横浜F・マリノスは何が止まっているのか 2026年前半戦を守備、攻撃、編成で読み解く
横浜F・マリノスが上向かない理由は、ひと言でいえば守備の不安定さを抱えたまま、攻撃もプロセスで相手を押し切れていないからだ。5月10日の鹿島アントラーズ戦を前に、Jリーグ公式の成績ページでは8位、5勝8敗、PK戦0勝1敗。Jリーグ公式プレビューは、横浜FMの27失点をリーグワーストタイと整理している。
しかも厄介なのは、得点数だけを見ると完全な不振には見えにくいことだ。Football LABでは1試合平均ゴールが1.5でリーグ6位。一方で、シュート数は11.4本で13位、チャンス構築率は9.9%で15位。つまり、点は取れている試合もあるが、継続的に試合を支配しているわけではない。
- 鹿島戦前時点で8位、5勝8敗、PK戦0勝1敗
- 27失点はJリーグ公式プレビューでリーグワーストタイ
- 1試合平均ゴールは1.5で6位だが、チャンス構築率は15位
- 最近もFC東京に1-3、川崎に1-2、町田に0-2と失点が流れを壊している
ここがポイント: 横浜FMは「決定力が低すぎて勝てない」チームではない。むしろ、守備のほころびと攻撃の再現性不足が同時に残っていることが、順位を押し下げている。
まず起きていること 勝点が伸びない試合の中身
直近の試合を追うと、上向かない理由がかなりはっきり見える。
4月11日のFC東京戦は1-3。4月18日の川崎フロンターレ戦は1-2で、決勝点は90+8分だった。4月25日の浦和レッズ戦、4月29日のジェフユナイテッド千葉戦ではともに3得点を奪って勝ったが、どちらも2失点。千葉戦では90+10分にも失点している。5月2日の水戸ホーリーホック戦は1-1でPK戦負け、5月6日のFC町田ゼルビア戦は0-2だった。
この並びを見ると、単純な連敗よりも深刻だ。勝った試合でも守り切れておらず、引き分けや敗戦では相手に多くのシュートを許している。水戸戦は横浜FMの11本に対し水戸が18本、町田戦は横浜FMが6本にとどまった。
「勝てた試合」でも安心できない
浦和戦と千葉戦の連勝だけを切り取れば反発の気配はあった。ただ、その2試合で合計4失点。しかも千葉戦は終盤まで3-1で進めながら、最後に押し込まれた。
これは一時的な事故ではなく、試合の終盤や押し込まれた局面で構造が崩れやすいことを示している。優勝争いに絡むチームは、内容が苦しい日でも1失点以内に収める試合を作る。今の横浜FMはそこまで行けていない。
最大の問題は守備 27失点は偶然ではない
守備面の数字はかなり厳しい。Football LABでは被ゴールが1試合平均1.6で16位、被シュート成功率は14.5%で20位だった。相手に打たれた本数自体は被シュート10.9本で5位なのに、失点は多い。
ここが重要だ。大量に打たれて崩壊しているというより、危ない形で打たせている。同サイトの失点パターンでは、クロスから5失点、スルーパスから5失点。横浜FMの最終ラインと中盤の間、あるいはSBの背後が繰り返し狙われていると読める。
ハイプレス志向と後ろの脆さが噛み合っていない
Football LABのチームスタイルでは、横浜FMはハイプレッシング指数43、ハイブロック指数69と、前向きに奪いに行く色が強い。問題は、その姿勢に対して守備の回収が追いついていないことだ。
前から行くなら、後方は
- 前線が外された後の中央圧縮
- SB裏への対応
- 1対1で時間を作るCBの安定感
この3点が必要になる。
だが今季の横浜FMは、そこが揺れている。川崎戦では終了間際に失点し、水戸戦では18本を打たれ、町田戦では後半に2失点。試合ごとに崩れ方は違っても、相手に一度前を向かれた後の弱さは共通している。
攻撃も見かけほど強くない 得点数より過程が細い
「21得点しているのだから、問題は守備だけではないか」という見方もある。半分は正しいが、半分は違う。
Football LABでは、横浜FMの1試合平均ゴールは1.5でリーグ6位。それでも、シュート数は13位、チャンス構築率は15位、攻撃CBPは17位、パスCBPも17位、シュートCBPは16位だった。つまり、攻撃の土台はリーグ上位級ではないのに、決定力で帳尻を合わせている。
これは長い目で見ると危うい。シュート成功率13.2%はリーグ1位だが、こうした高効率は波がある。実際に、5月2日の水戸戦は1得点、5月6日の町田戦は無得点。作れる回数が少ない試合では、そのまま点が止まる。
遠野大弥の離脱は小さくない
