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清水エスパルスは土台を次の段階へ進められるか 吉田孝行体制で見えた優勝争いへの課題

清水エスパルスは土台を次の段階へ進められるか 吉田孝行体制で見えた優勝争いへの課題

清水エスパルスの現在地を先に言えば、吉田孝行監督の下で戦い方のベースは見え始めたが、タイトルを狙うには『押し込んだ後の質』がまだ足りない。2026年5月9日時点で、清水は京都サンガF.C.戦の90分勝ち、セレッソ大阪戦のPK勝ちを続けて流れを戻しつつある。ただ、その2試合が逆に課題もはっきり映した。

前に出る守備、4バック基調への回帰、オ・セフンを軸にした縦方向の速さ。土台はある。それでも優勝争いの基準で見ると、攻撃回数の多さがシュート数やボックス侵入数に結びついていない。守備も失点数だけ見れば破綻していないが、被チャンスの量はまだ多い。

  • 先に結論: 清水の最大の課題は、攻撃の回数を決定機に変える最終局面の精度
  • その次の課題: セットプレー守備と、押し込んだ後の被カウンター管理
  • 現状の強み: 4バック基調の前進、空中戦の強さ、オ・セフンとマテウス・ブエノを使った縦の迫力

ここがポイント: 清水は「何をしたいか」が見えないチームではない。むしろ見えている。だからこそ、優勝を分けるのはスタイルの有無ではなく、スタイルを得点と勝点3に変える細部になる。

目次

何が起きているのか

吉田監督は2026シーズンから清水を率い、クラブ公式の試合前コメントでも4バックの利点をかなり明確に語っている。プレスを利かせやすく、カウンターにつなげやすい。実際、5月2日の京都戦では後半にマテウス・ブエノを入れて流れを変え、1-2からの逆転勝ちではなく、1点ビハインドから2-1へひっくり返した。5月6日のC大阪戦も、90分では1-1だったが、清水は20本のシュートを打って終盤に追いつき、PK戦をものにした。

この2試合だけを見れば上向きだ。だが、シーズン全体の数字はもっとシビアだ。

  • Football LABの5月上旬時点データでは、清水の攻撃回数はリーグ1位の125.1
  • それに対してシュート数は9.5で19位、枠内シュートは2.6で20位
  • ペナルティエリア進入回数も8.8で17位
  • チャンス構築率は7.6%で20位
  • 一方で被ゴールは1.1で5位と表面上は悪くない

この並びが、今の清水をかなり正確に表している。前へ進む回数は多いのに、最後の一刺しに届く回数が少ない。 そこが首位争いとの距離だ。

最大の課題は「前進」を「決定機」に変え切れないこと

ここは最も厚く見るべき論点だ。

清水はオ・セフンが6得点で前線の基準点になっている。空中戦勝利数でもJリーグ公式のチームスタッツで上位に入り、縦に速く入れて収める形は作れている。さらに、マテウス・ブエノが入るとボール保持の落ち着きと配球の質が上がる。京都戦で後半の流れが変わったのもその部分だった。

ただし、タイトルを取るチームは「前進できる」だけでは足りない。相手を押し込んだあとに、

  • 何人目がゴール前へ入るか
  • セカンドボールをどう回収するか
  • クロスをただ上げるのではなく、どの高さとタイミングで合わせるか
  • オ・セフン以外の得点源をどこまで増やせるか

この再現性が要る。

数字が示すボトルネック

Football LABでは、清水は攻撃回数1位なのに、シュート19位、ゴール19位、ボックス侵入17位だった。これは単なる決定力不足だけでは説明しにくい。問題はシュートの前段階、つまり良い形でボールを最後の20メートルへ運び切る工程にある

