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清水エスパルス2026は何が変わったのか 2025年比較と吉田孝行監督サッカーの現在地

清水エスパルス2026は何が変わったのか 2025年比較と吉田孝行監督サッカーの現在地

2026年3月13日時点で、清水エスパルスは明治安田J1百年構想リーグWESTグループ7位。5試合で1勝0PK勝3PK敗1敗、得失点は4得点4失点です。結論から先に言えば、吉田孝行監督の下での清水は、2025年よりボール保持の量を落とし、その代わりに少ない手数でゴール前へ入る色を強めています。

ただし、ここで重要なのは「悪化」と「変化」を分けて見ることです。2025年と比べると平均ボール支配率や1試合平均パス数は明確に下がりました。一方で、1試合あたりのゴール期待値はほぼ維持され、被ゴール期待値は改善しています。つまり、チームの土台はむしろ締まりつつあり、今の課題は形を作れていないことより、作った形を仕留め切れていないことにあります。

目次

まず前提をそろえる

2025シーズンの清水エスパルスは、通常の明治安田J1リーグを38試合戦って14位、勝点44、41得点51失点で終了しました。対して2026年は、シーズン移行に伴う特別大会である明治安田J1百年構想リーグです。地域リーグラウンドとプレーオフラウンドで構成され、引き分け後にはPK戦が行われるため、勝点や順位をそのまま前年と並べるのは適切ではありません。

そのため本稿では、順位や勝点は現状確認にとどめ、比較の軸は1試合あたりのスタッツとプレー内容に置きます。加えて、2026年はまだ5試合時点の小さなサンプルであり、対戦相手構成も2025年とは異なります。以下の比較は、断定ではなく傾向を見るためのものです。

2025年と2026年のスタッツ比較

指標2025年2026年変化の見方
得点/試合1.080.80実得点は低下
失点/試合1.340.80守備は改善
シュート/試合12.4710.80攻撃回数は減少
平均ボール支配率50.5%46.5%保持量は低下
1試合平均パス数476.3364.0ビルドアップ量は大幅減
xG/試合1.351.36決定機の質はほぼ維持
xGA/試合1.441.14被決定機の質は改善

※2025年はシーズン終了時点、2026年は順位表が2026年3月13日時点、チームスタッツが2026年3月9日更新時点。xG/xGAの1試合平均はJリーグ公式の総数から算出。

いちばん目を引くのは、支配率とパス数が落ちているのに、xG/試合はほぼ落ちていない点です。2025年の清水は、ある程度ボールを持ちながら前進する色が強く、パス数476.3本、支配率50.5%とJ1の中でも中上位の保持量がありました。それでも実得点は41点で、xG51.2を大きく下回りました。

2026年は、パス数364.0本、支配率46.5%まで落ちています。ところが、xGは5試合で6.8、1試合あたり1.36です。ここから見えるのは、ボールを持つ時間そのものより、奪った後の前進速度や、ゴール前に届く局面の設計を重視する方向への変化です。

逆に課題は、得点がまだ数字に追いついていないことです。2025年はxG51.2に対して実得点41で、1試合あたり約0.27点の未回収がありました。2026年はxG/試合1.36に対して実得点0.80で、未回収幅はさらに大きい。チャンスの総量が足りないというより、最後の一押しが足りていないと見るほうが自然です。

守備面は前向きに捉えられます。2025年は被xG54.9でリーグ下位レベルの数字でしたが、2026年は5試合で5.7、1試合あたり1.14まで改善しています。実失点も0.80/試合です。つまり、攻撃は仕上げ切れていない一方で、守備はすでに勝点を拾える水準に近づきつつあります。

吉田孝行監督のサッカーで起きている変化

吉田孝行監督は就任時に「攻守にアグレッシブ」で「観ている方に勇気と感動を与えられるサッカー」を掲げました。プレシーズンのクラブ公式レポートでも、その輪郭はかなり明確です。

