勝てないザスパ群馬、低迷する理由
ザスパ群馬が苦しんでいる最大の理由は、攻撃志向そのものではなく、攻撃に出たあとの守備リスクをまだチームとして吸収し切れていないことにある。
2026年4月5日時点の明治安田J2・J3百年構想リーグ EAST-Aで、群馬は9試合を終えて勝点7、1勝1PK勝2PK負5敗。得点は8、失点は20で、得失点差は-12。数字だけを見ても、問題は「点が取れない」だけではなく、先に試合を壊される失点の重さにある。
- 9試合で20失点。1試合平均で2失点を超える
- 公式順位表ではEAST-A 9位と下位に沈む
- 沖田優監督は攻撃的な方向性を継続している
- ただし、ボールを持つ時間を増やす狙いと、奪われた直後の守備がまだつながっていない
ここがポイント: 群馬の低迷は「攻撃か守備か」の二択ではなく、攻撃に人数と意識を割いたあと、相手の圧力を受けた瞬間に試合を保てないところに出ている。
何が起きているか。勝点7、得失点差-12の現実
まず事実関係を整理したい。
Jリーグ公式の順位表では、2026年4月5日更新時点で群馬はEAST-Aの9位。9試合で勝点7、得点8、失点20という成績だった。首位のベガルタ仙台、上位のブラウブリッツ秋田、湘南ベルマーレとは勝点だけでなく、得失点差でも大きく離されている。
この数字で目立つのは、やはり失点数だ。
- 得点: 8点
- 失点: 20点
- 得失点差: -12
- 順位: EAST-A 9位
1点を取っても2点、3点を返される展開が増えれば、試合運びはどうしても難しくなる。攻撃で前に出たいチームほど、先制された後に焦ってライン間が伸びる。群馬はいま、その悪循環に入っている。
低迷の核心は「攻撃的な土台」と「守備の安定」のズレ
沖田優監督は2025シーズン終了後に契約を更新し、クラブ公式で「攻撃的マインドのチームとして土台を創ることができた」という趣旨のコメントを残している。2026年2月のクラブ公式インタビューでも、方向性は大きく変えていない。攻撃の時間を増やすために、強度や守備の整理も進めるという考え方だ。
つまり、群馬は守備的に割り切って勝点を拾うチームへ急転換したわけではない。ボールを持ち、前に出て、相手陣内でプレーする時間を増やしたい。その狙い自体ははっきりしている。
問題は、その狙いが試合の中でまだ安定した結果になっていないことだ。
5失点の相模原戦が示したもの
Football LABのマッチレポートでは、3月4日のSC相模原戦について、相模原が群馬のパスワークに対してハイプレスで流れをつかみ、最終的に5-0で勝利した流れが記録されている。
この試合は、群馬の課題をかなり分かりやすく示している。
- 立ち上がりにボールを動かす意図はあった
- しかし相手のハイプレスで主導権を渡した
- 先制後も流れを止められず、大量失点につながった
攻撃的なチームがボールを失うこと自体は珍しくない。大事なのは、奪われた直後に誰が止めるのか、最終ラインがどこまで押し上げるのか、セカンドボールをどの選手が拾うのか。その約束事が曖昧だと、相手は少ない手数でゴール前まで進める。
群馬の失点数は、そこにまだ修正の余地が大きいことを示している。
仙台戦は「粘り」と「勝ち切れなさ」が同居した
一方で、4月4日のベガルタ仙台戦は単純な完敗ではなかった。Football LABのレポートでは、群馬が前半20分に下川太陽の得点で先制し、後半45分には田頭亮太の得点で2-2に追いついたことが確認できる。試合はPK戦で仙台が勝利した。
ここには前向きな材料もある。
仙台のような上位チームを相手に先制し、終盤に追いつく力は見せた。下川太陽や田頭亮太の得点は、群馬が試合を捨てずに押し返せることを示している。
ただし、勝点を大きく伸ばすには「追いついた」だけでは足りない。先制後に主導権を握り続ける時間、追いついた後にPK戦へ持ち込む前に勝ち越す迫力、あるいは逆転された時間帯に失点を最小限で止める守備。そのどれかを増やさなければ、内容の手応えが順位表に反映されない。
システム変更もまだ安定材料になっていない
Football LABのフォーメーションデータでは、2026年3月10日更新時点で群馬は主に3-4-2-1を使い、4-2-3-1も試している。集計対象が開幕序盤の5試合である点には注意が必要だが、傾向は見える。
| システム | 試合 | 勝敗 | 得点 | 失点 |
|---|---|---|---|---|
