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欧州で戦術を磨き、宮崎で開幕仕様へ――サンフレッチェ広島2026年夏季キャンプの焦点

紫のトレーニングウェアを着た選手たちが夏季キャンプで戦術練習に取り組む様子。

欧州で戦術を磨き、宮崎で開幕仕様へ――サンフレッチェ広島2026年夏季キャンプの焦点

狭いエリアでボールを動かし、空いたスペースへ縦パスを入れる。奪われれば素早く守備へ切り替える。サンフレッチェ広島の2026年夏季キャンプでは、バルトシュ・ガウル監督が目指す攻守の連動を、実戦に近い強度で繰り返し確認している。

キャンプは欧州と宮崎の2段階構成だ。オーストリアで戦術と強度を高め、宮崎で8月8日のJ1開幕へ仕上げる。この役割分担が、今夏の全体像をつかむ鍵になる。

この記事で分かることは次の通り。

  • 1次・2次キャンプの日程と開催地
  • 欧州で確認された守備、縦への攻撃、フィニッシュの課題
  • 浅野拓磨、セバスティアン・アレーら新戦力の位置づけ
  • 練習見学やファンサービスを検討する際の注意点
  • 8月8日のジェフユナイテッド千葉戦までに見るべきポイント
目次

2段階キャンプの日程と役割

13日間の欧州遠征で負荷と戦術を積み、8日間の宮崎キャンプで開幕戦へ調整する日程になっている。

クラブが発表した2026/27シーズン開幕前の計画は以下の通りだ。

  • 1次キャンプ:2026年7月7日(火)~7月19日(日)
  • 開催地:オーストリア・スティリア
  • 2次キャンプ:2026年7月26日(日)~8月2日(日)
  • 開催地:フェニックス・シーガイア・リゾート イベントスクエア(宮崎県宮崎市)

1次キャンプでは、現地クラブとのトレーニングマッチを組みながら、コンディションと戦術の両方に負荷をかけた。終了後にいったん広島へ戻り、宮崎で国内環境と開幕時期の暑さに合わせた仕上げへ移っている。

7月31日時点の公式チームスケジュールでは、宮崎キャンプ中に午前・午後の2部練習も設定された。7月28日には宮崎県屋外型トレーニングセンターでヴェルスパ大分とのトレーニングマッチも実施されている。

ここがポイント: 欧州遠征だけで完成を目指すのではなく、強度の高い実戦で出た課題を宮崎へ持ち帰り、開幕直前の起用と連係に落とし込む2段階の設計だ。

キャンプの中心は「従来の強みを残して選択肢を増やす」こと

ガウル監督はチームを別物に作り替えるのではなく、広島が積み上げてきたスタイルへ新しい解決策を加えようとしている。

1次キャンプ2日目のミーティングでは、従来から大きく変えない一方で、チームとして「できること」を増やす方針が確認された。監督就任時にクラブ側が示した「スタイルを大きく変えず、さらに成長させる」という選定理由とも一致する。

守備はプレスの速さだけでなく、全体の位置関係を調整

6日目のゲーム形式では、守備の約束事、ポジショニング、プレスを始めるタイミングを細かく擦り合わせた。

重要なのは、前線の選手が闇雲に追うことではない。誰が最初に圧力をかけ、その動きに合わせて後方がどこまで押し上げるのか。奪える場所をチームでそろえなければ、最初のプレスを外された後に大きなスペースが生まれる。

2日目にはボールを失った直後の守備への切り替えも重点的に扱われた。新シーズンに向けて見るべきなのは、個々の走力だけでなく、前線から最終ラインまでが同じ合図で動けるかだ。

攻撃は「保持」より、その先の縦パスとスペース利用

攻撃練習では、狭いエリアでのポゼッションを通じてスペースを作り、その場所を効果的に使うことがテーマになった。終盤にはタッチ数を制限し、ボールを持っていない選手の動きと縦パスの質も確認している。