鹿児島キャンプ2日目には、吉田監督から「奪った後に広げる。狭いよ」という声が飛んでいました。4日目のレポートでは、4-4-2をどう崩すかを細かく確認。6日目のトレーニングマッチでは4-3-3を採用し、「立ち位置を早く」という修正が繰り返されました。ここから見えるのは、吉田監督のサッカーが、単純なハイプレス志向というより、立ち位置の整理とトランジションの再現性を重視していることです。

この変化は数字とも噛み合います。保持率とパス数は減っているのにxGが落ちていないのは、長く持つよりも、良い位置で奪って素早く相手を広げ、より短い手数で決定機に入ろうとしているからでしょう。マイナビニュースも、今季の改革を「立ち位置からはじまる改革」と整理していましたが、実際に見えているスタッツの変化もその説明と合います。

ただし、まだ完成形ではありません。3月7日のセレッソ大阪戦は90分を0-0で終えながら、シュート数は8本対18本でした。粘り強く耐えて勝点を持ち帰る力は見えた一方、相手陣で押し込み続ける時間や、90分で勝ち切るだけの攻撃の厚みはまだ途上だと言えます。

立場ごとに見る現在地

  • 公式・監督の視点では、テーマはかなり一貫しています。キーワードは「攻守にアグレッシブ」「4-3-3」「立ち位置」「奪った後に広げる」、そしてクラブ公式インタビューで語られた「勝者のメンタリティ」です。まず型を整え、そのうえで勝ち切る集団へ変えていく流れです。
  • 専門メディアとデータの視点では、保持量の減少だけを見ると後退に見えますが、xG/試合の維持とxGA/試合の改善を重ねると、むしろ戦い方の効率化と守備の整理が進んでいると読めます。数字の焦点は、内容そのものより決定力です。
  • サポーター目線では、期待と焦れったさが同時にあるはずです。テレビ静岡が伝えた必勝祈願の熱量が示す通り、吉田新体制への期待は大きい。その一方で、5試合で90分負けは1試合だけという手堅さは希望材料ですが、3試合がPK敗戦に終わっている事実は、あと一歩の物足りなさとして残ります。

吉田孝行監督のサッカーを表現するうえで、今後のポイント


  1. xGを実得点に変える中央の厚みを作れるか。
    オ セフンをターゲットにする形は分かりやすい武器ですが、それだけでは相手がセットした守備を崩し切れません。北川航也、カピシャーバ、松崎快、マテウス ブエノらが、1本目のアクションの次にどう中央へ入るか。ここが整理されると、今のxGを実得点へ近づけやすくなります。



  2. 4-3-3の保持局面を、我慢強く回せるか。
    今の清水は、持たずに前進する色が強まっています。それ自体は悪くありません。ただ、相手に押し返される時間帯が長いと、セレッソ大阪戦のようにシュート数で苦しくなる。364.0本まで落ちた1試合平均パス数を、単に増やす必要はありませんが、相手陣で相手を動かすための保持はもう少しほしいところです。



  3. 引き分けの試合を90分勝ちに変えられるか。
    WESTグループ7位という立ち位置はまだ十分に巻き返せますが、3PK敗は裏を返せば、勝点を取りこぼしたとも言えます。守備のベースはできつつあるので、終盤の交代策、押し込む時間の作り方、セットプレーの質を含めて、90分で決着をつける局面をどこまで増やせるかが大きいです。


数字だけを見ると、2026年の清水エスパルスは2025年より地味に見えるかもしれません。ですが、スタッツを丁寧に追うと、実際には「持つチーム」から「刺せるチーム」へと作り替える途中にあります。しかも守備の土台は、すでに前年より引き締まり始めています。

だからこそ、清水エスパルスサポーターにとって今季の見どころははっきりしています。吉田孝行監督が植え付けようとしている立ち位置と勝者の基準が、ゴール前の質と90分勝利の数にまでつながるかどうか。そこが噛み合えば、2026年前半は単なる移行期ではなく、次の強い清水を予感させる半年になります。

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