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松本山雅FCはなぜ3月中旬に輪郭を変えたのか 石﨑信弘監督の「奪いにいく守備」と前線の多点化を読む

松本山雅FCはなぜ3月中旬に輪郭を変えたのか 石﨑信弘監督の「奪いにいく守備」と前線の多点化を読む

2026年3月中旬のJリーグで、今あらためて見ておきたい題材は松本山雅FCだ。2月は結果が安定しなかった一方で、2月21日のジュビロ磐田戦に続き、3月7日の北海道コンサドーレ札幌戦を3-0、3月14日のAC長野パルセイロ戦を5-0で制し、チームの輪郭がはっきりしてきた。結論から言えば、石﨑信弘監督の下で進む「奪いにいく守備」が前線の得点源を分散させ、J2・J3百年構想リーグの序盤戦で再現性を持ち始めていることが最大の見どころだ。

目次

何が起きているのか 3月14日までの事実整理

松本は2月7日のRB大宮アルディージャ戦を1-2で落とし、2月14日の藤枝MYFC戦も敗戦。だが2月21日の磐田戦で2-1の初勝利を挙げると、2月28日のヴァンフォーレ甲府戦は0-1で敗れながらもシュート数では10本対4本と押し込む時間を作った。

その流れが結果に直結したのが3月7日と3月14日だ。札幌戦は14本のシュートで3得点、長野戦は25本のシュートで5得点。しかも得点者は加藤拓己、樋口大輝、藤枝康佑、白井達也、村越凱光、金子光汰と分散している。特定のエースに依存する形ではなく、前線とサイド、さらにはセットプレーまで複数の経路で点を取れているのが大きい。

松本山雅FC公式サイトの3月15日更新順位表では、松本は勝点9、得失点差+5で6位。首位争いに食らいつくにはまだ上積みが必要だが、3月前半の内容だけを切り取れば、上位を脅かすだけの勢いは十分に示したと言っていい。

深掘り1 石﨑監督の守備設計は「待つ守備」ではなく「奪う守備」

この変化を語るうえで外せないのが守備の設計だ。石﨑監督は1月のインタビューで、今季のチーム作りについて「ゴールを守るのではなく、ボールを奪いにいく守備」を浸透させたいと説明していた。これは単なる精神論ではなく、3月の試合内容にもつながっている。

札幌戦のJリーグ公式戦評では、先制後に「徐々にプレスが機能」し、「献身的なプレスからのボール奪取」で相手を封じたと整理されている。長野戦では25本のシュートを打つ一方、相手のシュートを7本に抑えた。相手陣で奪い切る場面と、前向きに回収して二次攻撃へ移る場面が増えたからこそ、試合のテンポを自分たち側へ寄せられている。

ここで重要なのは、守備が守備だけで完結していない点だ。奪う位置が高くなれば、前線は少ない手数でゴールへ向かえる。札幌戦の3点目、長野戦の序盤2得点は、まさに試合の主導権を早い段階で握る意味を持った。

深掘り2 前線の多点化が進み、相手の的を絞らせない

もう一つの変化は、得点の分散だ。3月7日の札幌戦では加藤、樋口、藤枝が得点し、3月14日の長野戦では白井、加藤、村越、金子がネットを揺らした。特に村越凱光と加藤拓己の存在感が大きく、前から追えるだけでなく、ゴール前でも仕事をしている。

この形の強みは、相手が一人を消しても別のルートが残ることだ。中央のFWだけでなく、ウイングバックや後方の選手まで得点に絡めると、相手の最終ラインはマークの受け渡しが難しくなる。3月14日の長野戦で白井達也が開始2分で先制したことは、その象徴だった。

一方で課題もある。甲府戦ではシュート数で上回りながら無得点に終わった。つまり、押し込める試合を必ずしも勝ち切れているわけではない。相手が低い位置で耐え、松本にボールを持たせる展開になったときに、最後の崩しをどう増やすかは今後も論点になる。

立場ごとの見方 監督、地元メディア、サポーター文脈

監督の立場

石﨑監督の発言を追うと、今季の軸はかなり明確だ。市民タイムスのインタビューでは前へ出て奪う守備の徹底を語り、ホーム開幕前にはABN長野朝日放送に対して「チーム状態は徐々に良くなってきている」と説明した。実際、3月前半の連勝は、その狙いが結果に変わり始めた段階と見ていい。

地元メディアの立場

地元テレビ局は、3月14日の信州ダービー5-0勝利を「圧倒」と表現した。単にダービーに勝ったという話ではなく、長野Uスタジアムで公式戦初勝利という文脈も重なり、松本の序盤戦における転換点として受け止められている。地元メディアの論調は、守備強度と勢いの両方を評価する方向だ。

サポーター文脈

サポーター目線では、戦術面と同じくらい「ホームに戻ってきたこと」の意味が大きい。3月7日の札幌戦はサンプロ アルウィンで約5カ月ぶりのリーグ戦開催となり、1万人超が集まった。Jリーグ公式戦評でも、久々のホームで勝利を飾ったことが強調されていた。勢いの源泉を戦術だけに求めるのは不十分で、クラブ全体の空気が上向いたことも見逃せない。

今後の注目点 この形は上位相手にも通用するのか

今後の焦点は3つある。

  1. 高い位置で奪う守備を、連戦でも維持できるか。
  2. 先手を取れない試合で、甲府戦のような「押し込みながら無得点」を減らせるか。
  3. 村越、加藤に続く得点源をさらに増やし、相手に守備の照準を絞らせないか。

松本山雅FCは、3月14日時点ではまだ6位にすぎない。ただ、2月の不安定さから3月前半の連勝へ向かう流れを見ると、単なる勢いではなく、守備の立ち位置と得点の取り方に理由がある。J1昇格候補や有名クラブばかりが注目されがちな時期だからこそ、松本のように「仕組みで上向いてきたクラブ」を追う価値は大きい。

3月下旬のJリーグを手早く押さえるなら、松本山雅FCは結果以上に中身を見ておくべきチームだ。前から奪い、複数人で点を取る。この形が4月以降も持続するなら、序盤のダークホースでは終わらない。

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