清水の国立決戦は誰が盛り上げるのか ORANGE SONIC出演者と集客策を整理する
5月24日の清水エスパルス対ガンバ大阪は、試合前からかなり濃い。主役はもちろんピッチ上の90分だが、国立を温めるゲストは WOLF HOWL HARMONY、SKRYU、SWEET STEADY の3組。スペシャルMCはDJ Roniが務める。
このカードは、明治安田J1百年構想リーグ 地域リーグラウンド WEST第18節として、MUFGスタジアム(国立競技場)で17時キックオフ。清水は「おかえり、国立は静岡。」を掲げ、音楽、来場者プレゼント、クイズ、招待企画を重ねて、通常のホームゲームとは別の入口を用意している。
- 試合: 清水エスパルス vs ガンバ大阪
- 日時: 2026年5月24日(日)17:00キックオフ、13:30開場
- 会場: MUFGスタジアム(国立競技場)
- ORANGE SONIC出演: WOLF HOWL HARMONY、SKRYU、SWEET STEADY
- 関連企画: 花木鳥ユニシャツ先着40,000名配布、10,000名招待、QuizKnock来場者参加型クイズ大会
ゲスト3組は「若年層」「ライブ客」「家族連れ」への接点になる
ORANGE SONICは、清水エスパルスと、SUMMER SONICを運営するクリエイティブマンプロダクションのコラボ企画だ。メインスタンド側ピッチサイド中央にステージを置き、360度LED、CO2、映像演出を使うと案内されている。
単なる試合前ライブではなく、国立開催を「静岡の祭り」として見せるための前座だ。
WOLF HOWL HARMONYはLDH層を国立へ呼び込む
WOLF HOWL HARMONYは、GHEE、HIROTO、RYOJI、SUZUKIによる4人組ボーカル&ラップグループ。清水公式は、2025年にタイのAsia Top Awardsで「Best Boy Group」を受賞し、楽曲総再生回数が6,500万回を超えていると紹介している。
この起用の意味は分かりやすい。LDH系アーティストのファン層は、サッカーだけでは届きにくい若い観客やライブ慣れした層と重なる。14時10分の出演予定なので、早い時間から入場する動機にもなる。
SKRYUはフェス色を強める存在
SKRYUは島根県出身のラッパー。清水公式の紹介では、MCバトルで実績を積み、「超Super Star」「How Many Boogie」などで広く知られるようになったアーティストだ。
ORANGE SONIC全体で見ると、SKRYUの役割は音楽フェスらしい幅を出すことにある。ボーカルグループ、ラップ、アイドルを並べることで、出演者のファン層が一方向に偏りすぎない。
SWEET STEADYはアイドル文化との入口をつくる
SWEET STEADYは、KAWAII LAB.から誕生した7人組アイドルグループ。奥田彩友、音井結衣、栗田なつか、塩川莉世、庄司なぎさ、白石まゆみ、山内咲奈の7名で活動している。
15時40分の出演予定は、キックオフまで約80分。ここで場内の熱量をもう一段上げ、初観戦の来場者を「待ち時間」ではなく「イベント本編」として引き込めるかがポイントになる。
集客策の本丸は「招待」と「記念品」と「首都圏接点」
今回の国立開催で目立つのは、ゲスト出演だけではない。清水は来場の入口を複数用意している。
- Jリーグと共同で10,000名招待を実施
- 先着40,000名に「国立は静岡 花木鳥ユニシャツ」を配布
- 静岡駅発・東京駅着の特別新幹線「エスパルス新幹線 #しみず432号」を運行
- QuizKnockとJリーグの来場者参加型クイズ大会を実施
- 都内でパルちゃんロンドンバスを走らせるプロモーションも展開
ここがポイント: 清水の国立開催は、既存サポーターの遠征イベントで終わらせず、首都圏の新規層、音楽ファン、家族連れ、ビジターサポーターまで入口を広げる設計になっている。
Jリーグのクラブ経営ガイド2025では、清水の国立開催について、IAIスタジアム日本平とは異なる首都圏在住者を中心とした来場層をつくっている事例として紹介されている。1試合当たりの興行収入はIAIスタジアム開催比で約3倍、2024年の国立来場者の40%以上が2025年も来場し、2025年は静岡県在住者の発券が25,000枚以上だったという。
この数字を見ると、今年の出演者やプレゼント企画は「盛り上げ」だけでは説明しきれない。リピーターを増やし、静岡から東京へ向かう理由を作り、首都圏の観客に清水を記憶してもらうためのクラブ経営上の施策でもある。
ネット上の反応はユニシャツにも集まっている
話題化という点では、花木鳥ユニシャツも強い。清水はホームタウン静岡市とファミリータウン12市町の「花・木・鳥」をモチーフにしたデザインとして説明している。
サッカー批評Webは、このユニシャツに対して「これめっかわ」「開運しそう」「おじさんは勇気いるなぁ」といった反応が出ていると報じた。好意的な声だけでなく、着るには少し勇気がいるという声も含めて、すでに会話の種になっている。
これは国立開催では大きい。来場者4万人規模で同じアイテムを着れば、スタンドの見え方が変わる。SNSに流れる写真も、単なる観戦記録ではなく「清水の国立らしさ」を伝える素材になる。
ガンバ側も「THE国立DAY」を東日本の接点にしている
この試合は清水のホームゲームだが、ガンバ大阪側にも意味がある。ガンバ公式は、百年構想リーグが東西に分かれているため、東日本でのガンバ大阪の試合は今シーズンこの試合が初めてだと説明している。
そのため、ガンバはファンクラブブース、グッズ出張販売、モフレムの遠征を予定している。関東圏のガンバサポーターにとっても、国立は「今季やっと現地で見られる」機会になる。
清水が集客を広げるには、相手サポーターをどう迎えるかも重要だ。A指定席・C指定席の招待枠がミックス席として案内されている点も、国立開催らしい設計と言える。
90分への影響は「早く来た観客をどこまで試合に接続できるか」
イベントが大きいほど、試合そのものとの接続が問われる。ライブを見に来た人が、キックオフ後に清水の攻撃、ガンバのビルドアップ、球際の攻防まで目を向けるか。そこがクラブにとっての勝負だ。
今回の流れでは、13時50分のダンスショーから、ORANGE SONIC、QuizKnock、再びORANGE SONICと、開場直後から試合前まで企画が続く。観客の滞在時間を伸ばし、飲食・物販・SNS投稿を増やすには理にかなっている。
ただし、最終的に残る印象を決めるのは試合内容だ。清水にとっては、国立の大観衆を「また来たい」に変えるためにも、イベントの熱をピッチ上のプレーへつなげたい。ガンバにとっても、東日本のサポーターの前で存在感を示す場になる。
今後見るべきポイント
国立開催の評価は、当日の入場者数だけでは測れない。むしろ次に見るべきなのは、試合後にどれだけ継続した接点が残るかだ。
- ORANGE SONIC出演者のファンが試合本編まで残ったか
- 花木鳥ユニシャツがSNS上でどれだけ拡散されたか
- 10,000名招待が次回の有料観戦につながるか
- 静岡からの来場と首都圏在住者の来場がどちらも伸びたか
- ガンバ側の東日本サポーター施策がどれだけ機能したか
清水の国立決戦は、試合前イベントを足したホームゲームではない。クラブが「静岡」を背負って首都圏でどう新しい観客をつかむか、その実験でもある。答えは5月24日のスタンドと、試合後に残る熱量に出る。
