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ホーム国立開催の勝率について、ホーム主催の勝率は低い? 2022年以降のJ1・J2リーグ戦を検証

ホーム国立開催の勝率について、ホーム主催の勝率は低い? 2022年以降のJ1・J2リーグ戦を検証

2026年3月22日、川崎フロンターレはホーム開催のMUFGスタジアム(国立競技場)で横浜F・マリノスに0-5で敗れた。川崎フロンターレ公式の試合記録でも、国立開催のホームゲームで「大敗を喫した」と整理されている。これだけ強いインパクトのある結果だと、「国立でホーム開催すると勝ちにくいのでは」と感じるのは自然だ。

ただ、結論を先に書くと、2022年以降のJ1・J2リーグ戦で国立開催だったホームゲームは、提供データベース上で38試合中18勝6分14敗、ホーム勝率47.4%だった。J1だけに限ると34試合で18勝3分13敗、ホーム勝率52.9%で、少なくとも「国立ホームは一律に不利」とまでは言えない。むしろ、2025年の不振やクラブ別の差が全体印象を大きく左右していると見るほうが実態に近い。

さらに、比較可能な2022年から2024年の完了シーズンで、国立開催と国立以外の開催を分けて見ると、数字はかなりはっきりする。提供データ上の国立開催ホーム勝率は24試合で58.3%。一方、Jリーグ公式のシーズン別ホーム勝率から逆算した国立以外のホーム勝率は39.1%前後だった。少なくともこの3シーズンでは、国立開催だからホーム勝率が低い、とは言えない。

以下、事実関係、比較、見解の順で整理する。

目次

まず結論を数字で確認する

2022年以降の国立開催ホーム成績

区分試合数ホーム勝ち引き分けホーム負けホーム勝率
J1341831352.9%
J240310.0%
合計381861447.4%

J1に限ればホーム側が勝ち越している。全体勝率が5割を切るのは、J2でホーム勝利が出ていないことと、2025年のホーム側苦戦が大きい。

年別の傾向

開催年試合数ホーム勝ち引き分けホーム負けホーム勝率
2022320166.7%
2023843150.0%
20241382361.5%
20251021720.0%
2026420250.0%

2025年だけ極端にホーム側が苦しんでおり、ここが「国立ホームは勝てない」という印象を強めている。

クラブ別に見ると差が大きい

ホームクラブ試合数ホーム勝ち引き分けホーム負け
FC東京12921
FC町田ゼルビア8125
清水エスパルス4022
鹿島アントラーズ3300
東京ヴェルディ3102
ヴィッセル神戸3201
名古屋グランパス1100
横浜F・マリノス1100
湘南ベルマーレ1001
ジェフユナイテッド千葉1001
川崎フロンターレ1001

FC東京と鹿島アントラーズは国立ホームで結果を出している一方、FC町田ゼルビアや清水エスパルスは苦戦が目立つ。全体平均だけでは、この差を見落としやすい。

国立開催と国立以外で比べるとどうか

ここは、比較可能な完了シーズンである2022年から2024年に絞る。理由は、国立開催データは2026年3月22日まで入っている一方、国立以外を含むリーグ全体のホーム勝率は、Jリーグ公式のシーズン集計で確認するのが最も確実だからだ。

Jリーグ公式「J STATS REPORT」によるリーグ全体のホーム勝率は以下の通り。

シーズンJ1ホーム勝率J2ホーム勝率
202239.9%36.6%
202342.2%39.2%
202438.4%40.8%

この公式値と、提供データの国立開催試合数を使って、国立以外のホーム勝率を逆算すると次のようになる。

区分2022-2024国立開催国立ホーム勝率2022-2024国立以外国立以外ホーム勝率
J121試合・14勝66.7%971試合・383勝前後39.4%前後
J23試合・0勝0.0%1301試合・505勝前後38.8%前後
合計24試合・14勝58.3%2272試合・888勝前後39.1%前後

この比較だけを見ると、少なくとも2022年から2024年の完了シーズンでは、国立開催のホーム勝率はむしろ高い。ただし、J2は国立開催が3試合しかなく、サンプルが小さい点には注意が必要だ。

なぜ「国立ホームは勝てない」という印象が広がるのか

1. 大敗や目立つ敗戦の印象が強い

2026年3月22日の川崎フロンターレ対横浜F・マリノスは、その典型だ。スコアは0-5。川崎フロンターレ公式の試合記録でも、後半に失点が連続し「国立開催のホームゲームで大敗を喫した」と整理されている。

