清水対長崎、天皇杯は清水がやや優勢か 3連勝の裏に残る「前半」の不安
清水は千葉戦で先制されながら後半に逆転し、続く金沢戦も後半の2得点で勝った。勝利を重ねる一方、試合の入りには課題が残っている。
2026年10月7日の天皇杯3回戦、清水エスパルス対V・ファーレン長崎はどちらが勝つのか。直近の公式戦3連勝と日本平開催を踏まえ、清水がやや優勢と予想する。 ただし、代表活動や選手の状態によって前線の組み合わせが変わる可能性があり、清水が前半から主導権を握れるかによって、その評価は変わりそうだ。
長崎も直近のリーグ戦2試合では負けていない。直前のカップ戦の結果だけで、両チームの状態に大きな差があると判断するのは早い。
この記事では、次の3点を整理する。
- 直近5試合の勝敗と得失点、リーグ戦に絞った場合の違い
- 清水の攻撃配置と前半の課題、長崎が狙える勝ち筋
- 代表活動と選手ごとの状態を踏まえた先発の見通し
対象は2026年10月7日、J1同士の日本平決戦
カテゴリー差を前提にした予想が当てはまらない、J1同士の一戦だ。
天皇杯3回戦の清水対長崎は、10月7日(水)19時、IAIスタジアム日本平で開催予定。JFAの試合情報では両クラブともJ1と記載され、長崎も同じ日時と会場を案内している。JFAの試合情報、長崎の開催案内
ここでは10月6日時点の試合前情報を基に、所属カテゴリーよりも直近の結果、ホームとアウェーの違い、起用する選手の組み合わせを重く見る。
直近5試合は清水3勝、長崎2勝。ただしリーグ戦だけなら差は小さい
清水の上向きな結果は予想の根拠になるが、勝利数だけでは長崎との差を測り切れない。
両クラブの公式日程・結果を基に、トップチームの直近5試合を並べた。スコアは各クラブ側を先に記し、U-21の試合は含めていない。
清水:3勝1分1敗、7得点5失点
- 9月2日/J1・FC東京戦:1-1
- 9月6日/J1・川崎フロンターレ戦:1-3
- 9月12日/J1・アビスパ福岡戦:1-0
- 9月19日/J1・ジェフユナイテッド千葉戦:2-1
- 9月29日/ルヴァンカップ・ツエーゲン金沢戦:2-0
長崎:2勝1分2敗、5得点6失点
- 9月6日/J1・ヴィッセル神戸戦:1-3
- 9月9日/ルヴァンカップ・高知ユナイテッドSC戦:1-0
- 9月12日/J1・名古屋グランパス戦:2-0
- 9月19日/J1・セレッソ大阪戦:1-1
- 9月29日/ルヴァンカップ・ガイナーレ鳥取戦:0-2
清水は最後の3試合で5得点1失点、長崎は同期間の3試合で3得点3失点。リーグ戦での連勝をカップ戦にもつなげた清水には、前向きな材料がある。清水の公式日程・結果、長崎の公式日程・結果
リーグ戦5試合では、両チームとも2勝1分2敗
同じ大会で比較すると、見え方は変わる。
清水は柏戦から千葉戦までの5試合で5得点6失点。長崎はFC東京戦からC大阪戦までの5試合で6得点9失点だった。勝敗は同じで、清水のほうが失点は少ない。 ただし、対戦相手と開催地が異なるため、その差をそのまま実力差にはできない。清水の公式日程・結果、長崎の公式日程・結果
長崎は直近のリーグ戦で名古屋に完封勝ちし、C大阪とも引き分けた。清水は今季、名古屋に1-0で勝ち、C大阪には0-1で敗れている。共通の相手との結果からも、長崎を軽視することはできない。
対戦時期やホーム・アウェーの違いに加え、相手の順位による補正もしていない。数字は清水寄りの材料になるが、決定的な差とまでは言えない。
清水の勝ち筋は、前線への配球とゴール前に入る人数
清水はボールを持つだけでなく、受け手が前へ出ることで得点機会を増やせるかが重要になりそうだ。
福岡戦では、ジャーメイン良を右サイド、嶋本悠大をより前の位置で起用した。吉田孝行監督は、中盤の負傷者事情と、嶋本の前へ出る力を生かす意図を説明している。決勝点は71分の嶋本のゴールだった。清水公式・福岡戦レポート
ただし、この試合の配置をそのまま長崎戦にも当てはめることはできない。今回の起用が変わっても、前線でボールを受ける選手と、その周囲からゴール前へ入る選手を組み合わせられるかが鍵になる。
最初の競り合いだけでなく、次のボールを拾って再び攻められれば、清水の攻撃は続きやすくなる。
千葉戦では、47分に松崎快、71分にオ・セフンが得点して逆転。松崎の左インサイドハーフ起用には、ライン間でのプレーと得点への期待があった。清水公式・千葉戦レポート
