栃木SC 1-2 松本山雅FC|シュート19本の栃木はなぜ届かず、10人の松本が90+4分に勝ち越したのか
80分、松本山雅FCの野田裕喜が退場した。スコアは1-1。ホームの栃木SCは11人対10人で、残り10分とアディショナルタイムを戦える状況になった。
それでも、最後にゴールを決めたのは松本だった。90+4分、樋口大輝の得点で松本山雅FCが2-1と勝ち越し、そのまま試合を終えた。
2026年9月26日、カンセキスタジアムとちぎで行われた明治安田J3リーグ第8節。栃木SCはシュート数で19本対13本と上回ったが、枠内シュートは両チームとも3本だった。 この記事では、シュートの「数」で上回ったのに勝てなかった試合で何が勝敗を分けたのかを、公式記録の数字から整理する。
この試合の要点
- 結果:栃木SC 1-2 松本山雅FC(明治安田J3リーグ 第8節、入場者数5,131人)
- 得点経過:36分に松本がオウンゴールで先制 → 74分に栃木の五十嵐太陽が同点弾 → 90+4分に松本の樋口大輝が決勝点
- 転機:80分に松本の野田裕喜が退場。それ以降の約15分間で、得点したのは10人の松本だった
- データの焦点:シュート19本対13本、枠内は3本対3本。支配率52%対48%、パス成功率72%対68%と、試合内容の数字は大きく離れていない
この記事で分かること:試合の公式記録、勝敗を分けた3つの要因、同じ数字の別の読み方、そして両クラブが次に向けて抱える論点。
試合の事実:公式記録で確認できること
まず記録を整理する。勝敗の分析は、この節の数字と時刻を前提に進める。
- 大会:明治安田J3リーグ 2026 第8節
- 開催日:2026年9月26日
- 会場:カンセキスタジアムとちぎ
- 最終スコア:栃木SC 1-2 松本山雅FC
- 入場者数:5,131人
主要スタッツ
| 項目 | 栃木SC(ホーム) | 松本山雅FC(アウェイ) |
|---|---|---|
| シュート | 19 | 13 |
| 枠内シュート | 3 | 3 |
| ボール支配率 | 52% | 48% |
| パス成功率 | 72% | 68% |
| コーナーキック | 6 | 5 |
得点経過
- 36分 松本山雅FC:オウンゴール(鈴木俊也/栃木SC)
- 74分 栃木SC:五十嵐太陽
- 90+4分 松本山雅FC:樋口大輝
選手交代
栃木SC
- 58分:阿部海斗 → 鈴木輪太朗イブラヒーム
- 58分:近藤慶一 → 五十嵐太陽
- 77分:大曽根広汰 → 木邨優人
- 86分:佐藤祥 → 中村仁郎
- 86分:杉森考起 → 名願斗哉
松本山雅FC
- 77分:佐相壱明 → 高野遼
- 77分:田中想来 → 田口裕也
- 83分:佐藤亮 → 宮部大己
- 88分:力安祥伍 → 金子光汰
- 88分:金子翔太 → 松村厳
警告・退場
- 警告:鈴木輪太朗イブラヒーム(栃木SC)66分
- 退場:野田裕喜(松本山雅FC)80分
- 警告:阿部海斗(栃木SC)90+7分
栃木SCの阿部海斗は58分に交代でピッチを離れており、90+7分の警告は交代後の時刻で公式に記録されている。警告の場面の詳細は公式記録には記載がない。
勝敗を分けた3つの要因
結論を先に書く。栃木は「シュートの量」で押し、松本は「少ない枠内シュートを得点に変える効率」と「退場後に失点しなかった終盤」で上回った。 以下、3つの対抗関係に分けて見ていく。
要因1:19本の量に対し、枠内3本の壁
最も大きな差はここにある。栃木は19本のシュートを放ち、松本の13本を6本上回った。一方で、枠内シュートはどちらも3本だった。
公式スタッツから割合を出すと、違いがはっきりする。
- 栃木SC:19本中3本が枠内(約16%)
- 松本山雅FC:13本中3本が枠内(約23%)
栃木は松本より多く打ったが、ゴールキーパーに処理を迫るシュートの本数は増えなかった。19本のうち16本は枠を外れたかブロックされた計算になる。
これらの数字から、栃木はシュートまで持ち込む回数を確保できた一方、枠内に収まる質の高い形はつくり切れなかった、と読める。どの位置から、どの体勢で打ったのかは公式スタッツからは分からない。ただ、「打てた本数」と「枠に飛んだ本数」の差が6倍以上開いていることは、この試合の栃木の攻撃を考えるうえで外せない。
松本の側も、枠内3本で2得点のうち1点はオウンゴールだった。樋口大輝の決勝点を含め、自分たちのシュートで奪ったゴールは1点。松本の決定力が際立っていたというより、栃木が多い本数を得点に結び付けられなかったことの方が、スコアへの影響は大きかったと考えられる。
要因2:数的優位の約15分間を、10人の松本が生き残った
二つ目の要因は終盤の流れだ。
記録の時刻を並べると、終盤は次のように動いている。
- 74分:五十嵐太陽の同点弾で1-1
