堂安律のW杯2026での価値とは フランクフルトで増した万能性と日本代表で任される仕事
2026年5月15日、JFAはFIFAワールドカップ2026に臨む日本代表26人を発表し、堂安律がメンバーに入った。今回の堂安を語るうえで大事なのは、右サイドのアタッカーとしての実績だけではない。今の堂安は、右ウイングバックでも、1列前でも、試合の流れを変える途中投入でも計算できる選手になっている。
森保ジャパンには伊東純也、久保建英、中村敬斗、三笘薫ら前線の強みが多い。その中で堂安の価値は、誰かの代役に収まらないところにある。得点とアシストを残しつつ、守備の強度と立ち位置の調整で試合をつなげる。ワールドカップ本番では、その「埋める力」がかなり大きい。
- 2026年5月15日にJFAが堂安律のW杯メンバー入りを正式発表
- クラブではアイントラハト・フランクフルトでプレーし、2025-26ブンデスリーガで30試合5得点5アシスト
- 2024-25はフライブルクで10得点8アシスト。継続して数字を出してきた
- 日本代表では右サイド固定ではなく、右ウイングバックや前線の可変役としての期待が大きい
- 2022年カタールW杯ではドイツ戦、スペイン戦で得点。大舞台で流れを変えた実績がある
まず何が決まったのか
事実はシンプルだ。JFAの発表で、堂安はFIFAワールドカップ2026の26人に入った。所属はアイントラハト・フランクフルト。大会を前にした現時点で、森保一監督が堂安を外さなかったというより、複数の使い道を持つ戦力として明確に数えていると見るべきだ。
その根拠は、直近の起用法にも出ている。2026年3月31日のイングランド戦で日本はウェンブリーで1-0勝利を収めたが、JFAの試合レポートでは堂安は右のウイングバックで先発している。相手が強く、守備の戻りと前進の両方が要る試合でその役目を任されたことは重い。
クラブで積んだ実績は何を示すのか
堂安の評価は、「上手い左利きの右アタッカー」で止めると足りない。ここ2季の数字を見ると、出力の形が広がっている。
フライブルクで示した継続力
2024-25シーズン、堂安はフライブルクで10得点8アシストを記録した。ブンデスリーガ公式も、この数字を堂安の成功したシーズンとして扱っている。
この年の価値は、単に二桁得点に乗せたことではない。右から中へ入って左足で終わる形だけでなく、味方を使う判断、逆サイドへの配球、押し込んだ時間帯での二次攻撃への関与まで増えた。得点者でもあり、前進役でもあるシーズンだった。
フランクフルト移籍後に増した「便利さ」
堂安は2025年8月7日にフライブルクからアイントラハト・フランクフルトへ移籍した。新天地での2025-26シーズンは、ブンデスリーガ公式プロフィールで30試合5得点5アシスト。加えて、283回のタックル勝利、1802回のインテンシブラン、走行距離273.7kmという数字が並ぶ。
初心者向けに言えば、この数字は「攻撃だけの選手」では出にくい。前から追う。戻る。球際で負けない。何度もやり直せる。そうした働きが多いからだ。
ブンデスリーガ公式は今季の堂安について、右ウイング、一列内側の役割、ウイングバックまでこなしてきたと紹介している。これは日本代表にそのままつながる。森保監督が試合ごとに形を変えたい時、堂安は配置変更の負担を減らせる。
ここがポイント: 堂安の強みは「右で仕掛けること」だけではなく、同じ選手を置いたままチームの形を変えられることにある。
日本代表で期待される役割
堂安の仕事を一言でまとめるなら、右サイドの主力候補でありながら、固定ポジションに縛られない調整役だ。
1. 右ウイングバックで幅と強度を出す
日本が3バック気味の形を取る時、右ウイングバックはかなり重要になる。外で幅を取るだけでは足りない。自陣まで戻って5バック化し、奪った後は一気に前進しなければならない。
堂安はこの役をこなせる。
- 左足でクロスとカットインの両方を選べる
