押し込めるのに勝ち切れない大宮、5バック想定の甲府をどう割るか|明治安田J2第8節プレビュー
ボールは持てている。相手陣内でプレーする時間も作れている。それでも、試合終了間際まで勝ち点3が見えてこない——RB大宮アルディージャのリーグ戦直近4試合は、その繰り返しでした。
前節の藤枝戦もそうでした。押し込む時間を作りながら前半終了間際に失点し、試合終了直前に泉柊椰のゴールでようやく追いつく。開幕から7試合無敗という数字の裏側に、引いた相手を崩し切れないという宿題が残ったままです。
そこへ9月26日、元大宮の指揮官・渋谷洋樹監督が率いるヴァンフォーレ甲府がNACK5スタジアム大宮にやってきます。この一戦の焦点は、「撤退して守る相手をこじ開ける手段を、大宮が持っているか」の一点に絞られます。
この記事で分かること
- 公式に確認できた対戦条件(大会・節・日時・会場・両チームの順位と直近成績)
- 大宮の「無敗なのに勝ち切れない」内訳と、選手自身が言語化している課題
- 甲府が抱える落差(連勝からのリーグ戦2試合連続無得点)と、古巣対戦の顔ぶれ
- 勝敗を分けそうな噛み合わせと、当日までに確かめておきたい未確定要素
対戦の前提を固める
まず、動かない事実から。明治安田J2リーグ2026シーズン第8節、RB大宮アルディージャ対ヴァンフォーレ甲府は、2026年9月26日(土)17時キックオフ、会場はNACK5スタジアム大宮です。
順位は大宮が5位、甲府が17位。ただし、内訳を並べると印象は変わります。
| 項目 | RB大宮アルディージャ | ヴァンフォーレ甲府 |
|---|---|---|
| 順位 | 5位 | 17位 |
| 成績 | 3勝4分0敗 | 2勝1分4敗 |
| 直近の流れ | 開幕から7試合無敗、リーグ戦直近4試合は引き分けが続く | 第4節・札幌戦、第5節・山形戦で連勝、リーグ戦直近2試合はいずれも無得点で敗戦 |
大宮は「負けない」が「勝ち切れない」。甲府は「勝つときは勝つ」が「点が取れない試合は完封される」。順位表の12差ほどには、両者の状態は離れていません。
なお、甲府はGK河田、FW三平、DF福井の負傷(全治5〜8か月)を公式に発表しています。出場停止や当日の先発メンバーについては、2026年9月25日時点で公式発表を確認できていません。この記事は、確認できた範囲の対戦条件と直近の内容をもとに書いています。
大宮の足踏みは、どこで起きているのか
このセクションの結論を先に置きます。大宮の停滞は、ビルドアップではなく、相手ペナルティエリア手前の最後の選択で起きています。
チームの加藤玄は「ビルドアップからミドルサードまでは改善され、押し込む時間が増えている」と手応えを語っています。ここまでは自己評価としてもポジティブです。
一方で同じ選手が、「引いた相手には、もう1つ(レベルの)高い選択をすることが必要」と課題を挙げました。改善したところと、まだ足りないところを、チーム内部が正確に切り分けている。これはリーグ戦4試合連続ドローという結果より重要な情報です。
前節・藤枝戦が示した典型パターン
- ボールを保持し、相手陣内でプレーする時間は作れた
- それでも前半終了間際に失点し、先手を取られた
- 試合終了直前に泉柊椰が同点ゴールを奪い、無敗は継続
- 引いた相手を崩す点では課題が残った
泉柊椰はここまでチーム2位となる2得点。土壇場で仕留めた1点は、大宮の攻撃が「最後は個で解決する」局面に寄りやすいことも示しています。組み立てが良くなるほど、フィニッシュ前の1本の質が結果を左右する——それが今の大宮です。
甲府は、なぜ「怖い相手」なのか