この内容から見える狙いは明確だ。

  • ボール保持者の近くに味方が連続して現れる
  • 相手を狭い場所へ引き寄せる
  • 空いたライン間や背後へ縦パスを通す
  • パスを入れた後も複数人が連動し、攻撃を止めない

ボールを持つ時間を増やすこと自体が目的ではない。相手を動かした後、どこへ速く進むか。その判断をチームで共有するためのキャンプだった。

3試合の流れが示した「修正できるチーム」への課題

欧州でのトレーニングマッチは、強度への対応と失点後の修正力を測る場になった。

クラブが結果と得点経過を公表した2試合には、対照的な展開が表れている。

SKシュトゥルム・グラーツ戦は1-5

7月11日のSKシュトゥルム・グラーツ戦は105分形式で行われ、広島は1-5で敗れた。開始18分までに2点を失い、新井直人が57分に1点を返したが、試合終盤に3失点を重ねた。

相手や出場メンバーの詳細が公表されていないため、結果だけで個人や布陣を評価することはできない。それでも、序盤と終盤に失点が集中した事実は、試合への入り方と疲労下の守備を確認する材料になる。

欧州の高い強度に触れる意味は、勝敗だけではない。プレスが一歩遅れたとき、最終ラインが下がったとき、ボールを失った直後に誰が穴を埋めるのか。国内練習だけでは見えにくいズレを露出させることに価値がある。

NKスラヴェン・ベルポ戦は先制されてから3-1

7月14日のNKスラヴェン・ベルポ戦では、14分に先制された後、浅野拓磨、川辺駿、加藤陸次樹の得点で3-1と逆転した。

この試合で注目したいのは得点者の分散だ。背後へ走る浅野、中央から攻撃を動かす川辺、前線でゴールへ入る加藤と、異なる役割の選手が得点した。特定のストライカーだけに依存せず、複数の経路からゴールへ迫る形が出たことには意味がある。

一方、2試合とも先に失点している。開幕後に安定して勝点を積むには、逆転する力と同時に、試合序盤を無失点で進める準備も欠かせない。

新戦力と若手の競争は前線だけにとどまらない

新加入選手の適応と既存選手の競争を、同じ戦術の中で進めたことも1次キャンプの大きな目的だった。

浅野拓磨は背後への動きで攻撃に速度を加えた

10年ぶりに広島へ戻った浅野拓磨は、キャンプ序盤からゲーム形式に入り、味方の特徴を確認しながらプレーした。クラブは加入会見で、浅野のスピード、背後へのランニング、攻守両面のハードワークを獲得理由として挙げている。

NKスラヴェン・ベルポ戦では同点ゴールを記録した。ただし、浅野は7月25日の非公開トレーニングマッチで負傷し、クラブが左ヒラメ筋肉離れと発表している。復帰時期は示されていないため、8月8日の開幕戦に出場できるかは断定できない。

そのため宮崎キャンプでは、浅野を前提とした形だけでなく、欠場した場合にも背後への走力や前線の守備をどう維持するかが課題になる。

セバスティアン・アレーの合流で前線の選択肢が変わる

FCユトレヒトから完全移籍したFWセバスティアン・アレーは、オーストリアキャンプ中に合流。6日目には全体練習へ入り、チームメートとコミュニケーションを取りながらゲーム形式に参加した。

身長190センチのアレーが加わることで、広島は背後への速い攻撃だけでなく、前線でボールを収める形やクロスからのフィニッシュも組み立てやすくなる。ただし、実戦でどの位置に入り、周囲とどう連係するかは開幕前に確認すべき段階だ。

6日目にはクロスからのフィニッシュ練習も行われ、中村草太、菅大輝、前田直輝らが得点。ユースから参加した原湊士もヘディングシュートを決めた。キャンプは主力の調整だけでなく、若手がトップチームの速度と要求を経験する場にもなっている。

