菅原由勢はW杯日本代表の右をどう広げるのか ヴェルダーで積んだ数字と26人枠での役割
2026年5月15日、日本サッカー協会はFIFAワールドカップ2026に臨むSAMURAI BLUEの26人を発表し、菅原由勢も正式にメンバー入りした。結論から言えば、菅原に期待されるのは単なる控えではない。右サイドで幅を取り、前進を助け、必要なら最終ラインの形まで変えられる“動かせる駒”としての役割だ。
前回のカタール大会ではメンバー外だった。そこから4年で、オランダ、イングランドを経て、今季はドイツで実戦を積み、ワールドカップ本大会の26人に入った。この変化は大きい。日本代表の右サイドは堂安律や伊東純也の使い方とも直結するだけに、菅原の起用法は大会全体の攻撃設計にも関わってくる。
- 2026年5月15日にJFAがW杯メンバー26人を発表し、菅原由勢が選出
- 今季はヴェルダー・ブレーメンでプレーし、Bundesliga公式の選手ページではリーグ31試合6アシスト
- 右SBだけでなく、右WBやサイドの高い位置でも使える柔軟性が強み
- 日本代表では守備の安定役というより、右の前進力と配球の出口としての価値が大きい
まず何が決まったのか
JFAは5月15日、ワールドカップ2026に向けた日本代表メンバーを発表した。菅原はDF登録で26人に入り、5月31日のアイスランド戦を経て本大会へ向かう流れになっている。
ここで重要なのは、「候補」ではなく、本大会へ向かう正式メンバーとして名前が載ったことだ。最終予選や親善試合の招集とは意味が違う。森保ジャパンの中で、右サイドの選択肢として計算されていると見ていい。
ここがポイント: 菅原の価値は、右SBの序列争いだけではない。試合展開に応じて右の高さ、配球、守備位置を変えられることが26人枠では効いてくる。
今季クラブで積んだ実績は何か
菅原は2025年8月26日にサウサンプトンからヴェルダー・ブレーメンへ期限付き移籍で加入した。クラブ公式は契約に買い取りオプションが含まれることも明かしている。
ヴェルダー加入時、クラブは彼を「スピードがあり、対人に強く、サイドで複数ポジションをこなせる右サイドバック」と説明した。これはそのまま代表での見立てにも重なる。
数字で見える強み
Bundesliga公式の選手ページでは、5月15日時点の今季リーグ成績は次の通りだ。
- 31試合出場
- 6アシスト
- 勝利したタックル144回
- オープンプレーからのクロス56本
- 最高速度32.76km/h
この数字が示すのは、守るだけのSBではないということだ。6アシストは、右からの配球やラストパスに継続的に関わってきた証拠になる。クロス本数も多く、外を回る形でも、少し内側に入ってつなぐ形でも仕事がある。
一方で、5月11日にはホッフェンハイム戦での退場により2試合の出場停止が発表され、シーズン最終戦を欠場することになった。攻撃性能だけでなく、試合の強度が上がった局面でのリスク管理は、本大会でも見られるポイントになる。
キャリアの厚みも無視できない
ヴェルダー加入時のクラブ発表によれば、菅原はAZで公式戦198試合に出場し14得点、サウサンプトンでは35試合1得点を記録している。日本を出てから長く欧州でプレーし、リーグや強度の違う環境を渡ってきた。
この蓄積は、ワールドカップのように相手ごとにテンポも圧力も変わる大会で効く。若手の勢いだけでなく、複数リーグを経験したうえで自分の形を持っている点が、菅原の土台だ。
日本代表で期待される役割
菅原の役割を一言でまとめるなら、右サイドの「前進装置」だ。
日本代表の右には、縦に鋭い伊東純也、内側で受けて仕掛ける堂安律といった性格の異なるアタッカーがいる。菅原がいると、その前の選手の特徴に合わせて後ろの形を変えやすい。
1. 幅を取って右のレーンを開ける
相手が中を締める相手なら、菅原が外に張るだけで前線の立ち位置が整理される。右サイドに幅が出れば、堂安が中へ入りやすくなり、逆サイドへの展開も作りやすい。
2. 早いクロスで攻撃を完結できる
持ち直してから丁寧に崩すだけでなく、少ない手数でクロスを入れられるのも強みだ。上田綺世や前田大然のようにゴール前へ勢いよく入るFWがいる日本では、この性質は分かりやすく効く。
3. 右WBや可変の一角として使える
相手に押し込まれる時間帯は4バックのSB、押し返したい時間帯はWB気味に高い位置へ、といった使い分けも考えやすい。26人枠では、先発固定の主役かどうかだけでなく、一人で複数の試合展開に対応できるかが重要になる。
前回W杯メンバー外から何が変わったのか
カタール2022の日本代表メンバーに、菅原の名前はなかった。あの時点では、代表での立場はまだ固まり切っていなかった。
ただ、その後の積み上げははっきりしている。
- 欧州で右SBとして継続して出場
- 2023年11月のシリア戦でA代表初ゴール
- 2025年以降も追加招集を含めて代表に関わり続けた
- 2026年5月15日、ついに本大会の26人に入った
育成年代でもU-15からU-24まで各世代の代表を経験してきた選手で、早い段階から多くの役割を任されてきた。サウサンプトン加入時のクラブ紹介でも、名古屋グランパスから欧州へ渡り、AZで実績を積み重ねてきた流れが整理されていた。
この経歴が意味するのは、単に「海外経験がある」という話ではない。ポジションやリーグが変わっても、自分の武器を残しながら順応してきたことだ。ワールドカップでは、その適応力がベンチ入りメンバーの価値を大きく左右する。
監督やクラブが見ている評価軸
ヴェルダーのホルスト・シュテッフェン監督は加入時に、菅原を「速く、対人に強く、サイドで他のポジションもこなせる選手」と位置づけた。クラブ幹部も、プレミアリーグとエールディビジでの経験を評価して獲得している。
この評価軸は、日本代表でもほぼそのまま当てはまる。
- スピード: 背後を使う展開でも戻れる
- 対人守備: 1対1を避けられない試合で最低限の土台になる
- 複数ポジション対応: ベンチ構成を助ける
- 前向きな配球: 右から攻撃を始められる
右SBに守備だけを求めるなら、別の選択肢もある。だが日本がボールを持つ時間を増やしたい試合では、菅原のように前進にも関われる選手の価値は上がる。
本大会で見るべきポイント
菅原が26人入りした意味は、メンバー表の1枠を埋めたことではない。日本代表が右サイドから試合を変えるための選択肢を増やしたことにある。
本大会で特に見たいのは次の3点だ。
- 先発時に、右のアタッカーとどう役割分担するか
- リード時とビハインド時で、立ち位置がどこまで変わるか
- クロス本数だけでなく、前進の起点として何回ボールを前へ運べるか
守備陣の記事として見るなら、菅原は“最後尾の人”ではない。日本代表の右側にどれだけ前向きな流れを作れるかを測る選手だ。ワールドカップ本大会では、その一歩目の判断と右足の配球が、試合のテンポを左右する場面が出てくる。
