クロアチア代表チーム紹介:モドリッチの経験値と守備修正がGroup Lを左右する
クロアチア代表を見るうえで最初に押さえたいのは、今もなおルカ・モドリッチ中心のチームでありながら、2026年ワールドカップでは「経験だけで勝つ」段階を過ぎていることです。
直近のスロベニア戦は2-1で勝ったものの、ズラトコ・ダリッチ監督は相手のトランジションと自軍の技術的ミスを課題として認めています。Group L初戦は2026年6月17日のイングランド戦。強度と修正力が、いきなり問われます。
- クロアチアは2025年11月14日、フェロー諸島に3-1で勝って欧州予選Group Lを突破
- 2026年W杯本大会ではイングランド、ガーナ、パナマと同組
- HNS公式の最終メンバーではモドリッチ、コバチッチ、ペリシッチ、クラマリッチら経験組に加え、ルカ・ブシュコビッチ、マルティン・バトゥリナ、ペタル・スチッチら若手も入った
- 最大の見どころは、保持の落ち着きとカウンター対応を両立できるか
まず事実関係:予選突破と本大会初戦
クロアチアは、欧州予選Group Lを首位で突破しました。決定打になったのは2025年11月14日のフェロー諸島戦です。先制を許しながら3-1で逆転し、2026年ワールドカップ出場を決めました。
本大会のグループは以下の4チームです。
- イングランド
- ガーナ
- クロアチア
- パナマ
HNS公式サイトでは、クロアチアの次戦として2026年6月17日、Dallas Stadiumでのイングランド戦が掲載されています。つまり、クロアチアは大会の入りからボール保持、守備移行、セットプレー対応を高い水準で試されます。
直近の準備試合では、6月3日にベルギーへ0-2で敗れ、6月7日にスロベニアへ2-1で勝利。結果だけ見れば立て直した形ですが、内容面では不安も残りました。
ここがポイント: クロアチアは「大会巧者」として見られがちですが、2026年大会の入口では守備移行の修正が最優先テーマです。
チームの軸:経験値は依然として強み
クロアチアの顔は、やはりモドリッチです。HNS公式の最終メンバー欄では、モドリッチは1985年生まれのMFとして掲載され、代表出場数は198試合。数字だけでなく、試合のテンポを決める役割そのものがチームの設計に直結しています。
中盤は「整理する力」が武器
クロアチアの中盤には、モドリッチ、マテオ・コバチッチ、マリオ・パシャリッチ、ニコラ・ブラシッチ、ルカ・スチッチ、マルティン・バトゥリナ、ペタル・スチッチらが入っています。
この顔ぶれの意味は、単に技術者が多いということではありません。
- モドリッチが試合の速度を落ち着かせる
- コバチッチが圧力を受けた局面で運ぶ
- パシャリッチやブラシッチが前線との距離を詰める
- 若手MFが途中投入でテンポを変える
クロアチアは相手に押し込まれても、一本のパスや運びで試合を自分たちの速度に戻せるチームです。日本代表の読者にとっても、この「苦しい時間を消す中盤」は見どころになります。強豪相手に主導権を握り続けるのではなく、主導権を奪い返す手段をどれだけ持てるか。そこに学べる部分があります。
前線は万能型より役割分担
前線では、イバン・ペリシッチ、アンドレイ・クラマリッチ、アンテ・ブディミル、マルコ・パシャリッチ、ペタル・ムサ、イゴール・マタノビッチが登録されています。
ペリシッチの経験、クラマリッチのリンクプレー、ブディミルの高さと収める力は、相手によって使い分けやすい材料です。ただし、爆発的な個の突破で毎試合を壊すタイプのチームではありません。クロアチアの攻撃は、中盤で整えて、前線の役割を正しく当てることで威力を出します。
不安材料:スロベニア戦で見えた守備移行
スロベニア戦の公式記録では、クロアチアはモドリッチの51分のゴールで先制し、83分に失点。その後、90+3分にマリオ・パシャリッチが決勝点を決めました。
