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高知と松本の開幕戦はなぜ0-0に終わったのか――枠内シュートと後半の停滞が示すもの

高知ユナイテッドSCと松本山雅FCが開幕戦で競り合うイメージ。

高知と松本の開幕戦はなぜ0-0に終わったのか――枠内シュートと後半の停滞が示すもの

開始2分、佐々木敦河が枠内シュート。続く3分には松本山雅FCの安永玲央、6分には高知ユナイテッドSCの七牟禮蒼杜もゴールを狙った。それでも、最後までスコアは動かなかった。

2026年8月8日の明治安田J3リーグ第1節は、高知と松本が0-0で引き分けた。最大の要因は、両チームが前半に作った枠内シュートを得点へ変えられず、後半には決定機の数そのものが減ったことにある。

この記事で分かることは次の3点だ。

  • 前半は互いに4本の枠内シュートを記録した
  • 高知は前半の保持、松本は終盤のシュート数で上回った
  • 交代後も攻撃の量を大きく増やせず、0-0が固定された
目次

公式記録で押さえる試合結果

両チームは開幕節で勝点1を分け合い、得点者も退場者も出なかった。

  • 大会:2026/27明治安田J3リーグ 第1節
  • 開催日:2026年8月8日(土)
  • キックオフ:19時03分
  • 会場:GIKENスタジアム
  • 結果:高知ユナイテッドSC 0-0 松本山雅FC
  • 前半:0-0
  • 後半:0-0
  • 入場者数:2,830人
  • 天候:晴れ
  • 気温/湿度:27.8℃/73%

高知は下平隆宏監督の初陣。松本は石﨑信弘監督が引き続き指揮を執った。先発は高知が4バック、松本が3バックを基礎とする顔ぶれだった。

先発メンバー

高知はGK猪瀬康介、DF上月翔聖、小林大智、濱託巳、藤森隆汰、MF高野裕維、佐々木敦河、田中稔也、三好麟大、佐藤丈晟、FW七牟禮蒼杜が先発した。

松本はGK小林将天、DF白井達也、蓑田広大、宮部大己、MF樋口大輝、安永玲央、松村厳、澤崎凌大、高野遼、FW井上愛簾、藤枝康佑がスタートから出場した。

交代とカード

松本は前半12分、藤枝康佑に代えて田口裕也を投入した。後半14分には澤崎凌大と井上愛簾を下げ、村上陽斗と金子翔太を起用。44分には白井達也、高野遼に代えて金子光汰、北爪健吾を入れた。

高知は後半29分に佐藤丈晟と田中稔也から金原朝陽、河田篤秀へ交代。42分には佐々木敦河と七牟禮蒼杜を下げ、下田栄祐とオリグバッジョ・イスマイラを投入し、後半アディショナルタイムには三好麟大から長疾風へ交代した。

警告は次の3人。退場者はいなかった。

  • 前半32分:佐藤丈晟(高知)
  • 前半40分:樋口大輝(松本)
  • 後半26分:宮部大己(松本)

数字が示す「前半の好機」と「後半の停滞」

この試合は最初から好機がなかったのではなく、前半に集中した好機を双方が逃したゲームだった。

公式ページの速報データでは、前半終了時点のシュートは6本対6本、枠内シュートも4本対4本。ボール保持率は高知56%、松本44%だった。

速報データ高知松本
前半終了時のシュート66
前半終了時の枠内シュート44
前半終了時の保持率56%44%
試合終了時のシュート試行710
試合終了時の枠内シュート54
コーナーキック59

前半20分までに、高知は3本、松本は1本の枠内シュートを記録した。高知は佐々木、七牟禮、佐藤丈晟が早い時間帯から狙い、ホームで主導権を取ろうとしたことが数字に表れている。

ただし、松本も前半34分と37分に井上愛簾が枠内へシュートを放ち、46分には澤崎凌大もGK猪瀬康介に阻まれた。前半の終盤に限れば、松本が高知の優位を押し戻している。

ここがポイント: 前半の枠内シュートは4対4。0-0は攻撃機会の欠如ではなく、両GKと守備陣が最後の局面をしのいだ結果だった。

なお、松本山雅FC公式ページでは、速報欄が試合終了時のシュート試行を高知7本、松本10本、枠内シュートを5本、4本と表示する一方、集計スタッツ欄の「シュート」は4本、8本となっている。本記事では前後半の変化を見るため、各プレーを含む速報欄の数値を用いた。

高知の保持はなぜ得点につながらなかったのか

高知はボールを持つ時間を確保したが、後半にシュートの量を増やせなかった。

前半15分までの直近15分間は、高知の保持率が59%。同30分時点の直近15分間では64%に上昇し、前半全体でも56%を記録した。下平監督の初陣で、高知がボールを動かしながら前進しようとしたことは読み取れる。

