セレッソ大阪が2026シーズンなぜ苦戦してるのか?
セレッソ大阪が2026シーズン序盤に伸び切れていない最大の理由は、内容で押し込める時間があるのに、最後の1本を決め切れないことだ。守備は崩壊していない。むしろ失点は抑えられている。それでも勝点3を積み上げ切れないのは、攻撃の仕上げと前進の再現性がまだ噛み合っていないからだ。
4月5日時点で明治安田J1百年構想リーグWESTは第9節に入っている。Jリーグ公式の直近更新順位表では、セレッソは8試合で勝点11の9位。首位争いから完全に置いていかれたわけではないが、上位に食らいつくには物足りない位置だ。しかも7得点7失点という数字は、悪くない守備と物足りない攻撃をそのまま映している。
- 4月5日時点で第9節に突入
- Jリーグ公式の3月28日更新順位表ではWEST9位、8試合勝点11
- 8試合7得点7失点で、守備は大崩れしていない
- 一方でFootball LABでは1試合平均得点0.8、シュート成功率6.9%と得点効率が低い
- ペナルティーエリア進入回数はリーグ2位水準で、崩せていないというより仕留め切れていない
ここがポイント: セレッソの問題は「何もできていない」ことではない。守備を整えた代わりに、攻撃の仕上げと選手間距離の最適化がまだ完成していないことが、勝点3不足に直結している。
何が起きているのか
まず結果を並べると、序盤戦の流れははっきりしている。
- 2月7日 ガンバ大阪戦は0-0からPK戦敗戦
- 2月15日 アビスパ福岡戦は2-0で勝利
- 2月22日 サンフレッチェ広島戦は1-2で敗戦
- 2月28日 V・ファーレン長崎戦は0-1で敗戦
- 3月7日 清水エスパルス戦は0-0からPK戦勝利
- 3月14日 京都サンガF.C.戦は2-1で勝利
- 3月18日 ファジアーノ岡山戦は1-2で敗戦
- 3月22日 ヴィッセル神戸戦は1-1からPK戦勝利
ここで目立つのは、接戦が多いことだ。大敗はないが、楽に勝ち切った試合も少ない。しかもPK戦勝利は勝点2にとどまる。この大会方式では、延長なしでPK戦に入る引き分け試合が「悪くない結果」に見えても、上位争いではじわじわ響く。
セレッソは3月を3勝1敗で終えたが、そのうち2勝はPK戦。内容が完全に悪いわけではないのに、勝点3を取り切れない。このズレが、今季序盤の停滞感を強めている。
苦戦の本質は「フィニッシュの質」にある
数字で見ると、この傾向はかなり明確だ。
Football LABの4月2日更新データでは、セレッソは次のような傾向を示している。
- 1試合平均ゴール: 0.8でリーグ17位
- シュート成功率: 6.9%でリーグ17位
- ペナルティーエリア進入回数: 16.8でリーグ2位
- チャンス構築率: 10.0%でリーグ14位
- 被ゴール: 0.7でリーグ3位
この並びが示すのは単純だ。ゴール前までは入れているのに、得点に変わっていない。
3月13日の京都戦プレビューでアーサー・パパス監督は、直近2試合について「相手のペナルティーエリア内には入っていけている。あとはディテールを詰めていくこと」と話した。登里享平も、チャンスや進入回数は増えている一方で「最後の部分での課題」を認めている。
実際、個別データを見ても傾向は似ている。櫻川ソロモンは8試合3得点でチーム最多得点者だが、彼だけに依存している構図でもある。柴山昌也はシュート数が多く、チャンスメイクでも上位にいるが、ゴールにはまだ結びつき切っていない。横山夢樹、阪田澪哉、チアゴ・アンドラーデらが前向きなプレーを増やしても、最後の1本で差がつく場面が多い。
崩しはあるのに、点が増えない理由
理由は大きく3つある。
- クロスやラストパスの質が安定しない
- ボックス内に入る人数とタイミングが揃い切らない
- 若いアタッカーが多く、冷静さより勢いが先に出る場面がある
これは監督や選手のコメントとも一致する。登里は、ボックス内で「スピードを上げ過ぎて精度が悪くなる」場面に触れていた。攻撃の勢いはある。ただ、その勢いをゴールに変える技術と判断が、まだ安定していない。
もう一つの問題は、前進の形がまだ固まっていないこと
得点力不足だけなら、単なる決定力の話で終わる。だがセレッソの苦戦はそれだけではない。攻撃の入り口でも、ときどき選手間の距離が崩れる。
4月3日の名古屋戦プレビューで、クラブは3月22日の神戸戦を振り返りながら、パパス監督が岡山戦後に「間延びして選手間の距離が開いた。それだとウチらしさが出ない」と説明したことを伝えている。そこで神戸戦では、櫻川ソロモンをベンチに置き、柴山昌也と本間至恩を前線に置く“ゼロトップ”気味の「ダブル10番」へ変更した。
この修正は重要だった。前半の神戸戦では、中盤に数的優位を作ってボールを握り、相手を動かしながら両サイドを使えた。つまり、監督自身もいまのセレッソがまだ完成形ではなく、相手や自軍の状態に応じて形を探っている段階だと認めていることになる。
なぜ距離感が崩れるのか
ここには、パパス体制のサッカーそのものの難しさがある。
- 後方からつなぎながら相手を動かしたい
- ただし前線にはスピードも高さも使いたい
- 若い2列目を多く起用するため、流動性は出るが立ち位置が揃いにくい
