山形の左サイドは徳島の堅守を崩せるか|杉井颯の供給とセカンドボールが焦点
山形が前線へ送り、こぼれたボールを拾って、左サイドの杉井颯へつなぐ。この流れを作れるかが、徳島の堅守を崩す鍵になりそうだ。前節に逆転勝利した山形に対し、徳島は北村海チディの無失点試合数がリーグトップの7を数える。
2026年11月3日14:00、NDソフトスタジアム山形で行われる2026/27明治安田J2リーグ 第15節。注目したいのは、山形が攻撃を続けるためのボール回収と、徳島が守った後に攻撃へ移る力のぶつかり合いだ。
- 山形は前節のリーグ戦で八戸に2対1。得点と勝利を取り戻した。
- 杉井颯は10月27日時点でチャンスクリエイト数33、リーグ2位タイ。
- 徳島は無失点試合数7の一方、14試合を終えたチーム得点は11。
- 中2日の一戦。先発だけでなく、後半も攻守をつなぐ動きを保てるかが見どころになる。
対戦の前提――14試合を終え、勝点1差の両チーム
両チームの隔たりは小さく、今回は得点の少なさという共通の課題を抱えて向き合う。
開催条件は次のとおり。
- 大会・節:2026/27明治安田J2リーグ 第15節
- 対戦:モンテディオ山形 vs 徳島ヴォルティス
- 開催日:2026年11月3日
- キックオフ:14:00
- 会場:NDソフトスタジアム山形
Jリーグ公式の試合ページの11月2日確認時点の掲載では、山形は14試合で5勝1分8敗の16位。徳島は14試合で5勝2分7敗の14位となっている。掲載内容の更新日時は明示されていない。
同ページの見どころを担当する佐藤円氏は、勝点1差の両チームについて、守備は堅調ながら得点力不足に悩んでいると評している。
ただし、直前のリーグ戦で山形は一つの結果を得た。八戸に2対1で勝ち、リーグ戦で5試合ぶりの得点、6試合ぶりの勝利を記録している。
この勝利を攻撃の完全復調と捉えるのは早いだろう。今回の焦点は、2得点という結果に加え、その前にボールを前進させ、攻撃を続けられるようになった過程を再現できるかにある。
山形の攻撃――2トップの人数より、縦パスの後を拾えるか
山形にとっては、前線へ送ったボールを相手に渡し切らず、次の攻撃につなげることが重要になりそうだ。
佐藤氏は八戸戦の前半について、山形が自陣で圧力を受け、蹴った後のセカンドボールを拾えず、相手に保持される展開だったと分析している。一方、後半は2トップにするなど縦への配球を整理し、自陣でこぼれ球を回収できるようになったことで、徐々にペースを握ったと説明している。
セカンドボールとは、競り合いやクリアの後に、どちらの保持にもなっていないボールのこと。今回も山形が前線を使うなら、最初の競り合いだけでなく、その近くに中盤の選手が寄れるかがポイントになるだろう。
杉井颯へ、前を向いて届けられるか
八戸戦では71分に高橋潤哉、79分に川名連介が得点し、山形が逆転した。1点目をアシストしたのは左サイドバックの杉井颯だった。
公式の見どころでは、杉井のチャンスクリエイト数は10月27日時点で33、リーグ2位タイと紹介されている。また、対象試合前の時点で、山形で唯一フルタイム出場を続ける選手でもある。
この数字と前節のアシストを踏まえると、杉井にボールが渡るまでの形に注目したい。自陣で追われながら受ける場合と、味方がこぼれ球を拾い、前へ進める状態で受ける場合では、選べるプレーが変わるはずだ。
山形が狙いたいのは、杉井に何度も難しい打開を任せる展開より、回収したボールを左へ運び、供給先を複数用意する展開ではないか。前線に人数を置く効果も、そこへ届ける時間と周囲の支えがあってこそ大きくなる。
徳島は「跳ね返した後」まで守れるか
徳島の北村海チディは開幕からゴールを守り、14試合までの無失点試合数7がリーグトップと紹介されている。
ただ、佐藤氏によると、前節の横浜FC戦では0対0で推移し、後半の猛攻をしのいだものの、83分に右サイドを破られて失点した。
山形の左サイドと徳島の右サイドは、向かい合う位置関係になる。杉井の供給は、この試合の具体的な見どころになりそうだ。ただし、前節の一度の失点だけで徳島の右側を恒常的な弱点と決めつけることはできない。
