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2026年シーズンのサンフレッチェ広島を紐解く

2026年シーズンのサンフレッチェ広島を紐解く

2026年のサンフレッチェ広島は、ミヒャエル・スキッベ監督退任後にバルトシュ・ガウル監督を迎え、土台を残しつつ少しずつ別の顔を見せ始めている。結論から言えば、守備の強度と3バック基盤は維持しながら、2025年よりも「ボールを持って押し込む時間」を増やそうとしているのが今季の大きな変化だ。

3月21日時点で、Jリーグ公式の3月22日清水エスパルス戦プレビューでは広島はJ1百年構想リーグWEST4位、2勝1敗・PK1勝表記。開幕4試合ではV・ファーレン長崎に3-1、ファジアーノ岡山に1-1からPK勝ち、セレッソ大阪に2-1、京都サンガF.C.に1-2という内容で、白星先行ではある。ただし、AFCチャンピオンズリーグエリートではジョホール・ダルル・タクジムFCにラウンド16で2戦合計2-3で敗れており、序盤から「新スタイルの手応え」と「完成度の揺れ」が同居している。

目次

まずは2025年との比較から整理する

2025年の広島はJ1リーグ4位。38試合で勝点68、20勝8分10敗、46得点28失点だった。失点28はかなり優秀で、Jリーグ公式のチームスタッツでも被ゴール期待値は39.3。順位表上位争いを支えたのは、スキッベ体制らしい堅さと試合運びだった。

一方で、2025年のチームスタッツを見ると、平均ボール支配率は50.2%、パス成功率は75.0%。極端な保持型ではなく、強固な3バックとセカンドボール回収、サイドの推進力、セットプレーや局面の質で勝ち切る色が濃かった。空中戦勝利数792はリーグ3位で、競り合いの強さも広島らしさだった。

2026年はここに変化が入る。クラブはガウル監督招聘の理由として「スタイルの進化」「若手育成」「クラブビジョンへの理解」を挙げた。さらにクラブ公式の長崎戦レポートでも、今季は「これまでのアグレッシブさを継承しつつ、よりポゼッションにも力を入れる」と明記されている。つまり、2026年広島はスキッベ路線の否定ではなく、保持局面を上積みする改造版として見るのが自然だ。

2026年序盤戦の数字は何を示しているか

サンプルはまだ少ないが、序盤の数字には方向性が表れている。

項目2025年2026年序盤見え方
J1成績4位、68勝点3月22日清水戦プレビュー時点でWEST4位立ち上がりは悪くない
得点/失点46得点/28失点開幕4試合で7得点5失点攻撃は動くが守備はまだ揺れる
平均ボール支配率50.2%55.0%(2月16日更新時点)保持志向は確かに強まっている
シュート総数通年では枠内156本67本でリーグ5位タイ(3月9日更新時点)打つ回数は確保できている
ゴール期待値守備の安定感が強みxG 6.8でリーグ8位、被xG 3.9で18位相当(3月9日更新時点)攻撃は中位上、守備の質はまだ詰め切れていない

ポイントは2つある。1つ目は、保持率が上がっていること。2つ目は、そのぶん相手にひっくり返されたときの管理がまだ安定していないことだ。

象徴的だったのが2月27日の京都戦で、広島は19本のシュート、10本のCKを記録しながら1-2で逆転負けした。押し込めている時間は長いのに、仕留め切れず、終盤の失点で落とす。この試合は「内容の前進」と「勝負強さの未完成」が同時に出た一戦だった。

スキッベ体制から新監督体制へ、何が変わったのか

1. 3バックの骨格はそのまま

広島の根幹である3バック、ウイングバックの上下動、前線の流動性は大きく変わっていない。中野就斗、荒木隼人、佐々木翔、塩谷司、東俊希、新井直人らがいることで、土台を壊さずに次の段階へ進めるのがこのチームの強みだ。

2. 以前よりも「持つ」時間を増やしたい

ガウル監督は就任会見で「攻撃的で魅力的なサッカー」を志向すると語っている。長崎戦前の地元メディア報道でも、狭いエリアでのパス回しや実戦的なトレーニングが強調されていた。保持率上昇は偶然ではない。

2025年は奪ってから速く前進し、サイドとセカンド回収で主導権を握る場面が多かった。2026年はそこに「自分たちで持ちながら相手を動かす」工程が増えている。

3. ただし、保持型への移行にはコストがある

保持局面が増えると、前がかりになった背後の管理や、ボールロスト直後の整理がより重要になる。京都戦やACLEジョホール戦第1戦の苦戦は、この課題を示した。ジョホール戦第1戦は被シュート28本。国内外の過密日程も重なり、押し込めない時間帯に守備の強度が落ちた。

