ザスパ群馬7-2SC相模原レビュー 9ゴールの乱戦を決めた31分と前進策
ザスパ群馬がSC相模原を7-2で下した一戦は、単なる大量得点試合ではない。分岐点は、群馬が先制した後の31分に相模原DF綿引康が退場した場面、そして群馬が前回対戦の0-5から戦い方をかなり現実的に寄せたことにあった。
相模原は0-3から常田克人、杉本蓮の連続ゴールで1点差まで戻した。そこで試合は一度揺れたが、群馬は60分の小西宏登、64分の米原秀亮で再び突き放し、交代選手の玉城大志と中島大嘉まで得点に絡めて締めた。
- 試合結果:ザスパ群馬 7-2 SC相模原
- 大会:明治安田J2・J3百年構想リーグ 地域リーグラウンド第18節
- 会場:正田醤油スタジアム群馬
- 決定的な局面:31分、相模原DF綿引康の退場
- スタッツ:Jリーグ公式ではシュート数が群馬20、相模原14
試合の流れ 3-2になった直後に群馬が踏み直した
まずは得点経過を整理しておきたい。スコアだけ見ると一方的だが、後半開始直後には相模原が反撃の形を作っている。
- 11分:中野力瑠が群馬の先制点
- 31分:相模原の綿引康が退場
- 45分:百田真登が追加点
- 48分:西村恭史が3点目
- 49分:常田克人が相模原の1点目
- 51分:杉本蓮が続き、3-2
- 60分:小西宏登が群馬の4点目
- 64分:米原秀亮が5点目
- 70分:玉城大志が6点目
- 86分:中島大嘉が7点目
一番大きかったのは、3-2になった後の10分間だ。相模原は10人でも前へ出る力を見せたが、そこで群馬が受け身になり切らなかった。60分の小西のゴールで2点差に戻したことで、試合の心理的な重さは相模原側に戻った。
Jリーグ公式の速報では、シュート数は群馬20本、相模原14本。数的不利の相模原も14本まで持ち込んでおり、試合全体が群馬の完全管理だけで進んだわけではない。だからこそ、群馬にとっては相手の反撃を受けた後にもう一度得点できたことが勝敗を決めた。
なぜ7得点まで広がったのか
7-2という結果には、退場だけでは説明しきれない部分がある。相模原側のコメントにも、群馬の変化がはっきり出ている。
群馬は「つなぐ」だけでなく前線を使った
相模原の沖田空は、群馬について「ここ数試合はシンプルにトップに当てて前進していく形を使い分けている印象」と振り返っている。これは重要だ。
前回対戦で相模原が5-0で勝った時、群馬はビルドアップのミスやセットプレーから苦しんだ。今回はボール保持にこだわるだけでなく、前線へのボール、セカンドボール、背後へのランニングを混ぜた。相模原の守備が前から出るなら、その背中を使う。群馬はそこを徹底した。
群馬公式のレビューでも、立ち上がりは両チームが長めのボールを使い、群馬も安全に試合へ入ったことが記されている。これは派手な7得点の裏にある地味な修正だ。
31分の退場で、相模原の守備判断が難しくなった
相模原のシュタルフ悠紀リヒャルト監督は、前半の退場が大きかったと振り返っている。一方で、相模原は10人になってからもただ引いたわけではない。奪ったら素早く攻める方針を保ち、後半早々に2点を返した。
ただ、10人で前へ出るほど、背後と中盤の間は空きやすい。沖田空も「行くところと行かないところを、もっとはっきりしないといけなかった」と話している。3-2にした後、相模原がもう一段押し込むのか、少し落ち着かせるのか。その判断が曖昧になった時間に、群馬が4点目、5点目を入れた。
ここがポイント: 退場で試合が壊れたというより、退場後も攻めた相模原の姿勢と、そこを突いた群馬の前進策がスコアを大きくした。
交代選手が得点まで持っていった
群馬は70分に玉城大志、86分に中島大嘉が得点した。大量得点の試合では先発組の勢いだけが目立ちやすいが、この試合では途中出場の選手がスコアをさらに動かした。
これはプレーオフラウンドを見据えても意味がある。先発11人だけでなく、試合終盤に投入された選手がゴールという形で結果を出したからだ。特に、相手が疲れてスペースが広がる時間帯に決め切れる選手がいることは、短期決戦で使える武器になる。
両チームの見方はどこで分かれたか
この試合後のコメントは、同じ7-2でも立場によって焦点が違う。
群馬側 勝利以上に「修正できた」意味がある
群馬にとっては、3月の前回対戦で0-5と大敗した相手へのリベンジだった。クラブ公式は、前回敗れた相手に7得点で地域リーグラウンドを締めくくったと位置づけている。
ただし、課題も残った。数的優位になりながら後半開始直後に2失点し、3-2まで迫られた点は見逃せない。小西宏登も、2失点はチームの弱みであり、修正しなければ上の相手には勝てないという趣旨のコメントを残している。
勝ったからすべて良しではない。群馬にとってこの試合の価値は、大敗した相手に戦い方を変えて勝ち切ったことと、数的優位でも緩む時間があると確認できたことの両方にある。
相模原側 退場への不満と、入りの悪さへの反省
相模原側は、綿引康の退場判定に強い不満を示している。シュタルフ監督はDOGSOの判断について疑問を呈し、試合の大きな分岐点として扱った。
一方で、沖田空は退場だけに原因を寄せていない。群馬に前線を使われ、立ち上がりから主導権を握られたことを率直に認めている。ここは相模原にとって重いポイントだ。
相模原は前へ出る強さ、左サイドから運ぶ形、奪ってからの速さを持っている。しかし、相手の前進を最初に止められないと、ハイプレスの良さが裏返ってしまう。この試合では、その弱点が大きなスコアで表に出た。
次に見るべきポイント
地域リーグラウンド最終節としては、群馬にとって勢いの出る勝利、相模原にとっては切り替えの難しい敗戦になった。順位表上では相模原が上位で最終盤を迎えていたが、7失点はプレーオフラウンドに向けた警告でもある。
今後の注目点は、次の3つだ。
- 群馬は前線を使う前進策を、数的不利ではない相手にも再現できるか
- 相模原は退場の影響を切り分けたうえで、試合の入りと背後対応を修正できるか
- 両チームとも、短期決戦で失点直後の10分をどう管理するか
7得点は派手だが、再現すべきなのはスコアそのものではない。群馬は前回対戦から戦い方を変えたこと、相模原は3-2まで戻した後に試合を落ち着かせられなかったこと。次の試合で問われるのは、そこをどちらが先に修正するかだ。
