ガンバ大阪が終盤に突き放した9位決定戦、東京Vは追いつく力と守り切れない課題が同居
ガンバ大阪が2戦合計5-3で東京ヴェルディを上回り、明治安田J1百年構想リーグの9-10位決定戦を9位で終えた。第1戦は1-1、第2戦はガンバ大阪が4-2で勝利。勝敗を分けたのは、第2戦の終盤にもう一段ギアを上げられたガンバ大阪の攻撃と、東京Vが同点に戻した後の試合管理だった。
東京Vは2度追いついた。だが89分の名和田我空、90+6分の唐山翔自でガンバ大阪が突き放したことで、延長戦の可能性は消えた。
- 第1戦:ガンバ大阪 1-1 東京ヴェルディ
- 第2戦:東京ヴェルディ 2-4 ガンバ大阪
- 2戦合計:東京V 3-5 G大阪
- 最終順位:ガンバ大阪9位、東京ヴェルディ10位
- 第2戦の主役:名和田我空。16分と89分に得点し、勝負どころを決め切った
2試合の流れ:1-1から、終盤勝負を制したG大阪
まず整理したいのは、2戦制の展開だ。東京Vは第1戦を敵地で1-1に持ち込み、第2戦をホームで迎えた。条件は分かりやすく、90分で勝った方が9位。同点なら延長、さらに決着がつかなければPK戦だった。
第1戦は東京Vが粘り、決着を第2戦へ持ち越した
5月30日の第1戦は、ガンバ大阪が42分に佐々木翔悟のゴールで先制した。右CKから初瀬亮が入れたボールを池谷銀姿郎が折り返し、佐々木が合わせた形だった。
東京Vは後半開始直後の47分、福田湧矢が同点ゴール。試合は1-1で終了した。
スタッツを見ると、シュート数はガンバ大阪6本、東京V9本。東京Vは終盤にも齋藤功佑、森田晃樹らがシュートまで持ち込み、城福浩監督も試合後に「ラスト20分ぐらい」は自分たちの時間が来たという趣旨の振り返りをしている。
第2戦は東京Vが追いつくたび、G大阪が取り返した
6月6日の第2戦は、得点経過だけでも試合の揺れが見える。
- 16分:名和田我空が先制、G大阪が0-1
- 45+1分:オウンゴールで東京Vが1-1
- 49分:中野伸哉が勝ち越し、G大阪が1-2
- 82分:オウンゴールで東京Vが2-2
- 89分:名和田我空が勝ち越し、G大阪が2-3
- 90+6分:唐山翔自が追加点、G大阪が2-4
東京Vはセットプレー絡みで2度追いついた。特に82分の同点で、延長戦の空気は現実味を帯びた。ところが、そこからG大阪が再び前へ出た。89分、岸本武流の右サイド突破から名和田が右足で勝ち越し。さらに唐山が終了間際に決め、2戦合計を5-3まで広げた。
勝敗を分けた要因:G大阪は若い前線が最後まで効いた
第2戦のスタッツは東京Vのシュート9本に対し、G大阪は12本。CKは東京Vが5本、G大阪は0本だった。東京Vはセットプレーで押し返す材料を持っていた一方、G大阪は流れの中で決定機を作り続けた。
ここがポイント: 東京Vは追いつく手段を持っていたが、G大阪は追いつかれた後にもう一度点を取りに行ける選手配置と走力を残していた。
名和田我空の2得点が、試合の意味を変えた
ガンバ大阪で最も大きかったのは、MF38名和田我空の2得点だ。
16分の先制点は、リスタートから當野泰生が受け、走り込んだ名和田へ丁寧につないだ場面。89分の勝ち越し点は、岸本武流が右サイドを縦に破り、グラウンダーのクロスを名和田が仕留めた。
同じ名和田のゴールでも、意味は違う。
- 16分:第2戦の主導権を先に取るゴール
- 89分:東京Vの同点ムードを断ち切るゴール
特に89分の得点は、延長戦に向かいかけた試合を90分内で終わらせた。2戦制ではこの差が重い。
G大阪の交代策は終盤の強度につながった
ガンバ大阪は57分に當野泰生から中村仁郎、67分に佐々木翔悟から唐山翔自、奥抜侃志から丸岡海太へ交代。84分には吉原優輝に代えて藤本祥輝を投入した。
唐山は90+6分にゴール。名和田からのパスを受け、冷静に流し込んだ。これは単なるダメ押しではなく、東京Vが最後の反撃に出る時間を消す一撃だった。
