保持の大分、シュート数の藤枝。枠内シュート同数で分け合った勝点1|大分トリニータ対藤枝MYFC
11分、藤枝MYFCの川本梨誉がゴールを決めて先制。後半が始まって6分後の51分に、大分トリニータの有馬幸太郎が追いついた。スコアはそのまま動かず、1-1で終わった。
公式スタッツを見ると、この試合の形がはっきりする。シュート数は藤枝が9本、大分が5本。一方でボール支配率は大分が53%で上回った。それでも枠内シュートは両チームとも2本で、どちらも枠に飛ばした2本のうち1本を決めている。
では、この試合で勝敗を分けなかったものは何だったのか。言い換えると、なぜシュート量で上回った藤枝もボールを持った大分も2点目を奪えなかったのか。この記事は、その一点を公式データから掘り下げる。
この試合の要点
- 結果:大分トリニータ 1-1 藤枝MYFC(明治安田J2リーグ 2026 第8節)
- 得点:11分 川本梨誉(藤枝)、51分 有馬幸太郎(大分)
- データの特徴:シュートは藤枝9本・大分5本だが、枠内は2本ずつで同数
- ボール保持:支配率は大分53%・藤枝47%、パス成功率は大分78%・藤枝70%
- 流れの転機:大分はハーフタイムに2人を交代し、その6分後に同点に追いついた
この記事では、まず公式記録で確認できる試合の事実を整理する。そのうえで「藤枝のシュート量」「大分のボール保持」「後半の入り」という3つの観点から、スコアが動かなかった理由を考えていく。
試合の事実:公式記録で確認できること
先に結論を書くと、得点は前半と後半に1点ずつ、交代は両チーム合わせて10人、警告・退場はない。こうした確定事項を土台にしてから分析に入る。
開催情報と得点経過
- 大会・節:明治安田J2リーグ 2026 第8節
- 開催日:2026年9月26日
- 会場:クラサスドーム大分
- 入場者数:8,263人
- 最終スコア:大分トリニータ 1-1 藤枝MYFC
得点は次の2つだけだ。
- 11分 川本梨誉(藤枝MYFC)
- 51分 有馬幸太郎(大分トリニータ)
藤枝は前半の早い時間にリードを奪い、そのまま前半を終えた。大分が追いついたのは後半開始から6分後。その後の約40分間と後半アディショナルタイムには、どちらにも得点は生まれなかった。
交代
両チームとも5人ずつ交代した。ただし交代のタイミングははっきり違う。
- 46分(後半開始):大分トリニータ 戸根 一誓 ← 井上 聖也
- 46分(後半開始):大分トリニータ 茂 平 ← 小田 逸稀
- 59分:藤枝MYFC 島野 怜 ← 上畑 佑平士
- 59分:藤枝MYFC 梶川 諒太 ← 長尾 優斗
- 66分:大分トリニータ 木本 真翔 ← パトリッキ ヴェロン
- 72分:大分トリニータ 古川 大悟 ← マテウス レイリア
- 80分:藤枝MYFC 青木 俊輔 ← 近藤 優成
- 80分:藤枝MYFC 北原 槙 ← 川本 梨誉
- 84分:大分トリニータ 榊原 彗悟 ← 西村 恭史
- 84分:藤枝MYFC 金本 毅騎 ← 真鍋 隼虎
(表記は「時間:チーム IN ← OUT」)
大分はハーフタイムに2人を入れ替え、66分、72分、84分にも1人ずつ交代した。藤枝は59分と80分に2人ずつ、84分に1人という順番だった。先制点の川本梨誉は80分に北原槙と交代している。
警告・退場
公式記録には、警告・退場の記載がない。カードによる数的不利や出場停止の心配が生まれなかった試合だった。
主要スタッツ
両チームのデータは、それぞれの強みがかなりはっきり分かれた形になった。
| 項目 | 大分トリニータ(ホーム) | 藤枝MYFC(アウェイ) |
|---|---|---|
| シュート | 5 | 9 |
| 枠内シュート | 2 | 2 |
