枠内シュート3本で3得点の横浜FC、23本で追いついた富山 データで読む3-3の理由
89分。ピッチに入ったばかりの松岡大智が同点ゴールを決め、試合は3-3で終わった。
2026年9月26日、富山県総合運動公園陸上競技場で行われた明治安田J2リーグ 2026 第8節、カターレ富山対横浜FCの結果だ。勝点13で並ぶ3位と4位の直接対決で、横浜FCは前半のうちに3-1とリードした。富山はそこから2点を返した。
この試合を読むカギは、「シュート23本・枠内10本の富山が、なぜ3点止まりで、枠内3本の横浜FCがなぜ3点を奪えたのか」という1点にある。答えを先に書くと、勝敗が決まらなかったのは、横浜FCが前半の20分間で少ないチャンスを全部ゴールにした一方で、富山が試合全体のシュート量で押し返したからだ。この結果、両チームの「強み」がそのまま数字に出た。
この記事で分かること
- 得点・交代・警告の公式記録から見た試合の流れ
- 枠内シュート「10対3」と最終スコア「3対3」が並んだ理由
- 3試合連続無失点だった富山の守備が、20分間で3失点した場面の意味
- 交代策がスコアにどう関わったか
- 第8節時点でこのドローが持つ意味
試合の事実関係:前半に3-1、後半に富山が追いつく
最初に結論を書く。スコアが大きく動いたのは21分から48分(後半3分)までの約27分間と、試合終了間際の89分だった。
基本情報
- 大会:明治安田J2リーグ 2026 第8節
- 開催日:2026年9月26日
- 会場:富山県総合運動公園陸上競技場
- 最終スコア:カターレ富山 3-3 横浜FC
得点経過
- 21分 新保海鈴(横浜FC) 0-1
- 25分 千葉寛汰(横浜FC) 0-2
- 31分 古川真人(カターレ富山) 1-2
- 41分 村田透馬(横浜FC) 1-3
- 48分 古川真人(カターレ富山) 2-3
- 89分 松岡大智(カターレ富山) 3-3
前半は横浜FCが3点、富山が1点。後半は富山が2点を加え、横浜FCは得点できなかった。古川真人は31分と48分に決めて2得点。48分のゴールは後半開始直後で、富山は1点差に迫った。
交代
- 30分:横浜FC 伊藤槙人 ← 杉田隼
- 46分(後半開始):カターレ富山 小川慶治朗 ← 國武勇斗
- 67分:カターレ富山 溝口駿 ← 古川真人
- 67分:横浜FC 横山暁之 ← 千葉寛汰
- 67分:横浜FC 山田康太 ← 髙江麗央
- 76分:横浜FC アダイウトン ← ジョアン パウロ
- 76分:横浜FC 窪田稜 ← 村田透馬
- 81分:カターレ富山 西矢慎平 ← カン ミヌ
- 89分:カターレ富山 松岡大智 ← 竹中元汰
- 89分:カターレ富山 中島裕希 ← 吉平翼
(表記は「時間:チーム IN ← OUT」)
警告・退場
- 警告:カン ミヌ(カターレ富山)54分
退場者はいなかった。
主要スタッツ
| 項目 | カターレ富山(ホーム) | 横浜FC(アウェイ) |
|---|---|---|
| シュート | 23 | 12 |
| 枠内シュート | 10 | 3 |
| ボール支配率 | 52% | 48% |
| パス成功率 | 84% | 80% |
| コーナーキック | 5 | 4 |
枠内10本と3本:数字の差がスコアに出なかった理由
このセクションの結論は、「シュートの量では富山、少ない機会での決定力では横浜FC」だ。どちらかが一方的に上回った試合ではない。
公式スタッツが示すこと
試合全体の公式スタッツでは、富山のシュートは23本、横浜FCは12本だった。枠内シュートは富山10本、横浜FC3本。
ボール支配率は富山52%、横浜FC48%で、差は4ポイント。パス成功率は富山84%、横浜FC80%。コーナーキックは富山5本、横浜FC4本だった。
横浜FCの得点はすべて同クラブの選手によるもので、オウンゴールはない。つまり記録上、横浜FCは枠内シュート3本がすべてゴールになった。富山は枠内10本で3得点だった。
数字の読み方
ボール支配率とパス成功率の差は小さい。この2つからは「富山がボールを長く持ち続けた試合」とまでは読み取れない。
一方、シュート数は約2倍、枠内シュート数は3倍以上の差がある。これはボールの持ち方の差ではなく、ゴール前まで運んで打ち切った回数の差が大きかった可能性を示している。
横浜FC側から見ると、別の解釈もできる。枠内3本で3得点は、チャンスの数が少なくても質が高かったと読める。ただ、どんな形のシュートだったかは公式スタッツから分からない。そのため、狙ったカウンターだったのか、セットプレーだったのかといった点は、ここでは判断しない。
富山の「打ち続けた」意味
富山の23本は、試合の大半を追う展開で過ごしたことと合わせて考える必要がある。富山がリードを許していたのは21分から89分までの約70分間で、追う側が攻撃の回数を増やすのは自然な流れだ。
シュート数の差の一部は、スコアの状況から生まれたと考えられる。それでも枠内10本という数は、富山が相手ゴールキーパーに対応を求め続けたことを意味する。89分の同点弾は、その積み重ねの先にあったと見ることができる。
