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なぜジュビロ磐田は低迷しているのか?清水エスパルスとの比較

なぜジュビロ磐田は低迷しているのか?清水エスパルスとの比較

ジュビロ磐田の低迷を一言でいえば、「昇格を争える攻撃」はあっても、「J1で勝ち点を積める守備と試合管理」が続いていないことに尽きます。2023年に同じJ2を戦った清水エスパルスと比べると、その差は得失点だけではなく、ボール保持、パス本数、前進の質、そしてクラブ全体の安定感に表れています。

結論を先に言うと、磐田は2023年に勝ち切って昇格したものの、2024年J1では守備が崩れ、2026年3月時点でも90分で勝ち切れない流れを断ち切れていません。一方の清水は2023年に自動昇格を逃しながらも、2025年J1では中位下位ながら「J1で戦える形」を数字として残しました。

目次

まず押さえたい事実関係

比較対象順位勝点得点失点得失点
2023年J2 ジュビロ磐田2位757444+30
2023年J2 清水エスパルス4位747834+44
2024年J1 ジュビロ磐田18位384768-21
2025年J1 清水エスパルス14位444151-10

ここで重要なのは、2023年J2では磐田が上、清水が下だったのに、内容面では清水のほうが得失点差で大きく上回っていた点です。磐田は勝点1差で自動昇格をつかみましたが、翌2024年J1では失点68でリーグワーストタイに沈みました。対して清水は2025年J1で14位と決して成功一色ではないものの、失点51、得失点差-10にまとめています。

データで見る「磐田が苦しい理由」

1. 2023年J2の時点で、磐田は「圧倒的な昇格チーム」ではなかった

2023年J2の最終成績だけを見ると、磐田は2位で清水は4位です。ただし中身を見ると、清水は得点78でリーグ2位、失点34で上位級、得失点差は+44でした。磐田は得点74、失点44、得失点差+30です。

つまり、シーズン全体の支配力は清水のほうが高かったのに、清水は引き分けの多さで自動昇格を逃し、磐田は勝点管理で上回ったという構図でした。これは磐田の勝負強さとして評価できる一方で、「J1基準の完成度が高かった」とまでは言いにくい昇格でもありました。

実際、2023年の静岡ダービーでも傾向は見えます。3月18日のエコパでは磐田がシュート6本に対し清水は19本で、試合は2-2。10月7日のアイスタでは清水が1-0で勝ち、シュート数も10対8で上回りました。ダービー単体でも、清水のほうが押し込む時間は長かったと言えます。

2. 2024年J1の磐田は「点は取れるが、守れない」

2024年J1の磐田は18位で降格。ただし攻撃が完全に機能不全だったわけではありません。チーム得点47はリーグ13位、シュート決定率10.8%はリーグ8位で、ジャーメイン良は19得点を記録しました。

問題は守備です。失点68はリーグワーストタイ。さらに平均ボール支配率43.1%は19位、1試合平均パス数356.1本は17位でした。つまり、前線の決定力に頼って点は取れても、ボールを持って試合を落ち着かせる時間が短く、相手に押し返される構図が続いたわけです。

タックル総数665はリーグ4位でしたが、これは守備強度の高さというより、守備局面の多さを示す数字として読むべきでしょう。守る回数が増えれば、いずれほころびます。2024年の磐田はまさにその形でした。

3. 2026年3月時点でも、90分で勝ち切る形はまだ弱い

Jリーグ公式で結果を確認できた2026年のリーグ戦序盤4試合は以下の通りです。

日付対戦結果
2026年2月15日FC岐阜 vs ジュビロ磐田2-1で敗戦
2026年2月21日ジュビロ磐田 vs 松本山雅FC1-2で敗戦
2026年2月28日ジュビロ磐田 vs 福島ユナイテッドFC0-0、PK勝ち
2026年3月7日藤枝MYFC vs ジュビロ磐田1-1、PK負け

この4試合だけで見ると、90分では未勝利、3得点5失点です。もちろんサンプルはまだ小さいですが、少なくとも「試合を支配して安全に勝つ」状態には達していません。2024年J1で露呈した不安定さが、形を変えて残っていると見るのが自然です。

なお、2026年3月14日の北海道コンサドーレ札幌戦はJリーグ公式の検索画面で対戦カードまでは確認できたものの、執筆時点で結果反映を確認できなかったため、本稿では確定情報として扱っていません。

清水エスパルスとの比較で見える差

1. 清水は2023年に取りこぼしたが、土台の数字は強かった

2023年J2で清水は4位に終わりましたが、得点78、失点34、得失点差+44は磐田を上回りました。つまり、勝点の積み方に課題はあっても、チームの総合力そのものは高かったわけです。

この差は大きいです。昇格を逃したとしても、翌年以降に再現しやすい土台があれば修正が利きます。逆に、勝点は積めても内容が不安定なまま昇格すると、J1で一気に苦しくなります。磐田の2024年は後者でした。

