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23日間の苫小牧キャンプで何を磨いたか――名古屋グランパス、開幕へ向けた「実戦4試合」の意味

北海道苫小牧のピッチで開幕へ向けて練習するサッカーチーム。

23日間の苫小牧キャンプで何を磨いたか――名古屋グランパス、開幕へ向けた「実戦4試合」の意味

名古屋グランパスは、2026年7月4日から26日まで北海道苫小牧市で夏季トレーニングキャンプを実施した。最大のポイントは、8月8日の明治安田J1リーグ開幕まで約2週間という時期に、23日間の長期滞在と4試合の実戦機会を組み合わせたことだ。

北海道教育大学、FC今治、FC東京との練習試合を経て、最終盤には北海道コンサドーレ札幌とのプレシーズンマッチを設定。公式戦の中断期間を使う従来型の夏季合宿ではなく、秋春制へ移行する2026/27シーズンの開幕準備として組まれたキャンプだった。

  • 期間:2026年7月4日(土)~26日(日)
  • 主会場:TOMASEIフットボールフィールド(北海道苫小牧市)
  • 指揮官:ミハイロ・ペトロヴィッチ監督
  • 実戦予定:北海道教育大学、FC今治、FC東京、北海道コンサドーレ札幌
  • J1開幕戦:8月8日(土)、豊田スタジアムで清水エスパルスと対戦
目次

苫小牧キャンプは「長期滞在+段階的な実戦」が軸

キャンプの骨格は、序盤の2部練習から対戦相手の強度を上げていく段階的な設計だった。

名古屋は7月4日、TOMASEIフットボールフィールドで歓迎セレモニーを受けた後、15時30分から最初のトレーニングを実施。翌5日から7日までは、午前10時と午後3時の2部練習が予定された。

その後は実戦を挟みながら調整を進めた。

  • 7月8日:北海道教育大学戦(45分×3本)
  • 7月14日:FC今治戦(45分×3本)
  • 7月21日:FC東京戦
  • 7月25日:北海道コンサドーレ札幌とのプレシーズンマッチ(45分×2本。試合後のトレーニングマッチも調整)

最初の2試合は通常の90分を超える135分形式だった。公式発表では出場メンバーや各選手のプレー時間まで示されていないため、具体的な起用意図は断定できない。ただ、複数の組み合わせを試し、選手へ実戦時間を配分できる形式だったことは読み取れる。

さらに、大学、J2、J1のチームと順に対戦し、最後は開幕前のプレシーズンマッチへ進んだ。対戦カテゴリーだけで試合強度は決められないものの、開幕へ近づくほど実戦性を高める日程だった。

ここがポイント: 苫小牧キャンプは体力づくりだけの合宿ではない。長い練習期間の中に4試合を置き、開幕で使う選手、配置、連係を絞り込める構成だった。

開幕前キャンプとして何が重要だったのか

評価の中心になるのは、ペトロヴィッチ監督の戦い方を新シーズンの実戦へ接続できたかどうかだ。

名古屋グランパスは公式案内で、キャンプの目的を2026/27明治安田J1リーグ開幕へ向けた準備と位置づけた。クラブ公式サイトが公開したトップチーム体制でも、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督が引き続き指揮を執ることが確認できる。

135分の練習試合が生む選手間競争

45分×3本の試合では、先発候補だけで90分を完結させる必要がない。主力同士の組み合わせ、主力と若手を混ぜた編成、控え組中心の編成など、複数の形を一日で試せる。

ここで重要なのは、誰が何得点したかだけではない。

  • 異なる組み合わせでも攻撃の立ち位置を共有できたか
  • ボールを失った直後の守備へ複数の選手が連動できたか
  • 疲労がある時間帯でも前後の距離を保てたか
  • 交代後もチームの狙いを継続できたか

キャンプ中の練習や練習試合について、クラブは静止画・動画の撮影に加え、メンバーや負傷情報につながる詳細のインターネット公開も禁止した。外部から個々の競争を細部まで検証できる材料は限られている。

したがって、キャンプ中の評価を推測で確定させるのではなく、開幕戦の先発、ベンチ構成、交代の順番から逆算して見る必要がある。

FC東京戦と札幌戦は開幕仕様を測る機会

7月21日のFC東京戦と25日の北海道コンサドーレ札幌戦は、Jクラブを相手に開幕時の形を確認できる実戦だった。特に札幌戦は宮の沢白い恋人サッカー場で開催されるプレシーズンマッチとして、チケットを販売して行われた。