松崎が内側から攻撃に関われば、長崎はサイドと中央でマークを受け渡す必要がある。その判断が遅れたところへ、清水が走り込めるかを見たい。
得点者は分かれたが、先発変更の影響は残る
直近3試合の得点者は、嶋本、松崎、オ・セフン、北川航也。松崎は千葉戦と金沢戦で続けて得点している。福岡戦レポート、千葉戦レポート、金沢戦レポート
得点が一人に集中していない点は清水の強みだ。ただし、直近の得点者が全員そろうことを前提にはできない。天皇杯で誰を起用するかによって攻撃の形は変わるため、ボールを受ける役割と、その先へ走る役割がそろうかが大切になる。
清水の3連勝には、長崎が突ける前半の課題もある
清水優勢の予想を最も揺さぶるのは、試合の入りで再び後手に回る展開だろう。
金沢戦は2-0で勝ったものの、吉田監督は前半の出足や競り合いを厳しく評価した。足元で受ける動きに偏り、背後へ走る選手が少なかったことも課題に挙げている。清水公式・金沢戦レポート
千葉戦でも、前半はセカンドボールへの反応で相手に上回られ、先制を許した。後半に立て直して勝つ力は見せているが、最初から同じ強度でプレーできるかは、引き続き注目点になる。清水公式・千葉戦レポート
長崎は、清水に後半の修正だけで済ませない展開を作れるか
長崎の勝ち筋として考えられるのは、清水の受け手へ素早く寄せ、奪った直後にゴールへ向かう展開だ。背後への動きが少なければ、守備側は目の前の相手へ圧力をかけやすい。
高木琢也監督はC大阪戦後、高い位置からボールを奪う守備がチームのベースとしてできてきたと説明している。清水の立ち上がりに圧力をかける戦い方は、長崎の積み上げとも重なる。ただし、今回の具体的な守備配置やプレスの高さは、先発と試合展開を見て判断したい。長崎公式・C大阪戦の試合情報とコメント
鳥取戦後には、攻撃を連続させられなかった点を課題として挙げ、天皇杯へ反省を生かす考えを示した。清水から奪ったボールを一度の攻撃で終わらせず、押し込む時間を作れるかも重要になる。長崎公式・鳥取戦の試合情報とコメント
長崎が先制できれば、清水は早い段階から追いかける必要がある。後半の修正を待つだけでは済まない展開へ持ち込めるかが、予想を覆す鍵だ。
チームは中7日でも、代表組の休養条件は異なる
両チームの直前のトップチーム公式戦は9月29日で、今回の天皇杯までは中7日。 清水は10月11日に水戸、長崎は同日に千葉とのアウェー戦を控えている。清水の公式日程、長崎の公式日程
ただし、クラブの試合間隔と、選手一人ひとりの休養期間は同じではない。代表活動に参加した選手については、試合負荷や移動も考える必要がある。
オ・セフンは韓国代表に選出されており、清水の公式発表には10月6日20時、韓国・龍仁でのウズベキスタン戦が記載されている。韓国サッカー協会も同じ試合日程を案内している。天皇杯の前夜まで代表戦の日程があるため、移動と回復の時間を考えると、翌7日の先発は想定しにくい。今回はオ・セフンを先発予想から外し、不在を前提に前線を考える。 欠場が正式発表されたという意味ではなく、代表日程を踏まえた見立てだ。清水公式・オ・セフンの韓国代表選出のお知らせ、韓国サッカー協会・代表試合日程
嶋本悠大は、10月3日まで開催されたアジア競技大会の日本代表メンバーとして、JFAの試合情報に名前が掲載されている。大会終了から天皇杯までは短く、クラブが中7日だからといって、十分に休養できたとは限らない。今回は先発に含めず、起用される場合も途中出場を中心に考えたい。これは大会日程を踏まえた予想であり、ベンチ入りや出場時間が決まっているわけではない。JFA・アジア競技大会の試合情報
次のリーグ戦までは中3日となる。代表組に限らず、選手ごとの状態を見ながら先発や交代で負担を調整する可能性がある。
両チームの先発の見通し
直近のリーグ戦の起用を土台にしつつ、清水は代表活動の影響を織り込む。以下は公式発表された先発ではなく、過去の起用と日程を基にした予想だ。配置も想定であり、攻守で立ち位置が変わる可能性がある。
清水:北川を前線の軸に。残る組み合わせは流動的
想定する基本配置は4-3-3。守備陣と中盤は千葉戦の先発を土台とし、前線は金沢戦で得点した北川航也を軸に考える。オ・セフンを起点とする配置からは変更が必要になりそうだ。
| 位置 | 先発の見通し |
|---|---|
| GK | 梅田透吾 |
| DF | 須貝英大、住吉ジェラニレショーン、本多勇喜、マテウス・ブルネッティ |
