MENU

稲見哲行は徳島の中盤をどう変えるか 奪って前へ進むための新しい選択肢

ボールを奪って前を向く徳島ヴォルティスの中盤をイメージした写真。

稲見哲行は徳島の中盤をどう変えるか 奪って前へ進むための新しい選択肢

徳島ヴォルティスが東京ヴェルディから完全移籍で獲得したMF稲見哲行に期待されるのは、単なる中盤の人数増ではない。ボールを失った直後に守備を始め、回収後は前向きなプレーへつなぐ役割だ。

稲見は2023年に東京VでJ2・28試合4得点、J1昇格後も2024年に23試合、2025年に16試合へ出場した。徳島では背番号17を着ける。前へ出る力と守備で身体を張る局面を同じ選手が担えるなら、攻撃の組み立てと守備の切り替えを分けて考えずに済む。

  • 稲見は東京VでJ1通算39試合、J2通算40試合に出場
  • 徳島ではMF鹿沼直生、児玉駿斗、岩尾憲、杉本太郎らと中盤を構成する
  • 注目点は得点数ではなく、奪った直後の一歩目と前進の判断
目次

加入が示すのは「守備専任」ではない

稲見の補強は、相手の攻撃を止めるだけで終わらせず、奪取を攻撃の出発点に変えるための補強と見るべきだ。

東京Vでのリーグ戦成績を見ると、J2だった2023年に28試合4得点を記録している。前線の背後で守るだけの選手ではなく、相手陣へ入り込んで得点に関わる局面も持つMFであることが、この数字から読み取れる。

一方で、J1でプレーした2024年、2025年には計39試合に出場した。より速い攻守の往復と、狭い局面での判断を求められるカテゴリーで経験を重ねてきたことは、徳島の中盤にとって大きい。新天地での役割は、華やかなラストパスを一手に担うことではないだろう。相手の縦パスに先回りし、セカンドボールを確保し、味方が前を向く時間をつくることに価値がある。

ここがポイント: 稲見の存在で問われるのは「誰が奪うか」よりも、「奪った後に徳島が何人で前へ出られるか」だ。

最も自然なのは、前後をつなぐ中央の役割

稲見は中盤の底にも一列前にも関われるため、固定的な一つのポジションより、周囲との組み合わせで強みが出る。

鹿沼・岩尾と組む場合

鹿沼直生と岩尾憲はいずれもMFとして登録されている。稲見が同じ中央に入れば、守備時には相手の中盤へ出ていく役と、最終ライン前を埋める役を分けやすくなる。

特に、相手が中央に人数を集めて前進してくる場面では、稲見が一歩前で競り、背後を味方がカバーする形が考えられる。これなら最終ラインを必要以上に押し下げずに済む。回収できた場合は、最初のパスを横ではなく前へ運べるかが重要になる。

児玉・杉本と組む場合

児玉駿斗や杉本太郎のように、受けて攻撃を動かせる選手と同時に起用されれば、稲見にはより明確な仕事が生まれる。攻撃的なMFが高い位置を取った際に、空いた中央を埋める。あるいは、相手のプレスを受けた味方の近くへ寄り、前向きの出口をつくる。

この組み合わせで大切なのは、稲見が何本パスを出すかだけではない。ボールを失った瞬間、攻撃的なMFが戻るまでの数秒をどう埋めるかである。中盤の距離が縮まれば、徳島は回収地点を高く保ちやすくなる。

効果が出るのは、試合が動いた時間帯

稲見の起用価値は、落ち着いた保持局面よりも、攻守が切り替わる時間帯で際立つ可能性がある。

リード時は、相手に二次攻撃を許さない

試合終盤に相手が前へ人数をかけてきたとき、最初の跳ね返しだけでは守り切れない。こぼれ球を拾い、相手の攻撃をもう一度始めさせないことが必要になる。

稲見が中央でその回収に関われれば、徳島は守備ブロックを下げ続けるだけでなく、回収から前線へ運んで時間を使う選択を取りやすい。これは失点を防ぐための守備であると同時に、試合を終わらせるための攻撃でもある。

追う展開では、前進回数を増やせるか

ビハインド時には、前線へ人を送り出すほど中盤のカバーが難しくなる。そこで稲見が相手のカウンターを早い段階で止められれば、攻撃の回数を保ちやすい。

ただし、前へ出る意識が強すぎれば、背後のスペースを空ける危険もある。稲見個人の運動量だけで解決する話ではない。最終ライン、中盤の相方、前線の守備開始位置まで含めて、誰がどこを埋めるかを共有できるかが前提になる。

既存戦力の序列より、中盤の選択肢を増やせるか

今回の加入で重要なのは、特定の選手を押しのけることではなく、相手と試合展開によって中盤の性格を変えられることだ。

徳島の公式発表によれば、稲見は2026年の百年構想リーグで東京V所属として5試合に出場した。新しい環境で最初から長時間を任されるかは、コンディションとチームの連係を見ながら判断されるはずだ。それでも、J1とJ2の両方で積み上げた出場経験は、連戦や交代策を考える上での土台になる。

期待できる点と、適応に必要な点を分けると見通しは明確になる。

  • 期待できる点:球際での強度を前進につなげ、中盤の回収後に攻撃の向きを早く変えられること
  • 期待できる点:守備的な役割と前への関与を一人で往復し、試合ごとの組み合わせを増やせること
  • 適応の課題:味方との立ち位置をすり合わせ、奪いに出た後の中央を空けないこと
  • 適応の課題:相手を押し込む試合で、回収役にとどまらず最終局面へどう関わるか

まず見るべきは、回収数ではなく次のプレー

稲見は加入に際し、苦しい状況でもチームのために身体を張って戦うと表明した。その言葉がピッチで最もはっきり表れるのは、タックルや競り合いそのものよりも、その直後だろう。

徳島が奪ったボールを再び相手へ渡さず、前線が走り出せる形にできるか。稲見の補強効果は、守備の数字だけでは測れない。中盤で生まれる一回目の奪取が、二回目の攻撃へ変わる回数を追いたい。

参照リンク

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次