- 77分:両チームが交代(栃木1枚、松本2枚)
- 80分:松本の野田裕喜が退場、松本は10人に
- 83分:松本が佐藤亮に代えて宮部大己を投入
- 86分:栃木が2枚替え(中村仁郎、名願斗哉を投入)
- 88分:松本が2枚替え(金子光汰、松村厳を投入)
- 90+4分:松本の樋口大輝が勝ち越し
同点に追いつき、さらに相手が1人減った。流れの上では、栃木にとって逆転を狙える条件がそろっていた。実際、栃木は86分に2人を入れ替え、交代枠5つを使い切っている。
その条件の中で、得点したのは松本だった。10人になった松本は、退場後に3人を入れ替えながら、最後に1本を決めた。
退場後の約15分間に、どちらが何本シュートを打ったかは公式スタッツからは分からない。そのため「栃木が押し込み続けた」とも「松本が耐えた末の一撃だった」とも断定できない。確かなのは、数的優位の時間帯に栃木は勝ち越せず、数的不利の松本が勝ち越したという記録だ。
公式の試合速報によると、松本の決勝点は左サイドのフリーキックから送られたボールを、松本山雅FCの樋口大輝がペナルティエリア内から頭で決めたものだった。数的優位の栃木は、終盤のセットプレーから失点したことになる。
要因3:栃木は途中出場の選手が同点弾、それでも勝ち点には届かず
三つ目は交代策だ。ここは栃木の良かった点として押さえておきたい。
58分には栃木SCの鈴木輪太朗イブラヒームが阿部海斗に代わって入った。同じ58分に栃木SCの五十嵐太陽が近藤慶一に代わって入った。栃木SCの五十嵐太陽は74分に同点ゴールを決めている。
途中出場の選手が同点ゴールを決めたことは事実だが、交代の意図や効果までは公式記録からは判断できない。
一方で、同時に入ったイブラヒームは66分に警告を受けた。その後の試合運びにどこまで影響したかは記録からは判断できない。
松本は先制後、77分まで交代を使わなかった。77分には松本山雅FCの田口裕也が田中想来に代わって入った。同じ77分に松本山雅FCの高野遼が佐相壱明に代わって入った。退場の後も83分、88分と交代を重ね、最終盤に5枠目まで使い切った。両チームとも交代枠をすべて使った。
同じ数字の別の読み方
ここまでの整理には、反対側からの見方もある。数字を一方向だけで読まないため、2点を確認しておく。
「内容では互角だった」という読み方
ボール支配率は52%対48%、パス成功率は72%対68%で、差はどちらも4ポイント。コーナーキックも6本対5本だった。
この3項目だけを見ると、試合の主導権が大きく片方に傾いていたとは言いにくい。シュート数の差(6本)ほど、ボールを動かす局面に差はなかった。「栃木が圧倒しながら勝ちを逃した試合」と単純化するのは、数字からは無理がある。
「松本の得点は偶発的だった」という読み方
松本の2点のうち1点はオウンゴールで、もう1点は終盤のフリーキックからのヘディングだった。流れの中の攻撃から生まれた得点ではない、と見ることもできる。
ただ、セットプレーから得点することも試合の一部であり、松本の得点を運だけで片づけるのは記録の読み方として偏りがある。
記録から判断できないこと
- 退場の場面がどのようなプレーだったか
- 退場後の時間帯に、両チームがどれだけシュートを打ったか
これらは試合映像や両クラブの発表で確かめる必要がある。この記事の分析は、公式スタッツと時刻付きの記録の範囲にとどまる。
この試合が持つ意味:問いへの答え
冒頭の問いに戻る。19本のシュートを放った栃木が、なぜ10人の松本に敗れたのか。
公式記録から言えるのは、勝敗を分けたのはシュートの本数ではなく、枠内に飛ばした本数と、その少ない機会を得点に変えたかどうかだということだ。両チームとも枠内シュートは3本だった。その中で松本はオウンゴールを含めて2点を得て、栃木は1点にとどまった。80分以降の数的優位も、栃木は勝ち点3には変えられなかった。
栃木にとっては、途中出場の五十嵐太陽が同点弾を決めた交代の成功と、多くの本数を枠内に結び付けられなかった攻撃の課題が、同じ試合の中に並んだ。松本にとっては、退場後に失点せず、最終盤にセットプレーから勝ち越して勝ち点3を得た試合になった。
第8節はシーズン序盤にあたり、1試合の結果でチームの力や最終順位を判断するのは早い。第8節終了時点の順位表への反映は、2026年10月1日時点で本記事では確認できていないため、最新の順位はJリーグ公式サイトで確かめてほしい。
次に見るべきポイント
- 栃木SC:シュート数を枠内シュートにどれだけ変えられるか。19本中3本という割合が続くかどうか
- 栃木SC:58分のような交代策から、得点につながる形を再現できるか
- 松本山雅FC:野田裕喜の退場を受けた次節以降の最終ラインの組み方。出場停止の有無は公式発表で確認が必要
- 松本山雅FC:決勝点を生んだセットプレーを、次の試合でも得点源にできるか