| ボール支配率 | 53% | 47% |
| パス成功率 | 78% | 70% |
| コーナーキック | 2 | 6 |
ポイントは5つの項目のうち、大分が上回ったのが「ボール支配率」と「パス成功率」、藤枝が上回ったのが「シュート」と「コーナーキック」で、枠内シュートだけが並んだことだ。ここからは3つの観点で、この数字の組み合わせを読んでいく。
観点1:藤枝はなぜシュート数の差を枠内シュートの差にできなかったのか
この試合で一番大きな差はシュート数にある。それでも、その差は枠内シュートの段階でなくなっていた。
数字が示すこと
藤枝のシュートは9本で、大分の5本より4本多い。コーナーキックも藤枝が6本、大分が2本だった。攻撃の回数と、相手陣内で終わるプレーの多さでは、藤枝が上回っていたことになる。
ところが枠内シュートは藤枝2本、大分2本で同じだった。
得点は両チームとも1点。枠に飛んだ2本のうち1本を決めた割合も、両チームまったく同じだった。
この数字から考えられること
藤枝のシュート量が勝ち越し点につながらなかったのは、枠に飛ばせた本数が伸びなかったことが大きいと考えられる。枠内シュートの本数で並んだ以上、シュート数の差はスコアの差にはつながらなかった。
大分の側から見ると、藤枝の枠内シュートを2本に抑えたともいえる。公式スタッツにはブロックの項目もあり、大分23、藤枝21となっている。ただし、この数字がシュートブロックだけを数えたものかは分からず、枠を外れた理由が大分の守備によるものなのか、藤枝のシュートの精度によるものなのかは、データからは分けられない。
ここがポイント:シュート数では藤枝が上回ったが、枠内シュートは同数。「量の差」は「枠内の差」にまでつながらなかった。
コーナーキック6本についても同じことがいえる。セットプレーからどれだけ枠内シュートにつながったかは公式スタッツから分からない。それでも、6本のCKを得ても追加点は生まれなかったという事実は残る。
観点2:大分はなぜボール保持をシュート数につなげられなかったのか
大分はボールを持つ時間でもパスをつなぐ精度でも上回った。それでも、シュートの数は藤枝の約半分だった。
数字が示すこと
ボール支配率は大分53%、藤枝47%で、差は6ポイント。パス成功率は大分78%、藤枝70%で、差は8ポイントあった。どちらの項目も大分が上回っている。
ただし大分のシュートは5本、コーナーキックは2本で、どちらも藤枝を下回った。
この数字から考えられること
大分はボールを落ち着いて動かせていたが、それをシュートの本数に結びつける段階で苦しんだ可能性がある。保持とパス成功率で上回りながらシュート数とCK数で下回るのは、相手ゴール前に入っていく回数が多くなかったことを示しているとも読める。
その一方で、大分は少ないシュートから藤枝と同じ数の枠内シュートをつくり、1点を取った。枠内率だけを見れば、大分のほうがシュートを枠に飛ばせていた。
藤枝の視点で見ると、支配率47%、パス成功率70%は、ボールを長く持つよりも早めに前へ運び、シュートで終わる回数を増やす戦い方と数字の上では一致する。ただ、これが監督の狙いどおりだったのかは、公式データだけでは判断できない。
観点3:ハーフタイムの2枚替えと、51分の同点ゴール
試合の流れが変わった場面として、時系列で確認できるのはここだ。大分は後半のスタートと同時に2人を入れ替え、その6分後に追いついた。
記録で確認できる順序
- 後半開始時:大分トリニータの戸根 一誓が井上 聖也に代わって入る(同時にもう1人交代)
- 51分:大分トリニータの有馬幸太郎のゴールで1-1
- 59分:藤枝MYFCの島野 怜が上畑 佑平士に代わって入る(同時にもう1人交代)
