セレッソ大阪はマチン新監督でどう変わる? 3バックより先に見るべき「中央と幅」の再設計
セレッソ大阪の変化を読む鍵は、単純な「4バックから3バックへの変更」ではない。中央に人数を集めながら、両サイドの幅を誰が担うのか。パブロ・マチン新監督が最初に整理すべきポイントはそこにある。
アーサー・パパス前監督の下で築いた攻撃的な土台を残せれば、全面的な作り直しは必要ない。一方、配置だけを急いで変えれば、前線と中盤の距離が開く危険もある。
- マチン監督は2026/27シーズンから就任
- 過去のジローナでは3センターバックとウイングバックを継続的に採用
- セレッソにはゼロトップや「ダブル10番」を使った攻撃の蓄積がある
- 開幕直後はシステム名より、中央への入り方と攻守の切り替えに注目したい
何が起きたのか
セレッソ大阪は2026年7月3日、アーサー・パパス監督の退任と、パブロ・マチン氏の監督就任を発表した。クラブによると、マチン氏はビザ取得後に正式契約を結ぶ。
マチン監督はスペインのジローナをトップリーグ昇格へ導き、2017/18シーズンにはラ・リーガ10位に入った。その後はセビージャ、エスパニョール、アラベスなどを指揮。セレッソが発表した経歴からも、異なる戦力と環境でチームを率いてきた経験の長さが分かる。
前任のパパス監督は退任時、クラブに「2年間で築き上げた土台」があるとコメントした。新監督の仕事は、その土台を捨てることではなく、どこを残し、どこに自らの原則を加えるかを見極めることになる。
ここがポイント: 監督交代の焦点は3バックを採用するかどうかではなく、パパス体制の攻撃性を保ったまま、中央とサイドの役割を再整理できるかにある。
マチン流の核は「3バック」だけではない
マチン監督のジローナは、3人のセンターバックと2人のウイングバックを置く形で明確な個性を示した。ただし、形だけをコピーしても狙いは再現できない。
後方で数的優位をつくる
ラ・リーガ公式の分析では、当時のジローナは3センターバックによって守備時だけでなく、後方から攻撃を始める場面でも人数を確保していた。
この仕組みが機能すれば、相手の前線が2人でも慌てずにボールを動かしやすい。空いたセンターバックが前へ運べれば、中盤の選手を一列押し上げることもできる。
ただし、後方に人数を残しすぎると攻撃側が不足する。セレッソでは、3人のうち誰が持ち上がるのか、ボランチがどの高さで受けるのかが重要になる。
幅をウイングバックに任せる
マチン監督のジローナでは、ウイングバックがタッチライン際の幅を担当した。外側に選手を固定することで相手守備を横へ広げ、中央へ複数の選手が入るスペースをつくる設計だ。
ここで問われる役割は明確だ。
- ウイングバックが高い位置まで繰り返し進出できるか
- ボールと逆側の選手がゴール前へ入れるか
- クロスを上げる場面で中央に複数の受け手を置けるか
- ボールを失った直後、空いたサイドを誰が埋めるか
幅を取るだけでは足りない。幅を使って中央をどう空けるかまでがセットになる。
パパス体制の蓄積はどう生かせるか
セレッソは前体制でも、決まった並びだけで攻撃していたわけではない。
クラブ公式の試合プレビューでは、2026年の公式戦で柴山昌也と本間至恩を前線に置くゼロトップを採用し、「ダブルボランチ、ダブル10番」で試合をコントロールしようとした経緯が紹介されている。前線の選手が下がり、中盤と近い距離でボールを動かす発想だ。
この蓄積はマチン監督の配置にも接続できる。ウイングバックが外側を取れば、攻撃的な中盤は中央やハーフスペースへ入りやすい。前線の選手が相手センターバックを引きつければ、後方から走り込む選手の通路も生まれる。
一方で、注意したいのは攻撃の出口だ。ゼロトップは中盤で優位をつくりやすいが、ゴール前に誰も残らなければ最後のパスが通らない。マチン監督が過去に用いた、中央のFWが相手最終ラインを固定する考え方とは役割が異なる。
新体制では、次の二つをどう使い分けるかが焦点になる。
- FWを中央に残し、ウイングバックからクロスを供給する形
- 前線が下がって相手を動かし、2列目が背後へ入る形
クラブと周辺評価の見方
立場によって、新監督に期待する内容は少し異なる。
クラブが示したもの
クラブの就任発表で、マチン監督は全員で結果を残すために全力を尽くすと述べた。一方、発表時点では具体的なシステムや起用方針までは示していない。
したがって、過去の3バックをそのまま採用すると断定するのは早い。監督の経歴は有力な手掛かりだが、実際の答えはセレッソの選手構成と開幕後の配置に表れる。
スペインでの評価
ラ・リーガ公式は、マチン監督時代のジローナについて、組織性と独自の配置を成功の要因として挙げた。UEFAも、同監督がジローナを昇格へ導いた後、初のトップリーグで10位に入った実績を紹介している。
つまり評価されたのは奇抜な並びではない。選手の役割を明確にし、昇格直後のクラブを競争力のある集団へまとめた点だ。セレッソでも問われるのは、過去の再現より、現在の選手に合う役割分担を早く見つけられるかどうかになる。
開幕後に確認したい4つの変化
2026/27シーズンのJ1は8月に開幕する。準備期間が限られるため、完成形を初戦から求めるより、原則がどこまで共有されているかを見たい。
注目点は次の4つだ。
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最終ラインの人数
3人で始めるのか、4バックから保持時だけ3人へ変化するのか。 -
サイドの立ち位置
ウイングバックまたはサイドバックが高い位置を取り、相手を横へ広げられているか。 -
中央の人数と距離
前線と中盤が離れず、短いパスと背後への走り込みを両立できているか。 -
ボールを失った直後の対応
高い位置を取ったサイドの背後を、センターバックと中盤が素早く埋められるか。
最大の見どころはフォーメーション表ではない。ボールが外へ出た瞬間、中央に何人が入り、失った瞬間に誰が戻るのか。そこにマチン新体制の設計が最もはっきり表れる。










