前半の45分、清水エスパルスのシュートは2本でした。ツエーゲン金沢は10本です。
それでも試合は金沢0–2清水で終わり、清水が3回戦に進みました。2026年9月29日、金沢ゴーゴーカレースタジアムで行われた2026/27 JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド2回戦です。
この記事では、押し込まれた清水が何を変えて完封勝利にたどり着いたのかを振り返ります。
先に答えを書いておきます。前半は沖悠哉のセーブもあって無失点で耐えました。ハーフタイムには吉田孝行監督が、競り合いの姿勢と背後への動き、攻撃の起点づくりを修正したと説明しています。後半はシュート数が10対2と入れ替わり、60分に松崎快、88分に北川航也がゴールを決めました。ただし、前半に劣勢だった事実は結果が出ても消えません。
この記事で分かること
- 試合の基本記録と得点・交代の流れ
- 前半に金沢が主導権を握った時間帯と、清水が無失点で耐えた理由
- 後半に流れが変わった要因(ハーフタイムの修正、先制点、交代、金沢が一時10人になった時間帯)
- 1ゴール1アシストを記録した松崎快の働き
- 両チームに残った課題と、公式記録ではまだ確認できていない点
試合の基本記録:清水が2–0で3回戦へ
まずは、公式記録で確認できる事実を整理します。
| 大会 | 2026/27 JリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド2回戦 |
|---|---|
| 日時 | 2026年9月29日(火)予定時刻19:00、公式キックオフ19:04 |
| 会場 | 金沢ゴーゴーカレースタジアム |
| スコア | ツエーゲン金沢 0–2 清水エスパルス(前半0–0/後半0–2) |
| 得点 | 60分 松崎快(清水)/88分 北川航也(清水) |
| 入場者数 | 2,851人 |
| 天候 | 曇、気温20.4℃、湿度89% |
| 監督 | 金沢:辻田真輝/清水:吉田孝行 |
勝った清水は3回戦に進みました。清水エスパルス公式サイトのトップページには、3回戦の案内がすでに出ています。
両チームのメンバー
先発と控えは次のとおりです。ポジション登録や記載順だけでは、試合中の並びは決められません。ここでは名前と背番号だけを載せます。
清水エスパルス(監督:吉田孝行)
- 先発:1 沖悠哉、24 須貝英大、51 住吉ジェラニレショーン、15 本多勇喜、25 マテウス・ブルネッティ、6 ウォン・ドゥジェ、17 弓場将輝、18 平戸太貴、21 松崎快、8 井上健太、19 木下康介
- 控え:71 猪越優惟、3 高橋祐治、28 吉田豊、70 高木践、2 ディエギーニョ、50 藤井智也、81 小塚和季、97 大畑凜生、49 北川航也
ツエーゲン金沢(監督:辻田真輝)
- 先発:50 後藤大輝、2 山本義道、19 寺阪尚悟、28 鈴木遼、29 宮崎海冬、39 庄司朋乃也、15 西谷優希、26 村田迅、10 パトリック、13 白輪地敬大、23 榊原杏太
- 控え:83 西澤翼、6 村田航一、20 長倉颯、38 有吉勇人、7 土佐陸翼、14 四宮悠成、24 望月耕平、40 川上竜、11 杉浦恭平
得点・交代・警告の流れ
時間は通算の試合時間です。
- ハーフタイム:両チームとも交代なし
- 60分:清水 松崎快が先制(右足)
- 73分:清水 井上健太→藤井智也、平戸太貴→北川航也
- 73分:金沢 榊原杏太→望月耕平、白輪地敬大→土佐陸翼、鈴木遼→四宮悠成
- 76分:金沢 宮崎海冬に警告
- 78分:金沢 宮崎海冬→村田航一
- 84分:清水 ウォン・ドゥジェ→ディエギーニョ
- 88分:清水 北川航也が追加点(左からの松崎快のクロスをヘディング)
- 89分:金沢 村田迅→杉浦恭平
- 90分:清水 木下康介→大畑凜生、松崎快→高橋祐治
清水の最初の交代は73分で、先制点の60分より後です。先制点はハーフタイム明けの同じ11人で奪っています。交代カードが直接効いたのは2点目の場面です。
前半:シュート2対10。清水は沖のセーブで耐えた
前半は金沢の時間帯でした。清水が0–0で折り返せた理由の一つは、GK沖悠哉のセーブです。
清水公式の試合情報によると、前半のシュートは清水2本、金沢10本です。CKも清水0本、金沢2本でした。
Jリーグ公式の試合速報には、7分のパトリックのシュートと、14分の白輪地敬大のシュートを沖が止めた場面が記録されています。立ち上がりの15分で、金沢の前線2人が沖を脅かしていました。