イェンス・ヴィッシング監督は試合後、若い選手を長く見られたこと、勇敢にプレーできたことを評価している。実際、G大阪は第2戦で17人のベンチ入りにとどまったが、終盤に点を取り切った。人数の少なさより、ピッチに立った選手の役割遂行が目立った試合だった。
東京Vの評価:2度追いついたが、最後の7分を耐え切れなかった
東京Vにも見せ場はあった。第2戦でCK5本を得て、45+1分と82分に追いついたことは、試合を投げ出さない強さの表れだ。
ただし、2-2にした後の時間帯で勝ち越しを許した。ここがこのレビューの核心になる。
セットプレーは武器になった
東京Vは第2戦でCK5本。G大阪はCK0本だった。数字だけを見れば、東京Vは相手陣でプレッシャーをかけ、セットプレーを得るところまでは作れていた。
45+1分は平川怜のクロスがゴール前に入り、混戦からオウンゴール。82分も森田晃樹のFKがゴール前へ入り、相手のクリアがオウンゴールになった。
いずれも公式記録上はオウンゴールだが、東京Vがゴール前にボールを入れたから起きた得点だった。問題は、その後に試合を落ち着かせられなかったことだ。
守備の粘りと終盤の失点が同じ試合に出た
第1戦の東京Vは、前線からのプレッシャーと粘り強い守備で1-1に持ち込んだ。齋藤功佑、福田湧矢、平川怜のコメントにも、守備から立て直した感触が出ていた。
しかし第2戦は、89分と90+6分に連続失点。第1戦で見えた「耐えて自分たちの時間を作る」流れを、第2戦の最後まで再現できなかった。
東京Vにとって次に残る課題は明確だ。
- 追いついた直後の守備配置
- サイドを破られた後の中央の埋め方
- 終盤に前へ出る時間と、延長を見据えて整える時間の使い分け
2-2にした82分から89分までの7分間が、9位と10位を分けた。
両監督・周辺評価から見える論点
この2試合は、同じ「若さ」や「強度」でも、両チームで意味が違った。
G大阪側:若手起用が結果に直結
ヴィッシング監督は第2戦後、チームが勇敢にプレーしたこと、出場機会の少なかった若い選手がJリーグの中で長い時間プレーできたことを前向きに捉えている。名和田についても、ボールを扱う質に加えて、直近数週間でフィジカル面や守備対応が向上したという見方を示した。
実際、名和田は2得点、唐山は途中出場から1得点。G大阪にとっては、9位という順位そのもの以上に、次のシーズンへ向けて使える材料を増やした試合になった。
東京V側:第1戦の手応えを第2戦の結果に変えられず
東京Vは第1戦後、城福監督が守備の集中や選手の姿勢を評価しつつ、決め切れなかった点を改善点に挙げていた。選手コメントでも、前線からのプレスや守備の連動には手応えが語られていた。
第2戦でも追いつく力は見せたが、最後に勝ち越すところまでは届かなかった。東京Vに必要なのは、良い時間帯を作ることに加えて、その時間帯で勝ち越し点まで取り切る精度だ。
最終順位と今後の見方
Jリーグ公式の順位表では、明治安田J1百年構想リーグの最終順位はガンバ大阪が9位、東京ヴェルディが10位となった。大会特設ページでも、このプレーオフラウンドは9-10位決定戦として位置付けられている。
この結果は降格を伴うものではない。それでも、2026/27シーズンへ向けた見方には影響する。
ガンバ大阪の注目点
- 名和田我空をどの位置、どの役割で継続起用するか
- 中野伸哉、唐山翔自ら得点に絡んだ選手をリーグ本番でどう組み込むか
- ヴィッシング監督が語った「チャンス数」を、実際の得点にどこまで変えられるか
第2戦のG大阪は、CK0本でも4点を取った。流れの中で相手を動かし、サイドから最後に中央を刺す形は次にも持ち込みたい材料だ。
東京Vの注目点
- 終盤に追いついた後の守備設計
- セットプレーで得点を呼び込む力を、流れの中の決定機にも広げられるか
- 染野唯月、福田湧矢、森田晃樹ら攻撃陣が、押し込む時間帯で勝ち越し点を奪えるか
東京Vは2戦を通じて、守備の強度とセットプレーの圧力を示した。一方で、合計5失点は見過ごせない。次に見るべきなのは、追いつく力ではなく、追いついた後に相手を止める力だ。