なお、中村草太は7月17日にル・アーヴルACへの期限付き移籍が発表された。キャンプ中に示した動きを、そのまま新シーズンの広島の戦力として数えない注意が必要だ。

宮崎キャンプで絞り込むべき3つの論点

2次キャンプは体力を一から作る期間ではなく、開幕戦で使う形を選ぶ最終工程だ。

1. 前線の組み合わせ

浅野の状態が不透明な中、アレー、鈴木章斗、加藤陸次樹、鮎川峻、前田直輝らをどのように組み合わせるかが焦点になる。

前線へ求められる仕事は得点だけではない。

  • 相手センターバックへのプレス
  • 縦パスを収めて味方を押し上げる役割
  • 背後へのランニング
  • クロスへ入る人数の確保

それぞれの長所を並べるだけでなく、同時起用したときに役割が重ならないかを見る必要がある。

2. 失点後ではなく、失点前に修正できるか

欧州で公表された2試合はいずれも先制を許した。宮崎では、前線のプレスが外された際の戻り方、クロス対応、セットプレーを含め、危険が決定機になる前に修正できるかが問われる。

公式戦では、ベンチから指示が出るまで待つ余裕がない。荒木隼人ら後方の選手がピッチ内で位置を調整し、チーム全体を動かせるかも重要になる。

3. 暑さの中で強度を維持できるか

オーストリアでは低湿度の環境で2部練習を積んだが、宮崎と8月の広島では条件が変わる。90分を通じて同じ速度でプレスを続けるのは難しい。

だからこそ、走り続けるだけでは足りない。前へ出る時間帯、ブロックを整える時間帯、交代選手が強度を引き上げる局面を整理する必要がある。宮崎での仕上がりは、開幕戦の選手交代にも直結する。

見学・ファンサービスで確認したいこと

キャンプ見学を予定する場合は、出発前に当日の公式スケジュールを再確認したい。

クラブは1次キャンプの案内で、練習日程は急きょ変更される場合があると明記した。ファンサービスも練習後に予定されていたが、選手のコンディション、天候、チームスケジュールによって実施できない場合があるとしている。

宮崎キャンプについても、公式チームスケジュールに練習時刻と会場が掲載されている一方、非公開練習やオフが含まれる。見学者は次の点を確認しておきたい。

  • 当日朝にクラブ公式サイトのチームスケジュールを見る
  • 「非公開」と表示された練習には来場しない
  • ファンサービスの実施を前提に遠征計画を組まない
  • 会場の入場ルールや見学可能エリアに従う
  • 選手の移動やコンディション管理を妨げない

練習時間や公開範囲は変更され得るため、過去の告知やSNS上の情報よりクラブ公式の最新表示を優先したい。

8月8日の千葉戦でキャンプの成果が試される

夏季キャンプの評価は、8月8日のJ1開幕戦で攻守の狙いを再現できるかによって決まる。

サンフレッチェ広島は8月8日(土)19時15分、エディオンピースウイング広島でジェフユナイテッド千葉と対戦する。その1週間後にはアウェーの浦和レッズ戦、さらに川崎フロンターレ戦、ガンバ大阪戦と続く。

開幕から相手の特徴は大きく変わる。だからこそキャンプで増やしたいのは、一つの完成形ではなく、試合中に使い分けられる選択肢だ。

開幕戦で特に確認したいポイントは4つある。

  • 最初のプレスに後方の選手が連動できているか
  • 狭い場所で相手を引きつけ、縦へ進めているか
  • 前線の新しい組み合わせから複数の得点経路を作れるか
  • 疲労する後半に交代選手が強度を維持できるか

欧州では1-5の敗戦も、先制された試合を3-1で逆転した経験も得た。宮崎で必要なのは、それらを単発の結果で終わらせず、失点を減らしながら得点経路を増やすことだ。8月8日、広島が先に主導権を握れるか。そこに2段階キャンプの答えが表れる。

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