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徳島ヴォルティスの序盤戦はルーカス頼みでは終わらない 今治戦敗戦で見えた攻撃の厚みと修正点

徳島ヴォルティスの序盤戦はルーカス頼みでは終わらない 今治戦敗戦で見えた攻撃の厚みと修正点

徳島ヴォルティスは2026年3月25日時点で、序盤戦の注目クラブのひとつだ。3月15日のカマタマーレ讃岐戦まで6試合連続得点、同時に5度のクリーンシートを記録し、攻守両面でグループ上位の数字を積み上げてきた。ただし、3月22日のFC今治戦で1-2と敗れたことで、好スタートの中身もより立体的に見えてきた。

結論から言えば、今の徳島はルーカス・バルセロスの決定力が強烈な牽引役であることは間違いない。しかし、実際の上積みを支えているのは、サイドを使った前進、2列目と最終ラインからの得点参加、そして失点を抑えて先に試合を整える運び方だ。逆に言えば、今治戦のように前半から押し返され、相手に勢いよく前へ出られた時の守備の耐性は、まだ検証が必要である。

目次

何が起きているのか

まずは直近の事実関係を整理したい。Jリーグ公式の3月8日時点順位表では、徳島は明治安田J2・J3百年構想リーグ WEST-A で5試合4勝1敗、16得点3失点で首位に立っていた。そこから3月15日に讃岐を1-0で下し、3月22日には今治に1-2で敗戦。ここまでの流れは、単なる連勝街道でも失速でもなく、「攻撃の再現性は高いが、主導権を失った試合での修正力はまだ発展途上」という見方がしっくりくる。

直近の流れを並べると、輪郭は分かりやすい。

日付対戦相手結果ポイント
2026年2月15日アルビレックス新潟4-0勝利松田佳大、ルーカス・バルセロス、宮崎純真、梶谷政仁が得点
2026年2月28日愛媛FC1-0勝利アウェイでウノゼロ、接戦を締め切る
2026年3月8日ツエーゲン金沢4-0勝利20本のシュート、複数得点者で圧倒
2026年3月15日カマタマーレ讃岐1-0勝利ルーカス・バルセロスが6試合連続得点
2026年3月22日FC今治1-2敗戦今季2敗目、前半から押し返される展開に苦戦

この並びだけでも、徳島の特徴ははっきりしている。大勝できる日がある一方で、愛媛戦や讃岐戦のように1点差を守り切る試合も作れる。つまり、派手なクラブというより、点差の作り方が複数あるクラブになっている。

深掘りしたい論点1 得点源はルーカスだが、攻撃は一点集中ではない

最も目立つのは、もちろんルーカス・バルセロスだ。Jリーグ公式の選手ページでは、3月13日更新時点で得点総数リーグ1位。さらに3月15日の讃岐戦では、Football LABのレポートとフットボールチャンネルの報道がともに、6試合連続ゴールを記録したことを伝えている。

ただ、徳島の序盤戦を「ルーカス頼み」とだけ片づけるのは雑だ。2月15日の新潟戦では松田佳大、宮崎純真、梶谷政仁も得点。3月8日の金沢戦では児玉駿斗、柳澤亘、杉本太郎もネットを揺らした。しかも金沢戦のFootball LABデータでは、徳島は20本のシュート、56.6パーセントのボール保持率を記録している。フィニッシャーがひとり抜けているのは事実でも、そこへボールを届ける経路や、相手の注意を散らす役割は複数人で担えている。

この点は、3月15日の讃岐戦の決勝点にも表れていた。フットボールチャンネルは、山田奈央のロングフィードから柳澤亘が右で受け、ラストパスを通し、ルーカスが仕留めた場面を強調している。要するに、徳島の武器は「最後にルーカスが決めること」だけではなく、その直前の前進経路をサイドに作れることだ。

