清水は新井晴樹の「その先」まで守れるか 京都戦で問われるクロス後の対応
新井晴樹のシュートを防ぐだけでは、京都の攻撃は終わらない。清水エスパルスが今回警戒したいのは、新井自身の得点に加え、クロスが味方の得点につながるまでの流れだ。ボールが新井の足を離れた後まで守り切れるかが、清水の立て直しを見るポイントになる。
10月31日14時、サンガスタジアム by KYOCERAで行われる2026/27明治安田J1リーグ 第13節。リーグ前節を0対4で落とした清水にとって、京都の好調な攻撃役への対応は、吉田孝行監督が指摘した守備の課題と向き合う試金石になりそうだ。
- 清水はリーグ戦4試合ぶり、京都は5試合ぶりの勝利を目指す。
- 京都の新井は、リーグ前節で得点とクロスの両方からゴールに関与した。
- 清水は、新井への寄せと、その後に中央へ届くボールへの対応をつなげたい。
勝点差は4。清水は大敗後の守備を立て直したい
清水は13位、京都は16位で迎える一戦であり、両チームともリーグ戦で勝利から遠ざかっている。
Jリーグ公式の試合プレビューに掲載された、10月30日確認時点の成績は次の通り。両チームとも12試合を消化している。
- 清水エスパルス:4勝2分6敗、勝点14、13位。 リーグ前節はサンフレッチェ広島に0対4で敗れ、今回はリーグ戦4試合ぶりの勝利を目指す。
- 京都サンガF.C.:2勝4分6敗、勝点10、16位。 リーグ前節はガンバ大阪と2対2で引き分け、今回はリーグ戦5試合ぶりの勝利を目指す。
清水の吉田孝行監督は広島戦後、守備ラインが下がって相手を自由にさせたことと、選手一人ひとりの強度不足を失点についての自身の見解として挙げた。京都のランコ ポポヴィッチ監督はG大阪戦後、数的優位でボールを動かしながらも、相手陣やゴールに近いエリアで攻撃の精度を上げる必要があると述べている。
清水としては、京都にボールを持たれた時間をどうしのぐかが重要になりそうだ。ただ人数をそろえて下がるだけでなく、ボールを持つ相手に働きかけながら、ゴール前も守る。その二つをつなげる必要があるだろう。
なお、Jリーグが10月29日に発表した出場停止選手のお知らせでは、京都の佐藤響が警告の累積によりこの試合で出場停止となる。清水の選手は含まれていない。両クラブによる負傷離脱の公式発表は、10月30日時点で確認し切れていない。以下の展望は、各選手の出場を確定するものではない。
新井への警戒は、クロスが上がった後も続く
新井の怖さは、自分で決める役と、味方にボールを届ける役の両方を担っている点にある。
京都のリーグ前節・G大阪戦では、福岡慎平のフィードに反応した新井が同点ゴールを決めた。さらに終了間際には、新井のクロスを相手DFが処理し切れず、そのこぼれ球を加藤拓己が決め、京都は引き分けに持ち込んでいる。
清水にとって、この二つは対応する場所が異なる。フィードに反応する新井には、ボールの出し手と走り出す本人への対応が必要になるだろう。一方、クロスの局面では、新井に寄せる選手だけでなく、中央で待つ相手やこぼれ球に備える選手の仕事まで問われそうだ。
最初のボールに触れても、守備が終わったとは限らない。 G大阪戦の終盤に得点したのは、新井ではなく加藤だった。この経過を踏まえると、清水はクロスをはね返す瞬間だけでなく、その直後に誰がボールへ向かうかまで準備したい。
得点と配球の両方に、直近の実績がある
新井はリーグ前々節の鹿島アントラーズ戦で2得点、前節のG大阪戦で1得点を挙げた。10月27日のACL Eliteでも、京都の4点目をアシストしている。
この実績から、新井を得点者としてだけ扱うと、警戒する範囲が狭くなると考えられる。清水の守備では、次の三つがつながっているかに注目したい。
- 新井がボールを受ける前に、走り出しへ対応できているか。
- 受けられた場合、前を向いて配球する時間を与えていないか。
- クロスが入った後、中央の相手とこぼれ球の両方に備えられているか。
これは新井を必ず封じられる手順ではない。新井が出場した場合に、清水が一つの対応で止まらず、次の局面へ守備を引き継げるかを見るためのポイントだ。
広島戦から持ち越す課題は、相手を自由にさせないこと
清水が京都戦につなげたいのは、ラインを下げ続けず、相手のプレーに働きかける守備だ。
広島戦では、前半終了間際にミドルシュートで失点し、後半立ち上がりにも押し込まれる展開から追加点を奪われた。吉田監督は試合後、ラインが下がったことで相手を自由にさせたと指摘している。
その指摘を今回の課題として読むなら、新井にボールが渡ったとき、清水が後退するだけの状態は避けたい。寄せる選手が前へ出る一方で、周囲がクロスや走り込みに備える形をつくれれば、京都に自由な選択を許す時間を減らせるのではないか。
ただし、広島戦のミドルシュートによる失点と、京都がG大阪戦で見せたフィードやクロスからの得点は別の経路だ。前節の4失点を、そのまま京都戦の失点予測に置き換えることはできない。
京都側にも精度の課題はある。ポポヴィッチ監督自身がG大阪戦後に改善を求めており、新井の得点関与だけで攻撃全体の完成度を断定することはできない。清水には、京都が最後のパスやシュートを選ぶ場面で、落ち着いてプレーさせない守り方を期待したい。
嶋本悠大の決勝点が示す、清水側の対戦の記憶
清水側の注目選手として挙げたいのは、京都との対戦で決勝点を記録している嶋本悠大だ。
両チームのJ1百年構想リーグでの対戦成績は1勝1敗。同大会第14節では、京都がマルコ トゥーリオの得点で先制した後、清水が後半の5分間で2得点を挙げ、逆転勝利した。その決勝点を決めたのが嶋本だった。
今回も同じ展開になるとは限らず、この記録から嶋本の先発や起用位置を予測することもできない。それでも、京都との対戦で勝敗を動かす得点を挙げた選手として、出場する場合には注目したい存在になる。
清水にとっては、新井への対応だけに意識を向け過ぎず、得点を奪う側へ回る時間も必要になるだろう。守備で一つの局面を終わらせた後、自分たちの攻撃へ移れるか。そこまでつなげてこそ、守備の立て直しが勝利への足場になりそうだ。
清水の見どころは「新井を止めた後」にある
清水が確かめたいのは、新井本人への対応と、そこから先のゴール前の守備を切り離さずに実行できるかだ。
新井にはフィードに反応して決めた実績があり、クロスが別の選手の得点につながった実績もある。清水が備えるべき対象は、この二つの経路になるだろう。新井を抑えても中央を空ければ十分とは言えず、中央を固めても自由に配球させれば対応が難しくなりそうだ。
10月31日の試合では、クロスに最初に触れた選手だけでなく、その次のボールへ誰が動くかを追いたい。清水がはね返した後も相手に先手を取らせず、攻撃へ移れるか。その一連の動きに、広島戦からの変化が表れるのではないか。
参照リンク
- Jリーグ公式:京都サンガF.C.対清水エスパルス/2026/27明治安田J1リーグ 第13節・試合プレビュー(2026年10月30日確認、公開・更新日の表示は確認できず)


