大分は20本のシュートも追加点ならず 甲府との1―1を分けた「量」と得点の差
前半13分に有馬幸太郎が先制しながら、大分トリニータは追加点を奪えなかった。後半15分に内藤大和が同点弾を決め、ヴァンフォーレ甲府との一戦は1―1で終了した。
大分はシュート20本、枠内シュート5本で、甲府の12本、3本を上回った。それでも、なぜ勝ち切れなかったのか。記録から読み取れるのは、大分の攻撃の量的な優位が、得点差には結びつかなかったという点だ。決定機の質まで、この本数だけで説明することはできない。
- 大分は前半13分に先制。甲府は後半15分に追いついた。
- ボール支配率、シュート数、枠内シュート数はいずれも大分が上回った。
- 大分の後半15分の二枚替えは同点弾と同じ分に記録。交代と失点の因果関係は断定できない。
大分の先制に甲府が追いつき、追加点は両チームとも生まれず
試合を動かしたのは、有馬幸太郎の先制点と内藤大和の同点弾だった。
2026年10月25日、クラサスドーム大分で行われた2026/27明治安田J2リーグ 第13節。ホームの大分トリニータとヴァンフォーレ甲府は、1―1で引き分けた。
- 前半13分:有馬幸太郎(大分トリニータ)が先制。
- 後半15分:内藤大和(ヴァンフォーレ甲府)が同点ゴール。
大分は先行したものの、甲府に追いつかれた。その後はどちらにも勝ち越し点がなく、両チームが1得点ずつで試合を終えた。Jリーグ公式の試合記録に、得点経過と交代、各種スタッツが掲載されている。
大分の20本は攻撃量を示すが、決定機の多さとは限らない
試合全体の集計では大分がボール保持とシュートの両方で上回ったが、その差だけで勝ち切れなかった原因は特定できない。
| 項目 | 大分トリニータ(ホーム) | ヴァンフォーレ甲府(アウェイ) |
|---|---|---|
| シュート | 20 | 12 |
| 枠内シュート | 5 | 3 |
| ボール支配率 | 58% | 42% |
| パス成功率 | 78% | 71% |
| コーナーキック | 8 | 4 |
大分はボール支配率58%、甲府は42%。パス成功率は大分78%、甲府71%で、コーナーキックも大分8本、甲府4本だった。大分は保持率だけでなく、シュート数でも20本対12本と上回っている。
この組み合わせから、大分はボールを持つ時間に加え、攻撃をシュートまで進める回数も多かったと評価できそうだ。ただし、パスの通った場所やシュート位置までは分からない。相手ゴールに迫る場面で優位だったかどうかは、別に検討する必要がある。
枠内5本対3本でも、得点は1対1
枠内シュートは大分5本、甲府3本だった。大分は総シュート数だけでなく、枠を捉えた本数でも上回った。一方、得点は双方とも1点にとどまった。
大分にとって、より多くのシュートを追加点に結びつけられなかったことは結果上の課題となる。ただ、これをそのまま「決定力不足」と結論づけるのは早い。枠内シュートにも、ゴールキーパーが対応しやすいものと、得点の可能性が高いものがあり、その内訳は本数には表れないためだ。
甲府についても同様だ。少ないシュート数で同点に追いついた結果は評価できるが、それだけで狙いどおりに効率よく攻めたとまでは判断できない。大分が多く打ったことと、甲府が追いついたことを、両方残して評価する必要がある。
試合全体の数字を、同点後だけの攻勢に置き換えない
20本対12本は試合全体のシュート数であり、先制前、先制後、同点後を分けた数字ではない。
そのため、大分が同点後に一方的に押し込んだとも、甲府が終盤を守り切る展開だったとも、この集計だけでは言えない。大分の量的な優位は確認できるが、それがどの時間帯に生まれ、どれほど得点に近かったかは切り分けて考えたい。
同じ分に記録された同点弾と二枚替えをどう読むか
大分の後半15分の二枚替えは甲府の同点弾と同じ分に記録されており、分単位の記録だけでは前後関係を確定できない。
甲府は後半開始時、小出悠太に代えて野澤陸を投入した。その後、後半15分に内藤大和が同点ゴールを決めた。大分の同じ後半15分の交代は、同点弾と同じ分に記録されている。
大分の交代
- 後半15分:西村恭史に代えて榊原彗悟、パトリッキ ヴェロンに代えて木本真翔を投入。
- 後半22分:マテウス レイリアに代えて清武弘嗣、先制点を決めた有馬幸太郎に代えて古川大悟を投入。
- 後半42分:松尾勇佑に代えて相澤デイビッドを投入。
甲府の交代
- 後半開始時:小出悠太に代えて野澤陸を投入。
- 後半28分:佐藤和弘に代えて大島康樹を投入。
- 後半34分:熊倉弘達に代えて村上千歩、水野颯太に代えて小林岩魚を投入。
- 後半40分:和田拓也に代えて末木裕也を投入。
甲府の後半開始時の交代と同点弾には時間的な前後関係がある。しかし、それだけで野澤陸の投入が得点を生んだとは説明できない。交代の効果を判断するには、得点に至るプレーや配置の変化との結びつきが必要になる。
大分も後半15分に選手を入れ替え、後半22分には得点者の有馬幸太郎を交代させた。それでも最終スコアは動かなかった。ただし、無得点だったという結果だけを根拠に、投入された選手の働きまで否定することはできない。
警告は後半23分の武井成豪(ヴァンフォーレ甲府)に記録されている。警告後のプレーの変化を示す材料はなく、勝ち越し点が生まれなかった要因に結びつける根拠はない。
清水サポーターが押さえたいのは、大分の攻撃量と甲府の追いつく力
清水エスパルスのサポーターとして両クラブを見るなら、大分のシュート数と甲府の同点弾のどちらか一方だけに評価を寄せないことが大切になりそうだ。
大分は保持率、シュート数、枠内シュート数で上回り、有馬幸太郎のゴールで先行した。一方の甲府は、内藤大和のゴールで試合を振り出しに戻した。数値の差がありながら、最終的な得点差はつかなかった。
この一戦から見るべき点は、次の二つに絞れる。
- 大分:シュートを多く記録した攻撃と、追加点を得られなかった結果を分けて評価する。
- 甲府:先制を許してから追いついた点を評価しつつ、シュート数で下回った理由まで守備方針に結びつけない。
冒頭の「なぜ大分は勝ち切れなかったのか」という問いに、記録から答えられるのは、先制後の追加点がなく、甲府の同点弾を許したところまでだ。20本を打ったという数字から一歩進むには、そのシュートがどこから、どのような守備を受けながら放たれたのかが焦点になる。








