シュート24本の今治はなぜ敗れたのか 湘南が15本で2得点、90+6分に決勝点
後半アディショナルタイム6分。湘南ベルマーレのファビアン ゴンザレスが決めたゴールで、試合の行方は決まりました。公式の試合速報によると、湘南ベルマーレのファビアン ゴンザレスは自ら獲得したPKをGKに止められ、そのこぼれ球を右足で押し込んでいます。
2026年9月26日、明治安田J2リーグ 2026 第8節。アシックス里山スタジアムで行われたFC今治と湘南ベルマーレの一戦は、FC今治 1-2 湘南ベルマーレで終わりました。今治はシュート24本で湘南の15本を上回りましたが、勝点は持ち帰れませんでした。
この記事で考えたい問いは一つです。シュート数で大きく上回った今治が、なぜ敗れたのか。
公式スタッツで差がついたのはシュートの「数」です。一方で、枠内シュートの差は1本しかありません。ボール支配率とパス成功率は両チームとも同じ数字でした。
試合を見た人なら終盤の展開を思い出しながら、見ていない人ならデータから試合の形をたどりながら読める構成にしています。
この試合の要点
- 最終スコアはFC今治 1-2 湘南ベルマーレ。今治が21分に先制し、湘南が43分と90+6分に得点した
- シュート数は今治24本、湘南15本。ただし枠内シュートは5本と4本で、差は1本
- ボール支配率は50%ずつ、パス成功率は72%ずつで同じ数字だった
- 湘南の決勝点は、81分に途中出場したファビアン ゴンザレスが挙げた
- 入場者数は4,360人
この記事で分かること
- 公式記録で確認できる得点・交代・警告の流れ
- 今治の「量」と湘南の「精度」がどう噛み合ったのか
- 前半終盤と試合終盤で、両チームの交代が何をもたらしたのか
- 同じ数字から考えられる別の解釈と、データだけでは分からないこと
試合の事実:スコア、得点、交代、警告
まず、公式記録で確認できる事実を整理します。
試合はFC今治のホーム、アシックス里山スタジアムで行われ、入場者数は4,360人でした。
得点経過
- 21分 エジガル ジュニオ(FC今治)
- 43分 山田 寛人(湘南ベルマーレ)
- 90+6分 ファビアン ゴンザレス(湘南ベルマーレ)※PKをGKが止めたこぼれ球から
前半は1-1で終わりました。今治が先制し、湘南が前半のうちに追いついています。後半は決勝点が生まれる90+6分まで、スコアは動きませんでした。
交代
前半のうちに動いたのは湘南でした。今治の交代は後半に集中しています。
FC今治 – 後半開始時:近藤 高虎 → 森 晃太 – 57分:駒井 善成 → ウェズレイ タンキ – 69分:エジガル ジュニオ → 古山 兼悟 – 69分:アレクサンダル パロチェヴィッチ → 山田 貴文
湘南ベルマーレ – 39分:加瀬 直輝 → 小野瀬 康介 – 後半開始時:渡邊 啓吾 → 奥埜 博亮 – 62分:田村 蒼生 → 上月 壮一郎 – 62分:武田 将平 → アルトゥール シルバ – 81分:山田 寛人 → ファビアン ゴンザレス
警告・退場
- 34分 警告:近藤 高虎(FC今治)
- 74分 警告:森 晃太(FC今治)
- 90+9分 警告:真田 幸太(湘南ベルマーレ)
退場者はいません。34分に警告を受けた近藤高虎は後半開始時に交代しています。その近藤に代わって入った森晃太も、74分に警告を受けました。
主要スタッツ
| 項目 | FC今治(ホーム) | 湘南ベルマーレ(アウェイ) |
|---|---|---|
| シュート | 24 | 15 |
| 枠内シュート | 5 | 4 |
| ボール支配率 | 50% | 50% |
| パス成功率 | 72% | 72% |
| コーナーキック | 7 | 4 |
ボール支配率は50%対50%、パス成功率は72%対72%と、どちらも同じでした。数字に差が出たのはシュート数(24本対15本)とコーナーキック(7本対4本)で、いずれも今治が上回っています。
