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三浦新体制の磐田は何を先に変えたのか 守備の整理と“出口”の明確化を追う

三浦新体制の磐田は何を先に変えたのか 守備の整理と“出口”の明確化を追う

ジュビロ磐田でいちばん大きく変わったのは、短期間で全部を作り替えようとしなかったことだ。4月22日に三浦文丈監督が就任してから、まず手を付けたのは守備の基準と、奪ったあとの攻撃の出口だった。

結果も分かりやすい。三浦監督の初陣となった4月25日のFC岐阜戦は1-0で勝利。4月29日の松本山雅FC戦は1-1からPK戦を6-5で制し、5月2日のいわきFC戦は1-1からPK戦で2-4敗戦だった。90分では1勝2分。ただし内容を見ると、再建が完成したというより、勝負の土台を急いで整えた段階と見るのが自然だ。

  • 4月22日に志垣良監督との契約を解除し、三浦文丈監督が就任
  • 直後の3試合は90分で1勝2分。大崩れは止まり、試合の形は整い始めた
  • 変化の中心は、守備のブロック整理と、奪ってからサイドへ出す攻撃の明確化
  • 一方で、いわき戦は磐田のシュートが7本。保持して押し切る段階まではまだ遠い

ここがポイント: 三浦監督の磐田は、華やかな刷新より先に「失点しにくい形」と「前に進む手順」をそろえた。今はそこが一番の変化だ。

目次

まず何が起きたのか

4月22日、磐田は志垣良監督の契約解除と、トップチームコーチだった三浦文丈氏の監督就任を発表した。クラブ公式とJリーグ公式によると、志垣体制の成績は5勝(3PK勝)6敗(1PK負)。静岡の地元報道では、開幕から8試合で90分勝利がなかった流れも低迷の背景として整理されている。

三浦監督は就任コメントで、結果への責任を自分も重く受け止めているとしつつ、残り試合と日々のトレーニングの中で、ジュビロの未来につながる土台を作りたいと述べた。ここで見えていたのは、単なる応急処置ではなく、まず戦える形を戻す意図だ。

変化1 守備の形を先にそろえた

三浦監督の初陣だった岐阜戦で、外から見て最も分かりやすかったのは守備の整理だった。静岡新聞アットエスの分析では、磐田は5-4-1の守備ブロックを採用し、中央への侵入を抑える設計を優先していた。

ここで重要なのは、フォーメーションの表記そのものよりも、選手の判断がそろったことだ。

  • まず中央を閉じる
  • 奪いどころを無理に前へずらしすぎない
  • 自陣で粘る時間を受け入れる
  • その代わり、奪ったあとに前へ出るルートをはっきりさせる

志垣体制でも強度はテーマだったが、三浦体制ではその強度を「どこで、何を守るか」に落とし込んだ印象が強い。岐阜戦を1-0で終え、松本戦も90+8分に追いついて負け切らなかったのは、この整理の効果がまず出た部分だろう。

変化2 奪ったあとの“出口”がはっきりした

三浦監督の磐田は、保持で相手を押し込むより先に、奪ったあとを簡潔にした。アットエスの分析では、岐阜戦で共有されていた狙いは、鋭いカウンターとサイドのミスマッチ活用だったという。

この変化は、選手の特徴とも噛み合う。

川﨑一輝の幅がより重要になった

Jリーグ公式の選手データでは、川﨑一輝は1試合平均クロス数6.3でリーグ1位。5月2日のいわき戦では13分に先制点も決めた。サイドで前進し、クロスや折り返しで終わる形が増えれば、この数字はただの個人記録ではなく、チームの出口そのものになる。

グスタボ・シルバを生かしやすくなった

FC岐阜戦の決勝点はグスタボ・シルバ。Football LABの5月1日更新データでも、グスタボ・シルバはチーム内上位の得点源にいる。細かくつなぎ切るより、前向きで受けさせる回数を増やす方が、今の磐田には現実的だ。

ロングボールも“逃げ”ではなく手段になった

外部分析では、三浦監督はロングボールを単なるクリアではなく、意図を持った前進手段として位置付けていると整理されている。ここは大きい。ビルドアップを一気に完成させようとして詰まるより、前線を使って陣地を取り返す方が、短期決戦では勝点に直結しやすい。

それでも、まだ解決していないこと

変化は出た。ただ、再建が進んだと言い切るには早い。いわき戦はそこをはっきり示した。

Jリーグ公式記録では、5月2日のいわき戦で磐田のシュートは7本、いわきは14本。先制しながら72分に追いつかれ、PK戦で落とした。守備の整理だけで押し切れるほど、いわきの圧力は甘くなかった。

残る課題は3つある。

  • 押し込まれた時間帯の出口不足
  • 90分を通した攻撃回数の少なさ
  • 先制後に主導権を握り続ける保持の質

Football LABのチームスタイルでも、磐田はロングカウンターや右サイド攻撃の指数が比較的高い一方、敵陣ポゼッションの比重はまだ強みと言い切れない。つまり、今は“形を整えた段階”であって、“主導するチーム”にはまだ変わり切っていない。

周囲はどう見ているか

見方はおおむね一致している。

クラブの見方

藤田俊哉スポーツダイレクターは、地元テレビの取材に対し、選手を躍動させる部分で三浦監督に期待していると説明した。単に結果を拾うだけでなく、チームのエネルギーを戻す役割を託したと読める。

監督自身の見方

三浦監督は就任時から、熱量と土台づくりを繰り返し口にしている。短期間で全部を変えるのではなく、まず戦う姿勢と基準をそろえる。ここは発言と実際の試合運びが一致している。

外部分析の見方

静岡の分析記事では、初陣の岐阜戦を「整理」と「強度」の勝利と評価していた。一方で、いわき戦のスタッツを見ると、次は整理だけでなく、押し返すだけの保持と厚みをどう足すかが論点になる。

次に見るべきポイント

磐田は5月6日にヴァンフォーレ甲府と対戦する。ここは三浦体制の現在地を測るには分かりやすい試合だ。

注目点は次の3つに絞れる。

  • 先制したあともサイド攻撃を続けて、押し込まれる時間を減らせるか
  • 川﨑一輝やウイングバック周辺の前進が、単発ではなく連続するか
  • 守備の整理を保ったまま、中盤で前向きにボールを持つ回数を増やせるか

三浦監督の仕事で最初に変わったのは、理想のサッカーそのものではない。勝負になる形を先に取り戻したことだ。その次に必要なのは、整えた守備を土台にして、どこまで自分たちから試合を動かせるか。甲府戦以降は、そこが本当の評価軸になる。

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