甲府の現状も単純ではありません。第4節・札幌戦と第5節・山形戦で連勝を飾った一方、リーグ戦直近2試合はいずれも無得点で敗れています。得点が出た試合と出なかった試合の差が、そのまま勝敗に直結しているかたちです。
それでも大宮にとって与しやすい相手とは言えません。理由は前線にあります。
一瞬のスキを突く前線
甲府の前線には一瞬のスキを突く力があり、守備から素早く攻撃へ転じる形は脅威です。大宮が押し込む時間を増やすほど、背後に空くスペースは広がります。ボール保持が長い試合ほど、1回の失い方が失点に直結する。前節の前半終了間際の失点は、その危うさが表に出た例でもあります。
古巣と向き合う2人
- 渋谷洋樹監督は、かつて大宮を率いた指揮官です。かつての指揮官として大宮というクラブを知る立場でこのゲームに臨みます
- 黒川淳史はアカデミー時代から大宮に所属していた経歴を持ち、古巣対戦として突破力に注目が集まっています
名前の並びとしてではなく、「大宮を知る側が、守ってから速く出る形を選べる」という組み合わせだからこそ、この2人の存在が試合の設計に効いてきます。
噛み合わせ——5バックで待たれたとき、大宮に何が起きるか
ここがポイント: 甲府が引いて守れば、大宮はリーグ戦直近4試合と同じ「押し込めるが崩せない」構図に入り込みやすい。
甲府は5バックで堅く守る可能性があります。これは確定した布陣情報ではありませんが、17位という順位と、勝った2試合・無得点で敗れた2試合という振れ幅を踏まえると、アウェイで先に失点しない設計を選ぶ理由はそろっています。
仮にそうなった場合、大宮が直面するのは前節とほぼ同じ問題です。
- ミドルサードまでは運べる。ここは加藤玄自身が改善を認めている領域
- その先、5枚が並ぶブロックの内側に差し込むパスや、ワンタッチでの崩しが要る
- 崩し切れない時間が長引けば、前がかりになった背後を甲府の前線に突かれる
- 一方で甲府は、押し込まれ続ければ得点機会そのものが減り、リーグ戦直近2試合と同じ無得点に近づく
つまり両チームとも、自分の得意な時間帯に入るほど、相手の弱点ではなく自分の弱点に先に触れてしまう構図です。先に1点が入るかどうか、そしてどちらに入るかで、試合の様相は大きく変わります。
見立てと、当日の注目点
ここからは、確認できた事実から筆者が読み取れる範囲の見立てです。
甲府が撤退して守り、カウンターに軸足を置く展開になった場合、大宮は保持率で上回りながら決定機の数が伸びず、ロースコアの消耗戦になる可能性があります。リーグ戦直近4試合の引き分けと同じ着地も、十分にあり得る結末のひとつでしょう。
ただし、反転の芽もあります。加藤玄が「もう1つ高い選択」と課題を自ら言語化していることは、修正の対象がチーム内で共有されていることを意味します。最終局面での判断が一段上がれば、連続ドローを抜け出す勝利につながる余地はあります。
当日までに確かめたいこと
- 甲府が実際に5バックで入るのか、それとも前から嵌めにくるのか(布陣は確定情報ではありません)
- 大宮が引いた相手に対して、どの高さから、誰を起点にペナルティエリア内へ差し込むのか
- 泉柊椰がどの位置でボールを受けるか。最後に個で解決する回数が減っているかどうか
- 黒川淳史が古巣相手にどのレーンで仕掛けるか、大宮のサイドがその背後をどう管理するか
- 出場停止・先発メンバーの公式発表(2026年9月25日時点では確認できていません)と、負傷が発表されている甲府GK河田、FW三平、DF福井の状況
押し込む時間は、もう作れています。問われるのは、その先の1本です。5枚のブロックの内側にボールが入る回数を数えながら見ると、この90分は格段に面白くなります。