要因1:今治の「シュートの量」に、湘南の「少ない本数での効率」が勝った
勝敗を分けた一番の要因は、シュート数の差がゴールの差につながらなかったことです。
今治は湘南より9本多い24本のシュートを放ちました。ところが、枠内シュートは5本と4本で、差は1本まで縮みます。
数字で見る「量」と「効率」
公式スタッツから比率を出すと、両チームの違いがはっきりします。
- 枠内シュートの割合:今治は24本中5本(約21%)、湘南は15本中4本(約27%)
- シュート1本あたりの得点:今治は24本で1点(約4%)、湘南は15本で2点(約13%)
- 枠内シュートと得点:今治は枠内シュート5本で1得点、湘南は枠内シュート4本で2得点
今治はシュート数で上回りました。しかし、ゴールの枠に飛ばせた本数ではほとんど差をつけられていません。湘南は少ない枠内シュートのうち半分を得点にしています。
ボールの持ち方は互角だった
ボール支配率もパス成功率も同じ数字でした。今治がボールを持ち続けて押し込んだ、という単純な構図ではありません。
ボールの持ち方は互角でありながら、今治はより多くの場面でシュートまで持ち込み、コーナーキックも7本獲得しました。それでも枠内シュートは湘南と1本差にとどまり、得点は1点だけでした。
見立て:湘南の守備がシュートの質を下げた可能性
ここからはデータをもとにした推論です。
シュートが多いのに枠内が伸びない場合、遠い位置からのシュートや、体勢が崩れた状態でのシュートが多かった可能性が考えられます。湘南の守備がシュートは許しても、良い形で打たせなかった、という読み方です。
なお、公式の試合速報にはxG(ゴール期待値)も掲載されており、今治2.45、湘南2.91と湘南が上回っています。シュート本数では今治が多くても、期待値の合計では湘南が上だったことになります。ただし、シュートを打った位置や個々の場面までは公式スタッツからは分かりません。
確実に言えるのは、シュート数の差(9本)が枠内シュートの差(1本)まで縮み、最終的には得点で逆転された、という事実です。
要因2:湘南の前半39分の交代と、43分の同点ゴール
湘南は前半のうちに手を打ち、その4分後に追いつきました。
公式記録で確認できる流れ
- 21分:エジガル ジュニオのゴールで今治が先制
- 34分:今治の近藤 高虎に警告
- 39分:湘南が加瀬 直輝に代えて小野瀬 康介を投入
- 43分:湘南の山田 寛人がゴールし、1-1
湘南はリードを許した状態で、39分に交代カードを1枚使いました。
見立て:同点のタイミングが試合の形を変えた
この交代の理由は、公式記録からは分かりません。戦術的な判断だったのか、別の事情があったのかを、ここで決めつけることはしません。
公式の試合速報によると、43分の同点ゴールは、39分に途中出場した小野瀬 康介のクロスを山田 寛人が頭で決めたものです。0-1のままハーフタイムを迎えていれば、湘南は後半、点を取りにいく必要がありました。1-1で折り返したことで、湘南は後半の進め方を選びやすくなった可能性があります。
一方の今治は、前半の終盤でリードを失いました。さらに、警告を受けていた近藤を後半開始時に交代させています。この交代の理由も公式記録からは読み取れませんが、今治が前半のうちにカードを1枚受けていたことは、後半の選手起用に関わる条件の一つだったと考えられます。
要因3:交代カードの結果 今治の攻撃的な交代と、湘南の81分の一手
終盤、両チームは攻撃の選手を入れ替えました。ゴールにつながったのは湘南の交代でした。
今治:得点者を下げて前線を入れ替えた
今治は57分にウェズレイ タンキ、69分に古山 兼悟と山田 貴文を投入しました。69分には、先制点を決めたエジガル ジュニオが古山兼悟と交代しています。
