内9本は、独立した好機9回とは限らない
阿部の4点目は、林のシュートが防がれた後に生まれた。ひと続きの攻撃で、最初のシュートとこぼれ球への反応が得点につながっている。Jリーグ公式の得点速報
この場面は、シュート数を読む際の大切な例になる。複数のシュートが同じ攻撃の中で記録されることもあるため、枠内9本を「別々の決定機が9回」とは数えられない。
それでも、最初のシュートで攻撃が終わらず、次の選手が得点に結び付けた点は評価できるだろう。愛媛の攻撃を振り返る際は、本数に加えて、シュート後に誰がゴール前へ残っていたかも注目点になる。
勝ち越しを生んだ交代――藤本の投入と得点は結び付けられる
交代の効果を最も具体的に示すのは、81分に入った藤本が86分に決めたことだ。
同点の状況で、愛媛は宮本に代えて藤本を投入した。その藤本がPKを決め、2-2の均衡を破った。さらに、68分から出場していた林のシュートが、阿部の追加点につながった。
この2つの得点場面からは、交代出場者が終盤の得点に関与したことを積極的に評価できる。藤本は自ら決め、林はGKに防がれるシュートを放つことで、その後の得点につながる局面を作った。
ただし、「交代で配置が変わり、北九州の守備が崩れた」とまでは断定できない。PKを得た過程と、交代前後の配置・シュート位置を合わせて見る必要がある。確認できる成果と、戦術的な理由は分けて捉えたい。
北九州の交代も、同点までの経過と分けて評価する
北九州は後半開始時に吉原と吉長を投入し、その後の54分に髙橋が同点点を挙げた。
交代後に追いついたことは確かだが、時間的に前後しているだけで、2人の投入が直接の原因とは言えない。北九州の修正を評価するには、2人がボールの運び方や髙橋への供給にどう関わったかが必要になる。
また、北九州の奈良坂から吉田への交代と、藤本の勝ち越し点は、いずれも86分の記録である。同じ分の出来事を材料に、交代が失点を招いたと結論付けることもできない。
両チームに残る課題――愛媛はリードの維持、北九州は被シュートの削減
この試合から持ち帰るべき課題は、愛媛の2失点と、北九州が許した17本のシュートに分かれる。
愛媛は13分までに2点を奪いながら、54分には同点へ戻された。一方で、田村、上村、藤本、阿部の4人が得点し、終盤に再び突き放した。
愛媛にとっては、複数の選手が得点に関われたことを継続しつつ、先行後に相手の反撃をどう抑えるかが検討点になるだろう。4人に得点が分かれた1試合だけで得点源の問題が解消したとは言えないが、先発と途中出場の双方から得点が生まれた点には意味がある。
北九州は7本のシュートから2得点を挙げ、2点差を追いついた。しかし、愛媛には17本、うち枠内9本を許した。
北九州の改善を考えるなら、得点効率をさらに高めることだけに期待するより、相手に打たせる本数を減らす方向が重要だろう。守備を固めるだけでなく、自分たちの保持を長くして相手の攻撃回数を減らせるかも、映像で確かめたい論点になる。
愛媛公式の試合後コメントでは、大木監督が山下投入によるペースの変化と、終盤のFW投入で得点を狙った意図を説明している。藤本もベンチからPKを蹴る指示を受けたと振り返った。交代の目的を知る材料にはなるが、それだけで配置変更が北九州の守備を崩したと断定できない。愛媛公式の試合後コメント
主要数値はJリーグ公式終了表を採用した。速報定型文やクラブ公式のシュート集計とは差があるため、異なる集計を混ぜた比較は行わない。この一試合から順位争いや次の起用への影響までは判断しない。
冒頭の問いに対する答えは、愛媛がより多くのシュートを確保し、同点後には途中出場の藤本が勝ち越しを決めたことにあると考える。ただし、北九州の追い上げも消してはならない。次に見るべきなのは、愛媛が先行後の失点を減らせるか、北九州が得点につなげる良さを保ちながら被シュートを抑えられるかだ。