京都戦プレビューでも、クラブは前から強く来る相手に対して、下からつなぐだけでなく長いボールも選択肢だと整理していた。つまり現状のセレッソは、ポゼッション一辺倒でもロングボール主体でもない。そのぶん、試合ごとに最適解を探す必要があり、そこがまだ再現性の低さとして表れている。
守備はむしろ改善している
今季のセレッソを語るうえで、守備を外すと全体像を見失う。
昨季までのセレッソは、攻撃の魅力がある一方で試合を落ち着かせ切れない時間があった。だが今季序盤は、被ゴール0.7、被シュート成功率4.4%でリーグ上位。Football LABでも守備CBPはリーグ1位になっている時期がある。失点数だけ見れば、苦戦しているチームというより、まず守れる土台を作れているチームだ。
だからこそ、広島戦や岡山戦のような1点差負けが痛い。守備を整えた分、1点の重みが増したのに、その1点を取り返す攻撃がまだ安定しない。
失点そのものより、失点の仕方が響く
とくに気になるのは、相手のサイドやWBに使われる場面だ。名古屋戦プレビューでは、岡山戦で相手の左WB山根永遠に似た形で決められた点に触れ、名古屋のWB対策を必須とした。守備全体が崩れているのではなく、相手の可変や幅取りに対して、一瞬の受け渡しや立ち位置で後手を踏む場面が残っている。
ここは、ボール保持志向のチームが抱えやすい課題でもある。自分たちが前向きに押し込む設計だからこそ、失った瞬間や大外の管理が少しでも遅れると傷になる。
監督、選手、外部分析の見方はどう重なるか
立場が違っても、見ているポイントはかなり近い。
監督の見方
パパス監督は一貫して、チャンス自体は作れていると捉えている。そのうえで必要なのは、フィニッシュの質、ボックス内での冷静さ、そしてボール保持による試合支配の完成度だという立場だ。神戸戦後から名古屋戦前にかけても、「違う形でも上手くできることが分かった」と前向きに話している。
選手の見方
登里や柴山のコメントからは、内容への手応えと数字への不満が同時に見える。柴山はチャンスメイクの数字が出ていても、勝つには自分が仕留めないといけないと話す。若い選手が多いチームだからこそ、成長の余地と未完成さがそのまま試合結果に表れている。
外部分析の見方
外部では、戦術設計と実装の間にまだ差がある、という整理が目立つ。Football LABのデータは「進入回数は多いのに得点効率が低い」という形でそれを裏づけるし、footballistaも3月時点で、守備の整備に比べて攻撃の完成度が追いついていない構図を論点にしている。これは感覚論ではなく、今季の数字と公式コメントがほぼ同じ方向を向いている。
では、ここからどう立て直すべきか
セレッソの立て直しは、派手な改革よりも、いま見えている課題をどこまで具体的に詰められるかにかかる。
1. 櫻川ソロモン以外の得点源を増やす
櫻川は前線の基準点として機能しているが、彼だけに寄ると相手も守りやすい。阪田、柴山、横山、チアゴ、本間、中島といった2列目の誰が継続して数字を出せるかが重要になる。
2. 相手別に前進ルートを整理する
前から来る相手には長いボール、構える相手には中盤の数的優位。神戸戦のゼロトップ的な工夫は、そのヒントになった。大事なのは奇策ではなく、複数の前進ルートをチームの共通認識にすることだ。
3. 守備改善を無駄にしない
ここまでの守備改善は本物に近い。だからこそ、攻撃を良くしようとして守備の整理まで崩してしまうと元も子もない。セレッソは「点が取れないから全部変える」より、守れる基盤を残したまま仕上げだけを上げる方が現実的だ。
今後の注目点
セレッソの苦戦は、崩壊ではなく未完成による足踏みだ。ここは見誤らない方がいい。守備が壊れているなら立て直しは長引くが、今のセレッソはむしろ逆で、守備の土台が先にできて、攻撃の完成が追いついていない。
次に見るべきポイントは明確だ。
- PK戦ではなく90分で勝点3を取れるか
- 2列目の選手が継続して得点できるか
- ゼロトップ気味の形と1トップ型を相手別に使い分けられるか
- WBや外回りの攻略と守備対応をどこまで改善できるか
4月以降にこの4点が噛み合えば、WESTの混戦では一気に浮上できる。逆に、内容は悪くないのに決め切れない試合が続けば、今の9位前後の停滞がそのまま定位置になる。セレッソに必要なのは、大改革ではない。ゴール前の数メートルと、選手同士の数メートルを揃えることだ。
参照リンク
- Jリーグ公式サイト 順位表・日程
- セレッソ大阪 Match Preview 2026年4月3日
- セレッソ大阪 Match Preview 2026年3月13日
- セレッソ大阪 Match Review 2026年3月16日 京都戦
- セレッソ大阪 Match Review 2026年2月24日 広島戦
- セレッソ大阪 Match Review 2026年2月17日 福岡戦
- セレッソ大阪 Match Review 2026年2月9日 G大阪戦
- Football LAB セレッソ大阪 2026 ランキング
- Football LAB セレッソ大阪 2026 シーズンサマリー
- footballista パパス・セレッソ分析