1試合の衝撃が大きいぶん、全体傾向までそう見えてしまいやすい。

2. 「ホーム扱い」と「いつものホーム」は別物になりやすい

国立開催は、普段の本拠地とアクセス、観客構成、ピッチとの距離感、応援の響き方が変わる。リーグやクラブにとっては新規層に届く機会でもあるが、ホームアドバンテージの中身まで同じとは限らない。

3. そもそも国立開催は注目カードが多い

Jリーグは2024年1月23日に、国立開催を「THE国立DAY」としてブランド化し、2024シーズンは13試合、2025シーズンは10試合を開催すると発表した。狙いは、出身地や居住地を問わず幅広くJリーグ体験を広げることにある。

その結果、国立開催はビッグマッチ化しやすい。相手も強豪になりやすく、単純なホーム勝率比較では対戦難度の差が混ざる。

リーグとクラブは国立開催をどう位置づけているか

Jリーグ公式の位置づけ

Jリーグ公式は「THE国立DAY」について、より多くの人にJリーグの生のプレーやスタジアム観戦体験を広げる施策と説明している。2023シーズンの国立開催リーグ戦8試合には計41万2千人が来場し、そのうち新規来場者の約3割が後に再来場したとも公表している。

つまりリーグにとっての国立開催は、勝点3だけでなく、集客、露出、入口拡大の意味も大きい。

クラブ側の位置づけ

川崎フロンターレは2025年12月19日、2026年3月22日の横浜F・マリノス戦をクラブのホームゲームとしてMUFGスタジアムで開催すると発表した。クラブ史上初の国立ホーム開催であり、通常開催ではなく、象徴性の強い特別興行だったことが分かる。

この文脈を踏まえると、国立開催は「ただ本拠地を別会場に移しただけのホーム戦」ではない。イベント性も強く、通常のホームアドバンテージと同列には扱いにくい。

専門家、サポーター、メディアの見方

元選手・専門家目線

FOOTBALL ZONEで、元日本代表DF栗原勇蔵氏は、2023年5月14日の鹿島アントラーズ対名古屋グランパスの国立開催について、選手目線では「全然気にならない」と述べ、国立は特別な場所だという見方を示した。

この立場では、会場の特殊性よりも、試合内容や再現性のほうが勝敗に直結すると考えやすい。

サポーター目線

一方で、同じ鹿島アントラーズ対名古屋グランパスでは、サポーターが「俺たちのホームはカシマ」などの横断幕を掲出したことが報じられた。サポーターにとっては、ホームゲームは本来のホームスタジアムであるべきだという感覚が根強い。

この見方では、ホームアドバンテージはピッチ条件だけでなく、土地との結びつきや日常的な観戦文化まで含んでいる。

メディアの見方

2025年5月6日のジェフユナイテッド千葉対RB大宮アルディージャの後、FOOTBALL ZONEは「国立開催でなぜかホームが勝利できず」と報じた。こうした報じ方は、国立開催の勝率が話題化していること自体をよく表している。

ただし、ここまで見てきた通り、国立開催の勝率は期間の切り方でかなり印象が変わる。2025年単年だけを見るとホーム側は2勝1分7敗だが、2022年から2024年の完了シーズンではむしろ国立ホームの数字は強い。だからこそ、1年や数試合だけで断定しない整理が必要になる。