| MF | ウォン・ドゥジェ、弓場将輝、松崎快 |
| FW | 北川航也、井上健太を軸に予想。木下康介 |
前線の最後の1枠は、当日の状態と松崎の配置次第で変わる。松崎を前線へ動かす場合は中盤の構成も変わるため、現時点では11人を固定せず、北川の周囲に誰を置くかを注目点としたい。清水公式・千葉戦の先発一覧、清水公式・金沢戦レポート
ジャーメイン良は、先発・途中出場を含む今回の起用予想には含めない。負傷の有無や欠場を断定できる公式発表は確認できていないものの直近の様子から負傷していた可能性もあるため、実際の出場可否は当日のメンバー発表を待ちたい。
嶋本も先発には含めず、大会後の回復状況を踏まえた途中出場の可能性として見る。練習参加の有無だけで、先発できる状態かどうかを判断することはできない。
清水にとっては、前線で収める役割を誰が担い、その周囲から誰が走るかが重要になる。北川の動き出しや松崎のライン間でのプレーを生かし、オ・セフンがいない場合にも攻撃をつなげられるかを見たい。
長崎:リーグ戦の主力中心。一部変更の可能性も
想定する基本配置は3-4-2-1。C大阪戦の先発を軸に、守備の土台を保つ形を予想する。
| 位置 | 予想先発 |
|---|---|
| GK | 後藤雅明 |
| DF | 進藤亮佑、新井一耀、江川湧清 |
| 両サイド | 米田隼也、翁長聖 |
| 中央のMF | 山口蛍、山田陸 |
| 前線の2人 | マテウス・ジェズス、長谷川元希 |
| FW | チアゴ・サンタナ |
この11人は、9月19日のC大阪戦の先発メンバー。直近のリーグ戦では1勝1分と結果を残しており、全面的に組み替えるよりも、この組み合わせを土台にすると見る。長崎公式・C大阪戦の先発一覧
ただし、鳥取戦の敗戦を受けて、一部の起用を見直す可能性はある。鳥取戦ではディエゴ・ピトゥカと岩崎悠人が先発しており、中盤やサイドの候補になる。GKも同試合で先発した波多野豪を継続する選択肢がある。長崎公式・鳥取戦の先発一覧
長崎は「結果が出ていないから大幅変更」とまでは予想しない。リーグ戦の良い部分を残しつつ、直前の敗戦で課題が出た場所を調整するかが注目点だ。
先発発表では、次の組み合わせを確かめたい。
- 清水:北川の周囲に、背後やゴール前へ走る選手をどう配置するか
- 清水:中央のセカンドボールを誰が回収するか
- 長崎:前線のプレスと、その後ろでこぼれ球を拾う中盤をどうつなぐか
予想は清水がやや優勢。前線の組み合わせと長崎の先制で評価は変わる
勝敗の見通しは清水寄りだが、大差の勝利を想定できる材料まではそろっていない。
公式戦3連勝、直近リーグ戦5試合での失点の少なさ、日本平開催を合わせ、清水がやや優勢と予想する。ただし、オ・セフンの代表日程や嶋本の大会後の負担を考えると、直近の得点者がそろうことを前提に評価を上げるのは慎重でありたい。
前線の組み合わせが変わっても、配球に加えてゴール前へ入る動きを出せれば、清水は勝利に近づくだろう。一方、長崎も直近のリーグ戦では1勝1分。清水の前半の課題を突いて先制できれば、清水寄りの見通しは弱まる。鳥取戦の敗戦だけで、長崎の勝機を小さく扱うべきではない。
試合の分岐点は、次の3つに絞れる。
- 清水は足元へのパスに加え、相手の背後へ走る動きを出せるか
- 中央の競り合いの後、次のボールをどちらが回収するか
- 長崎は清水の立ち上がりを突き、先制点までつなげられるか
清水の連勝が続くかどうかは、後半の修正力だけでなく、前半から相手を動かせるかにかかる。最初に注目したいのは、ボール保持の長さよりも、パスを出した先で誰が前へ走っているかだ。
参照リンク
- JFA・第106回天皇杯3回戦 清水エスパルス対V・ファーレン長崎
- V・ファーレン長崎・天皇杯3回戦 試合日程決定のお知らせ
- 清水エスパルス・試合日程・結果
- V・ファーレン長崎・試合日程/結果
- 清水エスパルス・福岡戦レポート(9月12日)
- 清水エスパルス・千葉戦レポート(9月19日)
- 清水エスパルス・千葉戦の試合情報と先発一覧
- 清水エスパルス・金沢戦レポート(9月29日)
- 清水エスパルス・オ・セフンの韓国代表選出のお知らせ
- 韓国サッカー協会・代表試合日程
- JFA・アジア競技大会 日本代表の試合情報
- V・ファーレン長崎・C大阪戦の試合情報(9月19日)
- V・ファーレン長崎・鳥取戦の試合情報(9月29日)
