今季も好調の京都。それを支える要因は何か?
京都サンガF.C.の好調を支えているのは、単に走れるチームだからではない。4月11日のファジアーノ岡山戦で5-1と大勝した試合に表れたように、前から奪いに行く強度を土台にしながら、クロス、追い越し、途中出場組まで得点に絡める攻撃の形が増えていることが大きい。
前節のガンバ大阪戦では0-2で敗れ、シュート数も京都5本に対してG大阪17本。そこから1週間で、岡山戦は京都が12本のシュートで5得点を奪った。好不調の波はまだあるが、修正の速さと選手層の広がりが今季の京都を上位争いに踏みとどまらせている。
- 直近の岡山戦は京都が5-1で勝利
- 曺貴裁監督は試合後、10試合で勝点17と明言
- 初先発のアレックス・ソウザ、本田風智、ジョアン・ペドロら新戦力・再起用組が結果に直結
- 課題は、G大阪戦のようにハイプレスが外れた時の守備バランス
まず事実整理:岡山戦の5得点は偶然ではない
京都の第10節・岡山戦は、今季の良さと課題を同時に見せた試合だった。
12分にアレックス・ソウザが先制。31分に木村太哉のゴールで追いつかれたが、前半終了間際に佐藤響、ジョアン・ペドロが続けて決め、前半を3-1で折り返した。後半も56分に鈴木義宜、90+1分にジョアン・ペドロが追加点。公式データでは京都のシュートは12本、岡山は9本だった。
数字だけを見ると一方的な試合に見えるが、岡山はコーナーキックで11本を記録している。京都は押し込まれる時間をゼロにはできていない。それでも5得点まで伸ばせたのは、奪った後の出口と、サイドから相手の背中を取る形がはっきりしていたからだ。
直近2試合の対比
| 試合 | 結果 | 京都のシュート | 相手のシュート | 見えたポイント |
|---|---|---|---|---|
| 第9節 G大阪戦 | 0-2 | 5本 | 17本 | 前から行った後の背後、陣形の乱れが課題に |
| 第10節 岡山戦 | 5-1 | 12本 | 9本 | クロス、追い越し、セカンドアクションが得点に直結 |
ここで重要なのは、京都が敗戦後にスタイルを捨てたわけではない点だ。前から奪いに行く姿勢は変えず、どこで走るか、誰が追い越すか、クロスの入り方を整理して岡山戦に持ち込んだ。
要因1:ハイプレスを「勢い」だけで終わらせていない
京都の代名詞は、曺貴裁監督の下で積み上げてきた前向きな守備だ。相手のビルドアップに圧力をかけ、奪った瞬間にゴールへ向かう。この強度は今季も変わらない。
ただし、G大阪戦ではそのリスクも出た。KBS京都は、京都が前半13分に全体でハイプレスを仕掛けた場面から陣形が崩れ、ピンチを招いた流れを伝えている。前に出る守備は、連動が少し遅れると一気に背後を使われる。
岡山戦での違いは、奪いに行った後の攻撃が速いだけでなく、次の選手がボックスへ入る動きまでそろっていたことだ。
- アレックス・ソウザが前線で強度を出しながら得点
- 本田風智が右サイドから2つのアシストに関与
- 佐藤響、鈴木義宜といった後方の選手もゴール前に入った
- ジョアン・ペドロが終盤まで得点に絡み、2得点を記録
ここがポイント: 京都の強みは「走る量」そのものではなく、走った後に誰がどのスペースへ入るかまで共有されていることにある。
要因2:クロスと追い越しが得点パターンになってきた
岡山戦後、曺監督はクロスからの得点について、前節以前から時間をかけて取り組んできた形が出たと説明している。これは京都の攻撃を見るうえで大事な発言だ。
京都はボール保持で相手を長く動かすタイプというより、前進のタイミングを見つけたら一気に人数をかける。そこでサイドの選手が早く上げるだけでは、相手センターバックに跳ね返される。岡山戦では、クロスの前に一呼吸置く、味方の入り直しを待つ、逆サイドや後方から選手が入る、といった形が得点に結びついた。
本田風智のコメントも象徴的だ。先制点の場面では、平戸太貴の前向きなパスから自身がボールを受け、アレックス・ソウザへ届けた流れを振り返っている。鈴木義宜へのアシストについても、中を見られる余裕と空いたスペースを確認できたことを語った。