| 3-4-2-1 | 4 | 1勝2分1敗 | 5 | 5 |
| 4-2-3-1 | 1 | 0勝0分1敗 | 0 | 5 |
3-4-2-1は、ウイングバックを高く出せれば相手のサイドを押し込める。シャドーが中間ポジションを取れれば、ボランチから前線へ縦パスも入る。沖田監督が目指す「攻撃の時間を増やす」方向とは相性がいい。
ただし、ウイングバックの背後を使われると一気に守備ラインが横へ広がる。3バックの脇、ボランチの背中、逆サイドの戻り。この3か所が連動しないと、相手のカウンターを止める位置が低くなる。
4-2-3-1の1試合5失点をもってシステム自体を否定するのは早い。それでも、形を変えたときに守備の基準まで同時に整わなければ、チームは安定しない。群馬はいま「どの形なら勝てるか」より先に、「どの形でも失点を増やさない基準」を固める段階にいる。
選手起用で見るべきポイント
群馬の2026年メンバーを見ると、米原秀亮、西村恭史、神垣陸、山口一真、下川太陽、小西宏登、中島大嘉ら、前向きにボールを扱える選手はいる。だからこそ、課題は個々の名前を並べるだけでは見えにくい。
見るべきは役割の整理だ。
中盤は「前に運ぶ選手」と「止める選手」の距離
攻撃時に中盤が前を向ければ、群馬はテンポを作れる。だが、パスがずれた瞬間にボランチ周辺が空くと、相手の最初の前進を止められない。
中盤のポイントは次の3つになる。
- パスを受ける選手の背後を誰が管理するか
- サイドに展開した後、中央の回収役が残っているか
- 失った瞬間にファウル以外で相手を遅らせられるか
攻撃的なチームほど、守備の人数をただ増やすだけではよさが消える。群馬に必要なのは、前に出る選手を減らすことではなく、前に出た後の保険をはっきりさせることだ。
前線は得点だけでなく守備の開始点になる
下川太陽が仙台戦で得点したように、前線の選手が結果を出す場面は出ている。小西宏登や中島大嘉のような前線の選手も、相手の最終ラインに圧力をかけられる存在だ。
ただ、群馬の現状では前線の仕事はゴール前だけでは終わらない。相手センターバックやボランチに自由な前進を許すと、後ろのラインが受ける負荷は大きくなる。
前線がどの方向へ追い込むのか。2列目がどこで挟むのか。サイドへ誘導した後、ウイングバックが前へ出るのか、最終ラインがスライドするのか。ここがそろえば、失点数は少しずつ減らせる。
見方は分かれる。方向性を信じるか、現実的に閉じるか
群馬の評価は、立場によってかなり変わる。
クラブと監督の立場では、2025年終盤の6連勝で見せた攻撃的な土台を継続したいはずだ。沖田監督との契約更新も、その流れの延長線上にある。短期的に守備を固めるだけでは、2026/27シーズンのJ3で上を狙うチーム作りにつながりにくいという判断もあるだろう。
一方、サポーター目線では、9試合20失点という数字は重い。内容に手応えがあっても、順位表が9位なら不安は消えない。特に大量失点があると、「攻撃的」という言葉が守備の甘さを覆い隠しているように見えてしまう。
中立的に見れば、どちらの見方にも根拠がある。
- 攻撃的な方向性を捨てれば、積み上げが途切れる
- 失点を放置すれば、勝点は伸びない
- 百年構想リーグは格上相手も多く、J3本番に向けた試金石になる
- ただし、試金石であっても負け癖を残すのは避けたい
だからこそ、群馬に必要なのは大転換ではなく、攻撃を続けるための守備修正だ。前から行くなら後ろも押し上げる。保持するなら失った瞬間の配置を残す。シンプルだが、ここがそろわないと勝てない。
次に見るべきは「失点の減り方」
次の注目点は、順位そのものよりも失点の中身だ。
1試合で複数失点を続けるのか。先制された後に2点目を防げるのか。リードした時間帯に相手の反撃を受け止められるのか。そこが変われば、群馬の見え方も変わる。
今後のチェックポイントは明確だ。
- 前半の早い時間に失点しない
- ボールを失った直後、中央を簡単に通されない
- 3バック脇とウイングバック背後の守備を整理する
- 先制した試合を勝ち切る
- 追いついた試合をPK戦頼みにしない
ザスパ群馬が勝てない理由は、攻撃の意思が弱いからではない。むしろ前に出たい意思はある。問題は、その意思を90分の勝点に変えるための守備の設計が、まだ結果に追いついていないことだ。
次に群馬を見るときは、得点者だけでなく、ボールを失った直後の5秒と、先制後の10分を見たい。そこが変われば、勝てないチームという印象は一気に変わる。