Jリーグ公式のチームスタッツでも、清水の総得点は17で中位。ゴール期待値は18.2で11位前後にとどまる。決定機の作り方そのものが、優勝候補級まで届いていない。

オ・セフン依存をどう薄めるか

オ・セフンの6得点は大きい。だが、相手がそこを基準に守備を組んだ時、別の出口がもっと必要になる。

京都戦では宇野禅斗と嶋本悠大が決めた。これは好材料だ。中盤やサイドの選手が2列目、3列目から点を取れるなら、オ・セフンへの警戒を逆手に取れるからだ。

一方で、シーズン全体ではまだ「複数の得点ルートを持つ」とまでは言いにくい。タイトル争いをするなら、

  • 宇野のミドルや押し上げ
  • 嶋本の仕掛けと侵入
  • 北川航也のリンク役とフィニッシュ
  • セットプレーでのDF陣の加点

このあたりをもっと数字にしなければいけない。

もう一つの壁は、守れていても「守らされる量」がまだ多いこと

失点数だけを見ると、清水は大崩れしていない。だが、被ゴール期待値の系統を見ると、相手に打たせている量は少なくない。

Football LABのシーズンサマリーでは、被ゴール期待値は1試合平均1.531。Jリーグ公式でも被ゴール期待値系の数字は上位の堅守クラブほど低くなく、清水は安全圏とは言えない位置にいる。

これは何を意味するか。GKや最終局面の粘りで失点を抑えている試合がある一方、内容としては相手にそれなりのチャンスを渡しているということだ。

セットプレー守備は優勝争いの分水嶺

Football LABの失点パターンでは、清水はセットプレー由来の失点比率が小さくない。リーグ戦の上位争いでは、内容が拮抗した試合をどちらがセットプレーで拾うか、逆に落とさないかが最後に効く。

清水は高さやフィジカルを持つ陣容がある。だから本来、ここは弱点のままで終わってはいけない。守備の基準が整ってくれば、失点を減らすだけでなく、接戦の勝率も上がる。

吉田監督の狙いと、現場が見ている修正点

現場の発言は、課題と方向性がかなり一致している。

清水公式のC大阪戦試合前コメントで、吉田監督は4枚のほうが自分のサッカーのメリットが多く、プレスも効き、カウンターにもつなげやすいと説明した。これは今季の清水を理解するうえで重要な言葉だ。チームはまず、前向きに奪い、前向きに運ぶ型を作ろうとしている。

また、同じページで「ミドルシュートも打つことによって入ったりするので、状況によって判断していければより攻撃の厚みも出てくる」とも語っていた。京都戦で宇野が打ち切った形は、まさにその答えだった。

見方が分かれにくいポイント

このチームについては、立場が違っても見方が大きくは割れにくい。

  • 監督目線: 4バック基調と前進の型を定着させたい
  • データ目線: 前進回数は多いが、決定機化の率が低い
  • 地元メディア目線: 京都戦のように、後半の修正と中盤の得点参加は上向き材料

つまり、「ベースはできつつある」という評価と、「優勝レベルの完成度にはまだ届かない」という評価は両立する。

タイトルを狙うために、次に見たい3つの変化

ここからは、清水が本当に上へ行けるかを見る実戦的なチェックポイントだ。

1. オ・セフン以外で毎月どれだけ点を取れるか

ストライカーが決めるのは当然として、それ以外の得点が細いままだと、相手の対策が進んだ時に詰まる。宇野、北川、嶋本、マテウス・ブエノ周辺で月ごとに何点積めるかは、優勝争いの条件になる。

2. 押し込んだ試合で先に2点目を取れるか

C大阪戦は20本打って終盤追いついた。悪い内容ではないが、優勝するチームならもっと早く2点目、あるいは同点後の押し切りまで持っていきたい。支配時間を勝点3に変える力が問われる。

3. セットプレー失点と被ショットを削れるか

勝負どころでは、内容が多少悪くても失点しないことが大きい。守備の完成度が一段上がれば、今の清水は十分に上を見られる。

結論

清水エスパルスは、吉田孝行監督を迎えて「何を目指すチームか」が見えるようになった。これは大きい。4バック基調の守備、前から奪う意識、オ・セフンを生かす縦の速さ、マテウス・ブエノを中心にした試合の整え方。土台は確かにある。

ただ、タイトルを取るにはそこから先がいる。攻撃回数を決定機に変える精度、オ・セフン以外の得点、セットプレーを含む守備の締まり。 この3つが伸びなければ、「戦える清水」で止まる。

次のアビスパ福岡戦、さらにファジアーノ岡山、ガンバ大阪と続く5月の連戦は、その差を測るにはちょうどいい。内容だけでなく、押し込んだ試合をきちんと勝ち切れるか。そこが、清水が本当に優勝争いへ入るための次の関門になる。

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