金沢は前線を起点に攻めた
中継を見ると、金沢はパトリックにボールを預けて起点にしていました。そこへ榊原杏太と白輪地敬大が動き、右サイドから宮崎海冬が攻撃に加わる形も見られました。清水は守備の対応に追われ、ボールを落ち着かせる時間をなかなか作れていません。
シュート10本はこの攻めの結果です。清水が無失点で前半を終えたのは、危ない場面を作らせなかったからではありません。作られた場面をGKと最後の守備で止めたからです。
吉田監督も前半を厳しく評価
清水公式の試合後レポートで、吉田孝行監督は前半の内容を厳しく評価しています。そのうえでハーフタイムに、競り合う姿勢と、背後への動き・起点づくりを修正したと説明しました。
監督が挙げたのは、前半に足りなかった部分そのものです。後半の変化は、この修正点と照らし合わせると読み取りやすくなります。
後半:何が流れを変えたのか
後半、シュート数は清水10本、金沢2本に入れ替わりました(清水公式の試合情報掲載値)。この変化は、一つの理由だけでは説明できません。
ハーフタイムの修正、先制点、73分の交代、金沢が一時10人になった時間帯。この4つを時間順に見ていきます。
ハーフタイムの修正と、増えたCK
清水はハーフタイムに選手を代えていません。同じ11人のまま、後半のCKは6本に増えました。前半は0本です。
中継の印象では、清水は後半開始から前を向いて攻める回数が増え、続けてCKを取ってゴール前まで運ぶテンポが上がっていました。吉田監督が挙げた「競り合う姿勢」「背後への動き」の修正が、CKの数に出たと考えられます。
とはいえ、これを「気持ちが変わったから」だけで片付けるのは無理があります。監督の説明は、背後への動きや起点づくりという具体的な修正でした。
60分:松崎快の先制点
均衡が破れたのは60分です。
Jリーグ公式の試合速報では、須貝英大の折り返しを鈴木遼がブロックし、そのこぼれ球に松崎快が反応した場面として記録されています。公式記録では右足のゴールです。
ただ、ゴール前でボールがどう渡ったかは、資料によって描写が違います。確かなのは、ゴール前で攻撃をつなぎ、最後に松崎が右足で決めたという点です。なお、公式アシストは記録されていません。
73分:両チームの交代がほぼ同時に
73分、両チームとも同じタイミングで交代カードを切りました。
- 清水:井上健太→藤井智也、平戸太貴→北川航也
- 金沢:榊原杏太→望月耕平、白輪地敬大→土佐陸翼、鈴木遼→四宮悠成
金沢は、前半に沖を脅かした白輪地と、前線で動いていた榊原を下げました。1点を追う立場なので、前線と最終ラインを同時に入れ替えたことになります。
清水は両サイドと中央の攻撃陣に手を入れました。中継の解説では、交代後は藤井が左、北川が右、松崎が内側に入ると説明されています。試合を通してこの並びだったわけではありませんが、77分の場面にその形が出ています。Jリーグ公式の試合速報によると、藤井の左からのクロスを北川がヘディングし、後藤大輝がセーブしました。
88分:北川航也の追加点と、10人だった金沢
88分、左からの松崎快のクロスを北川航也が頭で合わせて2–0になりました。Jリーグ公式の試合速報は、この得点のアシストを松崎としています。
中継では、この得点の前に木下康介が相手2人に寄せられながらもボールを保持する場面がありました。得点やアシストとして記録されたプレーではありません。それでも、前線で時間を作る役割がよく見えたプレーでした。
この時間帯の金沢は10人でした。辻田真輝監督は金沢公式の試合後レポートで、山本義道がピッチを離れて10人になっていた時間帯に2点目を失ったと説明しています。退場による10人ではなく、一時的に人数が減っていた状態です。
数字で見る45分ごとの入れ替わり
前後半を比べると、試合が二つに分かれていたことがよく分かります。以下は清水公式の試合情報に掲載された値です。
| 項目(清水公式 試合情報掲載値) | 清水 | 金沢 |
|---|---|---|
| 前半シュート | 2 | 10 |
| 後半シュート | 10 | 2 |
| 合計シュート | 12 | 12 |
| 前半CK | 0 | 2 |
| 後半CK | 6 | 1 |
| 合計CK | 6 | 3 |
| 警告 | 0 | 1 |
| 退場 | 0 | 0 |
シュートは前後半で数字がそっくり入れ替わり、合計では12本ずつの同数です。「シュート数では互角」という見方もできますが、実際は45分ずつ一方が押していた試合でした。
