久保建英はW杯2026日本代表の攻撃をどう動かすのか 右の突破役から決定機の設計者へ
2026年5月15日に発表された日本代表の26人に、久保建英は順当に入った。結論から言えば、久保に期待される役割は、右サイドの仕掛け役だけではない。相手をはがして前進をつくり、最後はラストパスでも自分のシュートでも終われる、攻撃の接続点そのものだ。
カタールW杯では若いアタッカーのひとりだったが、今回は立場が違う。レアル・ソシエダードで積み上げたボール保持時の判断と、最終予選で見せた決定的な仕事ぶりを踏まえると、森保ジャパンで久保は「流れを変える選手」ではなく、最初から試合を動かす主役候補として見たほうが実態に近い。
- 2026年5月15日、JFAが久保建英を含むW杯2026日本代表26人を発表
- 2025年3月20日のバーレーン戦では久保が追加点を決め、日本は8大会連続のW杯出場を確定
- 今季ラ・リーガでは5月15日時点で21試合2得点4アシスト。数字以上に、前進と決定機創出の起点になっている
- 日本代表では右シャドー、右ウイング気味、中央寄りの司令塔役までこなせるのが強み
ここがポイント: 久保の価値は「何点取るか」だけではない。相手の守備をずらし、日本の前線3人目、4人目が生きる形を作れるところにある。
まず整理したい事実 久保はすでにW杯出場決定の場面で結果を出している
今回の代表入りは、期待先行の抜てきではない。久保は北中米W杯行きを決めた流れの中で、はっきり結果を残してきた。
- 2024年9月の中国戦では、先制点につながるCKを蹴り、自身も得点して7-0勝利に関与
- 2024年11月のアウェー中国戦ではCKから先制点を生み、2シャドーの一角として攻撃を前進させた
- 2025年3月20日のバーレーン戦では87分に追加点を決め、日本のW杯出場決定を決定づけた
- 2025年6月のインドネシア戦では1ゴール2アシスト。ゲームキャプテンを任され、中央突破とサイド攻撃の両方の起点になった
この並びで見えてくるのは、久保が「好調な日にだけ違いを作る選手」ではないことだ。大勝した試合では数字を残し、硬い試合ではセットプレーや狭い局面の技術でこじ開けている。代表での価値は、華やかなドリブルそのものより、試合の難しさに合わせて仕事の形を変えられる点にある。
クラブで積み上げたものは何か 今季は右で受けるだけの選手ではない
レアル・ソシエダードでの今季リーグ成績は、5月15日時点で21試合2得点4アシスト、1365分出場。爆発的な得点数だけを見ると物足りなく映るかもしれないが、そこだけで評価すると久保の実像を外しやすい。
LALIGAは2025年1月の分析記事で、久保をレアル・ソシエダードで最も決定的な仕事をする選手のひとりと位置づけた。特に目立つのは次の点だ。
前進の起点になる
LALIGAの分析では、久保は当時チーム最多のファイナルサードへのパスを記録していた。これは単に横で受けて仕掛けるだけではなく、相手陣地の深い場所へ味方を運ぶ役を担っていたことを示す。
日本代表でもこの性質は重要だ。三笘薫のような縦突破型の選手が左で幅を取る一方、右の久保は内側に入ってパス交換を増やし、堂安律や伊東純也が入る時とは違う角度で攻撃を組み立てられる。
仕掛けで守備をずらせる
同じLALIGAの分析では、久保はリーグのドリブル成功数上位に入り、高インパクトランでも上位に入っていた。高インパクトランは、その走りの後の2アクション以内にシュートへつながる走りを指す。
ここが大きい。久保のドリブルは、抜くこと自体が目的ではない。1人外してラインをずらし、その次のパスや折り返しで味方のシュートを作る。日本代表で中央に守備を固められた時、この「1人動かして出口を開ける力」は強い武器になる。
ゴール前でも終われる
インドネシア戦の得点場面のように、久保は崩しの起点で終わらず、ゴール前へ入り切る動きもできる。中国戦やバーレーン戦でも数字を残しており、代表ではアシスト役専業ではない。
W杯本番では相手のレベルが上がり、きれいな崩しだけでは点が入らない時間が増える。そんな時に、こぼれ球や狭いエリアでの一振りまで持っていることは大きい。
カタールW杯との違い 今回は「若手枠」ではなく中心選手として入る
久保は2022年カタールW杯でもメンバー入りした。FIFAは北中米W杯に向けた特集で、久保がカタール大会で2試合に出場し、今は当時より「より成熟し、フィジカル面でも完成度が増した」と整理している。
実際、カタール大会ではドイツ戦、スペイン戦で先発しながら、チーム全体の守備強度や試合展開の中で役割は限定されやすかった。クロアチア戦前には体調不良で静養したこともJFAが伝えている。
今回は違う。
- 年齢は24歳。若手の挑戦者ではなく、主力として計算される段階に入った