ただし、クラブが一般公開したキャンプ案内には各試合の結果、得点者、出場時間が記載されていない。確認できない数字を基に序列や完成度を論じることは避けたい。

見るべき答えは、8月8日の清水エスパルス戦に出る。キャンプで試した形が、公式戦の強度と勝点のかかった局面でも機能するか。そこが最初の判定機会になる。

参加選手をどう見るか

参加選手の全体像は公式のトップチーム体制で確認できるが、キャンプ中の序列は公開情報だけでは決められない。

クラブが6月30日に発表した2026/27シーズンのトップチーム体制は、選手、背番号、スタッフを確認する基準になる。一方、キャンプの実施案内には全帯同メンバーや日ごとの出場可否が掲載されていない。

公式イベントからは、一部選手が苫小牧で活動していたことを確認できる。

地域イベントに参加した選手

7月11日と12日のサッカー教室には、ピサノ アレクサンドレ幸冬堀尾、杉浦駿吾、萩亮太、久保藤次郎、シュミット・ダニエル、中山克広、原輝綺、菊地泰智が参加。2日間で約140人の子どもたちと交流した。

7月17日の選手・監督交流イベントには、ペトロヴィッチ監督のほか、永井謙佑、稲垣祥、浅野雄也、高嶺朋樹が参加し、協賛企業の関係者や苫小牧市民など約130人と交流した。

これらは選手の苫小牧での活動を示す一方、試合での序列やコンディションを示す資料ではない。イベント参加の有無を、開幕先発の予測へ直接結びつけるべきではないだろう。

キャンプ地との関係も一度限りでは終わらない

苫小牧キャンプは練習環境の確保に加え、地域との継続的な関係づくりを伴っていた。

名古屋グランパスと苫小牧市は、キャンプ実施前の5月21日に運営と地域貢献活動に関する覚書を締結した。双方がキャンプの円滑な運営、地域活性化、スポーツ振興へ協力する内容だ。

実際のキャンプ期間中には、次の交流が行われた。

  • 苫小牧市による歓迎セレモニー
  • 7月11日、12日の子ども向けサッカー教室
  • 苫小牧市長への表敬訪問
  • 協賛企業関係者や市民を対象とした選手・監督交流イベント

クラブはピッチ外でも地域との接点を複数設けた。23日間という滞在期間を考えると、受け入れ側との協力は練習場の使用だけにとどまらない。将来も同地をキャンプ地として活用するなら、施設、交通、観覧運営、地域交流を一体で改善していくことが重要になる。

見学とファンサービスで注意すること

練習は公開予定でも、撮影や詳細発信は認められていなかった。

クラブはキャンプの全日程を公開予定としていたが、練習内容や対戦相手の都合によって急きょ非公開となる可能性も案内していた。日々の練習時刻は、原則として前日の19時ごろに決定する運用だった。

観覧者向けの主なルールは以下の通り。

  • グラウンド上の練習や練習試合は、静止画・動画とも撮影禁止
  • メンバーや負傷情報につながる練習内容のネット公開・配信は禁止
  • サインや写真は原則として一選手につき一人1回
  • 選手へのメッセージの録画・録音は禁止
  • 移動中や宿泊先で選手・スタッフへ声をかけない
  • 雨天時はファンサービスを実施しない

ファンサービスは、1部練習なら練習後、2部練習なら午前練習後、練習試合なら試合後に行う方針だった。ただし、天候、選手のコンディション、チーム事情により中止される場合がある。

会場の一般駐車場は無料だが約70台に限られ、クラブは公共交通機関の利用を推奨。JR苫小牧駅から会場までは徒歩約20分と案内していた。

キャンプ後、最初に見るべき3点

キャンプの成果は、8月8日のJ1開幕戦から具体的に検証できる。 名古屋グランパスは豊田スタジアムで清水エスパルスと対戦し、翌15日にはアウェーで鹿島アントラーズ戦に臨む。

最初の数試合では、次の三点を追いたい。

  1. 先発と交代の優先順位
    苫小牧での競争を経て、どの選手が開幕時の中心に入ったか。交代で最初に投入される選手にも注目したい。

  2. 攻撃から守備への切り替え
    前へ人数をかけた後、ボールを失った場面で誰が最初に制限をかけるか。長期キャンプで共有した動きが最も表れやすい局面だ。

  3. 連戦を見据えた選手層
    先発11人だけでなく、途中出場選手が試合の強度や狙いを維持できるか。135分形式を含む複数の練習試合を、実戦の選択肢へ変えられたかが問われる。

23日間のキャンプは長い。だが、滞在日数そのものが勝点を生むわけではない。清水戦で示される先発、配置、交代策が、苫小牧で積み上げた準備の最初の答えになる。

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