大分はリードを許した状態で後半に入り、最初の交代カードを2枚まとめて切った。藤枝の最初の交代は、同点にされた8分後の59分だった。
この順序から考えられること
ハーフタイムの交代と同点ゴールが近い時間に起きたのは事実だ。ただ、公式の試合速報によると、同点ゴールは大分トリニータの有馬幸太郎が相手陣中央からドリブルで持ち込み、右足で決めたもので、交代で入った選手が関わったという記載はない。だから「交代が当たった」とは言い切れない。
それでも、ビハインドで迎えた後半に大分が早く動き、その直後に同点にしたことは、試合の流れの中で大きな意味を持つ。藤枝からすると、リードした状態で後半に入りながら、相手の交代直後の時間帯でリードを失ったことになる。
両チームとも同点後に交代を重ねたが、勝ち越し点は生まれなかった。80分には藤枝MYFCの北原槙が、先制点の川本梨誉に代わって入った。72分には大分トリニータの古川大悟がマテウス レイリアに代わって入った。84分には大分トリニータの榊原彗悟が西村恭史に代わって入った。最後の6分間と後半アディショナルタイムでも、スコアは動かなかった。
別の見方と、データでは判断できないこと
ここまでの見方には、別の解釈もある。同じ数字から逆の結論が出る可能性も書いておく。
「藤枝が押し込んだ試合」とは言い切れない
藤枝のシュート数とCK数は藤枝の攻勢を示すように見える。しかし枠内シュートは大分と同数で、ボール支配率とパス成功率では大分が上回っている。どちらかが一方的に試合を進めたという読み方は、データからは支えにくい。
「大分がボールを握った試合」とも言い切れない
支配率53%は過半数ではあるが、47%との差は6ポイントにとどまる。保持の差は大きくなく、互いにボールを持ち合った時間が長かった可能性もある。
公式スタッツにない情報
この試合の公式スタッツには、ゴール期待値(xG)や、すべてのシュートを打った位置といった項目がない。なお得点場面については、公式の試合速報に形が記載されている。藤枝MYFCの川本梨誉の先制点はペナルティエリア手前からの左足、大分トリニータの有馬幸太郎の同点ゴールはドリブルで持ち込んでの右足によるものだった。そのうえで、次の点はデータからは判断できない。
- 藤枝の枠内に飛ばなかったシュートが、決定機を外したものだったのか、遠い位置からのシュートだったのか
- 大分のシュートが、どれだけ質の高いものだったのか
1-1という結果が「妥当」だったのか「どちらかにとって惜しい」結果だったのかは、こうした情報なしには評価が分かれる。
この引き分けが示すもの
冒頭の問いに答えると、この試合で勝敗を分けなかったのは、両チームとも枠内シュートを2本しかつくれなかったことだ。藤枝はシュート量で、大分はボール保持で上回ったが、どちらも枠内シュートの数を相手より増やすことはできなかった。
勝点はそれぞれ1。第8節というシーズン序盤の1試合で、両チームは同じ勝点を分け合った。
ただ、課題の出方は両チームで違う。
藤枝MYFCが持ち帰るもの
- シュート数とCK数では大分を上回った
- 一方で枠内シュートは大分と同数にとどまり、前半のリードを守り切れなかった
- 次に見たいのは、シュートの本数を枠内の本数にどれだけ変えられるか
大分トリニータが持ち帰るもの
- 支配率53%、パス成功率78%でボールを動かし、ビハインドから同点に戻した
- 一方でシュート数とCK数では藤枝を下回った
- 次に見たいのは、ボール保持をシュートの数にどうつなげるか
8,263人が入ったクラサスドーム大分での一戦は、数字の上では「違う強みを持つ2チームが、同じところで止まった」試合だった。次の試合で、藤枝が枠内シュートの数を、大分がシュートの総数を伸ばせるか。それが、この引き分けの続きを読むうえでの一番の注目点になる。