■調査済みデータ

日時大会対戦カード観客数ホーム結果スコア開催年ホームクラブ公式URL
2022-04-29 19:03J1FC東京 vs ガンバ大阪43,125勝ち2-02022公式サイト
2022-07-02 19:03J1清水エスパルス vs 横浜F・マリノス56,131負け3-52022公式サイト
2022-09-18 19:03J1FC東京 vs 京都サンガF.C.50,994勝ち2-02022公式サイト
2023-05-12 19:34J1FC東京 vs 川崎フロンターレ56,705勝ち2-12023公式サイト
2023-05-14 13:35J1鹿島アントラーズ vs 名古屋グランパス56,020勝ち2-02023公式サイト
2023-07-09 18:04J2FC町田ゼルビア vs 東京ヴェルディ38,402引き分け2-22023公式サイト
2023-07-16 18:03J2清水エスパルス vs ジェフユナイテッド千葉47,628引き分け2-22023公式サイト
2023-08-05 19:04J1名古屋グランパス vs アルビレックス新潟57,058勝ち1-02023公式サイト
2023-08-26 19:03J1FC東京 vs ヴィッセル神戸48,634引き分け2-22023公式サイト
2023-09-24 16:05J1湘南ベルマーレ vs 川崎フロンターレ54,243負け0-22023公式サイト
2023-10-21 14:03J1ヴィッセル神戸 vs 鹿島アントラーズ53,444勝ち3-12023公式サイト
2024-02-25 14:04J1東京ヴェルディ vs 横浜F・マリノス53,026負け1-22024公式サイト
2024-04-03 19:33J1FC東京 vs 浦和レッズ49,005勝ち2-12024公式サイト
2024-04-07 17:04J1FC東京 vs 鹿島アントラーズ52,772勝ち2-02024公式サイト
2024-04-13 15:00J1FC町田ゼルビア vs ヴィッセル神戸39,080負け1-22024公式サイト
2024-06-01 15:03J1鹿島アントラーズ vs 横浜F・マリノス52,860勝ち3-22024公式サイト
2024-06-16 14:04J1ヴィッセル神戸 vs 川崎フロンターレ49,541勝ち1-02024公式サイト
2024-07-13 19:03J1FC東京 vs アルビレックス新潟57,885勝ち2-02024公式サイト
2024-07-20 18:00J1FC町田ゼルビア vs 横浜F・マリノス46,401負け1-22024公式サイト
2024-08-24 19:00J1横浜F・マリノス vs セレッソ大阪47,926勝ち4-02024公式サイト
2024-08-31 18:03J1FC町田ゼルビア vs 浦和レッズ48,887引き分け2-22024公式サイト
2024-09-14 19:04J1FC東京 vs 名古屋グランパス55,896勝ち4-12024公式サイト
2024-09-28 18:03J2清水エスパルス vs 横浜FC55,598引き分け1-12024公式サイト
2024-11-09 14:03J1FC町田ゼルビア vs FC東京45,288勝ち3-02024公式サイト
2025-02-16 14:03J1東京ヴェルディ vs 清水エスパルス52,541負け0-12025公式サイト
2025-04-06 14:03J1ヴィッセル神戸 vs アルビレックス新潟36,407負け0-12025公式サイト
2025-04-11 19:03J1FC東京 vs 柏レイソル43,813引き分け1-12025公式サイト
2025-04-13 14:00J1FC町田ゼルビア vs 浦和レッズ44,363負け0-22025公式サイト
2025-04-25 19:33J1FC東京 vs ガンバ大阪44,519勝ち3-02025公式サイト
2025-05-03 14:03J1清水エスパルス vs 名古屋グランパス52,847負け0-32025公式サイト
2025-05-06 16:00J2ジェフユナイテッド千葉 vs RB大宮アルディージャ49,991負け1-22025公式サイト
2025-05-11 13:10J1鹿島アントラーズ vs 川崎フロンターレ59,574勝ち2-12025公式サイト
2025-05-25 15:04J1FC東京 vs サンフレッチェ広島46,206負け0-32025公式サイト
2025-11-09 14:03J1FC町田ゼルビア vs FC東京46,838負け0-12025公式サイト
2026-03-07 14:03J1FC東京 vs 横浜F・マリノス52,934勝ち3-02026公式サイト
2026-03-14 16:00J1東京ヴェルディ vs 浦和レッズ43,725勝ち1-02026公式サイト
2026-03-18 19:30J1FC町田ゼルビア vs 鹿島アントラーズ42,218負け0-32026公式サイト
2026-03-22 15:03J1川崎フロンターレ vs 横浜F・マリノス50,275負け0-52026公式サイト

最後に結論 ホーム主催の勝率は低いのか

結論は、「一律に低いとは言えない」だ。

2026年3月22日までの提供データ全体では、国立開催のホーム側は38試合で18勝6分14敗、勝率47.4%だった。全体で見れば5割未満なので、「国立ホームは少し難しいのでは」と感じる余地はある。ただし、J1に限ると18勝3分13敗で勝率52.9%。少なくともトップカテゴリーでは、国立開催が自動的にホーム不利を意味していない。

さらに、国立以外との比較ができる2022年から2024年の完了シーズンで見ると、国立開催ホーム勝率は58.3%、国立以外は39.1%前後だった。もちろん国立開催はビッグマッチが多く、クラブごとの事情やサンプル数の少なさもあるので、単純な優劣断定は避けるべきだが、「国立だから勝率が低い」という仮説をそのまま支持する数字にはなっていない。

川崎フロンターレの0-5は強烈だった。それでも、そこから直ちに「ホーム主催の勝率は低い」と一般化するのは早い。現時点で最も客観的な言い方をするなら、国立開催は通常のホーム戦と性格が違うが、ホーム主催の勝率が低いと断定できるほど単純ではなく、年ごとの振れ幅とクラブ差のほうが大きい、という整理になる。

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