Jリーグ公式のスタッツページは、別の集計値を出しています。最終的なシュート数は清水15本、金沢12本、枠内シュートは清水7本、金沢3本です。二つの集計は数え方が違うので、この記事では前後半の比較に清水公式の値だけを使っています。
枠内シュートが7対3だった点は、Jリーグ公式の数字として押さえておく価値があります。前半にシュート10本を打った金沢も、枠内は試合全体で3本でした。沖のセーブに加え、清水の最終ラインが体を寄せてシュートの精度を落とさせた場面もあったと考えられます。
松崎快の1ゴール1アシスト
この試合で数字に一番はっきり残ったのは、清水の松崎快です。
- 60分:ゴール前のこぼれ球に反応し、右足で先制
- 88分:左からのクロスで北川航也のヘディングをアシスト(Jリーグ公式 試合速報)
2つの得点の両方に関わり、90分に高橋祐治と交代しました。高橋の投入は、2点リードのまま逃げ切るためのカードと読めます。同じ90分に木下康介に代えて大畑凜生も入れており、清水は試合を閉じる準備を終えていました。
73分に入った北川航也も、77分にヘディングで後藤を脅かし、88分にはヘディングで決めています。交代で入ってから15分ほどの間に、ゴールに迫る形を2度作りました。
金沢側から見た90分
金沢にとっては、前半の10本のシュートが無得点に終わったことが最後まで響きました。
7分のパトリック、14分の白輪地敬大のシュートは、どちらも沖に止められています。その後も押し込む時間は続きましたが、先制点は奪えていません。
後半は流れが変わった後も、交代で状況を変えようとしました。
- 73分:前線と最終ラインを含む3枚替え
- 78分:76分に警告を受けた宮崎海冬に代えて村田航一
- 89分:村田迅に代えて杉浦恭平
アディショナルタイムの90+4分には、土佐陸翼がCKを蹴っています(Jリーグ公式 試合速報)。最後まで1点を返しにいった場面です。
2点目を失ったのが山本義道の不在で10人だった時間帯だった点は、辻田監督自身が試合後に触れています。人数が戻っていれば結果が違ったかどうかは分かりません。それでも、終盤の失点の状況として押さえておくべき事実です。
過去の対戦
リーグ戦での過去の対戦では、2016年4月29日に清水が4–1で勝っています。過去のリーグ戦4試合の合計は、清水の13得点1失点です。今回のカップ戦でも清水が勝ちましたが、前半の内容を見る限り、過去の数字ほど一方的な試合ではありませんでした。
この試合から読み取れること
問いに戻ります。押し込まれた清水は、何を変えて0–2の勝利にたどり着いたのか。
確認できた事実から言えるのは次の点です。前半は沖悠哉のセーブと最終局面の守備で失点を防ぎました。ハーフタイムには吉田監督が、競り合いと背後への動き・起点づくりを修正しました。後半は同じ11人でシュートとCKを増やし、60分に松崎快が先制。73分の交代で入った北川航也が、88分に松崎のクロスから追加点を決めています。
ここがポイント:
先制点は交代前の11人、追加点は交代選手で奪った。完封と勝ち上がりという結果は確かだが、前半にシュート10本を打たれた課題はそのまま残っている。
清水にとっての課題は、試合の入り方です。前半のように相手に起点を作られた場合、失点せずに済む保証はありません。次の試合では、前半から後半のような競り合いと背後への動きを見せられるかが注目点になります。
金沢は、前半にシュートを重ねても得点につながらなかったことが最大の課題です。一方で、前線を起点に押し込む形は清水を相手にも通用していました。この攻撃をリーグ戦でゴールにつなげられるかが、今後の見どころです。
公式記録でまだ確認できていない点
次の点は、2026年9月30日時点で公開されている公式記録では確認できていません。
- 前半、パトリックのゴールが認められなかった場面の判定内容
- 山本義道がピッチを離れた理由と、その後の状態
- 後半アディショナルタイムの正式な表示時間
今後の注目点
- 清水の3回戦:日程と対戦相手は、クラブ公式サイトの案内で確認を
- 清水が前半から主導権を握れるか:今回の修正点(競り合い・背後への動き・起点づくり)が試合の入りから出せるか
- 松崎快と北川航也の組み合わせ:交代後の配置で決めた2点目の形を、再び見せられるか
- 金沢の決定力:前半の10本のうち枠内が少なかった攻撃を、リーグ戦で得点につなげられるか