つまり京都は、勢いでクロスを入れているだけではない。相手の守備ラインを揺らし、空いたところへ後から入る選手を使う段階に進んでいる。
要因3:新戦力と控え組が競争を作っている
今季の京都は、2025シーズンを3位で終えたチームを土台にしながら、メンバーの入れ替わりもある。クラブの新体制発表では、ジョアン・ペドロ、本田風智、新井晴樹、平岡大陽、齊藤未月ら新加入選手が紹介された。
岡山戦で目立ったのは、名前の新しさだけではない。曺監督は、初先発や久しぶりに先発した選手を起用した意図について、今週のパフォーマンスが良い選手を選んだと説明している。これはチーム内競争が結果に反映されているということだ。
特に意味が大きいのは次の3人だ。
アレックス・ソウザ
初先発で初ゴール。本人は、ハイプレスや守備の部分で成長していると話している。京都の前線で求められるのは、得点だけではない。最初の守備者として相手に時間を与えず、そのままゴール前へ入るタスクをこなせるかが問われる。
本田風智
2アシストに絡み、岡山戦の攻撃を動かした。京都のサイド攻撃において、ただ縦に速いだけでなく、中を見る余裕を作れる選手は貴重だ。本人は得点機を決め切れなかった反省も口にしており、ここが伸びれば先発争いはさらに激しくなる。
ジョアン・ペドロ
岡山戦で2得点。中盤登録の選手が得点に関われることは、相手にとって厄介だ。前線だけを警戒すればよいチームではなくなり、京都の攻撃に厚みが出る。
要因4:曺体制の継続が、修正の速さを生んでいる
京都は2025シーズンをクラブ史上最高順位の3位で終え、曺監督との契約も更新して2026シーズンに入った。単年の勢いではなく、J1昇格後に積み上げてきたプレー原則がある。
Football Tribe Japanは、京都の今季の進化について、主力の離脱がありながらも曺監督がチームをアップデートしている点に注目している。外部から見ても、京都は「昨季の延長」だけで戦っているわけではない。
継続の強みは、負けた後に出る。G大阪戦のように前半から主導権を失った試合の後、岡山戦で起用を変え、クロスからの得点を出し、前線の新戦力が結果を残した。これは監督の言葉だけでなく、実際のメンバー選択とスコアに表れている。
見方を分ける:評価と警戒点
好調な京都をどう見るかは、立場によって少し違う。
監督の見方
曺監督は岡山戦後、勝点17に到達した一方で、優勝を狙うには落としたポイントもあると話している。5-1の大勝でも満足しない姿勢は、チームの現在地を正しく示している。
選手の見方
本田風智やアレックス・ソウザのコメントからは、得点やアシストを喜びつつ、守備や決定機の質をさらに上げようとする意識が見える。京都の好調は、既存の主力だけでなく、出番を得た選手が役割を理解している点に支えられている。
メディアの見方
KBS京都が伝えたG大阪戦の内容は、京都の弱点を浮き彫りにした。前から行く守備は武器だが、外された時にGK太田岳志や最終ラインへ大きな負担がかかる。大勝の後でも、この課題は消えていない。
今後の注目点:次は「修正力」を連続して出せるか
京都の好調を支える最大の要因は、前線からの強度と、そこから得点まで持ち込む形が増えていることだ。岡山戦の5得点は、個人の爆発だけではなく、クロス、追い越し、ボックスへの入り方が重なった結果だった。
ただし、優勝争いや上位維持を考えると、次に見るべき点ははっきりしている。
- ハイプレスを外された時、後方がどれだけ耐えられるか
- 本田風智、アレックス・ソウザらが継続して先発争いに絡めるか
- ジョアン・ペドロの得点力を中盤の武器として定着させられるか
- 4月18日のセレッソ大阪戦、4月26日のヴィッセル神戸戦で強度を再現できるか
京都はもう「よく走るチーム」だけではない。走った先で、誰がゴール前に入り、誰が最後のパスを出すのか。その共有が続く限り、今季の好調は一過性では終わらない。