勝ち切ったことは大きい一方で、ダリッチ監督は試合後に、相手に多くのチャンスを作られたこと、技術的ミス、ポジショニングの問題に触れています。ここは本大会でそのまま弱点になり得ます。
なぜ危ないのか
クロアチアはボールを持てるチームです。だからこそ、失い方が悪いと中盤の背後に広いスペースが残ります。
特にイングランド戦では、次の場面が危険です。
- 自陣からのビルドアップでパスがずれる
- サイドバックやCBが前向きに出た直後に奪われる
- 中盤の選手がボールへ寄った裏を使われる
- 前線のプレスが外され、最終ラインが後退しながら守る
ダリッチ監督は「自分の哲学は捨てない」という趣旨の発言をしつつ、より速く、エネルギッシュになる必要にも触れています。つまり、保持型の骨格は変えずに、失った直後の反応を上げる方向です。
これは日本代表にも近い論点です。ボールを大事にするチームほど、ミスをゼロにはできません。問題はミスの数ではなく、ミスの後に誰が、どこを閉じるかです。
若手の意味:世代交代ではなく、試合中の選択肢
クロアチアのメンバーを見ると、経験組と若手の混在がはっきりしています。DFではルカ・ブシュコビッチ、MFではバトゥリナ、ルカ・スチッチ、ペタル・スチッチ、トニ・フルクらが入っています。
ここで大事なのは、2026年大会が単純な世代交代の大会ではないことです。モドリッチ、ペリシッチ、クラマリッチらを軸にしながら、若い選手をどの時間帯で使うか。そこがダリッチ監督の采配になります。
若手に求められる役割
若手が担うのは、名前の新鮮さではありません。試合の中で次のような働きが必要になります。
- 60分以降に中盤の運動量を戻す
- 相手のプレスが落ちた時間帯に前を向く
- リード時にボールを逃がす
- ビハインド時に縦へのテンポを上げる
クロアチアは、2018年準優勝、2022年3位という実績があるため、どうしても過去のイメージで語られます。しかし2026年大会で本当に問われるのは、黄金期の再現ではなく、ベテランの判断力と若手の出力を同じ試合の中でつなげることです。
Group Lでの見方:初戦イングランド戦が基準になる
Group Lの構図では、初戦のイングランド戦がクロアチアの立ち位置を大きく決めます。ここで勝ち点を取れれば、パナマ戦、ガーナ戦への入り方に余裕が生まれます。逆に初戦で守備の不安が大きく出ると、2戦目以降もリスク管理を強く意識せざるを得ません。
対戦相手ごとの注目点
- イングランド戦: 強度の高い相手に対し、中盤で前を向く時間を作れるか
- パナマ戦: ボールを持つ時間が長くなった場合、焦らず崩し切れるか
- ガーナ戦: スピードと切り替えに対して、最終ラインが後手に回らないか
クロアチアは大会で粘れるチームです。ただし、粘りは偶然ではありません。保持で息を整え、守備で我慢し、終盤に交代選手で試合を動かす。その流れを作れるかが、2026年大会でも鍵になります。
日本の読者が見るべきポイント
クロアチア代表は、日本代表の直接の相手ではありません。それでも見る価値はあります。理由は、成熟したチームが世代交代期をどう扱うかを、かなり具体的に観察できるからです。
日本代表も、今後の大舞台では「技術のある中盤」「高い位置からの守備」「後半の交代策」を同時に求められます。クロアチアはその先輩例として、成功例も課題も見せてくれるチームです。
特にチェックしたいのはこの3点です。
- モドリッチがどの位置でボールを受け、どのタイミングで前進を選ぶか
- ボールを失った直後、コバチッチ周辺と最終ライン前のスペースを誰が埋めるか
- 若手MFやアタッカー投入後に、チームのテンポが上がるのか、逆に整理を失うのか
クロアチアの本大会は、懐かしさで見るチームではありません。初戦イングランド戦で、保持の落ち着きと守備移行の修正が同時に出るか。そこが、このチーム紹介の最初の答え合わせになります。
