ベネズエラに「90分初勝利」で南米2連勝 日本代表は苦手意識を拭えたのか、エクアドル戦で問われるもの
1-1のまま後半アディショナルタイムに入っていました。VARのオンフィールドレビューで、久保建英へのファウルによるPKが認められます。キッカーの上田綺世が決め、エディオンピースウイング広島で日本代表がベネズエラ代表を2-1で振り切りました。
この勝利は、ベネズエラとの6度目の対戦で手にした初めての「90分間での勝利」でした。日本サッカー協会(JFA)がマッチレポートでそう記しています。9月24日のウルグアイ戦(3-1)に続く白星で、W杯後の新シリーズは南米勢に2連勝となりました。
では、南米への苦手意識はもう過去のものなのか。答えは「克服へ向かっているのは確かだが、まだ結論を出せる段階ではない」です。本稿ではベネズエラ戦の中身からそう考える理由を整理し、10月1日のエクアドル戦(日本はこれまで未勝利)で何を見ればいいかをまとめます。
この記事で分かること
- ベネズエラ戦の公式記録と、勝敗を分けた3つの局面
- ウルグアイ戦との共通点:「後半に交代選手が試合を動かす」構図
- 南米勢との過去の対戦が残した印象と、今回の2連勝の意味
- エクアドル戦で確かめたい3つのポイント
公式記録で振り返るベネズエラ戦
まず事実を押さえます。日本は後半開始直後に先制を許しましたが、3分後に追いつき、10人になってから勝ち越しました。
試合の基本情報
- 大会:キリンチャレンジカップ2026
- 日時:2026年9月28日(月)19:25キックオフ
- 会場:エディオンピースウイング広島
- スコア:日本 2-1 ベネズエラ
- 得点:ケビン・ケルシー(ベネズエラ、46分)、上田綺世(日本、49分)、上田綺世(日本、90+6分・PK)
- ベネズエラ監督:オスワルド・ビスカロンド(JFA公式プログラムによる)
先発メンバー:ウルグアイ戦から10人を変更
森保一監督はウルグアイ戦から先発を10人入れ替え、3-4-2-1で臨みました。キャプテンマークは鎌田大地です。
- GK:小久保玲央ブライアン
- DF:鈴木淳之介、渡辺剛、瀬古歩夢
- MF:中野就斗、鎌田大地、熊坂光希、相馬勇紀
- シャドー:佐藤龍之介、齋藤俊輔
- FW:後藤啓介
小久保玲央ブライアン、中野就斗、熊坂光希、齋藤俊輔の4人はこの試合がA代表デビューです。途中出場の谷村海那も初出場を果たし、デビューした選手は合わせて5人になりました。
交代の流れ
JFAのマッチレポートによると、交代は次の順番でした。
- 前半8分:熊坂光希が負傷し、田中聡を投入
- 後半開始時:上田綺世、久保建英、伊東純也、田中碧、GK鈴木彩艶の5人を同時に投入
- 後半71分:伊藤洋輝、堂安律、中村敬斗を投入
- 後半80分:谷村海那を投入
その後、渡辺剛が負傷します。交代枠はすでに使い切っていたため、日本は終盤を10人で戦いました。
勝敗を分けた3つの局面
結論から書くと、試合を決めたのはハーフタイムの5人同時交代でした。失点の直後に、その交代選手たちが試合をひっくり返しています。
局面1:後半開始直後の失点
JFAによると、ベネズエラは速い縦への攻撃から左サイドを崩しました。ルイス・バルボの折り返しをケビン・ケルシーが左足で決めています。日本は5人を代えた直後で、新しい組み合わせが噛み合う前にやられた形です。
JFA公式プログラムは、ベネズエラとの過去の対戦がすべて日本開催だったことに触れ、「その強さを示す一例」と書いていました。アウェイでも崩れない相手だという前提が、この先制点に表れています。
局面2:3分後の同点ゴール
日本は49分に追いつきます。左サイドの相馬勇紀からボールを受けた伊東純也がクロスを上げ、上田綺世が相手DFの背後に抜けて右足で合わせました。
上田は試合後、JFAを通じてこう振り返っています。
「伊東選手と目が合ったタイミングでは、あそこでボールを受ける動き出しのボディランゲージではなかった。本当にパスが良かったとしか言えません」
狙いを合わせたというより、伊東のパスの質で生まれたゴールだったと、上田自身が明かしています。
局面3:10人でのPK獲得