- ボールを失ってもすぐに追い直せる
- 内側に入って中盤を助ける判断ができる
- 相手の左サイドを守備で下げさせやすい
イングランド戦でその役割を任されたことは、単なるテストではなく、本番を見据えた実戦的な確認だったはずだ。
2. 試合の流れを変える途中投入
堂安には、ワールドカップで一番分かりやすい再現性がある。2022年カタールW杯で、11月23日のドイツ戦、12月1日のスペイン戦でともに得点した。どちらも後半の流れを変える一撃だった。
特に重要なのは、「相手が疲れた時間に入ったから点を取れた」というだけで片づけられないことだ。堂安は短い出場時間でも、迷わずシュートに行く。強豪相手でも判断が縮まない。この性質は大会戦で大きい。
日本代表の前線は先発候補が多い一方、試合を切り替える交代カードの質も勝敗を左右する。堂安はその枠でも強い。
3. 久保、伊東、三笘と並べた時の接着剤
日本の前線は個で剥がせる選手が多い。ただし、個が強いチームほど、ボールを持たない時間の整理役が要る。
堂安が効くのは次の場面だ。
- 久保建英が内側で受ける時に、外レーンを埋める
- 伊東純也を前に出したい時に、後方の守備負担を引き受ける
- 三笘薫側に寄せられた相手守備の逆を突く
- 1点を追う場面でも、1点を守る場面でも役割を変えられる
派手な役ではないが、トーナメントではこうした選手の有無が効く。
堂安をどう見るか 立場ごとの整理
見方はだいたい共通しているが、重心は少しずつ違う。
監督サイドが見ている点
森保監督の起用から見えるのは、堂安を単純なサイドアタッカーとしてだけ扱っていないことだ。イングランド戦の右ウイングバック起用は、その象徴と言っていい。
守備のタスクを増やしても計算できる。しかも攻撃で消えにくい。監督にとってはベンチに置きやすい選手ではなく、形を変える時に先にピッチへ置いておきたい選手だ。
クラブ側・リーグ側の評価
フランクフルト加入時、クラブ側は堂安の技術と実績を補強理由に挙げた。実際、ブンデスリーガ公式は今春の特集で、堂安を日本のW杯挑戦で最も影響力の大きい選手の一人と紹介している。
その評価の背景には、得点数だけではなく、対人と走力の数字、複数ポジションへの適応がある。数字の見栄えが少し落ちても、序列が下がりにくいタイプだ。
本人が見ている役割
FIFAの2026年2月のインタビューで、堂安は前回以上の決意で大会に向かい、個人だけでなくチームを勝たせる選手になりたいという趣旨を語っている。
ここは今のプレー像とも一致する。自分で決めるだけでなく、チーム全体の勝ち筋に関わる。その意識があるから、1列下がる仕事も受け入れられる。
本番までに見るべきポイント
堂安の評価はすでに高い。ただ、本番での立ち位置はまだ動く余地がある。
- 右ウイングバックで先発するのか、右の前目で使われるのか
- 伊東純也、久保建英との並びで誰が幅を取るのか
- 守備重視の試合で先発し、押し込む試合では途中投入に回るのか
- セットプレーの流れでこぼれ球回収役としてどこに置かれるのか
日本がワールドカップで上へ進むには、先発11人の質だけでは足りない。試合の流れに応じて、同じカードで形を変えられるかが問われる。堂安律はその中心にいる。右足でなく左足で違いを作る選手、という説明だけではもう足りない。今の堂安は、日本代表の設計図そのものを少し動かせる選手として見たほうが実態に近い。
参照リンク
- JFA 招集メンバー/スタッフ|FIFAワールドカップ2026
- FIFA 日本代表、FIFAワールドカップ2026に向けたメンバー26人を発表
- JFA 〖Match Report〗SAMURAI BLUE、鮮やかなカウンターから三笘薫が決め、サッカーの聖地でイングランドに1-0の勝利!
- JFA Schedule/Result England vs Japan
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