要するに、2026年の広島は「より主導権を握れる可能性」と「そのぶん露出する守備リスク」の両方を抱えている。

注目選手をどう見るか

鈴木章斗

2026年の補強で最もわかりやすい上積み候補だ。湘南ベルマーレから完全移籍加入し、開幕戦の長崎戦でいきなり得点。第2節岡山戦では同点ゴールの起点にもなり、最前線のスピードと背後への抜け出しで新しい縦の矢印になっている。

2025年の広島は46得点と上位陣ではやや控えめだっただけに、鈴木が二桁級まで伸びるかはタイトル争いの分岐点になる。

川辺駿

新体制でも中心はこの人だ。テンポを決め、前進の起点になり、終盤のゲームコントロールも担う。長崎戦で得点、C大阪戦でも中盤の安定に貢献。2025年もこぼれ球奪取総数161、ロングパス成功率64.0%と、攻守のつなぎ役として非常に大きかった。

ガウル体制で保持色が強まるほど、川辺の価値はさらに上がる。

中野就斗

2025年はクロス総数118でチーム最多。2026年開幕戦では先制点も記録した。右サイドの推進力は広島の攻撃を一段引き上げる要素で、保持型に寄せても、最終的に局面を壊す役はこうしたウイングバックになる。

大迫敬介

2025年J1全38試合に出場した守護神。2026年も契約更新済みで、最終ラインの安定には欠かせない。広島が本当に上を狙うなら、保持で押し込めない試合でも勝点を拾う必要があり、その意味で大迫の存在は変わらず大きい。

ジャーメイン良

2025年はJ1で36試合4得点と数字だけ見れば爆発ではなかったが、個人xGは10.9でチームトップ。つまり、チャンスに顔を出す回数自体は多かった。2026年も岡山戦、C大阪戦で得点しており、鈴木章斗や木下康介とどう組み合わせるかが前線設計のポイントになる。

荒木隼人

2025年の守備の土台を支えた一人で、2026年も京都戦で得点。セットプレーでも脅威になれる。保持型への移行で後方の配球力もより重要になるため、守るだけでなく前に運べるCBとしての役割は増していく。

各立場の見解を分けて整理する

クラブ・首脳陣の見方

クラブはガウル監督選定にあたって「スタイルの進化」「若手育成」「ビジョン理解」を重視した。ここから読み取れるのは、2025年の成功モデルを捨てる意思はなく、むしろ中長期的に発展させたいという考えだ。短期の結果だけでなく、2026/27シーズン以降を見据えた監督交代でもある。

監督・現場の見方

ガウル監督自身は就任会見で、コミュニケーションを重視しつつ「攻撃的で魅力的なサッカー」を掲げた。実際、開幕戦レポートでもクラブ側はポゼッション強化を明記している。現場の狙いははっきりしていて、問題はそれを90分単位、連戦単位でどこまで安定化できるかだ。

地元メディアの見方

IRAW by RCCやテレビ新広島の報道では、新体制の練習内容、鈴木章斗ら新戦力、そして開幕前の高揚感が繰り返し取り上げられていた。地元メディアの論点は「新監督の色」と「新エース候補が得点源になれるか」に集まっている印象だ。

ファン・ブロガー目線の見方

無料で確認できる範囲では、ファン目線の分析でも「スキッベ体制の継承と進化」がキーワードになっている。ただし、この種の見方はサンプルが限られるため、総意のようには扱わないほうがいい。共通点としては、3バック基盤と守備強度は残しつつ、前線の人選と保持の質が今年の天井を決める、という認識が多い。

ここから先の焦点はどこか

1つ目は、保持率上昇を勝点に結びつけられるか。持てるだけでは足りず、京都戦のような試合を勝ち切る必要がある。

2つ目は、鈴木章斗を中心にした得点分散だ。2025年は堅守で上位に入ったが、優勝争いにはもう一段の得点力が欲しい。

3つ目は、ACL敗退後にリーグへどう反発するか。ACLEリーグステージは8試合15勝点で3位と悪くなかったが、ラウンド16で姿を消した。ここを引きずらず、国内で完成度を高められるかが重要になる。

まとめ

2026年のサンフレッチェ広島は、2025年の「堅くて強い広島」から、「持って崩せる広島」へ踏み出している最中にある。現時点ではその進化は半分成功、半分課題露出という段階だ。

それでも、2025年J1で4位に入った守備の土台、川辺駿や大迫敬介ら中核、そして鈴木章斗という新しい推進力がそろっている以上、上振れ余地は大きい。スキッベ体制の遺産をどう更新するか。2026年の広島は、結果だけでなくその過程もかなり面白いクラブになっている。

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