最後の山場はアディショナルタイムでした。VARが介入し、オンフィールドレビューの結果、久保建英へのファウルでPKが与えられます。上田がこれを沈めて勝ち越しました。
ゲキサカ(2026年9月28日)は、試合後に判定に納得できないベネズエラの選手たちが審判団に詰め寄ったと伝えています。日本にとっては劇的な決勝点でしたが、相手から見れば受け入れにくい幕切れだったことも書き添えておきます。
ウルグアイ戦から続く「後半に強い日本」
2試合に共通するのは、交代選手が後半に試合を動かしている点です。南米勢に2連勝できた理由は、ここにあると考えられます。
ウルグアイ戦の公式記録
W杯後の初戦だったウルグアイ戦(9月24日、キューアンドエースタジアムみやぎ)は3-1で勝ちました。Jリーグ公式サイトのサマリーによると、得点経過は次の通りです。
- 松木玖生(11分、A代表初ゴール)
- マクシ・アラウホ(ウルグアイ、前半終盤)
- 塩貝健人(後半アディショナルタイム、A代表初ゴール)
- 上田綺世(後半アディショナルタイム)
2試合を並べると見えること
| 試合 | スコア | 失点の時間帯 | 決勝点・ダメ押し点 |
|---|---|---|---|
| 9/24 ウルグアイ戦(宮城) | 3-1 | 前半終盤 | 後半AT(塩貝、上田) |
| 9/28 ベネズエラ戦(広島) | 2-1 | 後半開始直後 | 後半AT(上田・PK) |
上田綺世は2試合とも途中出場で、合わせて3得点を挙げました。ウルグアイ戦は64分からの出場です。ベンチから出てくる選手が試合を決められる層の厚さが、2連勝を支えています。
一方、2試合とも相手に1点を与え、勝負がアディショナルタイムまでもつれました。南米勢の速い攻撃に一度は崩されている。その事実も同じ表から読み取れます。
「苦手意識」の正体はどこにあったか
日本と南米勢の対戦をたどると、「勝ちきれない」試合が目立ちます。
- ベネズエラ:今回の前まで1勝3分1敗(JFA公式プログラム)。2019年11月のキリンチャレンジカップでは1-4で敗れた
- エクアドル:過去4戦で2分2敗、1得点5失点(JFA公式プログラム)
- ブラジル:2025年10月14日、3-2の逆転勝ちで初勝利(Jリーグ公式サイト)
ブラジル戦の初勝利から約1年。ウルグアイとベネズエラにも続けて勝ったことで、「南米勢には勝てない」という空気は少しずつ変わってきています。ただ、ベネズエラ戦とブラジル戦はどちらも先に失点しての逆転でした。先手を取って南米勢を押し切る試合は、まだ見られていません。
ベネズエラ戦が残した論点
勝ったからこそ見えた課題があります。ここで挙げるのは、エクアドル戦以降も見続けたい3点です。
試す選手の数と、勝つことの両立
森保監督は試合前のミーティングで、選手に次のように伝えていたとJFAを通じて明かしています。
「勝ちにこだわって次のワールドカップへ向けてFIFAランクを上げ、勝ち癖をしっかりつけるように伝えていました」
先発を10人入れ替え、5人がデビューした試合で「勝ち癖」も求めたことになります。前半を0-0で終え、後半に主力級の選手を入れて勝った今回の展開は、新戦力のテストと結果のどちらも取りにいった森保監督の意図に沿ったものと考えられます。
一方で、先発組だけで南米勢をどこまで押し込めるかは、この試合からは判断しきれません。
Jリーグ勢のデビューが持つ意味
デビュー組には国内クラブの選手がいました。
- 中野就斗(サンフレッチェ広島):会場は所属クラブのホーム、エディオンピースウイング広島。右WBで先発
- 熊坂光希(柏レイソル):ボランチで先発したが、前半8分に負傷交代
- 相馬勇紀(FC町田ゼルビア):左WBで先発し、同点ゴールの起点に関わった
3バックのWBは、Jリーグでも3-4-2-1を採用するクラブが多く、経験を積みやすいポジションです。国内組がこの役割で代表に食い込めるかどうかは、Jリーグを追う人にとっても見どころになりそうです。熊坂は出場が8分に終わったため、評価はまだ先になります。
負傷者の状況
熊坂光希と渡辺剛が試合中に負傷しました。10月1日時点で、2人の負傷の程度やエクアドル戦に出られるかについては、JFAの公式発表を確認できていません。
エクアドル戦で見たい3つのポイント