深掘りしたい論点2 大勝の裏側にあるのは、押し込む時間の長さ

3月8日の金沢戦は、今の徳島を測るうえで象徴的だった。Jリーグ公式記録でも4-0、Football LABでも20本のシュート。相手に押し込まれる時間が皆無だったわけではないが、試合が進むほど相手を自陣に押し込み、複数得点へつなげた。

2月28日の愛媛戦でも、Football LAB上の保持率は45.1パーセントと突出して高くはない。それでも1-0で勝ち切っている。ここから見えるのは、徳島が「ずっと握り続けるチーム」というより、「握る時間帯を作った時に一気に試合を傾けるチーム」だということだ。

だからこそ、序盤戦の好内容は偶然ではない。新潟戦の4発、金沢戦の4発、讃岐戦のウノゼロは、それぞれ違う展開でも結果を残している。得点の形、試合運び、スコアの作り方に幅があるのは、長いシーズンでは大きい。

深掘りしたい論点3 今治戦が示したのは、先に相手へ勢いを渡した時の脆さ

一方で、3月22日の今治戦は見逃せない警告でもあった。FC今治公式の試合結果ページによれば、徳島は11本対7本でシュート数でも下回り、25分に梅木怜、48分に駒井善成の得点を許して0-2。75分にルーカス・バルセロスが1点を返したが、追いつけなかった。

ここで重要なのは、徳島が敗れた事実そのものより、どう敗れたかだ。先制され、後半立ち上がりでも失点し、追う展開で試合を組み直さなければならなくなった。これまでの徳島は、先に試合を整えて守備の安定を土台にできていた。今治戦ではその順序が崩れ、相手の圧力を受けながら追いかける側に回ってしまった。

ルーカスの連続得点はこの試合でも続いたが、それでも勝点は取れない。ここは今後の大きな論点になる。徳島の攻撃が再現性を持つことと、相手に流れを握られた試合をひっくり返せることは別問題だからだ。

立場ごとに見る評価の違い

公式記録と現場目線

Jリーグ公式やクラブ公式の試合記録を追うと、徳島の序盤戦はまず「失点の少なさ」が際立つ。3月15日の讃岐戦時点で5度目のクリーンシート、さらに毎試合得点も継続していた。現場にとっては、華やかな連続ゴール以上に、試合を壊さずに運べていた点がポジティブ材料だったはずだ。

データ・メディア目線

Football LABは金沢戦の20シュート、56.6パーセント保持、讃岐戦のクリーンシート継続を示し、数字から徳島の押し込みの強さを裏づけている。フットボールチャンネルは、3月15日の決勝点を通じて、ルーカスの決定力だけでなく、背後への走り出しとラストパスの精度にも光を当てた。メディアの見方を合わせると、徳島の序盤戦は「個の爆発」と「チームの前進手順」が噛み合っていたと言える。

対戦相手目線

一方、FC今治の倉石圭二監督は3月22日の試合後、選手が強い気持ちを持って戦い、「リスクを顧みず攻撃に参加」したことを評価した。さらに、球際やシュートブロックを含む粘り強い守備が首位相手に通用したと振り返っている。これは裏返せば、徳島対策としては、前から臆せず出て行き、徳島に先に試合を整えさせないことが有効だと示した形でもある。

今後の注目点

徳島は3月29日に高知ユナイテッドSCと対戦予定だ。ここで問われるのは、今治戦の敗戦を単発で終わらせられるかどうかである。

注目点は3つある。

  1. ルーカス・バルセロス以外の得点ルートを、再び90分の中で出せるか。
  2. 先制できない時間帯でも、試合を急ぎすぎずに押し返せるか。
  3. 相手が前から強く来た時に、中盤と最終ラインの出口をどう作るか。

序盤戦の徳島は、すでに「強い時の形」をかなり見せている。だから次に必要なのは、苦しい試合でも勝点を残すための別解だ。3月22日の敗戦は痛いが、同時にこのチームを上位候補として本当に測るための材料も増やした。今の徳島は、単なる好スタートのクラブではなく、昇格戦線を見据えて中身を吟味する価値があるチームになっている。

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