栃木SC、保持率43%でもシュートで上回る──滋賀を1-0で退けた攻撃の到達点
ボールを長く持ったレイラック滋賀FCに対し、なぜ栃木SCが勝利を収めたのか。2026年10月21日の明治安田J3リーグ第12節は、65分の堤 陽輝の得点で栃木が1-0と勝った。
数字から浮かぶのは、ボールを持つ時間と、シュートまで進める回数の違いだ。栃木はボール支配率43%に対してシュート9本、枠内シュート4本。滋賀は支配率57%ながら、シュート5本、枠内1本だった。栃木が相手ゴールを脅かすところまで攻撃を運んだ点に、この試合を読み解く鍵があると考えられる。
- 決勝点は65分、栃木の堤 陽輝。
- シュート、枠内シュート、コーナーキックは栃木が上回った。
- 滋賀はボール支配率とパス成功率で上回ったが、無得点に終わった。
試合結果と主要データ──保持とシュートで優位が分かれた
栃木が得点とシュート数で、滋賀がボール支配率とパス成功率で上回る結果となった。
- 大会:明治安田J3リーグ 2026/27 第12節
- 開催日:2026年10月21日
- 会場:カンセキスタジアムとちぎ
- 結果:栃木SC 1-0 レイラック滋賀FC
- 得点:65分 堤 陽輝(栃木SC)
主要スタッツは次のとおり。Jリーグ公式の試合記録に基づく。
| 項目 | 栃木SC(ホーム) | レイラック滋賀FC(アウェイ) |
|---|---|---|
| シュート | 9 | 5 |
| 枠内シュート | 4 | 1 |
| ボール支配率 | 43% | 57% |
| パス成功率 | 58% | 68% |
| コーナーキック | 6 | 4 |
栃木のシュートは9本、滋賀は5本。ゴールの枠へ飛んだシュートを示す枠内シュートは、栃木4本に対して滋賀1本だった。コーナーキックも栃木6本、滋賀4本と、栃木が上回った。
一方、ボール支配率は栃木43%、滋賀57%。パス成功率も栃木58%、滋賀68%で、こちらは滋賀が上回っている。
この組み合わせからは、滋賀がボールをつなぐ面で示した優位を、シュート数の優位へ変えられなかったと考えられる。ただし、支配率とパス成功率だけでは、どの位置でボールを動かしたかまでは分からない。滋賀が危険な場所まで進めていたのか、栃木がゴールから遠い位置で持たせていたのかは、この数値だけで決められない。
記録から分析する焦点は、保持率とシュートへの到達
栃木の勝利を説明するうえでは、保持率の低さよりも、シュートと枠内シュートの両方で上回った点が重要と考えられる。
栃木は攻撃の回数だけでなく、枠へ飛ばす回数でも上回った
栃木は滋賀よりシュートが4本多く、枠内シュートも3本多かった。堤の1点が、その差を最終スコアに結び付けた。
仮にシュート数だけが多く、枠内では相手を下回っていれば、遠い位置や難しい体勢からのシュートが多かった可能性も検討する必要がある。今回は枠内でも栃木が上回っており、攻撃をシュートで終えることと、枠へ飛ばすことの両面で結果につながる差があったと考えられる。
もっとも、枠内シュートの多さは、そのまま決定機の質の高さを意味しない。シュート位置や相手守備の寄せ方が分からないため、栃木が容易な決定機を何度もつくったとまでは断定できない。堤の得点についても、セットプレーや速攻など、記録にない形を補うことはできない。
滋賀の課題は、つないだ先で何を生み出したか
滋賀はボール支配率57%、パス成功率68%を記録したが、シュートは5本、枠内は1本にとどまった。
この試合では、パスを成功させることが、栃木を上回るシュート数にはつながらなかった。滋賀の攻撃を振り返る際には、パスの成功率をさらに高めること以上に、最後のパスやシュートへ進める場面を増やせたかが焦点になると考えられる。
