松本山雅vs鳥取の展望 3バック同士の一戦、松本のハイプレスは矢島慎也まで届くか
前節の栃木SC戦。終了間際の勝ち越しゴールで、松本山雅FCはようやく今季リーグ戦初勝利をつかみました。その勢いのまま、10月3日にホームのサンプロ アルウィンでガイナーレ鳥取を迎えます。
この試合で問われるのは一つです。松本が前から圧力をかけ続けて中盤でボールを回収できるか。それとも鳥取が、攻撃の中心である矢島慎也を経由してその圧力をいなせるか。
順位は松本が15位、鳥取が13位で、差は小さめです。両クラブともルヴァンカップで格上に勝って今節を迎えるので、直近の結果だけでは優劣を決めにくい。だからこそ、ピッチ上の噛み合わせが勝負を分けそうです。
この記事で分かること
- 第9節の対戦条件と、両クラブの順位・直近の流れ
- 松本のハイプレスと鳥取・矢島慎也の対決が焦点になる理由
- 松本の守備に残る課題と、試合を見るときのチェックポイント
対戦の前提:順位差は2つ、どちらも「格上撃破」を手に乗り込む
最初に結論を置くと、順位と直近の結果からは明確な優劣が見えません。両者の現在地は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会・節 | 明治安田J3リーグ 2026 第9節 |
| 開催日・キックオフ | 2026年10月3日(土)14:00 |
| 会場 | サンプロ アルウィン |
| ホーム | 松本山雅FC:15位(1勝5分2敗) |
| アウェイ | ガイナーレ鳥取:13位(3勝1分4敗) |
順位・成績は第8節終了時点(9月26日更新)のJリーグ公式の数字です。第9節の結果で変わります。
松本:引き分けの多さを抜け出しつつある
松本は8試合で5分けと、負けにくい一方で勝ち切れない試合が続いていました。そこへ前節の栃木SC戦で、終了間際の勝ち越しゴールで今季リーグ戦初勝利。さらにルヴァンカップ1stラウンド2回戦ではJ2のアルビレックス新潟に1-0で勝ち、公式戦2連勝としています。
新潟戦は前半20分の高野遼の先制点を守り切った1-0、栃木戦は90+4分の樋口大輝の決勝ゴール。勝ち方は違いますが、どちらも1点差を勝ち切った形です。
鳥取:リーグでは連敗、カップではJ1撃破
鳥取はリーグ戦で2連敗中です。ただし、ルヴァンカップ2回戦ではJ1のV・ファーレン長崎に2-0で勝っています。
勝ち点は鳥取が10、松本が8で、鳥取が2点上回っています。勝利数も鳥取(3勝)が松本(1勝)より多い。リーグの流れは下向きでも、上のカテゴリーの相手から2点を奪った攻撃力は軽く見られません。
なお、Jリーグ公式の出場停止選手のお知らせ(9月30日付)で、松本のDF野田裕喜が第9節第2日(10月3日)の出場停止と発表されています。鳥取は10月1日、DF松本果成の腰椎椎弓骨折を発表しており、全治は公表されていません。
焦点:松本のハイプレスと回収は、矢島慎也のところまで届くか
このセクションの結論です。同じ3バック同士でぶつかるなら、配置の差よりも「プレスの強度」と「中盤の主導権」が勝負を分けそうです。
松本の持ち味は「守備からの切り替え」
Jリーグ公式サイトの試合プレビューで、筆者の板倉就五氏は松本の好調を支えるものとしてディフェンスの安定感を挙げています。持ち味のハイプレスは強度と連続性を高め、セカンドボールを回収してから攻撃に転じている、という評価です。
これは公式スタッツではなく、プレビュー筆者の評価です。とはいえ、5分けからの初勝利、カップ戦の1-0という最近の結果の並びとは矛盾しません。
「ミラーゲーム」予想が意味するもの
