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首位の名古屋グランパスは何が変わったのか 去年との最大差を「主導権」と得点源で読む

首位の名古屋グランパスは何が変わったのか 去年との最大差を「主導権」と得点源で読む

5月6日時点で、名古屋グランパスは明治安田J1百年構想リーグWESTグループの首位に立った。2025シーズンを16位で終えたチームが、わずか数カ月でここまで景色を変えた理由ははっきりしている。いちばん大きい変化は、守って耐える時間が長かったチームから、自分たちでボールと攻撃の始点を動かすチームに寄ったことだ。

もちろん、まだ完成形ではない。被シュート数は多く、失点も少なすぎるわけではない。それでも順位が上がったのは、攻撃の回数と質が昨季より明確に伸び、前線の仕事が一人に偏らなくなったからだ。最近の2連勝、5月3日の長崎戦2-1、5月6日のガンバ大阪戦2-1は、その変化をよく映していた。

ここがポイント: 名古屋は「失点しないから勝つ」チームというより、「押し返す回数と点を取る人数が増えたから勝てる」チームに変わりつつある。

  • 5月6日時点の名古屋は15試合で勝点28、25得点18失点
  • 2025シーズンは38試合で44得点56失点、最終順位は16位
  • 1試合平均得点は2025年の1.1から、2026年5月7日更新時点で1.7へ上昇
  • 平均ボール支配率は2025年の47.2%から、2026年4月30日更新時点で52.5%へ上昇
  • 一方で1試合平均被シュート数は2026年5月4日更新時点で14.6本。首位でも課題は残る
目次

まず起きていることを数字で整理する

順位だけを見ると「上振れ」で片づけたくなるが、数字はもう少し中身のある変化を示している。

2025シーズンの名古屋は44得点で、J1の1試合平均得点は1.1。ボール支配率は47.2%だった。シュート総数も445本でリーグ13位にとどまり、攻撃の量で相手を押し切るチームではなかった。

それが2026シーズンは、5月7日更新時点の公式スタッツで1試合平均得点が1.7、得点総数は25でリーグ2位タイ。4月30日更新の平均ボール支配率も52.5%まで上がっている。4月13日更新時点のシュート総数145本はリーグ3位。順位の上昇より先に、攻撃を起こす回数そのものが増えている

最近の試合でもその傾向は見えた。

  • 5月3日の長崎戦は先に失点しながら、永井謙佑の2得点で逆転勝ち
  • 5月6日のガンバ大阪戦は稲垣祥と木村勇大が前半のうちに決め、2-0の主導権を作った
  • 2試合で4得点を取りながら、得点者が分散している

昨季の名古屋なら、1点をどう守るかが先に来る場面でも、今季は2点目を狙って流れを変える試合が増えている。

去年との最大差は「先に動かす側」へ寄ったこと

ミハイロ・ペトロヴィッチ監督は2026シーズンから就任した。クラブ公式のインタビューでも、より攻撃的に、常に相手ゴールへ向かう意識を植え付けようとしていることが示されている。ここが昨季との分岐点だ。

ボールを持つ時間が増え、前進が遅くならない

ボール支配率が47.2%から52.5%へ上がっただけなら、単に後方で回す時間が伸びただけとも見える。だが、名古屋は同時にシュート数も増やしている。保持と前進が切れていない。

2026年4月30日更新時点の1試合平均パス数は444.1回でリーグ9位。極端な保持型ではないが、昨季よりボールを持ちながら、必要なところでは縦に入れて攻撃を終わらせる回数が増えたと見ていい。

その変化を支えているのが、サイドと前線の役割整理だ。

中山克広と前線の分業で、攻撃が一点読みされにくい

今季の名古屋は、誰か一人のひらめきより、役割のつながりで点を取れている。

  • 中山克広は5月7日時点でアシスト6、J1トップ
  • 中山は選手名鑑の更新時点で、1試合平均チャンスクリエイト数2.0、1試合平均クロス数3.5も高水準
  • 木村勇大は5月6日時点で7得点、得点ランキング3位タイ
  • 山岸祐也も同日時点で6得点を記録し、前線の得点源が複線化している

この形の強みは、相手が木村を消しても山岸が残り、中央を閉じても中山のクロスやラストパスが届くことだ。5月3日の長崎戦では永井謙佑が2得点、5月6日のガンバ大阪戦では稲垣と木村が得点した。同じ勝ち方を繰り返していないこと自体が、去年との違いになっている。

稲垣祥を中心に、奪い返す強度も落ちていない

攻撃的に寄ると、守備の土台が緩むケースもある。名古屋はそこを、走力と対人の強さである程度カバーしている。

  • 稲垣祥は4月30日更新時点のデュエル勝利総数でリーグ1位の40
  • 5月7日更新時点の総走行距離でも165.4kmでリーグ5位
  • チームの1試合平均タックル数は4月30日更新時点で19.3、リーグ2位

高嶺朋樹の加入も大きい。ペトロヴィッチ監督の下で、走れて、回収できて、前へ運べる中盤の枚数が増えたことで、ボールを持つ時間が伸びても中盤の強度を落としにくくなった。

ここは昨季との大きな差だ。2025年の名古屋は、守備で耐えた先の攻撃が細くなりやすかった。今季は奪った後に前へ出る人が多い。

ただし「完成した首位」ではない

名古屋を本格的な優勝候補と断定するには、まだ引っかかる数字もある。

2026年5月4日更新時点の1試合平均被シュート数は14.6本でリーグ3位タイ。4月13日更新時点の被シュート総数も158本でリーグ3位だ。首位チームとしては、相手に打たせている本数が多い。

これは、名古屋が前に出るぶん、切り替え局面や押し返された時間帯で試合が開きやすいことを意味する。5月6日のガンバ大阪戦も2-0から終盤に失点し、最後は1点差だった。勝っているが、楽には閉じられていない。

慎重に見るなら、今の名古屋はこう整理できる。

  • 守備を固めて偶然首位にいるのではない
  • 攻撃は確実に伸びている
  • ただし、試合を完全に管理する段階まではまだ行っていない

だからこそ、この首位は面白い。守備の完成で積み上げた首位ではなく、スタイルを変えながら勝点を拾っている首位だからだ。

次に見るべきポイント

ここから先は、順位そのものよりも「この形がどこまで再現できるか」が焦点になる。

特に見たいのは次の3点だ。

  • 5月10日の京都サンガF.C.戦で、保持と前進をどこまで続けられるか
  • 5月17日のセレッソ大阪戦、5月23日のサンフレッチェ広島戦のような強度の高い相手に、被シュート数を抑えられるか
  • 木村勇大、中山克広、山岸祐也に続く4人目、5人目の得点ルートを増やせるか

名古屋の去年との最大差は、首位にいることそのものではない。自分たちから試合を動かしにいける局面が増えたことだ。この変化が本物なら、5月以降の上位直接対決でも、名古屋は「粘るチーム」ではなく「押し切るチーム」として見られ始める。

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