- 欧州トップリーグで継続して試合を動かす経験を積んだ
- 代表最終予選で、引いた相手にもアウェーの重い試合にも対応して結果を残した
つまり、前回は「将来の中心候補」だった久保が、今回はいま中心を担うべき選手として大会に入る。
日本代表で期待される具体的な役割
久保の役割を一言で言うなら、右のアタッカーではなく「攻撃の設計者」だ。もう少し具体的に分けると、見るべきポイントは3つある。
1. 右で受けて左の強みを生かす
日本は左に強い個を置きやすい。だからこそ右で久保がボールを収め、内側へ運び、逆サイドへ展開できるかが全体のバランスを決める。久保が右で時間を作れると、左サイドの1対1やファーへの入り直しが生きる。
2. 2列目と1トップをつなぐ
最終予選では、中国戦で南野拓実と並ぶ形、インドネシア戦ではインサイドハーフ気味の位置など、久保は中央寄りでも機能した。ここで求められるのは派手なラストプレーだけではなく、上田綺世や小川航基の足元と背後をどう使い分けるかだ。
久保が半歩内側で受けられると、日本の1トップは孤立しにくい。ワンタッチで落とす相手、裏へ出す相手、その両方を見ながら前線をつなげるからだ。
3. 試合が止まった時の打開役になる
W杯では流れが悪い時間が必ずある。そんな時に日本が欲しいのは、セットプレー、ミドルレンジの仕掛け、ファウル獲得、狭い局面での保持だ。久保はこの全部に関われる。
中国戦やバーレーン戦のように、1本のCKや1本の左足で試合を動かせる選手がいることは、トーナメントで特に重い意味を持つ。
どう見られているか 公式情報から見える評価の重なり
久保への評価は、立場が違ってもだいたい同じ場所に集まっている。
- JFAの最終予選レポートでは、得点者としてだけでなく、中央突破やサイド攻撃の起点として何度も名前が出てくる
- LALIGAの分析では、ドリブルだけでなくファイナルサードへのパスや高インパクトランでも高評価を受けている
- FIFAのW杯関連コンテンツでは、2022年時点より成熟した選手として北中米W杯の注目株に挙げられている
この3つをまとめると、評価の芯は同じだ。久保は「技巧派の右ウイング」ではなく、試合全体の攻撃効率を上げる選手として見られている。
日本の読者にとっての見どころ Jリーグ文脈でも学べること
久保の面白さは、うまさそのものより役割の増え方にある。若い頃の久保は足元の技術や突破力で語られやすかったが、今はその先にある「どこで受ければ味方が前を向けるか」「どのテンポで預ければ守備がずれるか」という判断が価値になっている。
Jリーグを見る読者にとっても、この変化は分かりやすい。サイドのアタッカーが代表級になるには、1対1に勝つだけでは足りない。中へ入ってゲームをつなぎ、守備ブロックを動かし、最後は自分でも終わる。この仕事量の広がりこそが、久保をW杯の主役候補に押し上げた。
本番までの注目点
5月31日のアイスランド戦、そして6月開幕のW杯本番で見るべき点は絞られる。
- 右で張る時間と中央へ入る時間をどう使い分けるか
- 1トップとの距離感が最も合う組み合わせは誰か
- 三笘側に寄せる相手に対し、久保が逆側でどこまで罰を与えられるか
- 追う展開ではなく、引いた相手を崩す展開でどれだけ違いを出せるか
久保建英は、もう「将来が楽しみな選手」ではない。2026年5月15日に発表されたこの26人の中で、日本がベスト8の壁を越えたいなら、久保が攻撃を設計し、最後の局面でも数字を残すことはかなり現実的な必須条件になっている。
参照リンク
- JFA W杯2026 招集メンバー/スタッフ
- JFA 日本代表メンバー・スケジュール 2026年5月15日発表
- FIFA Japan squad announcement
- JFA バーレーン戦 match report 2025年3月21日
- JFA 中国戦 match report 2024年9月6日
- JFA 中国戦 match report 2024年11月20日
- JFA インドネシア戦 match report 2025年6月11日
- LALIGA 久保建英選手ページ
- LALIGA Takefusa Kubo: one of the competition’s best midfielders
- FIFA Ten Asian stars ready to light up FIFA World Cup 2026
- JFA ドイツ戦 match report 2022年11月24日
- JFA スペイン戦 match report 2022年12月2日
- JFA クロアチア戦へ向けた練習レポート 2022年12月3日
- JFA 2022カタール大会ヒストリー