同じプレビューは、鳥取も松本と同じ3バックを採用しており、ミラーゲームでぶつかり合う展開になると予想しています。あくまで試合前の予想で、先発や配置が発表されたわけではありません。
仮に同じ形で向き合うなら、システムのズレを使って数的優位をつくるのは難しくなります。各ポジションで相手と向き合う構図になり、1対1の強度と、こぼれ球を拾う速さがそのまま主導権につながる展開が考えられます。松本が磨いてきたハイプレスと回収は、まさにそこで効く武器です。
鳥取の鍵は矢島慎也
板倉氏は、鳥取は中盤で攻撃を司る矢島慎也の働きがカギを握ると書いています。
この見立てを松本のプレスと重ねると、対立の構図ははっきりします。
- 松本のプレスが矢島まで届き、中盤で回収できれば、鳥取が攻撃を組み立てる場面は減る
- 矢島が圧力を受けながらもボールを前に運べれば、前がかりになった松本の背後や中盤に空いたスペースを使える
前から行く松本にとって、プレスをかわされることは大きなリスクになります。矢島がどれだけ前を向いてボールを持てるかが、試合の流れを測る目安になりそうです。
もう一つの論点:松本の守備に残る「穴」
松本の守備は良くなっている。ただ、選手自身はまだ完成形とは見ていません。
公式プレビューの中で、松本の蓑田広大は次のように話しています。
「まだまだ穴が空いているところもある。相手が見ていないから助かっている場面もある」
板倉氏は、蓑田が無失点にこだわる姿勢を強調していると記しています。
この発言は、松本の課題認識を示すものです。鳥取が実際にその穴を突いてくるかどうかは分かりません。それでも、ハイプレスは外されたときに背後や中盤にスペースを残しやすい戦い方です。矢島を起点に鳥取がプレスの外側へボールを逃がせた場面で、松本の最終ラインが落ち着いて対応できるか。蓑田の言葉は、この試合の松本守備を見るうえで手がかりになります。
見立て:主導権を握るのは「中盤の回収」を制した側
ここからは試合前の見立てです。結果を予想するものではありません。
根拠になるのは、これまで見てきた次の点です。
- 両者の順位差は小さく、どちらも格上に勝って勢いを持ち込む
- 松本はハイプレスとセカンドボール回収から攻撃に転じる形を強めている(プレビュー筆者の評価)
- 3バック同士のミラーゲームが予想されている(試合前の予想)
- 鳥取の攻撃は矢島慎也の働きが鍵(プレビュー筆者の評価)
これを踏まえると、松本が中盤でボールを拾い続ける時間が長ければ松本ペース、矢島を経由してプレスを外せれば鳥取ペース、という分かれ方になる可能性があります。ホームの松本は初勝利の流れを連勝につなげたい立場、鳥取はリーグ連敗を止めたい立場で、どちらにも引けない理由があります。
一方で、この見立てには不確かな部分も残ります。
- 実際の先発や配置、ミラーの形になるかどうかは試合当日まで分からない
- 松本の守備の評価はプレビュー筆者の見方で、数値で裏付けられたものではない
- ルヴァンカップの勝利は、リーグ戦の力関係をそのまま示すものではない
松本が優位と言い切れる材料はありません。どちらに傾くかは、序盤の中盤の攻防を見て判断するのがよさそうです。
観戦のチェックポイント
- 序盤の松本のプレス:最初の圧力が矢島慎也のところまで届いているか
- セカンドボールの行方:中盤のこぼれ球を拾い続けているのはどちらか
- 矢島の向き:前を向いてボールを持てる回数が増えれば、鳥取が主導権を握り始めた合図
- 松本の最終ライン:プレスを外された後、蓑田の言う「穴」を鳥取に使わせずに対応できるか
松本にとっては公式戦3連勝を狙う一戦、鳥取にとってはカップ戦の勢いをリーグにつなげ直す一戦です。90分を通して、前から行く松本の強度がどこまで続くか。そこが最後まで焦点になりそうです。