編成面で痛かったのは遠野大弥の負傷だ。クラブ公式は3月26日、3月22日の川崎戦で負傷した遠野が右アキレス腱断裂、全治6か月見込みと発表した。
Football LABの個人データでは、遠野は7試合で3得点。トップ下気味の役割から前を向いて運び、裏へ走り、フィニッシュまで入れる選手だった。その役割を完全に埋める選手が定まらないまま、前線は谷村海那、ジョルディ・クルークス、天野純、ユーリ・アラウージョ、近藤友喜、テヴィスらを組み替えている。
谷村の6得点はチームを支えているが、攻撃全体の厚みまでは戻していない。個の決定で点を取る場面はあっても、相手を押し込み続ける攻撃にはまだなっていない。
編成と継続性 形は同じでも中身が落ち着かない
Football LABのフォーメーション集計では、横浜FMは14試合すべてを4-2-1-3でスタートしている。表向きのシステムはぶれていない。
ただし、同じ4-2-1-3でも中身はかなり動いている。GKは木村凌也が8試合、朴一圭が6試合で先発。前線の中央や2列目も遠野の離脱後に組み替えが続き、最終ラインも角田涼太朗、ジェイソン・キニョーネス、諏訪間幸成、井上太聖、トーマス・デンらでやり繰りしている。
この状態では、前から奪いに行く守備も、ボール保持からの崩しも、連係が細部までそろいにくい。システムの名前が固定されていても、判断の基準まで固定されているとは限らない。
加えてクラブは2025年にパトリック・キスノーボ体制から大島秀夫体制へ移行した。2026年は大島監督の継続体制だが、前季から続く再建の途中にあることも確かだ。今の停滞は、単年の不出来というより、ここ数年の揺れをまだ解消し切れていない流れの中にある。
立場ごとに見ると、何が論点になるのか
見方を分けると、論点は整理しやすい。
Jリーグ公式の見方
Jリーグ公式プレビューは、鹿島戦を前に横浜FMの守備組織の再整備を焦点に置いた。27失点という数字が、まず最初に問題として見られている。
データサイトの見方
Football LABの数字は、守備失点の多さだけでなく、攻撃の組み立て不足も示している。得点数だけを根拠に「攻撃は問題ない」と言い切れない。
クラブ文脈での見方
クラブ公式の情報を追うと、遠野の長期離脱はやはり大きい。前線と2列目の役割整理が難しくなり、守備のスイッチ役も失った。結果として、攻守が別々に苦しくなっている。
ここから本当に上向くための条件
横浜FMが浮上する条件は、派手な改革よりも先に、失点の減少を先に作ることだ。
特に見たいのは次の3点になる。
- クロス対応と背後管理を整理し、1試合の失点を1以下に抑えられるか
- 谷村海那の得点力に頼るだけでなく、2列目からの再現性ある崩しを増やせるか
- 4-2-1-3のままでも、GKと最終ライン、中盤の組み合わせを固定して判断基準をそろえられるか
鹿島、柏、東京ヴェルディと続く日程は、相手の性格がそれぞれ違う。だからこそ、そこで同じ失点の形が繰り返されるのか、それとも修正できるのかは見えやすい。
今の横浜FMに必要なのは「昔の強いマリノスらしさ」を語ることではない。まずは、危ない形を減らし、少ないチャンスでも勝点を拾えるチームに戻せるか。その確認が、次の数試合の最大の見どころになる。
参照リンク
- Jリーグ公式 横浜F・マリノスの順位・成績
- Jリーグ公式 第16節プレビュー
- Jリーグ公式 横浜FMvsFC東京 テキスト速報(2026年4月11日)
- Jリーグ公式 横浜FMvs川崎F テキスト速報(2026年4月18日)
- Jリーグ公式 浦和vs横浜FM テキスト速報(2026年4月25日)
- Jリーグ公式 千葉vs横浜FM テキスト速報(2026年4月29日)
- Jリーグ公式 横浜FMvs水戸 テキスト速報(2026年5月2日)
- Jリーグ公式 町田vs横浜FM テキスト速報(2026年5月6日)
- 横浜F・マリノス公式 パトリック・キスノーボ ヘッドコーチ監督就任のお知らせ
- 横浜F・マリノス公式 大島秀夫ヘッドコーチ監督就任のお知らせ
- 横浜F・マリノス公式 遠野大弥選手の負傷について
- Football LAB 横浜F・マリノス 2026 シーズンサマリー
- Football LAB 横浜F・マリノス 2026 ランキング
- Football LAB 横浜F・マリノス 2026 チームスタイル
- Football LAB 横浜F・マリノス 2026 フォーメーション