徳島としては、最初のクロスや縦パスを防ぐだけでなく、その後に山形へ二次攻撃を許さないことが大切になるだろう。守備陣が跳ね返した先で味方がボールを収められれば、杉井を含む山形の選手を自陣へ戻す時間も作れる。
徳島の攻撃――無失点を勝利につなげるには、前へ出る人数が必要
徳島は守備の実績を持つ一方、シュートに至る機会を増やせるかが課題になりそうだ。
公式の見どころによると、徳島の14試合までのチーム得点は11で、八戸、甲府と並ぶリーグ最少。複数得点は、第8節に栃木Cへ3対0で勝った1試合のみとなっている。10月27日時点の1試合平均シュート数も11.5本で、藤枝と並ぶJ2最少と紹介されている。
得点の少なさだけなら決定力に目が向くが、シュート数も少ない以上、最後の一撃だけで説明するのは難しい。徳島が今回変えたいのは、守った後にどこまで人数をかけて前進できるか、という部分ではないか。
重廣卓也が攻守をつなぐ位置に注目
重廣卓也は直近5試合連続で先発し、シャドーでプレーしていると紹介されている。シャドーは最前線の選手の後方で、パスを引き出したり、前へ飛び出したりする役割だ。佐藤氏は重廣の攻守にわたる運動量を、僅差で勝ち切るために欠かせない要素と評価している。
重廣が今回も起用されるなら、守備から攻撃へ切り替わる瞬間の位置が見どころになりそうだ。守備を助けるために下がる必要がある一方、ボールを奪ったときに前線との距離が開きすぎれば、攻撃をつなぐ役割を果たしにくい。
徳島が山形の攻撃を押し返すには、奪った選手の近くで受け手を作り、最前線へ出した後にも支えが届く形が欲しい。重廣の運動量を、守備の穴埋めに加えて攻撃の人数確保へ使えるかが、一つの分岐点になるだろう。
ただし、前へ出る人数を増やせば、失った後に守る範囲も広がりうる。山形の縦への攻撃を警戒しながら、どの局面で押し上げるか。徳島にはその判断が問われそうだ。
中2日の見立て――先制点と、その後の攻め方が分岐点に
今回は、先制した側が守りに回りすぎず、相手を押し戻す手段を残せるかが重要になりそうだ。
公式の見どころでは、このカードは中2日で迎える一戦とされている。徳島は前回、中2日で行われた前々節の藤枝戦で先発を3人変更した。山形では杉井がフルタイム出場を続け、徳島では重廣が5試合連続で先発している。
これらは今回の先発や交代を確定させる材料ではない。ただ、後半も左から供給する動きや、前線を支える走りを維持できるかを考えるうえでは、起用と交代が展開を変える可能性がある。
山形が先制した場合
山形には、得点後も前線への出口を保つ展開を期待したい。前節は後半に攻め方を変えて逆転したが、今回はリードした場合に、縦パスの受け手とこぼれ球を拾う選手が離れないかが注目点になる。
徳島は複数得点が1試合にとどまるだけに、追う展開では攻撃回数を増やす必要が出てくるだろう。そのとき山形がボールを前へ運べれば、徳島に一方的に押し込まれる時間を減らせる可能性がある。
徳島が先制した場合
徳島には無失点試合数7という実績がある。そのうえで、山形の攻撃を受け続けず、前で時間を作れるかが焦点になりそうだ。
前節の終盤の失点を踏まえると、守備の粘りだけに勝利を託す展開は避けたいところだろう。ボールを奪った後に重廣らが前線を支え、山形の押し上げをためらわせる形を作れるかに注目したい。
展望――山形の攻撃継続と、徳島の押し返しが勝負を分けそうだ
冒頭の問いに対しては、山形が左サイドを生かす条件は、杉井へ渡す前のボール回収にあると考える。
山形には、前節に攻め方を変えて逆転した材料がある。徳島には、無失点試合を積み重ねてきた守備の実績がある。どちらかの優位を断定するより、山形が攻撃を繰り返せるか、徳島がその連続を切ってシュートへ運べるかを見たい。
観戦時は、次の3点を追うと両チームの狙いがつかみやすそうだ。
- 山形の縦パスの後:こぼれ球を拾い、もう一度前へ進めるか。
- 杉井へ渡る瞬間:前を向く余裕と、供給先の選択肢があるか。
- 徳島が奪った直後:前線を孤立させず、後方から支えが届くか。
先制点が生まれた後も、この3つがどう変わるかを追いたい。リードした側が攻撃の出口を失うのか、それとも相手を押し戻せるのか。中2日の一戦では、終盤のその差が勝点を左右するかもしれない。