10月1日のエクアドル戦は、南米シリーズの中でいちばん「苦手克服」の意味が大きい試合です。日本はまだエクアドルに勝ったことがありません。
試合の基本情報
- 大会:キリンカップサッカー2026(4カ国によるトーナメント方式)
- 日時:2026年10月1日(木)19:10キックオフ
- 会場:横浜国際総合競技場
- エクアドル監督:マルセロ・ガジャルド(JFA公式プログラムによる)
相手の特徴:堅い守備
JFA公式プログラムによると、エクアドルはFIFAワールドカップ2026南米予選を2位で通過しました。18試合で失点はわずか5です。本大会のグループステージでは、ドイツに2-1で逆転勝ちしています。
日本との過去4試合は次の通りです。
- 1995年5月28日:0-3(キリンカップサッカー’95)
- 2006年3月30日:0-1
- 2019年6月24日:1-1
- 2022年9月27日:0-0
日本が奪ったのは4試合で1点だけです。ベネズエラ戦以上に、点を取ること自体が難しい相手になりそうです。
ポイント1:先に点を取れるか
ベネズエラ戦もブラジル戦も、日本は先に失点してから逆転しました。南米予選18試合で5失点のエクアドルに先制されれば、追いつくのはかなり難しくなるはずです。前半から主導権を握れるかが、最初の見どころです。
ポイント2:「後半の切り札」はエクアドルにも効くか
上田綺世が2試合続けて途中出場で点を取ったように、今の日本は後半のカードが強みです。それが守備の堅い相手にも通じるのか。交代のタイミングと顔ぶれに注目です。
ポイント3:トーナメントの初戦をどう戦うか
キリンカップサッカー2026は4カ国のトーナメント方式です。エクアドル戦はその初戦にあたり、ベネズエラ戦までの親善試合とは違って、勝ち上がりがかかります。森保監督が先発をどこまで主力で固めるのかも、この試合ならではの見どころです。
南米への苦手意識は拭えたのか
答えは「流れは変わり始めたが、決着はエクアドル戦以降」です。
ベネズエラに6度目の対戦で初めて90分で勝ち、ウルグアイにも勝って南米勢に2連勝しました。ブラジルに初めて勝ってから1年で、日本が南米勢と互角以上に戦える試合は確実に増えています。
ただ、どちらの試合も1点を失い、勝負はアディショナルタイムまでもつれました。過去4戦で1得点の苦手、エクアドルを相手に先手を取れるか。そこで初めて「克服した」と言えるかどうかが見えてきます。
エクアドル戦で確かめたいこと
- 南米予選18試合5失点の守備から、日本が先制できるか
- 上田綺世をはじめとする後半の交代カードが、堅い相手にも通じるか
- 熊坂光希と渡辺剛の負傷が、メンバー選考にどう響くか
- エクアドルとの5度目の対戦で、日本が初勝利を挙げられるか
参照リンク
- JFA|【Match Report】SAMURAI BLUE、上田選手の2ゴールでベネズエラ代表に逆転勝利(2026年9月28日)
- JFA|SAMURAI BLUE オフィシャルプログラム(2026年9月28日 キリンチャレンジカップ2026 ベネズエラ戦)
- JFA|SAMURAI BLUE オフィシャルプログラム(2026年10月1日 キリンカップサッカー2026 エクアドル戦)
- Jリーグ公式サイト|日本、上田の2ゴールでベネズエラに逆転勝利!南米勢に2連勝【サマリー:キリンチャレンジカップ2026 日本vsベネズエラ】
- Jリーグ公式サイト|日本、ウルグアイに3-1勝利!松木、塩貝が代表初ゴールをマーク【サマリー:キリンチャレンジカップ2026 日本vsウルグアイ】
- Jリーグ公式サイト|日本、ブラジルに歴史的初勝利!後半3発で2点差をひっくり返す【サマリー:キリンチャレンジカップ2025 日本vsブラジル】
- サッカーキング|4名がA代表デビュー! 日本代表がベネズエラ戦のスタメン発表…ウルグアイ戦から大幅変更(2026年9月28日)
- サッカーキング|後半ATにドラマ! 5人デビューの日本代表がベネズエラに逆転勝利…後半投入の“エース”上田綺世が2発(2026年9月28日)
- ゲキサカ|ベネズエラの選手たちは判定に不満爆発も…2発で日本代表を逆転に導いた上田綺世「勝ち切れたことに意味があった」(2026年9月28日)