今治のシュート24本のうち、どれだけが後半の交代後に生まれたのかは、試合全体の公式スタッツでは分かりません。分かっているのは、交代後に今治の追加点が生まれなかったことです。
湘南:62分に2枚、81分に最後の一手
湘南は62分に上月 壮一郎とアルトゥール シルバを入れ、81分には湘南ベルマーレのファビアン ゴンザレスが山田寛人に代わって入りました。湘南ベルマーレのファビアン ゴンザレスは90+6分に、自ら獲得したPKのこぼれ球から決勝点を挙げています。
交代枠の使い方を数で比べると、次のようになります。
- FC今治:4人を交代(後半開始時、57分、69分×2)
- 湘南ベルマーレ:5人を交代(39分、後半開始時、62分×2、81分)
見立て:交代の結果が最後に差となって表れた
両チームとも、得点を取った選手を途中で下げています。今治はエジガル ジュニオを69分に、湘南は山田寛人を81分に交代させました。
違いは交代した後の結果です。湘南は交代で入った選手が決勝点を決め、今治は交代で入った選手から追加点が生まれませんでした。
交代策の「良し悪し」をこの1試合だけで判断するのは早計です。決勝点はPKがGKに止められた後のこぼれ球によるもので、結果には紙一重の要素も含まれます。ただ、湘南の交代が結果として勝点3に直結したことは確かです。
同じデータの別の読み方と、データでは分からないこと
今治が「試合内容で上回っていた」と言い切ることも、「湘南が完全に試合を支配していた」と言い切ることも、データからはできません。
今治側から見た読み方
- シュート24本、コーナーキック7本は、今治が相手ゴール前まで何度も迫ったことを示している
- 枠内シュートも5本で湘南の4本を上回った。ただし枠内率と得点数では湘南が上回っている
- この見方に立てば、今治の敗戦は「決める確率」と時間帯の不運が重なった結果とも読める
湘南側から見た読み方
- 15本のシュートで枠内4本、そのうち2本をゴールにした
- 先制されても前半のうちに追いつき、後半アディショナルタイムに勝ち越した
- この見方に立てば、湘南は相手にシュートを許しながらも失点を1に抑え、少ない好機を確実に生かした試合と読める
データだけでは判断できないこと
- シュートを打った位置と、決定機の数
- 湘南の39分の交代、今治の後半開始時の交代の理由
これらは試合映像や、監督・選手のコメントを公式発表で確認して初めて判断できます。今回の公式スタッツの範囲で言えるのは、今治が「量」で、湘南が「効率」で上回ったという構図までです。
この結果が示すもの:問いへの答え
今治が敗れた理由は、シュート数の差を枠内シュートとゴールの差に変えられなかったことにあります。
24本対15本というシュート数の差は、枠内に絞ると5本対4本、得点では1対2になりました。ボール支配率もパス成功率も同じだった試合で、最後に違いが出たのはゴール前の数字です。
そこに、湘南の二つの「時間帯」が重なりました。39分に途中出場した小野瀬 康介のクロスから生まれた同点ゴールと、81分に途中出場したファビアン ゴンザレスによる決勝点です。
シーズン序盤の第8節で、ホームで先制しながら逆転負けした今治と、アウェイで逆転勝ちした湘南。この1試合だけで両チームの力関係や今後の成績を断定することはできません。ただ、今治にとっては「打った本数をどう得点に変えるか」、湘南にとっては「少ない好機を生かした形を再現できるか」が、次の試合以降で見えてくるはずです。
次の試合で注目したいポイント
- 今治:シュート数に対する枠内シュートの割合が上がるか。今回は24本中5本だった
- 今治:先制した試合でリードを最後まで守れるか
- 湘南:シュート数で下回る試合でも、少ない枠内シュートを得点につなげられるか
- 湘南:途中出場の選手が今回のように得点に絡めるか