2. 清水の2025年J1は、順位以上に「J1仕様」の数字だった

2025年J1の清水は14位、勝点44で、余裕の残留とは言えません。ただ、内容面では磐田の2024年より明確にJ1向きでした。

主な数字は以下の通りです。

指標2024年J1 磐田2025年J1 清水
順位18位14位
勝点3844
得点4741
失点6851
平均ボール支配率43.1%50.5%
1試合平均パス数356.1本476.3本
パス成功率参照値未確認79.2%
1試合平均スルーパス数参照値未確認16.1本
ドリブル総数参照値未確認483
シュート決定率10.8%8.7%

清水は決定率自体は高くありませんでした。それでも、平均ボール支配率50.5%、1試合平均パス数476.3本、パス成功率79.2%、1試合平均スルーパス数16.1本、ドリブル総数483はいずれも上位クラスです。

要するに、清水は「決め切れない試合」はあっても、J1の中で自分たちの前進方法を持っていました。磐田の2024年は、決定力が落ちた試合でそのまま苦しくなる構造でしたが、清水は形そのものは維持できていた。この差は小さくありません。

3. オフ・ザ・ピッチでも差がある

クラブの地力という面でも、清水は優位な材料があります。Jリーグ公式のクラブページによると、ホームスタジアムの入場可能数は清水のIAIスタジアム日本平が19,594人、磐田のヤマハスタジアムが15,165人です。スタジアム規模の差は、そのまま入場料収入やスポンサー露出の上限差につながりやすいです。

さらに清水は2025年10月30日のクラブ公式案内で、2025シーズンのホーム平均入場者数が「2000年以降で過去最多記録を更新する見込み」と発信しました。集客の熱量が高く、J1の舞台でクラブの経営体力を押し上げやすい環境にあることは、長期戦では無視できません。

立場ごとの見方を整理する

データから見る立場

データ重視で見ると、磐田の問題は「たまたま弱い」ではなく、「攻撃の効率に対して守備と保持の再現性が足りない」ことです。2024年J1の失点68、支配率43.1%、パス数356.1本は、単なる不運では説明しにくい数字です。

クラブ発信から見る立場

2025年1月の新体制発表で、藤田俊哉スポーツダイレクターは「明らかな目標はJ2優勝、そしてJ1復帰」と述べ、ジョン・ハッチンソン監督も「これから長く続いていくフットボールを構築していく」と話しました。クラブ側も短期の昇格だけでなく、継続可能な土台づくりを意識していたことが分かります。

ただし現実には、2024年の得点源だったジャーメイン良が移籍し、その穴埋めも含めて再構築は簡単ではありませんでした。言い換えると、磐田は毎年の入れ替えの中で「積み上げ」を作り切れていないのです。

地元報道から見る立場

地元報道は、磐田の試合を「6ポイントマッチでの逆転負け」や「下位相手への取りこぼし」といった文脈で繰り返し報じています。これは感情論ではなく、残留争いや昇格争いで必要な勝点を直接落としているという事実の指摘です。

2024年7月20日の京都サンガF.C.戦は、残留争いの直接対決で1-2の逆転負け。2025年4月29日のレノファ山口FC戦も、下位相手に0-1で敗れています。シーズンを左右する試合で勝ち切れないことが、磐田の低迷を単発ではなく連続したものにしています。

では、磐田は何を変えるべきか

清水との比較から見えてくる改善点は、かなりはっきりしています。

  1. まず必要なのは、得点力の上積みより失点の圧縮です。2024年J1の47得点は残留不可能な数字ではありませんでした。68失点が重すぎました。
  2. 次に、ボール保持を目的化せず、「前進の再現性」を作ることです。清水は2025年にパス数、支配率、スルーパス数でJ1水準を残しました。磐田もJ1で戦うなら、偶発的なカウンター頼みから抜ける必要があります。
  3. 最後に、昇格をゴールにしない編成です。2023年の磐田は昇格には成功しましたが、J1残留用のチームにはなり切れていませんでした。清水の2025年は完璧ではないにせよ、少なくとも「J1で戦うための数字」を残しています。

まとめ

ジュビロ磐田が低迷している最大の理由は、クラブ規模や気迫の問題というより、昇格争い仕様のチーム作りとJ1残留仕様のチーム作りがつながっていないことです。2023年J2では勝点管理で上回ったものの、2024年J1では守備と保持の弱さが露呈しました。2026年3月時点でも、その不安定さはまだ解消されたとは言えません。

一方の清水エスパルスは、2023年に自動昇格を逃しながらも、2025年J1では保持と前進の数字を残し、順位以上に「J1に残るための形」を示しました。磐田が清水との差を縮めるには、昇格だけを追うのではなく、J1で再現できる守備と保持を先に作ることが必要です。

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