3試合連続無失点の富山が、20分間で3失点した
ここがこの試合のもう一つの分かれ目だ。結論として、この試合が打ち合いになった最大の要因は、堅守を続けていた富山が21分から41分の間に3点を失ったことにある。
試合前の前提
Jリーグ公式サイトのプレビュー記事(2026年9月25日公開)によると、富山は前節に山形に2-0で勝ち、3試合連続でクリーンシートを達成していた。横浜FCは前節に今治を2-1で下していた。
両チームとも前節に勝ち、勝点13で並んで迎えた試合だった。
失点の時間帯
公式記録の得点時間を並べると、横浜FCの得点は21分、25分、41分。最初の2点は4分間に入った。
その間に富山は31分に古川真人のゴールで1点を返している。それでも41分に村田透馬に3点目を決められ、2点差でハーフタイムを迎えた。
この失点が持つ意味
3試合続けて無失点だったチームが、20分間で3点を失った。前節までの守備の数字が、この試合の前半では再現されなかったことになる。
ただし、なぜ失点が続いたのかを公式記録だけで説明することはできない。守備の配置や個々の場面の判断は、記録からは読み取れないためだ。
一つ確かなのは、横浜FCが限られたシュートで富山の守備を崩し切ったことだ。富山の守備が弱かったのか、横浜FCの攻撃の質が高かったのか。この1試合だけで切り分けるのは難しく、両方の要素が重なったと考えるのが妥当だろう。
交代策:富山は同点弾、横浜FCは逃げ切れず
結論として、交代の結果がはっきりスコアに出たのは富山の89分の交代だった。
富山の交代
後半開始時に、カターレ富山の小川慶治朗が國武勇斗に代わって入った。直後の48分には、カターレ富山の古川真人が自身2点目を決めている。この交代とゴールの直接の関係は記録からは分からないが、後半の入りで流れを引き寄せたことは得点時間から確認できる。
67分にはカターレ富山の溝口駿が、2得点の古川真人に代わって入った。81分にはカターレ富山の西矢慎平がカン ミヌに代わって入った。カターレ富山のカン ミヌは54分に警告を受けていた。
そして89分、カターレ富山の松岡大智が竹中元汰に代わって入った。同じ89分にカターレ富山の中島裕希が吉平翼に代わって入った。公式記録では、松岡大智の交代と同点ゴールはいずれも89分に記録されている。投入された直後のゴールが、勝点1をもたらした。
横浜FCの交代
30分という早い時間に、横浜FCの伊藤槙人が杉田隼に代わって入った。この交代の理由は、10月1日時点で公式発表を確認できていない。
67分には横浜FCの横山暁之が千葉寛汰に代わって入った。同じ67分に横浜FCの山田康太が髙江麗央に代わって入った。76分には横浜FCのアダイウトンがジョアン パウロに代わって入った。同じ76分に横浜FCの窪田稜が村田透馬に代わって入った。
アダイウトンの起用
Jリーグ公式サイトのプレビュー記事の筆者は、前節に途中出場から決勝点を挙げたアダイウトンについて、その起用法が今節もカギを握るだろうと書いていた。
この試合でもアダイウトンは76分からの途中出場となった。ただ、横浜FCは後半に得点できず、1点リードを守り切ることもできなかった。
横浜FCの後半の交代は、得点者の千葉寛汰と村田透馬をいずれもベンチに下げる形だった。前線の顔ぶれを入れ替えながら試合を進めた結果、後半の得点はなく、富山の圧力を最後まで受け止め切れなかった。交代策の狙いは記録からは分からないが、結果としてスコアは動かせなかった。
第8節時点で見た3-3の意味
この引き分けで、両チームは勝点1ずつを分け合った。試合前に勝点13で並んでいた両クラブは、ともに勝点14となる。
両チームにとっての収穫と課題
カターレ富山
- 収穫:2点差から追いついた。シュートを打ち続け、枠内にも多くのシュートを飛ばした
- 課題:3試合連続無失点で迎えた試合で、前半に3失点した
横浜FC
- 収穫:少ない枠内シュートを確実に得点へつなげた。上位相手のアウェイで勝点1を得た
- 課題:2点リードと1点リードを守り切れなかった
富山にとっては、負けかけた試合を引き分けに持ち込んだ勝点1だ。横浜FCにとっては、勝てる流れから逃した勝点2と見ることもできる。どちらの受け止め方が強いかは、立場によって変わる。
冒頭の問いへの答え
枠内10本の富山が3点止まりで、枠内3本の横浜FCが3点を奪えた理由。それは、横浜FCが前半の短い時間に少ないチャンスを全部ゴールにし、富山が残りの時間を量で押し返したからだ。
両チームの強みがはっきり出たからこそ、この試合は勝者のいない3-3になった。
次に見るべきポイント
この1試合だけで、どちらのチームの力が上かを判断することはできない。次の試合以降で注目したいのは次の3点だ。
- 富山の守備:3試合連続無失点の状態に戻せるのか、前半3失点が続くのか
- 富山の決定力:枠内10本で3得点という効率が、次節以降で上がるか
- 横浜FCのリード時の試合運び:2点差、1点差のリードを守り切れなかった点を次でどう修正するか
勝点14で並んだ両クラブが、上位争いの中でどちらの課題を先に解決するか。その答えは次節以降の得失点の時間帯に表れるはずだ。