ただし、枠内1本という結果だけで、攻撃全体に可能性がなかったと評価するのも早い。枠を外したシュートの難易度や、シュート直前で止められた攻撃は、この集計からは読み取れない。栃木の守備がどこで滋賀の前進を止めたのかは、映像や個々のプレーと合わせて検討すべき点だ。
65分の得点が交代の意味を分けた
両チームの交代を読むうえでは、同点の時間帯か、栃木のリード後かを分ける必要がある。
公式記録の得点と交代を時系列で並べると、次のようになる。
- 後半開始時・滋賀:山口 隆希に代えて三宅 海斗。
- 59分・滋賀:海口 彦太に代えて中村 健人、秋山 駿に代えて松原 海斗。
- 63分・栃木:名願 斗哉に代えて五十嵐 太陽。
- 65分・栃木:堤 陽輝が得点。栃木が1-0とする。
- 70分・滋賀:竜田 柊士に代えて菊島 卓。
- 74分・栃木:近藤 慶一に代えて鈴木 輪太朗 イブラヒーム、オタボー ケネスに代えて杉森 考起、青島 太一に代えて松下 佳貴。
- 81分・両チーム:栃木は大曽根 広汰に代えて鈴木 俊也。滋賀は坂元 一渚璃に代えてロメロ フランク。
滋賀は同点の段階で後半開始時と59分に交代を行い、栃木も63分に選手を入れ替えた。その後、65分に栃木が先制している。
栃木の交代から得点までの間隔は短いが、それだけで五十嵐の投入が得点を生んだとは言えない。得点への関与や配置の変化が記録から分からない以上、ここで確認できるのは出来事の前後関係までだ。
先制後は、滋賀が同点を目指し、栃木がリードを維持する局面になった。70分以降の交代は、この異なるスコア状況の中で行われている。栃木の74分の3人交代を守備固めと決めつけることも、滋賀の交代を特定の攻撃策と結び付けることもできないが、両チームが求める結果の違いを踏まえて見る必要がある。
また、試合全体の支配率には、得点前と得点後の両方が含まれる。滋賀の57%という数字だけで、開始から終了まで同じように主導権を握ったと読むことはできない。
警告は後半序盤に滋賀へ集中した
滋賀には48分から58分にかけて3件の警告が記録されている。
- 24分:警告・堤 陽輝(栃木SC)
- 48分:警告・鍋田 純志(レイラック滋賀FC)
- 52分:警告・海口 彦太(レイラック滋賀FC)
- 58分:警告・久保 瑛史(レイラック滋賀FC)
海口は52分の警告後、59分に交代している。ただし、この順番だけで警告が交代理由だったとは断定できない。警告を受けた選手の守備対応や交代判断への影響は考えられるものの、ファウルの状況や監督の説明なしに、失点の原因へ直結させるのは避けたい。
栃木は「持たずに勝った」だけでは説明しきれない
この試合の差は、栃木が低い保持率でもシュートと枠内シュートで上回り、その中から1点を得たことにあると考えられる。
栃木の1-0は、相手にボールを持たれながら失点を免れただけの結果とは読み切れない。シュート9本、枠内4本、コーナーキック6本という記録は、栃木自身も相手ゴールへ迫ったことを示す材料になる。
一方、滋賀の保持率とパス成功率の高さも、敗戦によって意味を失うわけではない。ただし今回は、その優位がシュート数や得点に結び付かなかった。振り返りの焦点は、ボールを持てたかどうかから、持った先で栃木の守備をどう越えようとしたかへ移る。
映像と照らし合わせるなら、見るべき点は二つに絞れる。
- 栃木は、どの位置からどのようにシュート9本へつなげたのか。
- 滋賀は、シュートに進む直前のどこで攻撃を止められたのか。
堤の65分の一撃を支えた過程と、滋賀が枠内1本にとどまった過程。その違いを追うことが、この1-0の中身をさらに具体的にする。










