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5失点大敗のロアッソ熊本、何が機能してないのか?

5失点大敗のロアッソ熊本、何が機能してないのか?

ロアッソ熊本の0-5は、守備だけの事故ではない。いちばん深刻なのは、相手のプレスを受けたときに前進できず、攻撃回数そのものが消えていることだ。

Jリーグ公式記録では、4月12日のテゲバジャーロ宮崎戦は熊本がシュート3本、宮崎が13本。得点経過も23分、49分、67分、79分、89分と、後半に失点が広がった。熊本日日新聞も、熊本が序盤から宮崎の素早いプレスに苦しみ、攻め込めなかったと伝えている。

  • 試合結果:ロアッソ熊本 0-5 テゲバジャーロ宮崎
  • 大会:明治安田J2・J3百年構想リーグ 地域リーグラウンド WEST-B 第10節
  • 会場:えがお健康スタジアム
  • 熊本のシュート:公式記録で3本
  • 熊本の直近6試合:1勝5敗、得点は1点のみ
目次

何が起きたのか:5失点より先に、攻撃が止まっている

この試合だけを見れば、5失点が目に入る。だが、熊本の問題はその前から数字に出ている。

クラブ公式の日程・結果を見ると、熊本は開幕4試合で2-1、1-1、4-1、3-1。4試合で10得点を挙げ、攻撃面はかなり順調だった。

ところが第5節以降は流れが変わる。

期間成績得点失点見える傾向
第1節〜第4節3勝1分0敗104複数得点が続いた
第5節〜第10節1勝0分5敗19無得点試合が5つ

つまり、宮崎戦の大敗は突然の崩壊ではない。第5節レイラック滋賀戦から第8節鹿児島ユナイテッドFC戦まで4試合連続0-1で敗れ、第9節FC琉球戦を1-0で勝ったあと、再び0-5で止められた。

「点を取れない時間が長くなり、先に失点したときの回復力が落ちている」。ここが今の熊本を読む出発点になる。

機能していないポイントは3つある

5失点の原因を「集中力不足」だけで片づけると、次の試合で同じ問題を見落とす。数字と経過から見ると、熊本は少なくとも3つの部分で苦しんでいる。

1. ビルドアップがプレスの出口を作れていない

熊本日日新聞は、宮崎の素早いプレスに熊本が序盤から手を焼いたと報じている。これがそのままシュート数に出た。

熊本はもともと、ボールを持って相手を動かしながら前進する色が強いクラブだ。片野坂知宏監督も就任時、クラブの攻撃的でアグレッシブな哲学を大切にするとコメントしている。

ただし、そのサッカーは相手が前から来たときに、

  • 最終ラインから中盤へ入れる角度
  • 受け手の立ち位置
  • 逆サイドへ逃がす判断
  • 失った直後の押し返し

がそろわないと、逆に自陣で詰まる。宮崎戦では、前半23分に元熊本の土信田悠生に先制点を許し、後半4分にも土信田に追加点を奪われた。0-2になった時点で、熊本はボールを保持しても相手を動かす前に試合の主導権を失っていた。

2. シュートまで行く人数と回数が足りない

公式記録でシュート3本。0-5というスコア以上に、ここが重い。

守備が苦しい試合でも、シュートが10本前後まで出ていれば「殴り合いの中で決定力を欠いた」と整理できる。だが3本では、ゴール前の質を語る前に、そこへ入る回数が足りない。

第5節以降の6試合で熊本の得点は1点だけ。これはFWだけの問題ではない。2列目、サイド、ボランチ、最終ラインの配球まで含めて、相手の守備を下げさせるプレーが少なくなっている。

特に先制された試合で、相手が無理に前へ出なくなると、熊本はさらにスペースを消される。宮崎戦のように後半も失点が続くと、攻撃の人数を増やすほど背後や中盤脇が空く。悪循環だ。

3. ボールの出し手への圧力が弱まっている

熊本日日新聞は、後半の失点場面について、パスの出し手への詰めが甘かったと伝えている。これは5失点の中で見逃せないポイントだ。

守備で大事なのは、最後にシュートを打つ選手だけを止めることではない。出し手に時間を与えれば、受け手は動き直せる。DFラインは下がりながら対応することになり、GKも準備時間を奪われる。

熊本が掲げるアグレッシブな守備は、前から行くこと自体が目的ではない。前から行ったあとに、相手のパスコースを限定し、次の守備者が奪える状態を作る必要がある。

宮崎戦の後半4失点は、単に守備陣だけの負担ではなく、チーム全体の「寄せる順番」と「奪い返す距離」が崩れた結果として見るべきだ。

片野坂体制の難しさ:継承と修正を同時に求められている

片野坂監督は、2025年12月に熊本の新監督へ就任した。クラブ公式の発表では、熊本が大切にしてきた攻撃的でアグレッシブなサッカーを尊重しながら、選手の力を引き出す姿勢を示している。

ここで難しいのは、熊本がゼロから守備的なチームへ変わるわけではないことだ。

ここがポイント: 熊本に必要なのは、攻撃性を捨てることではなく、プレスを受けたときの逃げ道と、失った直後の守備を整えることだ。

片野坂監督は大分トリニータ時代にも、立ち位置と可変を使いながら前進するチームを作ってきた。だからこそ、今の熊本で問われているのは「理念」ではなく「実装」になる。

たとえば次のような修正は、すぐに試合で見える。

  • 最終ラインから無理に中央へ差し込む回数を調整する
  • 相手のプレスが強い時間帯に、前線へ当てる逃げ道を作る
  • サイドで詰まったとき、逆サイドの選手が早く受け直す
  • 奪われた直後、最初に寄せる選手と後ろで締める選手を明確にする

大きなモデルチェンジより、まずは試合中に壊れないための小さな約束事が必要だ。

次のサガン鳥栖戦で見るべきポイント

熊本の次戦は4月19日、えがお健康スタジアムでのサガン鳥栖戦。クラブ公式日程でもホーム連戦として組まれている。

この試合で見るべきなのは、勝敗だけではない。宮崎戦からどこを直したのかが、かなりはっきり出る。

注目点は4つ

  • 立ち上がり15分で、相手のプレスを外して前進できるか
  • 先制されなかった場合に、熊本が自分たちのテンポを作れるか
  • シュート数を最低でも一桁後半まで戻せるか
  • 失った直後、出し手へ誰が最初に寄せるのか

0-5の後に必要なのは、精神論だけではない。熊本がもう一度勝ち点を積むには、まず「ボールを持てるのに前へ進めない」時間を短くすること。そして、相手に出し手の余裕を与えないことだ。

宮崎戦の5失点は痛い。ただ、より重要なのは、直近6試合で1得点という攻撃の停滞が同時に起きている点にある。鳥栖戦でシュート数と前進の形が戻るか。そこが、片野坂ロアッソの立て直しを測る最初の物差しになる。

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