しかし、速報データのシュート数は前半終了時の6本から試合終了時の7本へ、枠内シュートは4本から5本へ増えただけだった。後半に記録された高知の枠内シュートは、24分の三好麟大による1本にとどまる。

ここに0-0の核心がある。保持率で優位に立つ時間があっても、相手ペナルティーエリア付近でシュートへ完結できなければ得点期待は高まらない。高知は後半30分までの直近15分間でも68%の保持率を記録したが、その後に公式速報へ記録されたシュートはなかった。

後半29分に河田篤秀、42分にオリグバッジョ・イスマイラ、後半アディショナルタイムに長疾風が入ったものの、交代選手がシュートを記録するまでには至っていない。これは個々の選手だけの問題とは断定できず、前線へボールを届ける経路や、ゴール前へ複数人が入るタイミングを次戦以降に確認する必要がある。

松本は本数を伸ばしたが、枠を捉えられなかった

松本は終盤に攻撃回数を増やした一方、後半の4本はいずれも新たな枠内シュートにならなかった。

松本は前半終了時の6本から、試合終了時には10本までシュート試行を増やした。コーナーキックも9本で、高知の5本を上回った。後半開始から15分間の保持率も57%を記録している。

ところが、枠内シュートは前半終了時の4本から増えなかった。後半37分の村上陽斗、40分の田口裕也、終了間際の蓑田広大のシュートはいずれも枠外。後半50分の松村厳のシュートは高知の選手にブロックされた。

つまり松本は、敵陣でプレーを終える回数こそ増やしたが、猪瀬康介に新たなセーブを強いる精度までは得られなかった。10本対7本という総数だけで松本が決定機を多く作ったとは断定できない。 枠内数では高知が5本対4本で上回っているからだ。

12分に藤枝康佑から田口裕也へ交代し、59分には金子翔太と村上陽斗を同時投入した。前線と中盤の組み合わせを早い段階から変えたが、交代後のシュートは枠外またはブロックに終わった。次に見るべきなのは、攻撃回数ではなく、中央で前を向く選手を作れるか、クロスに複数の選手が入れるかという質の部分になる。

0-0を生んだ両チームの対抗関係

高知の保持に対して松本がゴール前を閉じ、松本の終盤攻勢に対して高知がシュートコースを限定したことが、スコアレスを生んだと考えられる。

高知は前半にボールを持ち、早い時間から枠内シュートを重ねた。松本はGK小林将天のセーブとフィールド選手のブロックで失点を防いだ。高知の速報上の枠内シュート5本のうち、小林のセーブまたは松本のブロックとして記録されたものが並んでいる。

一方、松本は後半にシュート数とコーナーキック数を伸ばした。高知はGK猪瀬の前半3セーブに加え、前半3分と試合終了間際には松本のシュートをフィールド選手がブロックした。

この対抗関係では、両チームとも相手守備を完全には崩せていない。だが、守備側から見れば、最後の一線で破綻しなかったとも評価できる。開幕戦で新しい選手構成や役割を試す段階にあることを踏まえると、勝点1と無失点は土台になる。

それでも、攻撃面の評価は分ける必要がある。

  • 高知:保持率をシュート数へ結びつける前進経路が課題
  • 松本:増やしたシュートを枠内へ飛ばす精度が課題
  • 共通点:前半に作った枠内機会を仕留め切れなかった

開幕節から次に持ち越された論点

0-0への答えは、前半の好機を逃した後、どちらも後半に決定機の質を上げられなかったことだ。

高知はボール保持の時間を作り、枠内シュート数では上回った。松本はシュート試行とコーナーキックで上回った。それぞれに攻撃の入口はあったが、出口となる得点だけが欠けた。

公式ページには前半全体と15分区切りのボール保持率が掲載されているが、試合全体の最終ボール保持率は掲載されていない。このため、前半の56%対44%や15分区切りの数値だけで、90分を通じて高知が支配したとは断定できない。また、シュートの集計は速報欄とスタッツ欄で差があり、単一の数字だけに依存した評価も避けたい。

次戦で見るべき点は明確だ。

  • 高知は高い保持率の時間帯に、ペナルティーエリア内のシュートを増やせるか
  • 松本はセットプレーと終盤の攻勢を、枠内シュートへつなげられるか
  • 両チームの交代選手が、試合のテンポだけでなく決定機を変えられるか

開幕節で示されたのは、両守備陣の粘りと、攻撃を得点へ変える最後の一手の不足だった。次節では「何本打ったか」以上に、どこから、どのように枠を捉えたかが最初の改善指標になる。

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